おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
答えがある問いばかりを教わってきたよ
そのせいだろうか
僕たちが知りたかったのは
いつも正解など大人も知らない。
え~突然ですが
これは「RADWIMPS」の「正解(18 FES ver.)」という
歌の歌詞からの抜粋です。
とてもいい曲ですので
ご関心が持てるようでしたら
下記で聴いてみてください。
何が言いたいかと申しますと
私たちはすぐに「答え」を欲しがりますけど
果たしてそれが良いことなのか?
だいたい私たちが日常的に求めている
「正解」なんて
本当の意味での正解ではありませんよね。
ただテストで100点を取るための答えなんて
人生ではあんまり役に立ちません。
キャリアや人生においての正解は
いつ、どのように、手に入るのでしょうか。
安易に手に入る正解は
その程度の価値しかなく
苦労して手に入る正解こそが
本物ではないかと私は思うのですね。
今回ご紹介する書籍は、
【 これが答えだ! 新世紀を生きるための108問108答 】 です。

本書をピックアップした理由
『 これが答えだ! 新世紀を生きるための108問108答 』
宮台 真司 朝日文庫 を読みました。
これが答えだ!って
そんな簡単に答えなんか手に入らないだろ。
簡単に手に入る答えに価値なんかないよ。
と私は思うのですが
本書を書いたのは宮台真司さん。
ふむ、となると
これは読む価値ありそうだなと思い
ポチっとしました。
納得できるかは別にして
宮台真司さんの答えなら
学ぶところが多いだろうなと考えた次第です。
果たしてどうでしょう?と
楽しみにしながら読み始めました。
目次
1 SEXUALITY ~ 性愛
2 FAMILY ~ 家庭
3 SCHOOL ~ 学校
4 SOCIETY ~ 社会
5 NATION ~ 国家
6 MIYADAI ~ 宮台
7 NEW MILLENNIUM ~ 新世紀
感想
2002年に発行された本ですから
社会学者の書くものとしては
若干古い感じを受けるかなと思っていましたが
やはり本質をズバリ突く系の人は
古さを感じさせない哲学があるものですね。
さすが宮台さんと素直に思いましたが
去年の刺傷事件前の著書ですので
言いたい放題が突っ切ってて
個人的には大変に面白く感じました。
いいんじゃないですか?
宮台さんはこのテイストで。
おかしな輩が怒り狂ったりするのでしょうけど
むしろ気づかねばならないのはそっちの人ですからね。
本書はいわゆるQ&Aなのですけど
質問は正直くだらないものが多いのですけど
宮台さんの回答が素晴らしい。
頷けるし
唸らせられるところも多かったです。
ホント人生というのは
自分の考え方次第で
新たなに切り拓くこともできるし、
絶望的な状況に追い込まれたりするものですね。
それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。
社会は何らかの形で互酬性を満たさないと、
どこかにシワ寄せがいったり、
どこかが大きく欠乏したりします。
何らかの形ですみずみにギブ&テイクが
行き渡るようなシステムでないと、
社会は長続きしません。
わかりやすく言えば「してもらう人間」と
「してもらえない人間」が
固定されてしまうシステムは、
数千年単位の歴史で見ると
長続きした試しがありません。
(P.82)
官僚が国民から吸い上げるための知恵を出す
こんな社会じゃ長続きしませんわな。
政府がカネをばらまいて
しかも中抜きだらけの社会では
互酬性を満たすことにはなりませんよね。
年金制度なども含めて
若者が「してもらえない人間」に固定するのでは
未来に絶望しかないですもんね。
わかります?財務省の皆さん。
そうした変化に応じて、
高校生や大学生は、
時代遅れの「いい学校・いい会社・いい人生」を
押し付ける「学校・家・地域」を離脱。
ストリート・匿名メディア・仮想現実など
「第四空間」に居場所を見つけはじめました。
そんな流れのなかで、
力関係が不利でアルバイト機会もない中学生は、
行き場がないまま、
意味が空洞化した学校に縛りつけられています。
なかでも新しい環境の目新しさ(中一)や
受験目標(中三)がない
「中二=十四歳」は危険なのです。
(P.89~90)
サードプレイスという言葉が頭に浮かびました。
窮屈な大人たちの場だけでなく
子ども達にこそ必要なのかもしれません。
学校、家以外の癒しの場を
私たちはいかに提供できるでしょうか?
どんな社会にも救われない人たちがいる。
そういう人が最終的に救われる場所として
宗教があります。
だからどんな社会にも宗教がある。
社会が救えない人を宗教が救うのは
「宗教が社会よりも大きい」から。
「宗教が社会の外に居場所を与える」からです。
もし「宗教が社会よりも小さい」なら、
社会で救われない人が宗教で救われることはありません。
だから、宗教が
社会のルールと違ったことを指示することは
「アリ」であるわけです。
(P.111)
私自身は無宗教の人間ですし
日本人は割と無宗教の人が多いでしょうか。
なので宗教に対して
どう考えればいいのか?
いかに捉えるべきなのか?
