おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
イチ時期は
貪るようにして読んでいた
医療本ですが、
最近はだいぶ知識がついたために
ごく稀に気になった本を読むという
スタンスに変わってきています。
まあ確かに相当数の医療本を
読み込んできましたから
これはこれで良かったと思ってます。
と・ところがですね、
本書においては存在を知って
すぐにポチっとしました。
これは私の仕事柄で
読まねばならぬと思ったのです。
まだまだ学ぶことがたくさんあって
そんな自分を好ましく感じます(笑)
今回ご紹介する書籍は、
【 このクリニックはつぶれます!
医療コンサル高柴一香の診断 】 です。

本書をピックアップした理由
『 このクリニックはつぶれます!
医療コンサル高柴一香の診断』
午鳥 志季 新潮社版 を読みました。
医療コンサルタント。
私自身の仕事も広い意味では
医療コンサルタントと言われることがあります。
もう少し具体的に申し上げますと
医師の転職コンサルタントであり、
クリニックの開業コンサルタントであり
業界では
あんまり医療コンサルタントという言い方はしません。
総称としてはありかもしれませんが
私が普段やり取りをしている
様々な業者さんはほとんど使わないですね。
ただ医師の皆さんは
転職だとか、開業だ、経営だというように
あまり分けて考えないので
医療コンサルタントと言うかもしれませんね。
著者である午鳥志季さんは
現役医師ということでもありますので
医師側の代表として
医療コンサルタントと名付けたのでしょうけど
そこに若干違和感は持ちました。
持ちましたけど
私は開業コンサルタントでもあり
経営コンサルタントでもありますので
クリニックが潰れるようなことがあっては困ります。
そうなると当然の如く
本書は読まねばならないわけで
思わずポチってして
自宅に届き次第に読み始めた次第です。
目次
プロローグ 開業医の条件
第1章 窮地
第2章 足りないもの
第3章 医療と経営
第4章 仇敵、あるいは恩師
第5章 グレイテスト・ドクター
感想
率直に申し上げて
ストーリーは大変に面白かったです。
著者の午鳥志季さんは
東京大学医学部卒ということですから
しっかりと構成を考えているのでしょう。
ラストシーンなどは
そう来たか!と思わず膝を打つ展開です。
後から考えてみれば
その前からしっかり布石を打っていたのですが
まさかそういう展開になるとは?と
意外性とまとまりがあって
読後、何だか気分が良くなりました。
ただ私が本書を読んだのは
ストーリーを楽しみたかったからではありません。
確かに非常に楽しめたので
それはそれで良かったのですが、
何かひとつでもコンサルタントとして
参考になるところがあればいいなという
真面目な目的のほうは
ちょっと今ひとつでした。
いえ、とても面白かったんですよ。
だけどこっちの目的としては
実際に医療業界で
コンサルタントをする人間から見ると
甘いというか、浅いというか、
そんなんあるかい?という
かなり残念なレベルです。
医療コンサルタントの高柴一香は
医師免許を持つ医療コンサルタントということですから
もっと練りに練った戦略的に驚くような
大変に勉強となる事例でも手に入るかと思いきや
そういう展開ではありませんでした。
まあ医療コンサルタントなんて
世の中にそう多いわけではありませんし、
お前はそれでもコンサルか?という
低レベルな人が多いのも事実です。
私のコンサル仲間でも
あいつは開業させ屋だからとか
こいつは金儲けしか考えてないからとか
みんなで飲みに行くのが仕事になってるからとか
あいつらはグルだからなとか
まあそれほど優秀な人がいるわけではありません。
おそらく著者も
身近に医療コンサルタントがいたわけではなく
巷のイメージとか
ネット上で仕入れた数少ない情報を基にして
このストーリーを考えたのではないかな?
ま、小説としては
とても楽しめましたし
充分に合格点ではあるのですが、
せっかく医療コンサルタントという
ニッチな領域の人にターゲットを絞るなら
もう少し実情を調べて
リアルな展開にして欲しかったな。
私に言って下されば
いろいろ協力したのに(笑)。
少しネタバレになりますけど
だいたい新宿にあるクリニックというのが
まず取り上げるには無理があるんじゃないかな?
しかも祖父の代から続く
真面目だけど、地味な戸建ての診療所。
う~ん、もうこの設定自体に無理があります。
周囲には圧倒的に患者を集めている
強力なライバルが目白押しであり、
自由診療を中心にしていたり
大学と連携をしていたり
そりゃ承継した後に
潰れそうになるのは当然とも言えます。
超低空飛行の状態から
医療コンサルタントである高柴一香が入り
経営を建て直していくのですが
訪問診療をきっかけにするなど
それはあまりにも陳腐じゃないか?と
実際に医療コンサルタントをする私から見れば
もうちょっと捻りが欲しいぞというところ。
その後の発展についても
コンサルタントらしくないというか
本当の医療現場では通用しないよねという
少しお花畑のような展開です。
いや、再三申し上げますが
ストーリーは面白かったし
小説としてはいいんです。
いいんですが、
私のような医療コンサルタントとしては
ちょっと残念でした。
ぶっちゃけネタはいくらでもあるし
リアルな経営戦略など
いろいろアドバイスしたくなりましたよ。
私の場合は
開業コンサルタントして
新規のクリニックをゼロから作ることに携わり
また経営コンサルタントとして
開院後になかなか立ち上がらないクリニックや
集患やスタッフのマネジメントに悩みを持つクリニックなど
切実な院長の悩みに寄り添っているだけに
簡単には満足できません。
実際に承継にも何件か携わっていますし
勤務医も、開業医も、
また勤務医から開業医に成長していくステージも
しっかり見ているだけに
この程度のコンサルで上手く行くなら
こっちは苦労せんわ…と思ってしまいました。
もちろん著者は
私のために本書を書いたわけではありませんし、
そんな私から見ても
ストーリーは面白い
小説としては素晴らしいというレベルにあるので
何ら問題はありません。
私が学ぶ気満々で
自分のコンサルティングに
役に立つような内容を期待していたのが
誤りだったということです。
とは言うものの
社内では面白かったぞと
社員のみんなにおススメしますし
現在開業準備中の先生にも
ちょっと面白い本がありまして…と
雑談のなかで切り出しましたら
おお、面白そうですね
自分も読んでみますとメモをされていました。
本物のコンサルタントとしては
納得できるものではありませんけど、
ごく普通の方はとても楽しめる1冊です。
少しでもご関心が持てるなら
私の書評なんて気にしないで
是非とも手に取っていただきたい1冊でした。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
一般人の私の評価は五つ星です。
コンサルタントとしての私の評価は三ツ星です。
間を取って四つ星としました。
本書については
やいのやいのと好き勝手言いましたけど
著者の長編小説は初のチャレンジでした。
実は下記の短編を読んでから
少し気になっていたんですね。
その意味では長編も読めて良かったですし
ストーリーテラーぶりはいかんなく発揮されてました。
おそらく著者の他の本も
いずれ読んでいくのだろうなと
何だかんだと高評価をしている私です。
それでは、また…。
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