ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

昭和史 戦後篇(1945-1989)

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私はキャリア支援を仕事にしており

過去・現在・未来という時間軸を大切に考えていて

キャリア相談に乗る際には

いつもこの3つを深く追求してまいります。

 

個人ですら

それだけ大事な観点なのに

なぜか国家とか、会社とか、組織とか

そういうことになると

急に「今だけ」になってしまっているように感じます。

 

今は過去があるから存在するのだし

未来は今の結果であり繋がっています。

 

この時間軸の概念を軽視してしまうと

人は必ず失敗してしまうんじゃないでしょうか?

そうでもないですかね?

 

少なくとも昭和の日本は

過去と未来を軽視して

とんでもない大失敗を犯したように見えますし、

令和の時代も

昭和、平成をないがしろにして

カネ、カネ、とカネばかり追い掛けているように

私には見えるのですけど

皆さんはどうお考えですか?

 

今回ご紹介する書籍は、

【 昭和史 戦後篇(1945-1989) 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 昭和史 戦後篇(1945-1989)』

半藤 一利 平凡社レーベル を読みました。

 

先日下記を読み書評を書きました。

 

ka162701.hatenablog.com

 

あんまりにも面白くて

続編は少し間を置くつもりだったのですが

つい読み始めてしまいました。

 

ちょっとだけ

ちょっとだけと思いながら

結局全部読んでしまいました(笑)

 

目次

天皇マッカーサー会談にはじまる戦後

 ー敗戦と「一億総懺悔」

無策の政府に突きつけられる苛烈な占領政策

 ーGHQによる軍国主義の解体

飢餓で“精神”を喪失した日本人

 ー政党、ジャーナリズムの復活

憲法改正問題をめぐって右往左往

 ー「松本委員会」の模索

人間宣言公職追放そして戦争放棄

 ー共産党人気、平和憲法の萌芽

「自分は象徴でいい」と第二の聖断

 ーGHQ憲法草案を受け入れる

東京裁判」の判決が下りるまで

 ー冷戦のなか、徹底的に裁かれた現代日本

恐るべきGHQの急旋回で…

 ー改革より復興、ドッジ・ラインの功罪

朝鮮戦争は“神風”であったか

 ー吹き荒れるレッド・パージと「特需」の嵐

新しい独立国日本への船出

 ー講和条約への模索

混迷する世相・さまざまな事件

 ー基地問題、核問題への抵抗

いわゆる「五五年体制」ができた日

 ー吉田ドクトリンから保守合同

「もはや戦後ではない」

 ー改憲再軍備の強硬路線へ

六〇年安保闘争のあとにきたもの

 ーミッチーブーム、そして政治闘争の終幕

嵐のごとき高度経済成長

 ーオリンピックと新幹線

昭和元禄の“ツケ”

 ー団塊パワーの噴出と三島事件

日本はこれからどうなるのか

 ー戦後史の教訓

昭和天皇マッカーサー会談秘話

 

感想

大きくてぶ厚い本なのですけど

なぜかスラスラと読めてしまうのが不思議です。

 

重いというのは難点ですけど(笑)

それだけ中身も詰まっていますので

本当に楽しく読むことができましたし、

とても勉強になりましたし

いろいろ考えさせられることが多かったです。

 

前作は戦前から戦中がメインであり

そしてポツダム宣言を受諾するところまでが

たっぷり語られていましたけど

本作は戦後についてフォーカスしています。

 

ある意味では現代の出発点とでも言いますか

諸々の制度や文化はここからスタートしているのですね。

 

GHQの占領政策

天皇陛下との関係性や

新生の日本政府特に吉田茂首相になりますが

このやり取りは興味深いものでした。

 

答えのない中で

落としどころを探る丁々発止のやり取りは

その後にずっと続き

わが日本国の基本的なあり方を模索しており

原点はここにあるんだなとしみじみ感じました。

 

吉田茂に続く片山哲芦田均

鳩山一郎石橋湛山岸信介、池田隼人、佐藤栄作という

政権交代の背景であったり

裏話的な展開を時系列でわかりやすく把握できて

各政権ごとにどんな課題に取り組んだのか

かなり鮮明になっていて

実に印象的でした。

 

個人的には石橋湛山が好きなので

鳩山一郎から受け継ぎ

さあこれからというところで病に倒れ、

志半ばに政権を移譲したことが残念でなりません。

 

しかもよりによって岸信介が次の総理だなんて

まあ、これば安倍総理にも繋がるわけで

歴史にもしなんてのはありませんけど

石橋湛山があと数年総理でいれたらとは

つい考えてしまいますね。

 

ここ最近の政権は

自民党内での派閥争いという数の論理と

財界と癒着して

いかに既得権を増やすかだけで選ばれてますので

この頃のリーダーたちが

憲法制定、日ソ国交回復、経済復興、日米安保沖縄返還など

大混乱の中でも結果を出してきたことと比較すると

非常に情けなくなりますね。

 

企業献金の禁止なんて

やろうと思えばすぐにできるのにやらない。

お金のためだけに。

 

