おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
ずっと昔から変わらないとは思いますが、
私たちの社会というのは
どうも「生きにくさ」が内包されていますね。
人は1人では生きていけないのだから
社会と、他者と、共生しなければなりません。
そうなれば、
何もかも自分の思い通りにはいくなんてのは
やはり幻想だと思いますし、
譲ったり、譲られたり、
優しさに感動したり、裏切りに絶望したり、
信頼が置けたり、不信しかなかったり、
いろんな関係性があるのだろうと思います。
自分と同じ人間なんていませんし、
かなり近いタイプの人でも
厳密には「違い」が必ずあるものですからね。
しかも、それが社会となれば
周囲の何十人、何百人、
もっと広く考えれば何千人、何万人、
さらに大きな括りでは何億人となるわけで、
こうなればゴマンという「違い」と直面します。
この「違い」といかに向き合っていくか。
これこそが「成熟」というものでしょうし、
大人の階段とか、大人の嗜みとか、
もっと言えば生存戦略と言えるかもしれません。
そんなことできないと思ってしまったら
本当にできなくなってしまいますけど、
おそらくほとんどの大人たちは
意識的か、無意識かの「違い」はあっても
対応可能な範囲ではないかと思うのです。
だって人類というのは
こうしてずっと存続しており、
歴史を振り返れば何十億どころか
何千億、何兆という人々が
そうして生きてきたわけですからね。
まあ下手な人はいたでしょうし、
どうしても適応できなかった人もいたでしょうけど
それでも何とか収まりのつくところで
そこそこ何とかしてきたのではないでしょうか。
今回ご紹介する書籍は、
【 謎ルール 10代から考える「こんな社会」を生き抜く解放論 】 です。

本書をピックアップした理由
『 謎ルール 10代から考える「こんな社会」を生き抜く解放論 』
著:高部 大問 監修:内田 樹 時事通信社 を読みました。
正直に言いますと
お!内田樹さんの新刊か、
そりゃ買いだなと早合点して
即、購入してしまいました。
自宅に届き、さあ次の本を読むかと
積ん読本棚を物色して
本書を手に取った際に
ようやく、あら内田さんは監修なの?
内田さんが書いた本ではないの?と気づきました。
まあ、それでも何らかの形で関わっているようだし、
「謎ルール」というタイトルは
なかなか面白そうですよね。
先日、Xにてこんな投稿をしました。
多くの人が 同調圧力のない社会を望んでいるのに、
物凄く強い同調圧力が消えない私たちの社会。
共同体優先から
個々の自立を促す社会に転換せねばならないのでしょうね。
だって成熟社会ですもの。
もう国民的な目標、
みんな一緒なんて幻想なのですし、
共同体こそが同調圧力の根源ですし、
相互扶助的な重要な連帯の部分だけ残して、
思い切って自立型の新しい社会に変えましょうよ。
成熟社会と共同体はミスマッチじゃありませんか?
