おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
どうして私が哲学を学ぶようになったか。
自分で言うのもなんですが
ちょっと不思議なんですよね。
別に最初から興味があったわけではないし、
こんな難しい学問なんて
むしろ学ぶ必要などないとすら思ってました。
それが30才を過ぎた頃から
段々と近づいていった感じなのです。
キーになるのは
・営業経験
・経営者としての経験
・村上龍さん
このあたりかなと思ってますが
その後、内田樹さんと出会ってから
拍車が掛かったように思います。
別に哲学に詳しくなった感じはないのですけど
面白おかしく学べているので
学者になるわけでもありませんから
まあこんなライトなスタンスでいいかなと。
自分ではわからないことに突っ込めばいいと
自分らしく解釈しています。
今回ご紹介する書籍は、
【 歴史とは何か 】 です。

本書をピックアップした理由
『 歴史とは何か 』
E・H・カー 著 清水 幾太郎 訳
岩波新書 を読みました。
本書を読んだ方は
かなり多いのではないでしょうか?
逆に言うと
この年まで出会わなかった
私自身を恥じなければならないのですが、
それでもいいんです。
良いことをするのに
遅すぎるなんてことはないというのが
私の信条ですから
出会うのが遅かったのは
今が出会うタイミングだったと
勝手な解釈をしています。
本書は何で知ったか忘れましたが
どなたかがおススメしており
歴史好きを広言する私としては
こりゃ読まなきゃアカンなと思った次第です。
岩波新書は難しいイメージですけど
多くの哲学本を読んできた今なら
きっと読めるだろうと思い
楽しみにしながら読み始めたのでした。
目次
1 歴史家と事実
2 社会と個人
3 歴史と科学と道徳
4 歴史における因果関係
5 進歩としての歴史
6 広がる地平線
感想
ふむ、歴史哲学。
なかなかのものですね。
普通に歴史本を読むのは
私にとっては日常ですので
全然苦にならないのですが、
さすがに歴史哲学は難しかったです。
でも読んで良かったです。
だって「歴史とは何か」なんて
あんまり考えないじゃないですか。
今まで散々歴史本を読んできた私でも
そんな発想はなかったです。
しかし本書を読んだことによって
今後の歴史との向き合い方が変わるかもしれません。
そして歴史本の著者たちに対して
生意気ながらちょっと厳しい目を持つかもしれません。
これはこれで貴重な体験をしたと
いい出会いを喜んでいます。
E・H・カーが繰り返し強調するのは、
「裸の事実」など存在せず、
すべての史実は誰かによる解釈を通じて語られるということ。
この点を取り上げて、
現代の情報社会にも通じる
「ファクトとストーリーの混在」への示唆へと
繋げるのも面白いです。
歴史は事実の羅列ではなく、
解釈の連続である。
だからこそ、私たちは「何を信じるか」だけでなく、
「誰の視点を通して語られたか」を問う姿勢が求められる。
それは歴史に限らず、
今の社会全体に必要なリテラシーかもしれません。
また歴史家を
「過去と現在の間に立つ存在」と定義しています。
このフレーズを引用・展開して、
自身の仕事や思索と絡めても良いでしょう。
歴史家とは、単なる記録者ではなく、
過去の事実と現在の意味の橋渡しをする存在。
キャリアや人生を考える際にも、
「今の選択を、未来の誰かがどう語るか」という
客観的な視点を持てたら、
時間軸に深みが出そうですね。
若い世代や現代人にとって、
なぜ歴史を学ぶことが必要か?という問いを立て、
それにカーの思想を通じて応える構成も良いです。
未来に向かって進むためには、
過去を知らなければならない。
カーが伝えるのは
「歴史を学ぶことは、未来の可能性を耕すことでもある」
という視点です。
過去をどう読み、どう活かすか。
その態度こそが、
人生にもキャリアにも問われているのかもしれません。
それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介します。
先ず、汝の事実を確実に手に入れよ。
次に、無二無三、解釈という流れ動く砂漠に突進せよー
ーこれが歴史における経験的な常識的な学派の
最後の言葉であります。
これは偉大な自由主義的ジャーナリスト
C・P・スコットお気に入りの、
「事実は神聖であり、
意見は勝手である」という言葉を
思い出させます。
(P.6)
なるほど、これが歴史哲学か。
哲学的に歴史にアプローチする。
何だか新鮮でワクワクしてきました。
歴史哲学は
「過去そのもの」を
取扱うものでもなければ、
「過去そのものに関する歴史家の思想」を
取扱うものでもなく、
「相互関係における両者」を取扱うものである。
(中略)
ですから、「すべての歴史は思想の歴史である」
ということになり、
「歴史というのは、
歴史家がその歴史を研究しているところの思想が
歴史家の心のうちに再現したものである」
ということになるのです。
(P.26)
歴史と歴史家。
なかなかわかりにくい分類ですが
要は捉え方を正しくしないと
