ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

文化資本の経営 これからの時代、企業と経営者が考えなければならないこと

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

どこかの総理が

新しい資本主義とか言い出して、

まあ結局は何にもせずに終わるわけですけど

どうでしょうね…

 

今、資本主義が最高であると思っている人は

そう多くはないと思うのです。

 

だからと言って共産主義バンザイとか

社会主義っていいよねという人は

もっと少ないでしょうし、

だいたいイデオロギーを前面に出す人って

ぶっちゃけ気持ち悪いじゃないですか。

 

とはいえ私たちは

資本主義の中で生きざるを得ないし、

民主主義で物事は決まっていくのですから

ある程度はアジャストしていかねばなりませんね。

 

しかし聡明な方なら

現行の資本主義は

かなり限界に近づいていることは

重々承知であるとも思えます。

 

まあマルクスの時代から

資本主義の欠陥は言われていたわけで

それから人類は進化していないとも言えますね。

 

これからどうなっていくのか?

資本主義に成り代わるものはあるのか?

 

今回ご紹介する書籍は、

【 文化資本の経営

  これからの時代、企業と経営者が考えなければならないこと  です。

 

 

本書をピックアップした理由

文化資本の経営 

  これからの時代、企業と経営者が考えなければならないこと 』

福原 義春 文化資本研究会 を読みました。

 

何かで本書の存在を知り、

あ、これは読まねばならない奴だと

直感が働きまして

すぐにポチッと購入しました。

 

私自身の経営のためというのもあるんですけど

おそらくこれからの「働く」という観点で

相当に参考になるのではないかと期待できたのです。

 

文化と資本なんて

一見相反するものとも思えますけど

そういう常識を1度取り外す必要があるでしょうし、

スクラップビルドとはそういうものでしょう。

 

個人的には学ぶ気満々で読み始めたのでした。

 

目次

1章 文化経済の時代の到来 

   文化が経済の力になるとはどういうことか

2章 新しい経営アイデアが湧いてくる場所 

   近代的な知のあり方を超えて

3章 世界を丸ごとデザインできる経営を 

   日本語と日本文化がもたらすもの

4章 文化資本経営は新しい環境空間を演出する 

   経済活動に環境をどう取り込んでいくか

5章 新しい経営を切り開くビジョンとは何か 

   コーポレート・ガバナンスとリーディング・ビジョン

補章 文化資本経営の理論

 

感想

本書は1999年に発行されたらしいですが

それがなぜか2023年12月に復刊したようです。

 

確かに1999年当時と比較すれば

現代社会のほうが本書は読まれるべきかもしれません。

 

資本をお金だけでなく

文化全体として捉えた経営をする。

 

100年後、200年後のためにも

そうすべきではないでしょうか?

 

カネ、カネ、カネという

拝金主義が蔓延る現代社会で

カネ以外の価値観を見失っている人が多いですから

これからそういう人は痛い目に合うでしょう。

それは人類全体のためにもそうあるべきです。

 

そりゃお金は大事なのですよ。

でもただのツールですから

そこに最上の価値を持たせるということは

命を失い、家族を失い、友を失い、

正義を失い、倫理を失い、キャリアを失い、

人生哲学を失うことになるでしょうか。

 

じゃカネ以外に何があるのよ?

その答えが本書にあります。

 

あくまでも経営本ですから

企業経営が中心ではありますが、

それでも生き方や、

考え方の参考になるところも多いです。

 

今までの経営者は致し方ありませんが、

これからの経営者にとっては

必読の書と言っていいと思います。

 

勝てば官軍で

地球を壊し、社会を壊し、

社員を壊すのではいけません。

 

そんな会社は潰れて良い。

存在自体が悪ですからね。

 

株式市場が

金儲けの場ではなく

社会貢献を問う場になればいいと思うけど

まあ無理でしょうね…。

 

個人も、企業も真っ当に生きねばなりません。

そろそろ逆襲が来るんじゃないですかね。

 

本書の第5章と補章は大変勉強になりました。

未来が求める経営論が

ここにはあると思いました。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。

 

