ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60冊以上の本を通じて、人生や社会の構造を読み解いています。 読書感想にとどまらず、キャリアや人生に彩りを与える言葉を綴っています。読書好きな方と繫がりたい!

日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

この国がこれからどうなるのか?

 

実に様々な方が

いろ~んな論点で物を語っていますけど

何がどうなんだか

正直よくわかりませんよね。

 

しかもどちらかと言うと

ネガティブな話しのほうが多いですから

社会を良く知らないと

何だか絶望的になりがちです。

 

特にネット上では

言いたい放題の節があり

それ本当か?というような話しでも

ごく当然のように語られてしまっています。

 

偏りがなきよう

冷静かつ客観的に情報収集をして

自分で吟味しないといけません。

 

どんな時代だって

ポジティブな要素もあれば

ネガティブな要素もありますから

両面から仕入れをしておいたほうが良さそうですね。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 日本人の勝算 人口減少×高齢化×資本主義 』

デービッド・アトキンソン 小西美術工藝社社長 

東洋経済新報社 を読みました。

 

本書の存在を何で知ったのかは忘れましたが

このタイトルに興味を持ち

そして著書が日本企業で経営者をする

外国人というところが面白そうだなと思いました。

 

内側でも外側でもない

独自のポジショニングと言えそうでしょうか。

 

こういう方には

他にはない独特の見解があるだろうから

かなり勉強になるんじゃないかと思い

楽しみにしながら手に取った次第です。

 

目次

第1章 人口減少を直視せよ

  ーー今という「最後のチャンス」を逃すな

第2章 資本主義をアップデートせよ

  ーー「高付加価値・高所得経済」への転換

第3章 海外市場を目指せ

  ーー日本は「輸出できるもの」の宝庫だ

第4章 企業規模を拡大せよ

  ーー「日本人の底力」は大企業でこそ生きる

第5章 最低賃金を引き上げよ

  ーー「正当な評価」は人を動かす

第6章 生産性を高めよ

  ーー日本は「賃上げショック」で生まれ変わる

第7章 人材育成トレーニングを「強制」せよ

  ーー「大人の学び」は制度で増やせる

 

感想

すべて納得とか共感できたとか

そういう感じではないのですが、

とても勉強になりました。

 

日本企業で経営者をする外国人という

とてもユニークな経歴だからか

自由な発想と日本人とは違う着眼点を持っていて

そういう見方もあるんだな…と

率直に良い学びをいただきました。

 

著者は海外の論文をかなり読み込んだようで

エビデンスもしっかり提示しているし

そこから導かれる主張も個性的ですので

自分の中の思考を広げる効果がありました。

 

どうしても専門家というのは

自分の専門の領域を中心にして

ロジックを組み立ててしまうので

他の領域に当てはめるのは無理が出てしまうんですよね。

 

ところが著者におきましては

別に政治学や、経済学や、社会学の専門家ではないため

発想が生活に密着しており

官僚的な大所高所からの発信に辟易している

現代社会を生きる我々にとって指針となる部分も多いです。

 

10年後、20年後を考えたら

著者のような自由な考案をしないと

この先の判断を見間違えかねません。

 

そうは言っても

本書が発行されたのは2019年1月ですから

内容は少し古いです。

 

最初はデフレの正体を見破るかのような

今となれば少し懐かしい現実に触れており

多少の年月の経過を感じますが

それでも充分読むに値する内容でした。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

日本の最低賃金は驚くほど低く、

理論的に計算した

本来あるべき金額の3分の2程度しかありません。

この驚くほど低い水準の最低賃金まで、

企業には賃金を下げることが許容されています。

だから、諸外国に比べて

日本はどんどん労働分配率を下げることができるのです。

このように、企業の生き残りのしわ寄せが

労働者に回ってきているのが、日本という国です。

人口が増えていた時代と違い、

人口減少により需要が減る中では、

商品の価格を下げても総需要の喚起にはつながりません。

賃金のさらなる引き下げは、

デフレスパイラルの引き金となるだけです。

そのため、最低賃金の低さが

デフレ圧力の根源となるのです。

(P.36)

 

最低賃金については

中小企業の経営者の叫びが聞こえてくるようですが

裏を返すと

たかが時間給で100円や200円のアップで

倒産してしまうような会社は退場すべきという

厳しい現実が突きつけられるのだと思います。

 

ようやく賃上げのムードが高まり

取り過ぎた税金を返せという

新たなムーブメントも強くなっていますので

ここは断固として上げるべきでしょうか。

 

日本は人口が急速に減り、

遠くない将来、人口大国ではなくなります。

人口が減るので、

人口増加要因による経済成長はなくなります。

それどころか、日本の人口減少は

他に類のない大きさと

スピードになると予測されているので、

世界一、人口増加による経済成長要因のない

先進国となるのです。

したがって、日本では今後、

GDP総額やGDP成長率を

政策目標にしてはいけないのです。

それらにかわり、国民の所得水準や生活水準、

生産性を政策目標の中核にするべきです。

要するに、絶対量の目標ではなく、

経済の中身で勝負するべきなのです。

(P.63~64)

 

その通りだと思いました。

資本主義の原則が我が国では早晩崩れるのは

もう明らかになっているのですよね。

 

それなのに高度経済成長の頃と

同じような政策を打っていてはいけませんし

なにより政策目標を変えることから

すべては始まるのですよね。

 

人口1人当たりの輸出額を見ると、

実は日本は世界で第44位でしかありません。

対GDP比ではさらに下がって第117位です。

総額では輸出大国に見える日本は、

相対的に見ると実は輸出小国なのです。

(中略)

