おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
危機管理。
リスクマネジメント。
誰しもが大事であるとは考えているでしょうけど
どれだけの備えを打っているかは
人によって様々ですよね。
世界レベルとか
国家レベルの大きなことだけではなく
まずは自らの手の届く範囲で
着実に手を打たねばなりませんよね。
半径5メートル。
それこそ自分の身は
自分で守れというところから
行動していくべきですね。
今回ご紹介する書籍は、
【 有事対応コミュニケーション力 】 です。
本書をピックアップした理由
『 有事対応コミュニケーション力 』
ART OF LIVING生きる技術!叢書 を読みました。
何で見つけたのかはわかりませんが
お三方の名前だけで購入しました。
蔵本一也さんは存じ上げませんでしたし
上杉隆さんは正直あんまりイメージが良くなかったですが
まあこのお三方がいればいいかと。
有事に備えるって大事だもんね…くらいでしたが
内容については全く知らずに買いました。
読み始めて
あ、東日本大震災の件なのね…
原発なども取り上げるのね…
まあいいか。
リスクマネジメントの勉強だと思って
しっかり読むか…と思った次第です。
目次
1 情報の隠蔽と「メディアの裏」を読む力
2 情報格差社会に歯止めを
3 3・11で顕在化したメディアの病理
4 「右肩上がり」的発想からの転換
感想
内容知らずに読み始めたので
あんまり期待はしていなかったのですが、
意外と…というと失礼ですけど
大変に勉強になりました。
現代日本社会は
それこそ戦前、戦中と同じくらいに
大きなリスクがあると
個人的に私は考えています。
当時と比較すれば
お金はあるので何とかなるんでしょうけど
腐った政官財はもうどうにもならないでしょう。
どいつもこいつもカネ、カネ、カネ、
自分さえ良ければ他の人なんてどうでもいい、
借金は後世に遺して構わない。
そんな風潮がまかり通ってますよね。
嘘偽りや、ゴマカシばかりで
既得権を死守する老害ばかり。
ホント困ったものですよね…。
さて、こんな時代をどう生きるか?
そのヒントが本書には散りばめられています。
とにかく「情報弱者」にならないこと。
まずはここからでしょうか。
面白いなと思うのは
情報弱者ほど
自分は情報弱者だと思っていないこと。
そして情報弱者を食い物にする
血も涙もない奴がこの世には結構いるということ。
この2点だけは
頭に叩き込んでおいたほうが良さそうですね。
本書におきましては
メディアや政府に対して
非常に厳しい目で見ていますが
まあ当然でしょう。
おそらく内部にもまともな人はいるんでしょうけど
洗脳されるか、辞めてしまうか、
どちらかなのだろうなと思います。
震災や原発を風化させないためにも
また自分の危機管理のためにも
ご一読されることをおススメいたします。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。
政府もメディアも全体として
いかに被害を小さく見せるかに腐心していますね。
決してシステムは破綻していない、
われわれは状況をしっかりハンドルしているから
心配しなくていい、
というメッセージを必死になって
発信しようとしているのだけれど、
すぐに馬脚を露わす。
ぽろっと馬脚が出るから、
こちらはますます疑心暗鬼になる。
ツイッター上では
「私だけが知っているインサイダー情報」
のようなものが流布している。
そうしたメディアが報道しない裏情報に
どこまで信憑性があるのかどうか、わからない。
マスメディアは信用しないが、
ツイッター情報は信用する、
というのはおかしな話です。
つねに情報は一部しか開示されないし、
必ずバイアスがかかっている。
でも、情報の欠如や主観的バイアスには、
それなりの必然性があるんです。
表に出てくる情報を見て、
その正否を論じるのではなくて、
どうしてこういう情報が出てくるか、
どうしてある種の情報は出てこないのか、
それを自己責任で判断しないといけない。
虚実取り混ぜたカオス的な情報環境に
僕たちは投じられている。
そこに巻き込まれて、
混乱しないためには、
現実に接近してきた人の
生身の身体実感に触れることも必要だし、
逆に少しステップバックして、
海外のメディアの「対岸の火事」を見るような
クールで突き放した報道を見ておく必要もある。
(P.21~22)
少し長い引用ですが
とても大事なことだと思いましたので。
日本社会は右肩上がりの高度経済成長を終えて
若者は絶望を抱えています。
もう性善説は通りませんし、
お金を持つ弱者は獲物でしかありません。
既得権を守る老害は蔓延る一方で
権力を弄ぶばかり。
情報リテラシーを持たないと
若者はお金のために犯罪に走り
高齢者は狙われるばかりでしょう。
情報難民の大量発生というのは、
言い換えると
「世の中の成り立ちがよくわからない
(でも本人は熟知している気になっている)人たち」が
大量発生するということです。
これはきわめて危機的な状況だと僕は思う。
だから、僕はメディアの人に会うと苦言を呈するんです。
もう少しこの層のことをまじめに考えて欲しい、と。
(P.57)
結局、今の社会は「カネ」なんですよね。
もう少し控えめに言うならば
「経済最優先」なのですが、
まあ情弱ビジネスという言葉があるように
モラルよりもカネが優先する人が多いわけです。
世も末だなと思っちゃいますよね。
たしかに、プロの学者から
普通の一般の市民までが、
立場は違っていても
みんなが情報、事実を共有できるようにする。
もちろんそういう情報公開というのは
大前提なんですが、
専門家ではない一般の市民たちは、
まず結論を欲しがるんですよ。
要するに安全なんですか、
安全じゃないんですかと。
科学者だったら、
科学的には最低ここまで言えるということだけでも
言ってほしい。
ここから先は科学者でも、
不確定でいろいろな説があって言えないと
言ってくれたらいいんです。
科学とは限界についての知でもあるんです。
最初に言ったように、
安全であると言われると
安全ではないと思うようになったんですけど、
もしも科学者が、ある情報をベースに
これ以上のことは
よくわからないんですって言ってくださると、
逆に、この人の言っていることは
正しそうだなと思えるわけです。
そういう意味で、
まず情報があるということが大事なんです。
(P.57~58)
こちらも長くてすみません。
でも実に大事な観点だと思います。
私を信用して下さい。
私は信頼に値します。
まあこんなことを言う人は
全く「信」が置けないわけで、
先に信用、信頼がなければいけませんよね。
どうでしょうか?
