おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
私は仕事柄、
定期的とまでは行かずとも
できるだけキャリア本は読むようにしています。
しかしキャリア本というのは
正直あんまり当たりがなくて、
学術的になり過ぎているか
とても表層的で参考になるところが少ないか
そんな稚拙な本が多いように感じています。
もちろん当たりもないわけではなく
稀にあるわけですし、
どんなダメな本でも数行くらいは
参考になるところもあるわけで(苦笑)
むしろダメ本からインスパイアされたり、
くだらない文章から逆説的に考えたら
意外と面白い発想が頭に浮かんだりします。
そういう意味では外れ本でも
まあほんのちょっとは読む価値はあるのですね。
今回ご紹介する書籍は、
【 CROSS-BORDER
キャリアも働き方も「跳び越えれば」うまくいく
越境思考 】 です。
本書をピックアップした理由
『 CROSS-BORDER
キャリアも働き方も「跳び越えれば」うまくいく
越境思考』
井上 功 ディスカヴァー・トゥエンティワン を読みました。
キャリアに正解なんてありません。
ですから私は私なりの持論を持っていますが
できるだけ多角的に考えたいので
あえて自分とは違う感じの本を読むことがあります。
本書を選んだのは
帯にある
変えるのは「決意」ではなく「環境」だ…です。
いや違う!と私は思いました。
ジョブホッパーを生み出すだけのように思えました。
それだけに著者の真意を知りたく
若干批判的な精神で読み始めたのでした(笑)
目次
Prologue 中堅社員が陥る10の「もやもや」
Chapter1 個人内越境 自分自身の「もやもや」を突破する
Chapter2 企業内越境 自分の仕事の「もやもや」を突破する
Chapter3 企業間越境 今いる会社の「もやもや」を突破する
Chapter4 職種間越境 今の職種に関する「もやもや」を突破する
Chapter5 業種間越境 所属する業種・業界の「もやもや」を突破する
Chapter6 産官学越境 ずっとサラリーマンでいいのか? の「もやもや」を突破する
Chapter7 労使間越境 経営者になれるかな? という「もやもや」を突破する
Chapter8 世代間越境 職場以外の世界に関する「もやもや」を突破する
Chapter9 地域間越境 今住んでいる場所に関する「もやもや」を突破する
Chapter10 国家間越境 日本を巡る「もやもや」を突破する
Epilogue 実行できない言い訳を徹底的に“つぶして”、越境を実行する
感想
う~ん、う~ん、う~ん、というのが
率直な感想です(苦笑)。
キャリアってそんなに浅くないし、
著者の「越境」することで
新たなキャリアを手に入れようというのは
重々承知ではあるのですが、
著者自身の成功談義が多いし
「深み」のようなものを感じることができません。
20代とか、30代前半くらいの若手なら
参考になるところは多いかもしれませんけど
それなりに経験豊富な大人の人にとっては
今ひとつ納得できないところが多いかなぁ…。
本書を読んで
よし、オレも越境しようと思っても
本書の通りにはそう行かないと思います。
世の中そんなに甘くないし、
個人の越境より大事なこともありますから。
もっと世の中を広く、深く、知って
越境すべきなのかどうか、
するならその前に何をしておかねばならないか。
そこを追求するのが先でしょうか。
何だかリクルート出身の方の特徴が
良くも悪くも強く出ている感じがしました。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。
”守”は、教えや型・技を忠実に守り、
確実に身に着ける段階です。
どの仕事においても”守”は大切です。
徹底的にやり切ることで、
熟達することができます。
熟達研究の第一人者である
アンダース・エリクソンが提唱した
「限界的練習」というものがあります。
ひとつのことを適切に5000時間繰り返し練習すると、
誰でもエキスパートになれるというものです。
このご時世、5000時間はいかにも長い。
仮に1日4時間、毎日ひとつのことをやり遂げても
3年半ほどかかります。
いっぽうで、人生100年時代を前提にした場合には、
短いと捉えることもできます。
(P.82~83)
中谷彰宏さんは
したい人、10000人
始める人、100人
続ける人、1人 という言葉を残しています。
続ける人が圧倒的に少ないから
続けた人には物凄い希少価値が生まれるのですね。
ちなみに私は…
ある分野で
一流のプロになるためには
「10000時間」の努力が必要で、
セミプロになるには
「1000時間」の努力が必要と言われるそうです。
こんな言葉を聞いたことがありますが
意味合いとしては同じでしょうし、
真偽の程はわかりませんが
毎日3時間続けたら1年で1000時間。
これを10年続けて一流のプロ。
まあ、そういうことですよね。
何もしなければそういう人生が待ち受けていますし、
やっぱり「継続は力なり」なのですね。
キャリアとは「スキル」と「経験」であり、
すぐに、簡単に手に入るものではありませんから
積み重ねて、積み重ねて、ようやく手にするのですね。
こればかりは世の真理ですから
その人のキャリアを見れば
どういう人生を歩んできたかがよくわかります。
遊んで、楽して、楽しくて、という人生もいいですけど
キャリアとしてはいかがなものでしょうか?