ギリギリ上手く融合させて、
あとは自立社会を追求する…。
理想論ではありますけど
同調圧力を軽減して
最低限のルールだけにして
自由と責任を個々が持つような社会。
そんな社会になったらいいなと思いながら
よし、じゃあ読むかと思いながら手に取った次第です。
目次
1 私たちが謎ルールに従ってしまうワケ
第1章 他人に振り回される私たち
2 ルールがもたらす功罪
第3章 謎ルールの長所
ーまずまずの安心とそこそこの満足
第4章 謎ルールの短所ー自動で増えない「善」
3 君は謎ルール社会を人間的にどう生き抜くか
対談 内田樹×高部大問
感想
意外と「哲学書」だというのが
最初の感想です。
サブタイトルに
『10代から考える「こんな社会」を生き抜く解放論』と
ありましたので、若干舐めてました。
というか、本書をしっかり読みこなせる10代は
相当のしっかりもので賢い子だと思いますよ。
20代、30代以上でも
本書は結構難しいと感じるのではないでしょうか。
それくらいに哲学的でしたし、
実に多くの本から引用されていましたが
ザ・古典というような
人類が語り継いでいる本も多く紹介していました。
いつの間にか
私はだいぶ読んでいたのが
ちょっと嬉しかったですけど
さすがにうちの娘にはまだ早いです。
本書は「索引」がスゴイです。
こちらだけでも1冊の本になりそうなくらいに
とても充実しています。
読むのに時間が掛かってしまうのですが
内容が実りのあるものなので
しっかりと読み込んでしまいました。
それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。
「歴史は繰り返す」という格言がありますが、
労働問題においては、
歴史は繰り返しているのではないようです。
時代によって伸び縮みしている労働時間が示す通り、
なぜ働くのか、
そしてどれくらい働くのかについて、
人類はまだ最適解を見つけられていないのでしょう。
労働問題は未解決の問題であり、
その意味で、「歴史は続いている」といえます。
どうやら、私たちの謎は
今に始まった現象ではなさそうですね。
そうではなく、現在進行形の未解決問題なのです。
(P.38~39)
労働問題というか
私たち個々が望む働き方の問題だと思います。
間違いなく100年前と比較すれば
働きやすくはなっていますが、
現代日本人の一部は
あまりにも働くことの価値を
見失っているようにも思うのですよね。
そしてそれは本人のためにも
日本社会のためにもなりません。
楽して稼ぐって
やっぱり中長期的には堕落しますしね。
社会契約説の考え方で
フランス革命など市民革命に影響を与え、
近代の道を切り拓いたルソーによれば、
「<市民>とは政治共同体という
分母の上に成り立つ分子」であり、
「<市民>の価値はつねに分母である
政治共同体によって決まる」といいます。
つまり、近代人は先祖たちと比べると
物質的には裕福になったものの、
社会の側があまりに巨大になり、
精神的には貧相になってしまった、ということです。
その後の社会はどうなったでしょうか?
世界が隅々まで接続されるボーダレス化の加速によって、
社会の存在感が益々巨大化する一方、
私たちの存在感は相対的に極小化しています。
拡張する分母と縮小する分子。
対照的な母子関係のなかで、
誠にちっぽけな私たちは、
生を受けた瞬間から
生に飢える運命にあったというわけです。
(P.58~59)
個人と社会。
対政治を問うのもいいですが
この構図自体を問うべきでしょうか。
多数の個々にとって心地よい
全体的なバランスはどこにあるのか?
この落としどころが見つからないと
政治は一部の人のためだけに機能してしまいそうです。
確固たる自分を持つ遊牧民が
絶対的アイデンティティの持ち主だとすれば、
柔軟な定住民は相対的アイデンティティの持ち主といえます。
他人を通して自分の位置や役割を確認する定住民は、
自分のなかに拠り所がなく、
どこか自信なさげというわけです。
(P.64~65)
現代社会を生きる我々は
現代という時代と
人間たちが集まる社会について
もっと深く考察すべきではないかと思います。
それがないと表層的に生きるしか
選択肢がなくなってしまい、
それこそ今だけカネだけ自分だけのように
生きるしかなくなってしまうでしょうか。
自分の存在価値やアイデンティティを持たねば
きっと選択肢に気づけないと思うのですよね。
人類は人口を増やし、
ヒト・モノ・カネ・情報を流通させます。
社会の容積と密度が増すにつれて、
労働はいっそう分割され、
細分化・専門化します。
それは、生存競争がいっそう熾烈になるからです。
社会のなかで生きる人間が増えるということは、
自分と同じような資質・能力を持つ
ライバルが増えるということ。
すると、食っていくためには
どんどんニッチな分野を究めるスペシャリストにならねば、
差別化できないというわけです。
(P.74)
搾取する相手が少なくなれば
資本主義の膨張は止まります。
私たちが社会のなかで生きるということは
資本主義社会のなかで生き延びるということであり、
それは心身ともに厳しくなりつつあるのが現代社会ですね。
さて、これからどういう社会を作っていくのか。
現代を生きる我々次第ということでしょうか。
構図・構造の見極めと
社会の仕組みを知ることが肝要です。
このとき、普段先生や保護者から言われている
「清く正しく」「人に優しく」「自分を信じて」
といった教えや助言は、
残念ながら大した効力を発揮してくれないでしょう。
行動はもはや良心に制約されず、
善悪そっちのけで、
ただ求められるタスクを
ハイスコアでクリアしようと努めます。
まるで、漫画『鬼滅の刃』で
ボスの鬼舞辻無惨からの評価を獲得することに
必死な鬼たち同然ですね。
(P.77~78)
鬼滅の刃は全然わかりませんが
何となく想像はつきました。
私たちはこのまま真っ直ぐに進んで良いものか?
