ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60冊以上の本を通じて、人生や社会の構造を読み解いています。 読書感想にとどまらず、キャリアや人生に彩りを与える言葉を綴っています。読書好きな方と繫がりたい!

ゆたかな国をつくる 官僚専権を超えて

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

読書を続けていると

驚くような偶然というか

出会いがあるのが楽しくてしょうがありません。

 

この人の本を読んでみたいな…という時に

すぐに目の前に現れてくる。

 

きっと読書家の皆様は

何度も味わってきているのでしょうけど

これも読書の醍醐味のひとつですよね。

 

またそういう出会いって

当たることが多いんだ。

 

私にとって本書は

そんな機会を与えてくれた

とても有難いきっかけでした。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 ゆたかな国をつくる 官僚専権を超えて 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 ゆたかな国をつくる 官僚専権を超えて 』

宇沢 弘文 岩波書店 を読みました。

 

宇沢弘文さんに関しては

存在と、ほんの少しの主張を存じ上げている程度で

詳しくなんかは全然ありませんでした。

 

でも、宇沢さんの文章を取り上げる方って

私にとっては知的で、見識があり、

尊敬に値する人が多かったのですね。

 

その筆頭が内田樹さんなのですが

宇沢さんの言わんとするところを解説しながらも

さらに内田さん流の主張を加えて

そうだよ、そういう世の中がいいよね~という

素晴らしい内容に転化されていました。

 

そんなこんなで宇沢さんの著書は

いつか読みたいと思っていたのですが

昨年の神田古本祭りで幸運にも出会うことができました。

 

見つけ次第すぐに購入し

満を持して読み始めた次第です。

 

目次

プロローグ

第一章 社会的共通資本の考え方

第二章 高度経済成長は何であったか

第三章 官僚専権の弊害を超えて

第四章 水俣病の教訓

第五章 農村をいかに粗末にしてきたか

第六章 日本農業の再生の道を求めて

第七章 都市を考える

  第一節 ジェーン・ジェイコブスの四大原則

  第二節 自動車の社会的費用

  第三節 騒音環境基準の緩和

第八章 金融バブルの生成と崩壊

第九章 学校教育の全般的危機

  第一節 日本の教育を考える

  第二節 リベラルな学校教育制度を求めて

第十章 地球温暖化と炭素税の考え方

 

感想

古い本なのです。

1999年3月に第一版が発行されています。

 

ところが内容は全然古くないどころか

この令和の時代でも全く違和感なく通用するのです。

 

それが大問題であり

失われた40年の根本的要因でもあると思いました。

 

本書が出版された頃から

全く何も変わっていないどころか、

既得権者だけが得をする

非人道的なシステムが

ギシギシ言いながらも現代にも稼働してます。

 

さすがに大人しい日本人でも

堪忍袋の緒が切れるでしょうか。

 

ここは感情論に流されることなく

本書から構造的な欠陥を学び

私たちは新たな社会を作るために

行動を起こすべきなのだろうなと思います。

 

今後どうなるかはわかりませんけど

現代を生きる我々にも

本書は相当に学ぶところが大であると感じました。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

このような悲惨な経済的状況は、

直接的には、

1997年4月に強行された

消費税率の引き上げの結果です。

当時すでにかなり深刻になりつつあった

経済的停滞のもとで、

消費税率を3%から5%に引き上げるという

常識では考えられない

無謀な政策がとられたわけです。

しかも、この経済的停滞自体、

金融バブルの崩壊の局面における、

誤った政策的選択の結果として

もたらされたものだったのです。

(P.V)

 

社会保障社会保障と言うけれども

正直、実感はありません。

 

ただ税負担が重くなっただけですよね。

 

財務省自民党立憲民主党の罪たるや

あまりにも大きいと言わざるを得ませんね。

 

山本太郎さんの主張を

丸ごと信じてはいなかったけど

宇沢さんが言うとつい信じてしまうんだな(笑)。

 

ここでとくに強調しなければならないのは、

制度手技を具現化するものとしての

社会的共通資本は決して、

国家の統治機構の一部として官僚的に管理されたり、

また利潤追求の対象として

市場的な条件によって

左右されてはならないということです。

社会的共通資本の各部門は、

職業的専門家によって、

職業的規範にしたがって

管理、維持されるべきものであることを

改めて確認しておきたいと思います。

このとき「政府」の役割は、

社会的共通資本の各部門の間の関係を調整し、

またそれぞれの部門で、

希少資源の効率的な配分が実現し、

そのサービスが公平に分配され、

しかも財政的に可能になるような制度を策定し、

具現化することにあります。

社会的共通資本の基本的性格を

このように理解するとき、

大気、森林、水、土壌、河川、海洋などの自然環境、

道路、公共的交通機関上下水道

電力、ガスなどの都市的インフラストラクチャー

教育、医療、金融制度などの制度資本が、

社会的共通資本の

重要な構成要素であることは明らかでしょう。

これらの社会的共通資本はいずれも、

市民の一人一人の人間的尊厳を守り、

魂の自立を支え、

市民の基本的権利を最大限に維持するために、

不可欠な役割をはたすものです。

(P.14)

