おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
人生100年時代と言われます。
人は生まれてから死ぬまでに
何冊くらいの本を読むものでしょうか?
何でも読めばいいものではないけど
それなりに読んでおかないと
人生が充実しないのではないかと思います。
私が真剣に読書に取り組むようになったのは
20代前半の頃からでした。
子供の頃は
住んでいた家のすぐ隣に児童館があって
そこに図書館が併設されており
明智小五郎シリーズやら
星新一さんの本など
貪るように読んでいた記憶があります。
しかし中学、高校は野球部に入ったためか
全く読書をしなくなってしまいました。
大学も野球推薦だったので
勉強より部活優先でしたが、
能力の限界を感じて路線変更し
3年生、4年生くらいから
徐々に読書するようになりました。
社会人になってからは
当時は長時間通勤をしていたので
本が通勤のお供になりました。
それ以降ずっと読書を続けています。
今まで何冊くらい読んだんだろうか。
ここ10年くらいは年間60~70冊くらいは
何とか読んでおりますが
この頃強く思うんですよね…。
世の中には
とんでもない数の書籍があるのに
自分が読めるのは
そのうちに欠片のようなものだなと。
もっと読みたいとは思うものの
自ずと限界がありますから
今の生活だとこれくらいが限度かな。
50代も半ばとなり
もっとたくさんの本を読みたいと
素直に思える自分を嬉しく思います。
今回ご紹介する書籍は、
【 夜明けのカルテ 医師作家アンソロジー 】 です。
本書をピックアップした理由
『 夜明けのカルテ 医師作家アンソロジー 』
午鳥志季 朝比奈秋 春日武彦 中山祐次郎
佐竹アキノリ 久坂部羊 遠野九重 南杏子 藤ノ木優
新潮文庫を読みました。
SNSか何かで本書の存在を知ったのですが
即ポチっと購入しました。
医師であり作家である。
こんな才能を羨ましくも思いますが
私の場合は仕事にも役立ちますし
何よりこれだけのメンツが揃ったら
そりゃ読まねばならんでしょうと思ったのです。
ただ私の苦手な短編小説ですから
どんなもんかなとちょっと心配だったのですが、
それよりも興味のほうが勝りまして
楽しみにしながら読み始めたのでした。
目次
・研修医ヒナノの洞察(午鳥志季)
・魚類譚(朝比奈秋)
・パイナップルがある光景(春日武彦)
・救いたくない命(中山祐次郎)
・春に綻ぶ(佐竹アキノリ)
・闇の論文(久坂部羊)
・言葉が消えるまえに(遠野九重)
・空中テント(南杏子)
・峠を越えてきた命(藤ノ木優)
感想
いや~もう一言、
メッチャ面白かった。
ぶっちゃけ外れもなかった。
それぞれが実に個性的で
取り上げるテーマもそれぞれであり、
そのバランスもとても良くて
純粋に相当に楽しめましたし
大変に勉強になりました。
つくづく思うのは
医療というのは私たち人間に密着していて
それこそ生活であり
人生の根幹とも言えるものなのですよね。
どうしても健康な方は
医療機関に罹ることも少ないし
つい意識が薄くなりがちです。
しかし自分はいいとしても
両親や祖父母、兄弟、親戚など
身近なところを見るだけでも
医療のお世話になることは少なくないでしょう。
そうすると医療現場はまさに人間模様。
家族や親戚を巻き込んで
とても複雑な事情が絡んできて
治療方針ひとつ取っても
医師の独断で決めるわけにも行かず
相当に悩ましい事態になるのだと思います。
また医療機関側だって
そこで働いているのは
様々な医療の専門職ではありますけど
突き詰めれば「人」であります。
もちろん患者側も「人」であり
「人」と「人」に
医学、つまりサイエンスが
リアルな現実を突きつけて
とても複雑な構図のなかで
物事を進めなければなりません。
良くも悪くもですけど
人間模様が赤裸々に出てしまうのが
医療現場なのだと思います。
その意味では小説のネタは豊富でしょうし
まして医師であれば
多くの診療経験から
ストーリーを紡ぎ出すことはできるのでしょうけど
普通はそんな暇はない。
しかし本書に登場した方々は
それがいとも簡単にできてしまう
素晴らしい才能をお持ちなのですね。
泣けるところあり
考えさせられるところあり
怒りを感じるところもあり
危機感を持つところもあり
実にエモーショナルな気分になりました。
日本経済は高度経済成長期まで
右肩上がりに伸びてきたわけですけど
その後は非常にさみしい状態になっています。
その要因のひとつに
「人間軽視」があるのではないかと考えます。
ブラック企業の問題あり
過労死など過重労働の問題など
資本家や経営者が
人を人として見ていない
ただ業績を上げたい
株価を上げない
自分の給料を増やしたいという
拝金主義になってしまい
財界はそんな奴らばかりで
政治家と主に自民党ですけど
越後屋とお代官様のように結託して
私利私欲だけで動くようになり
「人間軽視」が「医療軽視」になって
医療現場に丸投げしています。
どう考えたって
国民ができるだけ健康でいて
気持ち良く働けるほうが
全体の経済発展はするはずですよね。
医療は国の礎だと思うし
医療従事者は国家の宝とも言えます。
現代人はもっと「人」を大事にするところから
やり直すべきではないでしょうか。
そうすれば医療費が高いとか
そんな低レベルの議論ではなくて
私たちはどう生きて
どう死んでいくのか?という
根源的な議論が生まれると思います。
そうでないと
どこまで医療が介入すべきか?が決まりません。
これを決めずして
医療現場に丸投げするから
際限のない延命治療が行われたり
90歳を超える人に手術をしたりするわけです。
本当にこれでいいのか?