この社会的構図を変える必要はないのか?
『権威と権力』によれば、
相手に強制的に「いうことをきかせる」のは権力であり、
自発的に「いうことをきく」のは権威だといいます。
この考え方を採用すれば、
権力とは服従であり、
権威とは同調です。
(P.93~94)
歴史を振り返れば
権力者はいずれ没落します。
そして権力と戦う人々によって
権力自体を奪われることとなります。
権力者自身も
権力者を利用しようとする輩も
丸ごと破壊されると言っていいでしょうか。
必要なのは「権威」なのですよね。
どんな個人も持ち合わせています。
それは、状況によって
どちらが顔を出すかだけの話。
忘れていけないのは、「性弱説」。
人は状況や環境に
流されがちな弱い側面を有しているのです。
(P.143)
素直にそういうものだなと思いました。
このバランスこそが個性であり
それを元にした行動が本性と言えるかもしれません。
社会的記憶を失ってしまうと、
「そういえばこれってなんのためにあったんだっけ?」と、
屋台骨と小骨の見分けがつかなくなります。
木の幹と枝葉の区別がつかなくなります。
人が入れ替わる学校や会社の「あるある」ですね。
社会も人が入れ替わりますから、
私たちは、ルールの起源を見失い、
思い出せなくなりがちです。
(P.182)
まさに本書のタイトル、
「謎ルール」ですね。
不要になったら廃止する。
時代にそぐわなくなれば
最新のものに変える。
もう少し柔軟であるべきですよね。
起源を探るための手掛かりは、先人です。
先人たちは、説明責任を果たそうと
必死に生き抜いてきたはずです。
ときには声を上げて口で語り、
ときには黙して語らず背中で語ってきたはずです。
テキストは「今、ここ」だけではありません。
「昔、あそこ」にもあります。
生きている人の死んだ声よりも、
死んだ人の生きている声の方が
力強いことは稀ではありません。
(P.251)
賢者は歴史に学ぶというのは
こういうことなのでしょうね。
現代社会では
溢れんばかりの情報を得ることができますが、
そこにある価値はどの程度なのか?
ネットから得ることのできる情報に
私たちがより良く生きるためのノウハウは
果たして本当に存在するのか?
損得勘定に生きざるを得ず、
とにかく得するための情報が多いけど
それは本当に得をするのか?
取捨選択し、判断するのは
私たち個々の価値感がベースになるわけですが、
あまりにも軽薄で、上っ面で、
結果的に損をしている人は多いように思います。
自省と自戒ではありますが。
評価
おススメ度は ★★★★★ といたします。
もともとは、
え?内田さんが書いたんじゃないの?という
著者である高部さんには大変申し訳ないスタートでしたが
心から読んで良かったと思いました。
最後の高部さんと内田さんの対談は
本書のテーマを深掘りするという点でも、
大変に読み応えのあるもので
ああ、やはり内田さんが絡むと
「知」が大きくなるなと感じ入りました。
これだけ「知」が結集されている本は
他にあまりないように感じます。
前述しましたが、
引用のところまで読み甲斐があって
とても良い勉強になりました。
本当にスゴイ本です。
考えるきっかけが満載であり、
自分の人生をより良くするためには
本書に書かれている事象を知っておくべきであり、
生存戦略上でも必須の知識であると思いました。
絶賛おすすめいたします。
それでは、また…。
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