人口が大きく減少するため、

国内市場向けに作られてきた設備が余剰になります。

すべてを活用することはできませんが、

その一部を有効に使うために、

海外への輸出を増やしていくべきです。

(P.96)

 

そうなんだ。

輸出大国という幻影に惑わされておりました。

 

大きな輸出は大企業に任せるとして

小さくて生活に密着した

利便性の高い輸出こそが命運を握るのかもしれません。

 

福祉制度を維持するためには、

生産性向上が不可欠です。

それには、企業の規模を大きくする必要があります。

人口が減る中で企業の規模を大きくするなら、

結果として企業の数が減ります。

企業の数が減るのは、必然的な結果です。

(P.146~147)

 

そもそも福祉制度を維持するのが

最善策なのかという点は熟慮が必要と思います。

 

また社会全体を意識的にシュリンクさせるのは

確かにひとつの手ではありますが、

そのためには助成金やら補助金やら

ゾンビ企業を無理やり生存させることを

思い切って切り捨てるべきと思います。

 

日本ではこれから人口が減るので、

企業の数が減っても雇用への影響は大きくなりません。

雇用に悪影響が出るという心配は、

人口が増加していた時代の名残でしかありません。

(中略)

では、起業を破綻させる以外に、

どのように企業の数を減らすべきでしょうか。

統合です。

(P.158)

 

M&Aが盛んになっているのは

こういう背景があるからなのでしょう。

 

とはいえ理想的に動けているかというと

決してそんなことはないともいえ

何か仕掛けが必要だろうなと思います。

 

紀元1年から今日までの経済成長要因の47%は

人口増加だったものの、

今後は人口増加による経済成長は期待できず、

経済成長のためには

生産性の向上がより重要になるという記述があります。

しかし、その生産性向上をどうやって実現するか。

その方法に関しては言及がありません。

(P.165)

 

人口増加とテクノロジーの発展。

前者はもう期待できず

後者で勝負するしかない。

 

それこそが生産性の向上なのでしょうけど

IT化や、AIについては諸外国より遅れたおかげで

今は生みの苦しみと言えるのかもしれません。

 

ひと言で生産性向上と言っても

手法はひとつやふたつではないでしょうから、

ここにこそ経営者の腕の見せ所があるのでしょうね。

 

リストラが生産性向上とは思えず

ただのコストカットでは

イチ時的にしか通用しないと思います。

 

GDPを維持するためには、

1人当たりGDPを大きく増やさなければなりません。

理屈上、平均給料をその分だけ高くすることが必須です。

労働分配率を下げると、

デフレ圧力がかかるので、

人口減少・高齢化大国日本としては

労働分配率をある程度高めたほうがいいでしょう。

強調するまでもありませんが、

日本人の給料が上がらないと、

日本の生産性は継続的には上がりません。

GDPは縮小し、国が破綻します。

(P.222)

 

それ「だけ」ではないと思うものの

政府の言うことには疑問だらけですし、

国破れて山河ありでは困るわけで

為政者には忖度と談合から抜け出して

もっと言えば私利私欲を捨ててもらって

100年後の未来のための政策を打ち出して欲しいですね。

 

民が苦しめばこれからさらに暴発するでしょう。

強盗が増えているのはその一環じゃないかな。

 

民が潤えば国も潤うのに。

 

これからの時代、

生産年齢人口がしっかり稼ぎ、

その一部を高齢者に分配する必要があります。

消費税をどうするかというレベルの問題ではありません。

稼がないと分配するものがない。

これからの時代は、

稼ぐことこそが社会貢献なのです。

(P.263~264)

 

高齢者に分配する必要があるのか?

そこから問い直さねばならないでしょうか。

 

少子高齢化が進む現代社会のなかで

老い先短い高齢者のために

未来ある若者が搾取される構図は

相当に無理があると思います。

 

根本的なあるべき社会を再考しないと

にっちもさっちも行かなくなるような気がします。

 

人々の寿命が短い時代には、

社会を支えるために多くの子どもが必要でした。

しかし、寿命が短いので、

若い時にその後の人生に

必要なスキルを学ぶだけでも十分でした。

一方、寿命が長くなると、

寿命が短かった頃に比べ、

それほど多くの子どもはいらなくなります。

それにともない、

新しい命による新陳代謝のスピードは鈍化します。

となると、1人の人の人生の中での

新陳代謝が求められます。

たとえば18歳まで教育を受け、

40歳で亡くなるとすれば、

教育で受けた知識や知見は

この人の人生の後半の22年間だけ使われ、

新しい知識や知見は

次の世代によりもたらされていました。

一方、18歳まで教育を受け、

65歳まで働くとすると、

教育により培われた知識や知見は

47年間も使われることになります。

当然、かなり時代遅れになることでしょう。

(P.316)

 

抗いようのない事実ですね。

これを前提に物事を考えないと

未来は暗いものとなりかねないでしょう。

 

過去の踏襲がリスクであることを

私たちはもっと真剣に

受け止める必要があるように思います。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

人口減少と少子高齢化

こればかりはもう避けられませんし

それを前提とした政策立案が必要ですし

それぞれの企業や我々個々も

生存戦略として持っておかねばなりませんね。

 

最低賃金に書かれた箇所などは

なるほどと思うことも多く、

日本というこの国のあり方を模索するには

必要不可欠な知識を身につけることができました。

 

それでは、また…。

 

 

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