財源の問題から離れて
「人」としてどうあるべきかを
もっと私たちは考えねばなりません。
今のオピニオンリーダーは
所詮、権力争いとお金集めしか
頭にないように見えます。
哲学的な問いに対して
真摯に議論し決断できる
新しいタイプの社会的なリーダーが待たれますね。
本書におきましても
書かれている大半は「人間模様」です。
やはり医師として
過酷な医療現場で働いてきた方々が
著者となってストーリーテリングしたわけですから
「人」を外しません。
結果が出ないのに
度々制度をいじくり回して
現場の負担を増やすだけの官僚や
お偉くなったと勘違いして
我が物顔で権力を弄ぶ政治家や
人より金を大事にする財界人とは
ぶっとい一線を引くことができる方々です。
こういう方々だから
紡ぎ出すことのできた物語。
これはもう一読の価値がありますよ。
私たちは本書を読んで
もっと想像力を働かせるべきでしょう。
もし身近な人が病気になったら…という
シンプルな問題に限らず
もし社会が崩壊するような事態が来るとしたら
それは私たちの「生命」に直結します。
いくら医学が発展しようと
100%の救命はできないし、
まだまだ「人」を完璧に救うことはできない。
「人」には寿命があるのだし
死なない「人」なんていないのだから
医療にだけ責任を負わせるのは
あまりにも酷だと思うのです。
しかしその酷なことを
多くの人がしているのが現実ですよね。
モンスターペイシェントどころか
無理、無茶、無謀を医療者に投げつける
不埒な患者は少なくないと思われ
それがまだ医療現場の大きな負担にもなる。
私たちの味方である医療を
個人の欲望で敵にしかねない行為を
感情論だけでぶつけてしまっている。
これじゃマズイと思うんですね。
私たちが医療を真剣に守らないと
私たちは医療に見放されてしまうでしょう。
厚生労働省の政策などを見ていると
私たち一般国民と医療従事者を反目させるよう
切り離しに掛かっているように感じることもあります。
そりゃそうです。
国民と医療従事者がタッグを組んで
政府に改革を迫ったら
彼らにとっては非常に恐ろしいものとなるでしょう。
だけどそんな彼らだって
確実に医療に罹るのです。
ロクでもない政治家だって
出世しか頭にない官僚だって
金儲けしか考えていない財界人だって
みなすべからく医療のお世話になるのですよね。
本当ならみんなで医療を守るべきなのに
それが私たちのためでもあるのに
なぜかそれをしない。
負担は医療現場に丸投げ。
何だかおかしいよな…と私ですら思います。
私は毎日医師とやり取りをしていますし
時には医師の本音を伺う機会もあるんです。
それだけに医師や医療従事者が
限界に近付いている感じを正直受けています。
もし医療従事者がサボタージュしたら
どれだけの影響があるのだか…。
しかし諸外国では実際に起きているんですよね。
お隣の韓国なども大混乱しています。
えっと、何だかグダグダ言ってますけど
私たちはもっと「人」について考えて
「人」を中心とした活動をすべきであると思います。
本書に掲載されているストーリーは
どれもそれを主張しているようにも思えました。
評価
おススメ度は ★★★★★ といたします。
医療を学ぶということは
「人」を学ぶということでもあると思います。
どんな仕事をしていても
いや仕事をしていなくても
私たちは「人」から逃れることはできず、
山奥に1人暮らすとか
無人島で生き抜くとか
何となく憧れはあっても
現実的にはまず無理でしょう。
それだけに「人」をすべての中心にして
物事を考えないと
未来は苦しいものになるかもしれません。
事実として、政治、行政、ビジネスの場を見る限り
上っ面では美辞麗句を述べるけれども
実態は「人」よりも
私利私欲を大事にする人たちが多く
これをぶち壊すのは医療なのかもしれないと感じます。
だからこそ為政者たちは
医療をがんじがらめにするのではないでしょうか。
それでは、また…。
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