ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60冊以上の本を通じて、人生や社会の構造を読み解いています。 読書感想にとどまらず、キャリアや人生に彩りを与える言葉を綴っています。読書好きな方と繫がりたい!

動乱期を生きる

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

歴史を振り返れば

どの時代でもロクでもねえところがあり

現代社会にも絶望的になりますけど、

でも、それでも、

それぞれの時代をたくましく生きた人が

新たな社会を切り拓いたのですよね。

 

そんなに大層なことではなくても

誰もが半径5メートルの改革は

実現可能ではないかと思います。

 

そのためにも現状を知り、

時代を読む力は大事になりますね。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 動乱期を生きる 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 動乱期を生きる 』

内田 樹 山崎 雅弘 祥伝社新書 を読みました。

 

敬愛する内田樹さんの新作です。

 

対談相手の山崎雅弘さんは存じ上げませんが

内田さんと対談するくらいの人なら

きっと勉強になることでしょう。

 

内田さんが「動乱期」をどう捉えていて

私たちに「どう生きればよいのか」を

どんな言葉を使って教えてくれるのか。

 

大変に楽しみにしながら読み始めたのでした。

 

目次

第1章 倫理的崩壊の危機

第2章 地に落ちた日本の民主主義

第3章 教育システムの機能不全

第4章 動乱期に入った世界

第5章 自ら戦争に歩み寄る日本

第6章 2024年の衝撃

第7章 思考停止に陥る前にできること

 

感想

さすがの見識です。

 

思想と歴史が交錯するなかで、

「今をどう生きるか」を問いかけられる一冊です。

 

内田氏の哲学的なまなざしと

山崎氏の歴史的知見がぶつかり合い、補い合う。

 

決して楽観も絶望もせず

複雑な時代に対する覚悟を促すような語りに

静かに背筋が伸びる思いです。

 

本書を読めば

よい意味での危機感が芽生えるでしょうか。

 

でもそれがスタートラインですね。

未来を変えるのは

今を生きる私たちだということが

とてもよくわかりました。

 

心が痛い現実が

本書にはたくさん書かれていますけど

覚悟を決めてぶつかるしかありませんね。

 

そうでないと

絶望的な未来が待ち受けているでしょうから。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

「それは個人の感想ですよね?」と返すことで、

言明の適否についての判断を放棄して

相手を切り捨てる手法ですが、

これは単なる思考停止に過ぎません。

どんな科学的仮説でも、

ある意味では「個人の感想」だからです。

宇宙についての絶対的な科学的真理を知っている

ラプラスの魔」のような人間など

この世にはいません。

(P.31)

 

ご存知ひろゆき氏の論法ですが

小学生まで真似するほどに広がっています。

 

個人の感想の何が悪いんだ?

そういうあなたも個人の感想ですよね?と

切り返しに切り返してやればいい。

 

あらゆるものが個人の感想を出発点として

発展への道すじを辿るのだと思う。

 

日本人だからというだけの理由で、

もし外国で「じゃあ、お前は仏教徒だな」と

言われても困る。

僕は神仏習合こそが

日本固有の宗教性だと思っていますけれど、

そういう個人の宗教的な傾向や宗教的な深さは

人種差別主義者の眼には見えない。

集団属性だけで人間を括るというのは、

一人ひとりの生き方の違いを否定することです。

僕がレイシズムについて

最も許し難いと思うのはその点です。

(P.59)

 

否定、非難、批判をすれば

自分の無知や努力不足が許されると思っていて

先手必勝と攻撃的になる。

 

それによってどれだけ大事なものを失うか…

知性や品性が著しく欠けているのが

人種差別主義者と言えるでしょう。

 

そしていつかブーメランになって

自分に跳ね返ってくるのではないでしょうか。

歴史から学ぶ。

 

「管理と創造は食い合わせが悪い」というのは

間違いのない経験的事実です。

管理が過剰になれば必ず創造は枯渇し、

国力は瘦せ細る。

これが今の日本で起きていることだと思います。

(中略)

内心で自分の能力に自信がなく、

失敗を恐れる人間がたまたまトップや

中間管理職になると、

保身のために「過剰な管理」に走り、

組織の活力や創造性を弱らせる結果を生み出します。

(P.93)

 

未来に絶望しかないニッポン。

 

無能が権力にしがみつき

私利私欲の集団を形成し

全体を窮地に陥れる。

 

革命しかないですよね。

まずは選挙からか…。

 

「選択肢はこれしかない」と

ひたすら叫び続けて、

そこに膨大なお金を注ぎ込む。

ポイント・オブ・ノーリターンを過ぎたあとは

「これだけ資源を投じたのに、

 今さら引っ込みがつかない」と言って、

巨大な損害が出ることがわかっていながら、

資源をどぶに捨てるようなことを続ける。

この傾向はインパール作戦と時から変わらない。

(P.118)

 

エリートの救いようのないバカさ加減。

もう30年も失敗しつづけているの

まだ同じことを繰り返す。

 

帝国陸軍と同じ失敗をしているのですから

賢者は歴史に学び

愚者は自らの経験に学ぶという言葉の

正しさがよくわかります。

 

第2の敗戦は刻々と近づいていますね。

外圧でしか変われないのでしょうか。

 

僕はみんなの言語能力を知りたいわけですから、

「好きなことを書いていいよ」という

課題を与えるわけです。

でも、「自由に」言葉を操れる学生が驚くほど少ない。

ほとんど全員が「査定されること」を前提にして

文章を書いてくる。

面白過ぎて目立たないように、

つまらな過ぎて目立たないように、

70点くらいのところを狙ってくる。

そういう文章を大量に読まされると、

本当に中高の国語教育で

痛めつけられてきたんだなと思います。

(P.146)

 

仕方ないですよね…

学校は従順な公務員や

コマとなるサラリーマンを養成することが目的で

政官財から強く要請されていますから。

 

高度経済成長の頃は

それが機能していたのですけど、

完全に時代が変わっても

何も変えることができない文部科学省の政策。

 

少し破壊したのは「youtuber」かな。

もう食べていけなくなってるみたいだけど。

さあ、その次はどうする?

