ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60冊以上の本を通じて、人生や社会の構造を読み解いています。 読書感想にとどまらず、キャリアや人生に彩りを与える言葉を綴っています。読書好きな方と繫がりたい!

コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

読書家の皆さんは

本を選ぶということ自体を

とてつもなく楽しんでいることと思います。

 

かく言う私もその1人で

様々なルートから情報を得て

気になった本はポチポチ購入しております。

 

そんなことをしているから

私の積ん読本棚は溢れんばかりの状態で

読むスピードよりも

買うスピードのほうが断然早いので

いつになっても減らないどころか

さすがにもうこれ以上は無理だなというくらいに

パンパンの状態です。

 

特に重要なルートが2つありまして

ひとつは最近はスレッズです。

 

アルゴリズムの問題でしょうか。

何だか興味深い本が頻繁に表示されるので

いつもポチポチ購入しています。

 

もうひとつは信頼している人のおススメ本です。

 

リアルな友人、知人のケースも多いのですが

私の敬愛する作家さんとか

まあ本を読んでいる中でおススメしていると

つい関心を持ってポチポチしてしまうんですね。

 

でもその結果として

当たりが増えているようにも感じていますので

これはこれで機能しているのだろうなと思ってます。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 コンテナ物語 

  世界を変えたのは「箱」の発明だった 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 コンテナ物語 世界を変えたのは「箱」の発明だった 』

マルク・レビンソン(著) 村井 章子(訳)

日経BP社 を読みました。

 

若干うろ覚えですが

本書は確か下記の本で

成毛さんとひろゆきさんが面白かったと言っていて

お、そうなの?コンテナ?

何だか面白そうじゃんと思いポチっとしました。

 

ka162701.hatenablog.com

 

成毛さんのおススメする書籍は

今までも当たりが多かったので

思わず信用してしまったのですが、

果たして本書はどうか?

 

どんな内容なのかもよく知らないままに

楽しみにしながら読み始めたのでした。

 

目次

第1章 最初の航海

第2章 埠頭

第3章 トラック野郎

第4章 システム

第5章 ニューヨーク対ニュージャージー

第6章 労働組合

第7章 規格

第8章 飛躍

第9章 ベトナム

第10章 港湾

第11章 浮沈

第12章 巨大化

第13章 荷主

第14章 ジャストインタイム

第15章 付加価値

 

解説 激化するコンテナターミナルへの投資競争

   森川健(野村総研上級コンサルタント)第1章 最初の航海

 

感想

いや~大当たり。

メチャクチャ面白かったです。

 

本書をどのカテゴリーに当てはめるのか?

ちょっと難しいところではありますが

私は「経営書」であると思いましたし、

ある意味では「歴史書」でもあるでしょうし

またある意味では「小説」のような感じも受けました。

 

とにかく読み進めていくのが実に楽しくて

「学び」と「楽しみ」が同居しているような

素晴らしい本です。

 

まず経営者の方や

経営を学ぼうとしている方には

絶賛おススメできます。

 

アメリカの「近代史」を

政治とは違った形で学ぶということもできますし、

「経済」という点でも

まあ「物流」の変遷という点でも学べますし、

とにかく学ぶ気がある人には

実に様々な角度から学べる1冊なのですね。

 

だって「コンテナ」ですよ。

たかがと言ったら申し訳ないですが

「コンテナ」のことしか書かれていないのです。

 

それがこんなに面白いなんて…

意外どころか、驚きです。

 

経済でも、経営でもいいんですけど

本書にあるのは「核心」なのです。

 

だから胸に染みるというか

心を揺さぶられて

自分の視野の狭さに気づかせてくれます。

 

例えば…

コンテナは古い経済を破壊したが、

新しい経済を興しもした。

(P.13)

 

産業革命ほどではないですけど

物流革命と言って過言ではないでしょう。

 

実際に稼働するには

高い壁がいくつもありましたけど

最終的に乗り越えることができたのは

WIN-WIN-WINというか

三方良しというか

結局、多くの人のためになる

本質的な改革であったのだろうなと思います。

 

そのなかでも特に大きな課題としては

やはり労働者の問題がありました。

 

労働者の方は

モノに比べて

はるかに機動性に乏しいからだ。

(P.15)

 

現在でも労働組合の存在意義であったり

いわゆる左寄りの思想の方々は

良くも悪くもストッパーです。

 

労働者のために機能する面もあれば

むしろ経済発展を阻害してしまい

社会全体にとってマイナスと出ることもあります。

 

IT化やAIの促進によって

さらに労働者にとって

厳しいシーンが増えることも予想され

今後どうなっていくのか…

 

本書に書かれている闘争には

そのヒントがあるように思いました。

 

まだこの頃は資本主義社会が発展し

「より速くより遠くへ」が機能していましたが

これからの時代はそうは行かなくなるでしょうか。

 

資本、労働者、土地は生産の基本要素とされるが、

ここに来て経済の発展や

繁栄の牽引役としての魅力が褪せてきた。

今日問題になるのは

「資本や労働者をどれだけ集められるか」ではない。

イノベーションによって

 資本や労働者をどれほど効率的に使い、

 より多くのモノやサービスを生み出せるか」なのだ。

そして研究の結果、

新技術それ自体は

さほど経済的利益を生まないことがあきらかになった。

経済学者のネイサン・ローゼンバーグが指摘するとおり、

イノベーションは最終的には

 それが最も適した用途に応用されるが、

 初期段階ではうまく適応できないことが多い」。

新技術の導入を阻むのは、

新しいやり方に対する抵抗感である。

未来のユーザーは、見通しがはっきりしない限り、

なかなか新しいものを採り入れようとしない。

(P.26~27)

 

抵抗勢力をすべて否定するつもりはありませんが

社会の発展を押さえつけるような抵抗をすれば

全体が沈んでしまうでしょう。

 

諸外国は経済発展をしているのに

我が国だけ完全に後れを取ってしまっているのには

そういう側面も間違いなくありそうです。

 

イノベーションを拒否したり

旧態依然とした仕組みにしがみつくのは

果たして私たちのためになるのか?