これまでの流れのなかで

近代に行われてきたのは、

経済を自然や社会から分離し、

経済を経済として

自由に機能するようにしてきたことです。

分離して自由になっていくことをエネルギーとして、

経済は物質的発展へ向かう

推進力を持つことができたのですが、

その推進力を消耗して、

行き着くところまできた時、

経済がエネルギーをなくしてしまったのが

現在だといえます。

(P.27~28)

 

経済って所詮カネじゃないですか。

もちろんカネがないと何にもできませんし、

そうは言ってもカネだけあればいいものではない。

 

資本主義社会はカネありきですから

私たちの価値観は

カネに対する優先度が高くなるばかりですけど

そろそろ本当にそれでいいのか?と

問わねばならない

フェーズに入ってきているのかもしれません。

 

カネがカネを生むって言いますけど

世界中のどこかで犠牲になっている人がいるなら

果たしてそれはどうなんだ?という

想像力を私たちは働かせねばなりませんよね。

 

資本家と奴隷。

制度はなくなったけど

実態としてまだ残っているように感じますし

下手したらその傾向は強まっているとも言えそうです。

 

そもそも文化とは

「異質な相反する物事の出合い」によって

生み出されるのです。

延々たる同質性の持続から

文化は生まれることはありません。

ですから文化資本経営とは第一に、

そうした「異質なる出合い」から生まれる文化を、

自覚的な技術によって

生成させていこうとするマネジメントだといえます。

(P.39)

 

そうなのですけど

為政者は管理しやすくするために

同質性を好むのですよね。

 

これだけ多様化された時代に

何で同質化するのかと言えば

お金なのですよね。

どうせお前らカネが欲しいんだろう…みたいな。

 

文化とは程遠い世界ではないでしょうか?

 

企業活動とは本来、

利潤、儲けだけを

唯一の目的とするものではなかったはずですが、

企業組織の存続が第一とされるようになると、

もっぱら利益を重視する経済に追い込まれてしまう、

という認識をもつことが大切です。

利潤の獲得へと追い込まれている発想では、

何はともあれ売れる商品づくりが前提となり、

そこから物事を組み立てていくことになります。

そこでは、社員が豊かなアイデア

生み出していくことのできる環境なり

場を与える余裕がなくなり、

広がりのあるアイデアを生むためには

非常に無駄なものが入ってくることにもなります。

(P.54)

 

経営者の劣化なのでしょうか?

きれいごとは言うけれども

結局売上が欲しいだけじゃん…みたいな社長

かなり多いですからね。

 

世も末なのか?

資本主義を変えていかねばならないのか?

 

昔は文化人のサロンがあり、

普通の人が「自分にはわからないような高尚なことや

素敵なことをやっているグループがいる」と憧れる、

という構造があったと思います。

当時はそうした憧れが一つのエネルギーになっていました。

しかしいまは、

昔のように空間とグループが一緒になると、

文化的な権力構造になりかねません。

(P.69)

 

軽薄な集まりはいっぱいありますけどね。

ただSNSに上げたいだけの

表面だけの人脈作りみたいな。

 

そこに足りないのは

確かに「文化」なのかもしれません。

浅いんですよね~何もかも。

今だけカネだけ自分だけ。

 

現実世界はとうてい定義不可能なものとしてあります。

最近、複雑系という考え方がされていますが、

きわめて複合的で複雑な世界が現実の世界です。

この無限定で定義不能なものを含む

現実世界をとらえるには、

現実を向こう側の

知識的な対象としてとらえようとするのではなく、

対象を内在化していこうとする

知の側からとらえていかなくてはなりません。

(P.77)

 

わかる。

最近はとにかく答えが欲しくて

複雑なものを簡素化して

実態から遠ざかってしまっているように感じます。

 

わかりやすさを求める気持ちはわかるけど

複雑なものは

複雑なまま受け入れるべきですよね。

 

そうしないと本質から遠ざかるだけ。

 

もう一つは、

若いころにアーティストがよい作品を残すのは、

壁や限界を知らないからだ、ということです。

(P.99)

 

年を取ってつまらない人間になってしまう。

限界を作るのは自分ですし

突破するのも自分ですね。

 

文化資本経営をめざす企業にとって、

言葉の力をどのように使っていくかは大きな課題です。

とりわけビジュアル表現の背後にある言語表現の意味は、

これからますます大きくなっていくといえるでしょう。

(P.106)

 

軽い時代なのでしょうね。

言葉ではなく映像で伝える。

わかりやすさの追求とも言えそうですが

心に訴え掛けるレベルはどうでしょうね?