 

日本社会でよく使われる

「合理化」という言葉も、

結局のところ「誰にとっての合理化」なのかを

立ち止まって考える必要があります。

たとえば、「経営の合理化」はほとんどの場合、

経営者にとっての合理化であって、

そのような大義名分で解雇される。

首を切られる労働者にとっては、

そこには何の合理性もないわけです。

そんな風にメディアが人々の思考を

さりげなく「経営者目線」に

誘導していることも問題でしょう。

(P.165)

 

ハッキリ言えば

政官財の癒着以外の何者でもないし、

既得権者の強欲でしかない。

 

合理化ではなく失敗でしょう。

追求されたらマズいから合理化で誤魔化す。

 

そろそろ下々の反乱が必要ですよね。

資本主義はもう限界です。

 

法律なんか守らずに、

人のものを盗んだり、

勝手に人を害する人は

それによって短期的には

自己利益を増やすことができるかもしれませんけれど、

集団の全員が「自分と同じような人間」になった時には

自己利益を安定的に確保することができない。

「自分のような人間」が増えると利益が減る。

つまり、「オレさえよければいいんだ」と言い放つ人は、

「自分のような人間がこの世にできるだけ存在しませんように」と

願っているわけで、

これは自分自身に対する呪いに他なりません。

算盤を弾けば、

「オレさえよければそれでいい」という考え方をする市民が

増えれば増えるほど長期的には集団は滅びに向かう。

当たり前のことです。

公共の福祉を配慮して生きるほうが

長い目で見れば「間尺に合う」。

でも、今の日本では「長い目で見れば」という言葉も

「間尺に合う/合わない」という言葉も

死語になりつつありますね。

(P.173~174)

 

少し長文ですけど

とても大事なことと思い

できるだけわかりやすく載せました。

 

上が腐りきって

下々が生存のために手段を選ばなくなる。

 

それが我が国の現状でしょうか。

バブルがすべてをぶっ壊したのかな。

 

かつての日本は、

ただ戦争をしただけでなく、

人の命を著しく粗末にする形でそれをした。

第二次世界大戦中、

組織的な体当たり自殺攻撃を

繰り返し兵士に行わせたのは、

参戦国の中で日本ただ一国です。

そして、民間人の死傷者を避ける努力も

ほとんどしなかった。

大勢の市民を意図的に殺しました。

なぜそんなことができたのか。

当時の日本国民は、

なぜそんな軍部のやり方を支持したのか。

そして、日本の敗北が明白な状況になっても、

なぜ国民は「もう降伏して戦争をやめましょう」と

言えなかったのか。

いったん日本が戦争の当事国になってしまったら、

こうした検証もできなくなりますから、

その前に議論する必要があります。

(P.230~231)

 

私たちが絶対に忘れてはいけない歴史だと思います。

当時の政治家、官僚、そして軍部の罪は

万死に値するものですし、

実際に東京裁判で裁かれましたが

この裁判自体は理不尽で無効ではありますけど

だからと言って国民を死なせた罪は消えません。

 

そして長く続く自公政権財務省も財界も

同じことをしているように私には見えます。

 

それが失われた30年ではないでしょうか?

 

なぜ世界が

一斉に退行へと向かっているのかと考えると、

理由のひとつは

情報が多すぎる時代になったためではないでしょうか。

インターネットとSNSの普及によって

超情報化社会となった現代の情報量は、

それぞれの人間が処理できる範囲を

すでに超えています。

すると、目の前にあふれる情報を

処理しきれない人間は、

シンプルな答えを求めるようになる。

近代以降の複雑に込み入った背景や

価値観のせめぎ合いはもう全部無視して、

1本の串ですべてを貫けるようなシンプルな話、

自分の代わりにバシッと断言し

決断してくれる強い指導者が欲しくなる。

そんな背景があるように思います。

(P.271)

 

わかりやすいものが

必ずしも正しいわけではありません。

 

むしろ難しいものや

わかりにくいものを

粘り強くわかろうとする姿勢こそが

本来必要なものではないでしょうか。

 

わからないから

わかりやすいものに飛びつくというのは

権力者にいいようにやられる第1歩です。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

現実は辛いですね。

でも目を背けるわけにいはいきませんし、

現実を知ることが

今より少しより良い社会のためには

絶対的に必要なものだと思います。

 

本書は極めて厳しい本です。

だけど真理があるように感じました。

 

このままでは日本社会が

立ち行かなくなるのは間違いないでしょう。

 

このまま失われた40年、50年となるのか。

それとも変えるきっかけを掴むのか。

 

私たちの投票に掛かっています。

私利私欲だけの政官財を駆逐しましょう。

 

それでは、また…。

 

 

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