おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
知っているようで
実はそれほど知ってはいない。
こういうことって
意外と多いように感じます。
わかっているようでわかっていない。
こういうことも多いですよね。
知らないこと、わからないこと、
これをカッコつけて
変に知ったかぶったり
わかったフリをするのは
あんまりいいことではないと考えます。
知らないものは知らない。
わからないものはわからない。
ここを出発点にして
学べばいいだけの話しなんです。
でも大人になると
妙に知ったかぶったり
わかったフリをして
ドツボにハマったり
見透かされて陰で笑われている人が
実は多かったりしますよね。
また人間って
人のことは良く見えるのに
自分のことは見えなかったりしますよね。
知らない、わからないことに謙虚になる。
知るまで、わかるまでは
しっかり保留しておき学ぶということ。
とても大事であり
これこそが知性や知恵なのだろうなと
つくづく思う次第です。
今回ご紹介する書籍は、
【 軍師 黒田官兵衛 】 です。
本書をピックアップした理由
『 軍師 黒田官兵衛 』
野中 信二 人物文庫 を読みました。
少しご無沙汰になっている
人物文庫シリーズから
黒田官兵衛をピックアップしました。
一応、歴史好きを広言している私ですから
黒田官兵衛に対しても
そこそこの知識は持っているつもりです。
ただ詳しく知っているか?と問われれば
それほど詳しくはないと言わざるを得ません。
冒頭に申し上げたように
知らないものを知らないと言えるのは
とても大事なことだと考えていますし、
賢者は歴史に学ぶ
愚者は自らの経験に学ぶという
信条を持っている私としては
どこかで黒田官兵衛は学んでおきたいと思っておりまして
今回手に取った次第です。
私の積ん読本棚には
まだまだ人物文庫、新人物文庫の本が
山積みになっていますので
折を見て読んでまいります。
目次
1 けんか祭
2 開運
3 織田か毛利か
4 岐阜へ
5 摂津の王者
6 肝胆相照らす
7 岐阜の魔王
8 自由の嵐
9 井の中の蛙
10 威嚇
11 揺れる小寺家
12 松寿丸
13 待ち人来たる
14 西播磨
15 夜討ち戦法
16 墳墓の地
17 招かれざる客
18 播磨騒然
19 上月城
20 苦境
21 高倉山
22 挫折
23 不屈の男
24 秋風吹けば
25 別府合戦
26 梟雄の迷い
27 村重叛旗
28 自信過剰
29 罠
30 土牢
31 誠意の人
32 希望の灯火
33 藤の花
34 有岡城開城
35 生還
36 有馬の湯
37 秀吉の涙
感想
あ、あ、あ、そこまでなの?というのが
率直な感想です。
ネタバレにならない程度に言いますが、
え~、そこまでなの?
その先には触れないの?という内容なのです。
確かに黒田官兵衛の一生の中では
大きなポイントであったのは事実と思います。
で・ですが…
その先が黒田官兵衛の腕の見せ所でしょう?
スゲーのはその先でしょう?
あ・あれ、これは上下巻だったっけ?
思わず確かめてしまいましたけれども
どうやらこれで完結のようです。
いやいや実に残念ですが
それなりの高評価を得ていたようです。
確かに面白かったです。
あまり知られていない官兵衛の家臣たち。
また織田と毛利の軋轢の詳細がわかり、
本書は非常に面白いのですけど
是非とも官兵衛の生涯を書いて欲しかったです。
これでは半生どころか
ごく一部を取り上げただけです。
人物文庫としては
歴史上の人物の生涯を描いて欲しいところですが
まあ、これはこれで…という感じですね。
話しは変わりますが
黒田官兵衛といえば
豊臣秀吉を支えた軍師として
ナンバー2的な役割だったという印象が強いですよね。
我が国の大企業、
ソニーやHONDAなどを見ても
ナンバー2の存在というのは
やはりとてつもなく大きいですし、
これは組織の大小は関係なく
ナンバー2が機能している組織は
強固なケースが多いように感じます。
ところが自分はナンバー2タイプだ
軍師的な存在だと自称する人は
だいたい間違っていることが多いです。
ナンバー2どころか
3でも、4でもない
いわゆる普通の人であることがほとんどです。
なぜこういうことが起こるか?