 

かなり長い文章ですが

とても重要な箇所であると考えまして、

また宇沢さんの主張の根幹とも言えるでしょうから

できるだけ長く抜粋しました。

 

もうおっしゃる通りとしか言いようがありませんし、

せっかくの宇沢さんの主張を無視してきたのが

現代社会であると思うと

地団駄を踏むような思いを持ちます。

 

それどころか宇沢さんが危惧していた方向に

まっしぐらに進んでしまっているのですよね。

 

せっかくの叡智や知見を無視すると

こういうことになるんだな。

 

そしてそこから利益を得た政官財の奴らには

心底腹が立ちますね。

 

国を売って私財を蓄えた最低な奴らに思えます。

 

1955年、自民党による専制の時代に入って、

中央官庁の権限はいっそう拡大化され、

その権力はますます強化されていきました。

これは、自民党がもっぱら、

各省庁なしは特定の官僚群の権限と

縄張りとをできるだけ拡大化、

強化するような公共政策、

公共事業を立法化なしは具体化するという

政治的役割を果たしてきたからです。

これらの公共政策、公共事業はおおむね、

各省庁ないしは徳敵の官僚群と密接な関係をもつ

個別的企業、個別的産業、

あるいは特定の利益集団に利益をもたらすものであって、

本来の意味における公共性を欠くものでした。

自民党ないしはそれに所属する特定の政治家たちは、

これらの企業、産業ないしは利益集団から、

見返りとして、合法的ないしは

非合法的な政治献金を得るというかたちで、

自民党、政府官僚、大企業を中心とする

いわゆるトロイカ体制が形成されていったのです。

(P.30)

 

かなり辛辣な主張ではありますが

多くの人が納得してしまうでしょうか。

 

高度経済成長の頃ならいざ知らず

バブル崩壊以降、日本経済が下り坂に入っても

国民生活を犠牲にして

自分たちだけ甘い汁を吸ってきたことは

とても看過できるものではありませんね。

 

教育は、

人間が人間として生きていくということを

もっとも鮮明にあらわす行為です。

一人一人の子どもについて、

その先天的、歴史的、社会的条件の枠組みを超えて、

知的、精神的、身体的、芸術的な活動の面での進歩と発展を

可能にするのが教育の役割です。

(P.132)

 

日本の教育について語るような経験を

私は自分のこと以外には持ち合わせていませんが、

経済的な側面を重視し過ぎてしまって

人間を非人間的たらしめる

ステマチックな教育を続けてきたことが

この国の停滞の一因であることは

間違いないように感じます。

 

大学は、国公立、私立を問わず、

カリキュラムの作成、教授の人事、学生の選抜、

規律のすべての面で、

それぞれの主体的、自律的基準にしたがって運営する

自由が与えられなければなりません。

(P.159)

 

これは大学とか文部科学省だけではなく

官僚は自らの仕事を失わないために

無駄なルールを作り過ぎです。

 

日本社会停滞の大きな要因のひとつですし、

ビジネスの発展を阻害しています。

 

意味や効果のないルールが多すぎるのです。

そしてダイナミズムを失わせます。

 

政官財の談合のために

国民が犠牲になるのは許し難いですよね。

 

世界の、主な文明諸国では、

大学、病院などの

社会的共通資本の重要な構成要素について、

その建設のための基金

運営のための資金の中心となっているのは、

相続財産の遺贈です。

相続財産を大学、病院などに遺贈すると、

全額非課税になるだけでなく、

相続税の累進性によって、

遺贈した額以上の節税が可能になります。

(P.161)

 

やはり我が国はお金の使い方が下手過ぎますね。

そして一部の人だけが得するシステムを作り、

政官財が一体となって既得権にしがみつく。

 

社会という概念を軽視し

私利私欲に走った国が反映するわけがなく

高度経済をなきものにした輩たちは

万死に値すると言っても過言ではないでしょう。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

超絶、勉強になりましたし

単なる経済論というよりは

私自身の人生論となりましたし、

私の会社の経営論としても

参考になるところが「大」でした。

 

本書は、もしくは宇沢さんの主張は

すべからく全日本国民に読んで欲しい。

 

そんなことまで考えてしまいました。

 

まあ、政官財の偉そうにしてる奴らこそ

爪の垢を煎じて飲むように

本書を噛み締めなさいと言いたいですけど。

 

社会的共通資本。

私たちはもっと意識すべきです。

 

そしてその最も足るものは

「自然」なのですよね。

 

私たちは経済的な側面を重視し過ぎて、

もっと言えば「カネ」のために

生命や生活を犠牲にしているのかもしれません。

 

わけ合えば余るのに

ぶん捕りあえば足りなくなる。

 

日本社会はぶん捕り合うから

あらゆるものが足りなくなっています。

 

若い方々が本書を読めば

現代社会の何をどう変えるべきなのかが

よ~くわかるのではないかと思いますよ。

 

それだけの有益な良書です。

絶賛おススメいたします。

 

それでは、また…。

 

 

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