社会の上層部はこんな輩ばかりで
調子に乗っているんじゃないですかね。
政府が安全だと言うのだから
安全だと繰り返すだけで、
その判断の信頼性を根拠づけるものは示されない。
まして、疎開されると、
首都圏の消費活動が
低迷するから止めてくれというよう言葉が
政府筋から漏れてくる。
僕は「命の話」をしているのに、
先方は「お金の話」をしている。
そもそも今回の原発事故そのものが
「命より金が大事」という倒錯の結果でしょう。
(P.96~97)
似たような問題は新型コロナの時にも
残念ながら繰り返しましたね。
命とカネ。
命と経済。
今はカネや経済が間違いなく
優先される時代であり、社会です。
私たちはこれを本当に良しとするか。
後世のためにも考えて行動しなければなりませんね。
防災は「対処」より「予防」のほうが
はるかにたいせつです。
もうすでに、災害は起こってしまった。
起こった後に
どのように手当すべきだったのかという話よりも、
ほんとうは、どうしたらこんな災害は起こらずに済んだのか、
あるいは起きたにしても、
もっと被害規模を抑制できたかを考えるべきなんです。
でも、そういう議論は、
災害が起きた後にはしている暇がない。
だから、何かが起きる前に
徹底的に論じておかなければならないことなんです。
でも、こういう「災害を未然に回避する」ための手立ては、
ほんとうに有効だったかどうか、
検証がむずかしい。
だって、もっともすぐれた予防処置の効果は
「何も起きなかった」ということですから。
何も起きなかったときに、
「どうして何も起きなかったのか?」という
問いを立てる人は少ない。
ほんとうは、そのような問いが
もっともたいせつなんですけどね。
(P.108)
国とか自治体って
本来はこういうための存在だと思います。
しかし昨今では
政治家や財界のためだけに機能している。
国家や国民から見たら
完全な機能不全ですよね。
まったくどっちを向いて仕事をしているんだか。
そりゃ若手が離れるわ。
忖度と虚偽。
黒塗りとゴマカシ。
1度ぶっ壊さなければいけませんかね。
わかっていることの一つは、
今回の震災と事故に対して
多少とでも「有責者」の側に立つ
可能性のある人々は一貫して
「言葉を軽くすること」に
必死になっていることである。
彼らはあるときは無根拠に断言し、
あるときは知っていることを隠し、
あるときは言ったことを「言わない」といい、
あるときは言っていないことを「言った」といい、
あるときは一方的にまくしたて、
あるときは「ノーコメント」の壁を立て、
自分の言葉に対する「とりつく島」を
ひたすら減らすことによって、
批判や攻撃を避けようとしている。
(P.148~149)
冷静にこの文章を読めば
なんだ、こいつ。
人として最低だな…と思いますよね。
でもこういう人たちが
政権にいて、エリート官僚にいて、
大企業のトップにいて
メディアを牛耳っているわけです。
もう絶望的としか言いようがありません。
そしてこれはずっと続いていて、
オリンピックでも、万博でも、
まともな対応はなされておらず
ずっとゴマカシを続けているのですね。
天罰よ下れってなものですけど
どうしてこんなに落ちぶれてしまったんですかね?
我が国はあまりにも有事に弱すぎます。
それを反面教師とするのが
私たち個々のリスクマネジメントとしては
正しいと言えるかもしれません。
情けない話しですけど。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
備えあれば憂いなし。
誰もが頭ではわかっているのに
なぜかできない。しない。
そして組織が大きくなればなるほどに
リスクも巨大化していく。
頭のいい人が揃っているはずなのに
忖度だらけで機能不全。
ホント恥ずかしいことですね…。
冒頭に申し上げたお三方の発言は
とても参考になるところが多かったです。
上杉さんは案の定でした(笑)。
それでは、また…。
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