 

読書好きには

言葉の大切さ、言葉で伝えることは

もっと真剣に取り組んだほうがいいのではと思います。

 

年をとればとるほど若くなる人がいます。

こういう人は成熟しているのだと思うのです。

(P.155)

 

逆に言えば

年をとって老いる人は

退化していると言えるでしょうか。

 

守旧派ですね。

既得権を守る人はこのタイプか。

老害が増えるばかりの現代社会。

 

これからの時代は、

活動そのもののなかに

哲学が反映していることをめざさないと、

個人の活動も

企業の活動も成立しなくなっていくと思います。

そこでは、そもそも企業というものは、

いったい何のために生まれたのかを

考えることが重要となります。

それは同時に、これからの企業のあり方を

考えることでもあると思います。

(P.186~187)

 

個人のキャリアや人生も同様と思います。

根底に哲学がないと

通用しなくなるのではないでしょうか。

 

そもそも論を語れないのでは

表層的に生きるしかなくなると思うのです。

それはおそらく相当のマイナスでしょう。

 

周囲に集まる人たちも似たもの同士でしょうから

堕落が止まらないような気がします。

 

競争には、他者を蹴落とす競争と

高め合う競争という、

まったく性格の異なる二つのものがあります。

この高め合う競争こそが

大事であることは当然です。

また、公共性、公益性といわれるものも、

個人や住民を犠牲にするのではなく、

相互に生かし合い、

高め合うことのできるものでなくては困ります。

(P.191)

 

マーケットにはありません。

勝者総取りの分捕り合い。

血も涙もない厳しい世界です。

 

他者を蹴落とさないと

自分に利益が来ませんからね。

 

株式でも、債券でも、不動産でもそうですが

私はマーケットの存在が

現代人に大切なものを失わせたように思ってます。

 

マーケットに翻弄されて

人としての道を失ってしまったような…。

一部の人だけお金は得たけど

お金を失った人はずっと多いのではないかな。

 

最高経営者が単に普遍的な真理を語るだけではなく、

かといって個性的な語りに終始するのではなく、

個性的であることによって普遍的であり、

普遍的であることによって個性的であるという

表現が生み出されたところで、

はじめてその企業独自の

ガバナンスの指針表明たりうるといえるでしょう。

それが真理を語る形式の獲得によって

可能になることなのです。

(P.210)

 

かったり~な~

早く終わらんかな…という

社長のスピーチには得るものが

何もありませんね。

 

そこには普遍的な真理も

個性も欠けているのでしょう。

だったらしゃべらなくていいのに。

 

ビジネス誌の社長インタビューも軽いっすね。

2分後にはすべて忘れる。

深みがない話しって価値がないです。

 

これまでのように、

余剰金を文化に回す、

余剰金がなければ回さないといったやり方では、

経済の衰弱にともなって

文化も衰弱していくしかないでしょう。

(P.216)

 

文化にお金を出せるような大企業は

ハッキリ言うと社長じゃない。

 

ただの出世頭であって

本物の社長じゃない。

サラリーマン社長ですからね。

 

哲学をベースにした深い考察など

そこにはないのですよね。

 

これからはどうなることやら?

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

満点の五つ星でもいいのですが

若干中だるみしたところがあったかなと。

 

でも大変に勉強になりましたし

私自身、経営者として少し成長できた気もします。

 

少し前に読んだ

下記の書籍に匹敵するくらいの良書でした。

 

ka162701.hatenablog.com

 

もう資本主義はもたないでしょう。

早期に改善しないと

自然が、地球が、人類を許さないような気がします。

 

資本家と奴隷からの脱却ですよ。

昔ほどあからさまではないですけど

構図自体は全く変わってませんからね。

 

こちらでの反逆もあるかもしれません。

自然が猛威を振るうか?

地球が怒りを爆発させるか?

 

いずれにしても

私たちは後世のためにも

希望のある社会を作っていかねばなりませんよね。

まずは半径5メートルから。

 

それでは、また…。



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