戦後の復興に命を懸けて取り組んできた

この頃のリーダー達の

爪の垢を煎じて飲んで欲しいところです。

 

まあ、それだけ裕福になったとか

平和が続いているとも言えそうですが

それは今の政治家の手柄ではなく

それこそ戦後のリーダーたちの功績であり

しかも二世、三世議員が現存しているのですから

過去の遺産に胡坐を掻いていると言わざるを得ませんね。

 

こういった戦後の通史を

著者である半藤一利さんは

当時、文藝春秋の編集者として眺めており

多くの情報と接する立場であっただけに

一般人とはまた違う視点を持っているのでしょう。

 

政治的な側面だけではなく

ところどころに大衆文化についても語られているのが

箸休め的な効果を発揮して

読み物としても面白いものとしてくれています。

 

また冷戦構造ができあがり

日本は選択の余地もないままに

アメリカ側、西側に所属したわけですけど

このあたりの世界の列強たちの動きや

共産党に対する弾圧なども

知っておかねばならない歴史でしょうか。

 

もともとアメリカは日中戦争当時も

影で中国をバックアップしていたわけですし、

対ドイツ戦では

イギリスとともにソ連も味方だったわけです。

 

それがイデオロギーの問題で

中国がソ連側についたのは

アメリカにとって大きな痛手だったのでしょう。

 

蔣介石から毛沢東に権力が移ったことにより

ソ連、中国、北朝鮮ベトナムカンボジアなど

アジアのアメリカの戦略は目算が狂い

日本の占領政策も方針がガラリと変わった流れや

その後の共産主義者への弾圧へと繫がり

今では想像がつかないくらいに

激変が続いていたわけですね。

 

キューバ危機なども含めて

ひとつ間違えれば第三次世界大戦だったり

核戦争が行われたかもしれず

怖ろしい時代だったことを痛感します。

 

これら戦後史から何を学ぶか?ですが

やはり事実をありのままに淡々受け止めることが

まずは第1歩なのだろうなと思います。

 

ステークホルダーの誰かの立場に立つと

それだけで事実とは違う感情論になりかねませんし、

歴史を自分の思いに近づけてはいけませんよね。

 

事実を受け止めて

そこをいかに突破したのかという

ノウハウが大事なのでしょう。

 

同じことを学ぶのも良し

違う展開を想像するのも良し、

私たちが歴史から学ぶべきなのは

サバイバル戦略だと思うのですね。

 

現代において

目の前に現れた事象や

起こるかもしれない出来事を

どう乗り切っていくのかは

近視眼的になってしまっては

流されるだけではないでしょうか。

 

やはり偉大なリーダーたちが

何を考えて、どういう行動を起こしたのかは

成功も失敗も知っておくべきですよね。

 

もうひとつまざまざと感じたのは

今もこの頃を相当に引きずっていると言いますか

この頃があったから今こうなっているとか

そういう歴史の流れみたいなものは

かなり大きくあるんだなと。

 

当たり前と言えば当たり前ですけど

よく言えばきちんと伝統を引き継いでいる?

悪く言えば何にも進化していない?

 

単なる政治の問題に留まらず

ビジネスシーンや

私たちの日常、暮らしであったりとか

資本主義や民主主義であったりとか

とても多くのものが

きっと戦後を学ばないと

正しい領域に辿り着かない気がしたのです。

 

現代社会は表層的と言われ

確かに軽薄なところは多いようにも思います。

 

それは暮らし向きが良くなり

生きていくことへの不安は極小になっていますから

致し方ないとも言えますが

経済成長は止まったどころか

年々悪化する一方であり

政治も行政も有効な手段は全く打てていませんので

そんな薄っぺらい思考では

将来不安が増すばかりではないでしょうか。

 

じゃあどうする?

ここを考えるためにも

戦後のダイナミックな動きを知るのは

必須事項ではないかと思いました。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

やはり戦前、戦中の昭和史のほうが

時代に迫力があると言いますか、

ダイナミックさがあるので

読むほうとしても力が入ってしまいました。

 

戦後もこれまた違うダイナミックさはあるのですけど

段々と良くなっていくことがわかっているので

高揚感というか、そういうものに若干欠けましたね。

 

ですけど通史として

昭和を多方面から語ってくれており

そういう意味での勉強にはなりました。

 

その後、平成、令和と時代は続き

現代に繋がるわけですけれど

昭和をないがしろにしてしまっては

現代を理解しにくくさせると思いますし、

もっと言えば未来が見えなくなるかもしれません。

 

賢者は歴史に学ぶと言いますけど

戦国時代とか、明治維新とか

そういう人気のある時代だけではなく、

たったの100年前、

昭和から学ぶことは大きいはずですね。

 

激動の時代であったからこそ

ここには現代とは違うけれども

それでも現代に通じる「何か」があるように思います。

 

あ、ちなみに続編と言っていいのでしょうか

「B面昭和史 1926-1945」も買ってしまいました。

 

そのうち読もうと思います。

 

それでは、また…。

 

 

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