おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
何のために読書をするのか?
そんな理由はひとつやふたつではありませんし
その時々によって異なるのが普通だと思います。
もちろん私自身も様々な理由を持って
それぞれの本を選ぶのですが、
たまには仕事ドンピシャの本も読まねばと思っていたら
こんな本と出会いました。
今回ご紹介する書籍は、
【 2040年の人材ビジネス大予測 】 です。

本書をピックアップした理由
『 2040年の人材ビジネス大予測 』
黒田 真行、神宅 謙一郎
クロスメディア・パブリッシング を読みました。
黒田さんは
この業界の重鎮みたいな位置づけの方ですし
linkdinで繋がっているので
時々は投稿を目にしていました。
独自の視点がユニークでしたので
わりと好意的に捉えております。
神宅さんは存じ上げなかったですけど
お2人ともリクルート出身のようですから
人材ビジネスの黎明期から勃興期を
陰に陽に支えてきた方々なのだろうなと思います。
人材業界に長くいると
必ずと言っていいほど
リクルート出身の方と一緒に仕事をすることがあります。
正直、それがいいとも思えず
優秀な方もいらっしゃるのでしょうけど
私の経験上では
そうではないケースのほうが多かったかな。
大丈夫かな…という若干の不安はあったのですが
せっかく黒田さんが書いたのなら
勉強になることも少なくないだろうと考えて
読み始めたのでした。
目次
感想
う~ん、何でしょうね~。
読みながら、すごく違和感を持ったのですね。
それは何だ?何なんだ?という
疑問を模索しながら読み進めたのですが
いくつか理由がわかりました。
まず横文字多すぎ。
専門的な用語が多すぎ。
一応、私も転職エージェント業界が長いので
私は理解できましたけど
HR業界にいても
わからない人は多いんじゃないですか?
これは業界全体で危機感を持ったほうがいいです。
それだけわかりにくい
世界になっているということですからね。
もうひとつは
人をモノのように扱っている気がしてしょうがない。
「調達」なんて言っちゃダメでしょ。
どんだけ上から目線なんだよ。
ついでに言うと
最近HR業界では「hiring」という用語を
使う人が増えていますが、
私は物凄い違和感を持ってます。
「雇用する」という意味ですが
雇ってやるぜという感じを受けるんです。
人材紹介会社の人が使うと
就職先を決めてやるぜという
上から目線を感じます。
私の思い過ごしならいいですが、
おそらく何にも考えないで
何となくカッコいいからと
「hiring!」と使っている人が大半じゃないかな。
このままだとHR業界は腐っていくんじゃないか?
圧迫面接する企業と同じ穴の狢になりそう。
ま、ちょっと批判的になってしまいましたが
全体的な流れとか、風潮を抑えるには
かなり網羅されているので業界内の人には
勉強にはなるのではないかと思います。
私にとってはタイミーなどは
わりと遠い世界だったので良い学びとなりました。
あとは「indeedPLUS」と「Google仕事検索」のくだり。
このあたりは自社採用以外では
あんまり関わりがなかったので
知識として身につけることができて良かったです。
今後役立つことがあるかはわかりませんが
知っておかねばならないことだと思います。
ただ…
正直、ガッカリするところのほうが多かったです。
後述しますけど
このままでは人材ビジネス業界は
日本社会を悪くしてしまうような気がします。
大丈夫か?というのが本音です。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。
働き方改革を背景に、
副業・複業といったスタイルが当たり前になろうとし、
今まで会社の枠の中で囲われていた
優秀な人材が持つスキルが
市場に解放されるようになりました。
各領域で急速に起こり始めているさらなる進化は、
おそらく求人サービスの在り方そのものの変化を
大きく後押しすると思います。
旧態依然としたサービス形態や業界の在り方が
根本的に変わっていく、そんな予感がします。
しかし、その一方で、
企業の求職者の求人マッチングの根っこにある
「採用活動の本質」「サービスの提供価値」は
変わらないと確信しています。
少なくとも、私がこの世界に入ってから30年以上、
それはまったく変わっていません。
おそらくこの先も変わらないでしょう。
では、この「採用活動の本質」「サービスの提供価値」とは
いったい何なのか?
(P.7)
人材ビジネス業界の最大の欠点は
無理矢理「転職」をさせようとすることです。
いかに「転職」がバラ色かと嘘をつき
何度も「転職」させるために
「求人」で翻弄させて
高条件で釣るという図式。
「優秀な人材」とか言えば
自分も優秀な人材の1人だと思ってしまいますけど
どうですか?
ぶっちゃけ本当に優秀な人材なんて
100人いても1人いるかどうかではないですか?
