ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

資本主義の終焉、その先の世界 「長い二一世紀」が資本主義を終わらせる

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

どう考えたって

資本主義はもう終わりだと思います。

 

しかし一部の金持ち達が

金の力で政治家を買収し

私利私欲のためだけに

資本主義を生きながらせようとしています。

 

この人たちは

100万人、1000万人が苦しもうが

自分が金を得られるのであれば

何とも思わない人たちなんですね

 

全然見えていないし

見ようともしていないし

見ても何も感じない。

 

自然界なら淘汰されるでしょう。

人類はそこまで追い込まれているように感じます。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 資本主義の終焉、その先の世界

「長い二一世紀」が資本主義を終わらせる 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『資本主義の終焉、その先の世界 

「長い二一世紀」が資本主義を終わらせる』

榊原 英資 水野 和夫 詩想社新書 を読みました。

 

冒頭申し上げたように

私は資本主義に対して懐疑的です。

 

最近はやたらそういう書籍が目に付くようになり

機会を見て読むようにしています。

 

ka162701.hatenablog.com

 

内田さんと石川先生の

「若者よ、マルクスを読もう」のシリーズは

本当に勉強になりました。

 

ka162701.hatenablog.com

 

最近読んだ本の中では

この本はピカイチに良かったです。

 

ka162701.hatenablog.com

 

経営書としてはこちらは実に参考になりました。

もう何年も前から資本主義は限界が近づいていたのですね。

 

ka162701.hatenablog.com

 

この廣松渉さんの著書も最高でした。

私たちは本当にこのままでいいのかを問わねばなりません。

 

ka162701.hatenablog.com

 

もう1冊だけ経営書です。

時代は変わりつつあることを

企業経営の現場でも明らかになっています。

 

ビジネスパーソンも哲学を学ばないと

時代の流れに呑み込まれてしまうかもしれません。

 

本書は榊原英資さんと水野和夫さんという

著明な経済学者が資本主義の終焉について語るということで

とても興味深く思い

学ぶ気満々で読み始めたのでした。

 

目次

第1部 資本主義がいま、終わろうとしている(水野和夫)

 第1章 近代の秋・・・近代という幻影

 第2章 すべては1971年から始まった

 第3章 21世紀の新中世主義・・「資本主義」後の世界はどうなるか

 

第2部 パラダイム・シフトを迎えた世界経済、日本経済を読む(榊原英資)

 第1章 先進国が突入した低成長、格差拡大の時代

 第2章 フロンティアの消失で曲り角を迎えた近代資本主義

 第3章 「成熟」先進国・日本がもつ大きな可能性

 

第3部 資本主義はどこに向かうのか(榊原英資×水野和夫)

 第1章 日本、アメリカ、中国、欧州・・・世界経済は今後どうなる

 第2章 時代遅れとなった「成長戦略」

 

感想

経済学的な部分では

若干難解なところもありましたが、

大変に勉強になる1冊でした。

 

特に世界史を交えて

国際経済を通して日本経済を説明する点などは

広い視野からイチ事象を厳密に見ており

新鮮な視点であることをまざまざと感じました。

 

これまで読んできた

資本主義の終焉本(?)と比較すると

断然、経済中心であり

それはそれで新鮮かつ異なる視点が学びです。

 

経済システムとしても

金融システムとしても

歴史的な必然としても

今までのシステムと同じでは

相当に苦戦が予想されるのですね。

 

このままではいけない。

でも性急な変化は違う問題を起こしかねない。

 

国家としても、組織としても、

当然、個人としても

なかなか難しい舵取りが必要となりそうです。

 

そのためにも歴史から学び、

現状を冷静かつ多角的に分析して

近く来る変化にしっかりと備えていく。

 

こういう姿勢が益々問われるでしょうし

自分の為にも勉強をしておかねばならんですね。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

ITは十八ー十九世紀の動力革命の延長上にあって、

これまで瞬時に知性を結び付けたり、

地球をより小さくしたりすることで

成長に貢献してきたのですが、

「よりゆっくり、より近くに」の原理と

ITが志向する方向は真逆です。

IT革命が「長期停滞」から脱する

二一世紀の切り札にはなり得ないのは、

「より速く、より遠く」を実現する空間がなくなったいま、

ITがこれ以上地球上の空間を

広げることはできないからです。

もっとも金融テクノロジーとITを駆使すれば

バーチャル空間を広げることはできるのですが、

それは雇用の増加にはまったく貢献しないどころか、

資産価格の上昇、ひいてはバブル化し

経済を不安定にさせているのです。

(P.42)

 

我々は目的と手段を見誤っているようですね。

経済発展は私たちの生活を豊かにするはずだったのに

すでに私たちの生活を脅かすものになっています。

果たしてこのままでいいのでしょうか?