歴史は歪曲されてしまうよという警報というように
私は理解しました。
歴史も歴史家も
両方が機能しないといけないのですね。
「歴史とは何か」に対する
私の最初のお答を申し上げることにいたしましょう。
歴史とは歴史家と事実との間の相互作用の不断の過程であり、
現在と過去との間の尽きることを知らぬ対話なのであります。
(P.40)
こんな前半に結論めいたことを述べてくれて
助かったような残念なような。
でも不断の過程であり
尽きることを知らぬ対話ということは
安易に答えを導くなよという戒めであり、
歴史とは何と奥深いものかとしみじみ思いました。
もう一大社会運動という
意味での個人主義ではなく、
個人と社会との間の誤った対立観という
意味での個人主義は、
今日では、ある利益集団のスローガンになってしまい、
また、それが論争的性格を持っておりますところから、
私たちが世界の動きを理解する場合の
障碍物になってしまいました。
もっとも、個人崇拝ということも、
個人を手段とし、
社会や国家を目的とするような
倒錯減少に対する抗議としての意味はありましたが、
これについては何も申し上げることはありません。
しかし、社会の外に立つ
抽象的な個人という観念を用いようと試みる限り、
私たちは過去も現在も
本当に理解することは出来ないでありましょう。
(P.46~47)
これは非常に難解な概念ですが
いつの時代も個人と社会は相反するものであり
また同居するものでもありますから
変に自分を決めつけるのではなく
社会と上手に付き合える自分、
自分を受け入れてくれる社会というような
適度なバランス感覚が必要なのだろうなと思いました。
私の考えでは、
優れた歴史家たちは、
意識すると否とに拘らず、
未来というものを深く感じているものです。
「なぜ」という問題とは別に、
歴史家はまた「どこへ」という問題を
提出するものなのであります。
(P.160)
過去・現在・未来という時間軸。
これだけは誰にでも平等であり、
それは歴史家も同様ということでしょうね。
過去だけを見る、
今だけを見る、
未来だけを見るというのでは
やはり視野が狭いと言わざるを得ません。
過去・現在・未来を見るから
どこか1つも的確に見ることができそうです。
歴史における進歩は、
事実と価値との間の相互以前および相互作用を通して
実現されるものなのです。
客観的な歴史家というのは、
この事実と価値とが絡み合う相互的過程を
最も深く見抜く歴史家のことなのであります。
(P.196)
相互以前および相互作用。
そして事実と価値。
なるほど、こういう冷静さと客観性が
歴史家を歴史家たらしめるのでしょう。
実に面白い。
近代世界における変化というのは、
人間の自己意識の発展にありますが、
これはデカルトに始まると言えるでしょう。
デカルトは、人間というものを、
ただ考えることが出来るだけでなく、
自分自身の考えについて考えることが出来る存在として、
観察の働きをしている自分を観察し得る存在
ーしたがって、人間は同時に思惟および観察の主体であり
客体であることになりますー
として、初めてその地位を確立した人であります。
(P.201)
考えについて考える。
これこそ哲学ですね。
でも最近は受けないでしょうか。
しかし考えについて考えるという習慣は
自分を救うことにもなると思います。
だから私は哲学を学びます。
歴史哲学という領域も非常にためになりました。
科学にせよ、歴史にせよ、社会にせよ、
人間現象における進歩というものは、
もっぱら、人間が既存の制度の
断片的改良を求めるにどどまることなく、
理性の名において現存制度に向って、
また、公然たると隠然たるとを問わず、
その基礎をなす前提に向って
根本的挑戦を試みるという
大胆な覚悟を通して生まれて来たものであります。
(P.232~233)
私たち人類が生存し続けてきた価値というか
意義というのはずっと問われるものですけど、
何も考えずに生きていくより
覚悟を持って挑戦していくほうがいいですよね。
それが歴史になるのだろうな。
そんなことを考えました。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
歴史哲学だけでなく
なんでも哲学的なアプローチは
必要不可欠なのかもしれない。
そんなことを考えました。
私の専門であるキャリアだって
キャリア哲学という言葉があるように
哲学的な探求心はあるに越したことはありません。
また医療哲学という言葉もあるように
医師だって哲学を学んでいる方は少なくないでしょうか。
本書でも頻繁に登場する
そういう哲学家の書籍も今まで読んできたので
何とか言わんとするところが理解できて
なかなか味わい深い1冊でした。
歴史好きで、哲学好きの方には
最適の1冊と言えるかもしれません。
かなり歴史を深掘りすることができました。
理解度はそれほど高くないかもしれませんが…。
それでは、また…。
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