それが現実ではないでしょうか。
そうなんです
あなたは優秀だから「転職」すべきだという
虚偽に惑わされてるんです。
「転職」とか「求人」ではなく
「キャリア」を考えるべきです。
人材ビジネスをしている人だって
「キャリア」の本質を理解している人は少数派です。
今後100年という時間軸で見たとき、
日本で唯一の資産とも言える人材を
最適配置することが必要です。
これにより、採用サービスや人材サービス業界は、
国にとって不可欠な
「持続的な価値創造のエンジン」としての
役割を果たせるのです。
(P.62)
持続的な価値創造のエンジンとか
こういう言葉を使うことが
人を惑わせているように感じますし、
HR業界の傲慢さの表れではないでしょうか?
それなに?と思っちゃいますし
「人」はエンジンですか?
個々それぞれの生活を軽視していて
採用側の理屈で動いてないかな?
2040年に向けて、
この領域もAIによって
大きな進化が起こることが期待されます。
土中に眠るトリュフを発掘するように、
AIによるマッチングの進化が、
今までは戦力と考えられてこなかった
「潜在ワーカー」「潜在スキル」を掘り出し、
市場に開業していくことでしょう。
そのためには、働く人のキャリアデータだけでなく、
彼らが持つコンピテンシーを可視化し、
データとして取り込む必要があります。
また、マッチング対象となる企業も、
自社に必要なピースを特定し、
事業全体を俯瞰した上で
「人」ではなく
「スキル」をアサインすることが不可欠です。
しかしこういった自身のスキルや企業の需要は、
なかなか自分自身では測りかねるところでもあり、
従来はキャリアカウンセラーや
コンサルタントが活躍していました。
アメリカでは、AIによるマッチングが
勃興し始めています。
そう遠くないと予想されます。
(P.298)
AIは私たちの生活に
益々浸透していくとは思います。
そしてそれはIT化と同じように
私たちはそれほど意識することなく、
様々なシーンで自然と使われていくのでしょう。
しかしその一方で
人にしかできない
人がすべきことが必ずあると思うんですね。
採用シーンでは
求人企業も、求職者も
とにかく楽をしようとし過ぎです。
それがAIによるマッチングであり
リクルート社が進める「Simplify Hiring」
つまり「仕事探しを簡単に」は
リクルートにとっては
大変にメリットのあるものでしょうけど、
私には日本社会全体には
デメリットのほうが大きいように思えます。
本書では退職代行サービスについては
まったく触れられていませんけど、
「仕事探しが簡単に」なればなるほどに
ミスマッチは増えるでしょうし、
もしくはミスマッチと勝手に思ってしまう人は
さらに激増するでしょう。
結果的に退職代行サービスを利用する人は増えて
いつまで経っても定着しない…
そして様々な採用ツールを何度も使う…
永年で使うようになるんじゃないでしょうか?
それはリクルート社をはじめ
人材ビジネスを生業とする企業にとっては
売上増のポジティブな要因ですけど
果たして日本のビジネス界にとって
ネガティブな要素になるのではないかと思うのです。
「キャリア」という用語が
本書でも何カ所か使われていますけど
本当の意味での「キャリア」としては
まったく使われていないんです。
ただマッチングする為の「キャリア」です。
違うと思うんですよ。
個々がスキルアップし、
自分らしくモチベーション高く働くための
「キャリア」でないといけないでしょう。
「仕事探しが簡単に」なることで
多くの人が
キャリアアップをしようとしなくなった結果は
空恐ろしいものではありませんか?
私には人材ビジネス業界が
それを後押ししているように思えました。
それなりに業界内では知名度の高い方らしいですから
本書をお読みになる
人材ビジネス業界で働く人は多いのでしょうけど
ひとつ間違ったら「害」になりかねないと思います。
何でも「簡単に」すればいいものじゃないでしょう。
まして「人」なのですから
もっと深く追求すべきじゃないですか?
便利な世の中と引き換えに
未来が絶望してしまうようではホント困ります。
評価
おススメ度は ★★☆☆☆ といたします。
かなり厳しい評価にせざるを得ません。
表層的なんです。浅いんです。
前述しましたけど
企業の求職者の求人マッチングの根っこにある
「採用活動の本質」「サービスの提供価値」は
変わらないと確信しています。
少なくとも、私がこの世界に入ってから30年以上、
それはまったく変わっていません。
おそらくこの先も変わらないでしょう。
では、この「採用活動の本質」「サービスの提供価値」とは
いったい何なのか?
ここからかけ離れた内容です。
「本質」や「価値」を見失ってしまい
ただ売上が上がればいいという事態に感じます。
人材ビジネス業界で働く人は
本書を反面教師にすべきではないでしょうか?
もちろん幅広く網羅されている点では
学びとなるところもありますけど、
私たちの社会が悪いほうに進むのではないかと
個人的には相当に危惧しました。
人材ビジネス業界は
「虚業」ではなく「実業」であるべきだと思います。
それでは、また…。
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