そのスタンスに迷う人は少なくないと思います。
しかしこの箇所を読んで
なるほど、とヒントを手に入れた気がします。
宗教は人間の奥深いところにあるのですから
社会という近代に完成した枠組みなどよりも
ずっと大きくて深いのでしょうね。
おまじないには二種類あります。
一つは、周囲の人間(たち)は幸せなのに
自分だけ不幸だから、
自分も幸せになりたいっていう「ポジティブ系」。
もう一つは、幸せにそうに見える周囲の人間(たち)を、
不幸な自分と同じ水準に引きずり降ろす「ネガティブ系」。
(P.145)
言い得て妙と言うか
昨今では経済状況が悪化の一途を辿ってますので
ネガティブ系が激増ですね。
でも引きずり降ろしたところで
何にも変わらないんですよね…。
自分が「楽しい」と思うからやっている。
確かに「他人のためにもなる」かもしれないが
「他人のためになる」ことが「楽しい」という
「利己的な動機」でやっている。
これは経済学で「利他主義という利己主義」という
逆説として延々に論じられてきた問題ですけれど、
そういう逆説を自覚的に生きることが
むしろ望ましいのだと考えられるようになってきました。
(P.169)
う~ん、利他主義という利己主義か。
何だか世知辛い世の中ですね~。
ピュアに世のため人のためになろうとしている人も
決して少なくはないと思うんですよね。
ニーチェは、
意味が見つからないから
良き生が送れないのでなく、
良き生を送れないから
意味にすがるのだと喝破しました。
(P.181)
これ何の意味があるんすか?
こんなくだらない質問をする若者は
わりと多いんじゃないかと思います。
私自身も若かりし頃は
まあ口には出さないまでも
そう思うことはしばしばでした。
ですが今では大変に恥ずかしく思いますし
意味を問うことの意味を
大人になった今では理解できたようです。
しかしいいおっさんやじいさんが
未だに意味を探し続けていたりするのを見ると
この人は物事の本質に
一生辿り着けないのだろうなと残念に思います。
意味だけを問うてもムダなんです。
意味を見い出すことのできる
自分になれるかどうかなんですよね。
ニーチェの言葉は
私の中の大切なものを思い出させてくれました。
決定的間違いは、
「この主義主張なら人間は幸せになれる」と
考えることです。
複雑な社会では、
「この主義主張で幸せになれる人が、
なかには、いるだろう」という程度に
考えなければなりません。
だったら、何よりもまず
自らの想像力の及ばないような
多様な尊厳形式が許容されるべきなのです。
(P.238)
決定的間違いを犯している人は
思いの外、多いように感じます。
浅いロジックに騙されてはいけません。
ある種の情弱ビジネスですよ。
世の中はそんなに簡単ではありません。
どこに就職すれば
自己実現できるかと右往左往するよりも、
むしろどこに就職しても
自分自身でいられるような
内的確かさを獲得することが課題になります。
内的確かさを獲得した暁には、
自分が選ぶ道は自ずと明らかになる。
そういう順序になります。
(P.279)
これはある種のキャリア論ですね。
私の専門領域ですから
ちょっと語ります。
私は主導権を握ることが
自分のキャリアや人生をより良くするために
必要不可欠であると考えています。
しかしひと昔前までは
いい会社に入り
魂を売ってまでも
会社に言いなりになることが
正解である時代がありました。
そしてバブル崩壊以降に
そんな幻想は完全に終わりを告げたにも関わらず
今だにその頃の価値観を引きずっている人は多いです。
中高年が変われないのは致し方ありませんが
驚くのは20代や30代でも
こういう価値観に雁字搦めになっている人が
意外と多いことなんですね。
例え有名企業でブイブイ言わせても
大企業で高年収を得ても
そんなのは会社の力であって
自分の力ではありません。
早期退職制度で
弾き飛ばされた時に
職業人生が終わってはいけません。
人生100年時代と言われるようになり
中高年以降が勝負どころとなるんです。
主導権を会社に譲り渡してきた人に
確かなキャリアなんてありませんよ。
履歴書はきれいでも
キャリアがなければ
あっという間に厳しい状況に追い込まれます。
宮台さんの言う内的確かさというのが
私の言うキャリアであると考えていただいて結構です。
ちなみにキャリアとはスキルと経験です。
何ができるの?
どの程度できるの?
この問いに自信を持って答えられますか?
問われるのはここです。
会社なんて関係ありません。
主導権の有無が証明されるのです。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
スクラップ&ビルド。
人は常に自分を壊して
新たな自分を作り上げるべきと考えます。
本書はスクラップ&ビルドのヒントが満載です。
宮台真司の真骨頂と言えるでしょうか。
なかには電車の中で読むのが恥ずかしい
テーマもあるんですけど
それを引いても
相当の学びになる良書であると思います。
人を学ぶ。
社会の仕組み、構図・構造を学ぶ。
これが私の勉強の根本なのですが
やはり社会学というのは
その実現のためには学び続けるべきと
強く認識させてくれました。
それでは、また…。
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