 

本気で考えていかないと

完全に先進国からすべり落ちそうですよね。

いや、もう遅いのかもしれませんが。

 

必要なのは発想の転換ではないでしょうか?

 

マルコム・マクリーン

すぐれて先見的だったのは、

海運業とは船を運航する産業ではなく

貨物を運ぶ産業だと見抜いたことである。

(P.80)

 

物流革命の本質とは

コンテナの出現というよりも

業界の在り方自体を見直したという

先見の明にあるように思います。

 

私たちも今の仕事を違う角度から見たら

新たなサービスを生み出すことが

できるかもしれませんね。

 

本書の面白さはいくつもあるのですが

3つ挙げろと言われれば…

 

マルコム・マクリーンの生涯

・コンテナリゼーションの変遷

・物流の歴史

 

私はこのように考えました。

 

そして勃興期から黎明期、

成長、成熟、衰退、低位安定というように

これはどの産業でも同じでしょうけど

進化のサイクルを辿るのが面白い。

 

また現在の経済活動のはしりと言いますか

海運業者の吸収合併やM&Aが繰り返されたり

何よりマルコム・マクリーンという人物の

ある種破天荒と言えるような行動、アイデア

そしてお亡くなりになるまで

挑戦し続けた姿勢はスゴイなと思いました。

 

規模の追求をずっと繰り返した産業ですけど

何らかの事情で

成長を阻害する要因が出てきた時には…

 

いざ価格競争となったときに、

ローコスト体質の企業の方が

生き残れる可能性は高いからである。

(P.295)

 

これは企業の生存戦略として正しいでしょうし

事実、潰れなければならない企業を

無理矢理延命させるために

私たちの税金が使われて

結局、さらに悪化したという

日本社会のあり方を見ると

海運業界の変遷は実に興味深かったです。

 

また海運の隣接業界、

港湾、鉄道、トラックなどのそれぞれの業界や

労働組合や行政との綱引きに関しても

本書の醍醐味とも言えます。

 

経済とか、ビジネスというのは

それ単体で動けるものではなく

社会のなかの一部なのだなという点も

実に大きな学びとなりました。

 

その意味では…

 

1980年代までは、

ロジスティックスすなわち兵站は軍隊用語だった。

だか85年には、生産・在庫・輸送管理を

包括的に意味する経営用語になっている。

この言葉を使うのは製造業だけではない。

小売業も自分たちのサプライチェーンを構築し、

メーカーと消費者の間に立ちはだかる

卸売業をスキップすることができる。

(P.341~342)

 

このような動きが盛んとなり

我が国でも卸売り産業は

大きな打撃となりました。

 

なぜか医療業界では

医薬品卸売業が生き残ってますけど

そろそろ限界ではないでしょうか。

 

社会も、時代も、必ず変わり、

その速度は

ネット社会になってから早まるばかりですし

今後、IT化やAI化により

さらに加速することが間違いないでしょう。

 

「あらゆる変化は誰かを幸福にし、

 その分ほかの誰かを不幸にする」という

経済史家ジョエル・モキルの指摘は、

国際規模で考える限り、

コンテナに関しては当たっている。

(P.346)

 

これは国内でも、

コンテナ以外の産業でも

確実に進んでいると思われ、

変化に抗うのではなく

変化の波に乗ることが

個人としても、企業しても

必須のサバイバル戦略だと思いました。

 

本書ではマクロとミクロを意識させられます。

どちらの視点も重要ですし

いずれかを見失うと痛い目に合いかねません。

 

経営者には必読の書ですし、

個人としていかに生き残るか?のヒントが

あちこちに散りばめられている良書でした。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

私はクリニックの開業コンサルタントとして

自分が経営者になるために

どんな本を読んだらいいですか?と

ご質問を受けることが度々あります。

 

その際にはいつもクリニックの開業本ではなく

一般的な「経営本」をおススメしています。

 

大企業を生み出した著名な経営者でもいいし、

中小企業を経営する

小さくてもキラリと光るような経営者でもいいですし、

企業の顧問をしている会計士や税理士とか

経営コンサルタントの書籍でもいいでしょう。

 

同業界にこだわってしまうと

どうしても新しい発想は出てきませんから

違う業界から大いに学ぶべきではないでしょうか。

 

そういう意味では

本書の「コンテナ」に関しては

発想をグググと広げさせられますよ。

 

すんごい発明があったわけでもないし

孤軍奮闘の結果でもありますし、

既得権者や反対派は多数存在していました。

 

それでも現代に続く

物流革命が成し遂げられたのですから

そこから学ぶところは大きそうですね。

 

私自身も発想を広げる必要性を

しみじみと感じさせられて

とても有難く思った1冊でした。

 

それでは、また…。

 

 

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