トップになる意気込みがないんです。
それでナンバー2となって
責任を負わずに
そこそこの権力を得ようとする。
そういう人には
ナンバー2は無理です。
黒田官兵衛を見てもわかるように
確かに豊臣秀吉のナンバー2的な
ポジションではありましたけれども
彼は姫路城ではトップであるし、
小寺家の家老という点では
こちらもナンバー2ですけど
黒田家のトップを張って
多くの家臣をマネジメントしていたわけです。
トップに立てる器量があるから
ナンバー2もできる。
私はそう考えているのですが
今まで自分はナンバー2タイプだと言っていた人が
ほとんどその器にないことを見てきましたので
自称ナンバー2の人には
話し半分どころか
相当に気を付けないといけないなと感じています。
本物のナンバー2は
どこかで必ずトップを張っているものです。
もうひとつ黒田官兵衛から学べるのは
この人は相当に優秀な方ではありましたが
本書にあるように失敗もしています。
優秀さが傲慢さと結びついてしまい
自分は間違っていない…どころか
自分は正しい
正しいのは自分だけという思考に
どうしても陥りがちなのですね。
黒田官兵衛の後半生では
傲慢さからしでかした失敗から学び
大いに反省を活かしたと言えそうですが、
これは私たち現代を生きる人間にも
振り返るべき点があるのではないでしょうか。
わからないものを
わからないままに保留しておくというのは
本物の知性であると思います。
しかし溢れんばかりの情報が
簡単に手に入る現代社会では
表面だけを切り取って
わかった気になってしまう
わかったフリをしてしまうことは
実はかなり多いのではないでしょうか。
解釈せずに
何も考えずに
そっと受け取ってしまうのですね。
後々全然わかってなかったと
反省できればいいですが、
わからないままに進んでしまって
気づいた時には大失敗をしでかすということも
意外と少なくないのではないかと感じます。
官兵衛の時代では
この勘違いは命に直結してしまうわけで
本書でも官兵衛は
相当の窮地に陥ってしまい
命を失う寸前だったのですけど…
わかった気になるという傲慢さを
私たちも意識的に戒めねばなりませんね。
Z世代の価値感なんて
わかった気になっている好例と思えますし、
まあ多くの人はあと数年で気づけるでしょうけど
気づけないままに30代、40代に突入すると
官兵衛以上の危機が待ち受けているような気がします。
謙虚に学び続ける姿勢というのは
本当に大事ですね。
宮本武蔵ではありませんけど
「我以外皆我師」と考えて
自分の考えよりも正しいものは必ずあると
自省、自戒しておいたほうが良さそうです。
最後にもうひとつ…
竹中半兵衛を大変にリスペクトしていたようです。
ライバルとも言える位置づけですし、
現代なら足を引っ張って
何とか自分を半兵衛より上にしたい。
そんな行動を取る人も少なくなさそうですが
官兵衛は豊臣秀吉のために
竹中半兵衛を良き師と考えて
ともに切磋琢磨したように受け止められます。
組織や上司や先輩の文句を言えば
それで自分の価値が上がるかのように
勘違いをしている人が多い現代社会では
官兵衛の半兵衛に対する姿勢は
大いに学ぶところがあるのではないでしょうか。
要は人を否定、批判、非難するということは
「大儀」を全然考えていない証でもあるんですよね。
本来は力を合わせて
世のため人のために動くべき人たちを
欠点や短所をあげつらって足を引っ張り
自分と相手だけで比較してしまう。
ほら、オレのほうが優秀だろう。
オレの言ってることが正しいだろう。
あいつは間違ってる。
あいつはおかしい。
あいつよりオレのほうがスゴイだろう。
もし黒田官兵衛が
このような考えを持っていたら
竹中半兵衛とも仲違いしてしまい
その後の豊臣秀吉の天下はなかったかもしれません。
今だけカネだけ自分だけ。
現代社会の風潮として
恥ずかしいくらいに強くなってしまっていますが
黒田官兵衛はもちろんのこと
歴史上の人物は
こんなちっぽけな考えは持っていませんね。
きっと文句ばかり言ってる人って
歴史が苦手なんじゃないでしょうか。
過去から学んだり
偉人から学ぶよりも
自分のほうが優れていると思っているのか
もしくは何にも考えていないのか。
誹謗中傷をしている暇があるなら
もっと勉強すべきですし、
学べば学ぶほどに
誹謗中傷なんてしていられなくなるでしょう。
無知の知。
いかに自分が物事を知らないか
それを知ってしまうと
人のことをやいのやいの言ってられなくなりますからね。
それが賢明な人だと思いますけど
そうではない人が増えているのが
現代社会の残念なところです。
評価
おススメ度は ★★★☆☆ といたします。
重ね重ね申し上げますが
本書は黒田官兵衛の一生の一部を取り上げています。
それはそれで面白かったですが
それこそ幼少期であったり
後半生についても知りたかったです。
著者の知識、技術を考えれば
充分にこなせた仕事だと思えますので
下巻なり、ページ数が2倍、3倍になっても
もっと黒田官兵衛について
詳細について書いて欲しかったです。
その点だけがマイナスとなりました。
賢者は歴史に学び
愚者は自らの経験に学ぶ。
私の好きな言葉であり
戒めとしていますけれど
今回は黒田官兵衛という人物から
現代にも通じる学びをいただけました。
読後の満足感が高いです。
後半生さえ書いていただければ
満点となっただろう内容です。
それでは、また…。
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