今の職種で100人にひとりの実力・実績を身につけます。
次の職種でも100人にひとりの専門性を確立できたら、
1万人にひとりの存在になれます。
ダブルメジャーです。
機械でもできる職種は多々あるものの、
組み合わせで実現する複雑性や希少性を考慮すると、
ユニークな立ち位置を獲得できます。
さらにもうひとつの職種をかけ合わせることができれば、
トリプルメジャーになります。
100万人にひとりの存在ならば、
オリンピック選手級といってもいい。
(P.152~153)
これはキャリアの考え方として正しいですね。
だから最近ではパラレルキャリアとか、
スラッシュキャリアという
いわゆるハイブリッドにキャリアを考える傾向が
段々と強まって来ています。
しかし絶対に勘違いしてはいけないのは
最初の「100人にひとりの実力・実績」を
どうやって身につけるか?なのですね。
これがないのに
あれもこれもと手を出しては上手く行きませんし、
本業が成り立っていないのに
兼業や副業を始めても上手く行かないのと同じです。
何者にもなれない自分では
あまり人の役には立てませんので
何かで成功する確率は低いですよね。
それで親ガチャ、会社ガチャ、上司ガチャだと
他者を否定、非難、批判して
責任を転嫁したところで何にもなりません。
ぶっちゃけこういう人には
やっぱりそういう人生が待ち受けているのですけど
まずは必死になって
何かの分野で100人にひとりになることじゃないですかね?
自分の努力不足を棚に上げているようじゃ
思うように行くことなんてないと思いますよ。
会社は株主の所有物であり、
投資家にとっては売り買いの対象です。
上場企業であれば、
市場で当該企業の株式を購入することが可能です。
いっぽう、会社では顧客に対して価値を提供し
対価を獲得する活動は、社員が行っています。
所有と執行は別物とはいえ、
当事者がいるのは事実です。
資金があれば会社は変えますし、
そうなると労使間越境は実現しますが、
経営者として執行することに
徹底してコミットすることは絶対的に必要です。
(P.231)
社会の仕組みであり、
会社の構図・構造ですね。
資本主義社会ではごく普通のことであり、
働く大前提であると思います。
ところが世の中には
こういったリアルな現実から目を背けて
自分勝手に、自己中心主義で、
なおかつ大変にエモーショナルに受け止めて
自分の立つ瀬を失っている人が多いです。
若かりし頃ならば
若気の至りで済みますけど
社会に出て10年も過ぎれば
そんなことは言ってられません。
30代半ば以降になれば
社会の仕組みを大前提に捉えて
世の中の構図・構図を知り尽くして
その上で自分のキャリアを考えねばならないのです。
自分、自分って、自分の思う通りになんか
そもそも出来上がっていないのですから
100%無理筋なのですね。
それで文句を言ったって
誰も助けてくれませんし、
運よく一緒に文句を言ってくれる人が見つかっても
何も解決はしませんね。
さあ、どうするか?
キャリアはシビアですよ。
「超」現実ですから。
仕組み、構図、構造。
私はここを知るしか手はないと思ってます。
①新しい知識
②モノの見方の転換
③新結合
④ネットワーク
⑤対人対応スキル
⑥ワクワク感
このように越境により得られることは多くあります。
そして越境によりこれらを獲得できたとき、
リーダーになれるのです。
リーダーとは、最初に越境の第一歩を踏み出す人であり、
いわゆる”ファースト・ペンギン”です。
それでも越境を実行できない場合があります。
原因は「実行力不全」です。
思いはあっても実行できなくては意味がありません。
(P.304)
口だけ番長は世の中には多いですし、
最近ですとリアルな実社会では何もできないクセに
SNSでは偉そうな口を利く
恥ずかしい人も増えていますね。
でもこういう人には
全然いいことがやってこないんですよ。
だからなおさらSNSで攻撃的になる。
悪循環どころか、
すべては自己責任ですよね。
世の中は「やったもの勝ち」です。
失敗を成功に変えることのできる人ではないと
明るい未来はやってきませんよ。
一生陰口叩いて自己弁護して
年取って居場所を失う。
そうなるのが目に見えてるでしょ。
評価
おススメ度は ★★☆☆☆ といたします。
ちょっと辛めの評価ですが
若手ビジネスパーソンには
参考になるところがあるかもしれません。
医師のキャリアという点では
もっと中長期な視点と
人とは?命とは?という
倫理的なところが少ないかなと思いました。
個人的には、正直申し上げて
そうじゃないんだよな~
こういう情報は若手を翻弄するんじゃない?とか
ちょっと否定的に考えるところが多かったです。
それでは、また…。
<ジーネットが発信する情報提供サイトはこちらです!>
・ジーネット株式会社 公式ホームページ
・医療ビジネス健全化協議会<IBIKEN>ドクター向け情報提供サイト
・ジーネット株式会社 <社長のtwitter>
・ジーネット株式会社 <社長のfacebookページ>