 

二一世紀に生産性を一段と向上させようとすれば

労働力を減らすしかないのですから、

ITを切り札に成長しようとすればするほど、

中間層の仕事がなくなり、

近代=中間層の時代を崩壊させるのです。

(P.43)

 

ぶ厚い中間層が我が国の強みだったのに

派遣をはじめ非正規雇用が増大して

せっかくの強みを手放してしまいました。

その背景にはITなど生産性向上が要因でしたが

本当に効率化を進めるだけが正しいのでしょうか。

手作り感満載の職人技こそが

我が国が生き残る秘策だったのかもしれませんね。

 

もはや日本は投資する必要のない社会になったのです。

(中略)

しかし、二一世紀の日本では、

新設投資は将来の不良債権となる可能性が高いのです。

個別企業が新設投資で成功するとすれば、

同業他社が撤退する(=不良債権化する)かしかないのです。

資本ストックが「過剰・飽満・過多」で

新設設備の必要がなければ、

企業が生み出す付加価値(=売上ー仕入れ)の分配は、

資本の維持費である固定資本減耗と、

雇用者に支払う雇用者報酬の二つで十分なのです。

(P.116)

 

資本家に存在意義がなくなっているのに

資本家ほど強欲な存在はなく、

資本家が永遠に金銭を欲することで

資本主義社会を壊すという

資本家による資本家のための資本社会が

現代社会と言えるのでしょうね…。

完全な行き詰まりです。

 

「より速く、より遠く、より合理的に」は

近代の行動原理です。

近代システムが機能不全に陥れば、

この行動原理をひっくり返すしかありません。

「よりゆっくり、より近く、より寛容に」を

前提にしたシステムを構築するのです。

(P.118)

 

物事には限度というものがあり

限度を超えれば崩壊が待ち受けていますね。

なにせ人間の「欲」が絡んでいますから

足るを知るという精神を

どれだけ多くの人が持てるのか?

持てなければ限度は超えるでしょうね。

資本主義崩壊はマルクスの頃からの宿命です。

人間の知性の敗北と言えるでしょうか。

 

人類はこれまで理想の社会、

あるいは理想のシステムに到達したことは

いまだありません。

おそらく将来においても実現することはないでしょう。

でも、一歩一歩それに近づく努力をしてきたのが

人類の歴史です。

(P.123)

 

今までそうだったからと言って

これからも未来永劫そうだとは限りません。

恐竜が絶滅したように

環境に適応できなければ

人類だって絶滅してもおかしくありませんよね。

だからこそ知性が問われるのだと思いますけど。

 

「より近く」は地方の時代です。

地方分権がこれまで成功しなかったのは、

近代の中央集権的システムを維持したまま、

地方分権を進めてきたからです。

両者は相反する概念によってたつシステムなのです。

(P.126)

 

選挙の時に票が欲しくて

地方、地方と政治家が述べますけど

ずっと東京にいて

都会の暮らしに慣れちゃってますからね。

廃藩置県の真逆、廃県置藩が必要なんじゃないですか?

 

いまや国民国家の時代は終わり、

グローバリゼーションの時代に入ってきています。

当然そこには、光と影があるわけですが、

もはやグローバル化は避けられない現実でもあるのです。

影という点でいえば、

グローバリゼーションは、格差を拡大するわけです。

格差は拡大して、

それについていける人と

ついていけない人が出現しますが、

ついていけない人のほうが多いというのが現実です。

だから中産階級の下層化みたいなことが、

先進各国で起こってきているのです。

しかしそれは避けられない現実でもあり、

そこから派生する問題点を解決しようと思えば、

政府が介入していくしかないのです。

つまりグローバリゼーションをストップするのではなく、

先ほど言ったように

所得の再分配政策みたいなことをやるしかありません。

(P.261)

 

私の勝手なイメージですが

わりとヨーロッパ諸国は

この方向で進んでいるように思えます。

 

逆にアメリカは

トコトングローバリゼーションですね。

 

日本は政治家と財界が結託して

守旧派が既得権力を放そうとしませんが

時代の流れとして無理でしょう。

 

どこかで鉄槌が下されるような気がします。

明治維新の時のように。

 

結局、便利さばかりを追求すると、

世界がつまらなくなる。

少し不便なほうがいいんだ。

(P.273~274)

 

人間って

そんなに完璧ではありません。

 

そもそも経済というのは

人を幸せにするために

社会を豊かにするためにあるはずなのに

今ではすっかり拝金主義が蔓延り

カネ、カネ、カネ。

 

頭の中はカネしかないような人が

権力を握り、人生を謳歌している。

 

でも、そんなの砂上の楼閣ですから

すぐにしっぺ返しは来るでしょう。

 

歴史を学べば

人類は似たようなことを

ずっと繰り返していますからね。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

今まで読んだ資本主義の終焉本のなかでは

もっとも経済的な視点を持ち

金融というまやかしに鋭い突っ込みを入れています。

 

つくづく資本主義は寿命なんだなと痛感しました。

とはいえ次をどうするか?

 

明確なイデオロギーはないし

なくてもいいのかもしれない。

 

寿命という自然には抗えず

資本に変わる何かを…

もしくはお金ではない新たな資本を

私たちは生み出していかねばならないと思います。

 

それが何か?

すでに私たちの目の前にあるのかもしれません。

知性を持って

よ~く現状を見ていきたいですね。

 

それでは、また…。

 

 

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