おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
一応、私も経営者の端くれですから
できるだけ経営書、経営本は読んで
勉強は続けています。
しかし、実は、経営者になるずっと前から
なぜか経営本は読んでいました。
当時は自分が経営者になるなんて
これっぽっちも想像していませんでしたから
今、考えれば、なぜなのか?
まったく理由がわかりません。
ただの憧れだったのか、
将来への布石だったのか、
導かれるように学んでいたのか、
当時は全然わからなかったのですが
やはり経営に対しての興味は
昔からあったように感じます。
弊社はクリニックの開業支援をしておりますが
開業を目指した理由とか、きっかけを伺うと
意外と前々から開業したかったというよりも、
何かのきっかけで
急に開業したくなったケースのほうが多いです。
人生というものは
ホントわからないものです。
でも、可能性は無限大です。
やろうと思えば何でもできる。
自分に経営は無理だとか
自分には合わないとか
そういう気持ちもわかりますし、
それは現段階では本音であり
事実なのかもしれませんけど、
あくまでも現段階であり、
5年先、10年先も今と同じとは限りません。
だからこそ、何でも学んでおくことが
とても大事になるのだと思います。
今回ご紹介する書籍は、

本書をピックアップした理由
南場 智子 日本経済新聞出版 を読みました。
こんなことを言ったら申し訳ないのですが
私はDeNAさんには興味がないし、
サービスを利用したこともないし
検討すらしたこともありません。
野球好きなので
それ以外との関わりはほとんどありません。
しかし、なぜか、この南場さんだけは
気になる存在なのですね。
変にガツガツしていないというか
ちょっと心に余裕があるというか
女性らしさなのかもしれませんけど、
立ち居振る舞いが素敵だなと思っています。
本書の存在を知った時には
あ、南場さんを学ぼうと思い
すぐにポチッと購入しました。
きっと学ぶところは多いだろうなと思いつつ
楽しみにして読み始めたのでした。
目次
第1章 立ち上げ
第2章 生い立ち
第3章 金策
第4章 モバイルシフト
第5章 ソーシャルゲーム
第6章 退任
第7章 人と組織
第8章 これから
感想
うん、面白い。
自慢話というよりは、
むしろ南場さんの失敗体験や
苦労したところ、悩ましかったところ、
そういうリアルな声を知ることができて
大変に勉強になりました。
事業としては
私とは全く異なるのですけど
旧態依然とした経営者とは一線を引く
素晴らしく新たな経営者像であると感じました。
DeNAが成長した理由もよくわかります。
南場さんのブレーンがとても優秀で、
そういう方々を上手にマネジメントしたこと。
そして女性ならではの視点で
とてもしなやかで、柔軟な姿勢こそが
令和の時代の経営者として
必要不可欠なのかもしれないとも思いました。
経営に正解はないと思いますけど
南場さんの思想や行動は
今の時代に合っているようです。
私自身は男性ですし
年齢的にも旧世代に属するわけですが、
南場さんと同じことはできないまでも
そのエッセンスは吸収したいと
素直に学ばせていただきました。
それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。
あのときあのまま辞めていたら、
もしかしたらどこへ行っても
「ここでもダメなんじゃないか」とすぐに諦めてしまい、
次から次へと転職を繰り返す
ジョブホッパー(job hopper)になっていたかもしれない。
本当に、紙一重なんだなぁと思う。
きわどいところを救ってくれた
上司と運のめぐり合わせに、
どれだけ感謝しても、し足りない気持ちだ。
同様に、今仕事がうまくいっていない社員がいたとしても、
カチッと何かが符号すれば、
見違えるように伸び伸び活躍しはじめる可能性があるわけだ。
はじめからデキるスーパースターばかりに頼るのではなく、
人の力を信じて引き出せる会社にしていきたいと思うのは、
このときの経験からだ。
(P.64~65)
これは南場さんが
前職のマッキンゼーで窮地に陥り、
何とか踏ん張れた時の感想です。
今は大成功者の南場さんでも
長いキャリアのなかでは苦労することもあり、
それも辞めるかどうかまで追い込まれたのですね。
昨今では、嫌なら辞めていいという
無責任なアナウンスが増えていますけど、
そのすべてが間違いだとは思わないけど、
なかにはもう少し踏ん張ることで
ブレークスルーがやってくることは
確実にあると思うのです。
辞めて、次の職場に行けば
バラ色の世界が待っているなんてことはありません。
自分のキャリアに照らし合わせて
辞めるべきか、留まるべきか、
きちんと両論併記して
慎重に考えるのがよいのだろうなと思う次第です。
コンサルタント時代は、
クライアント企業の弱点や
できていないところばかりが目についてしまい、
大事なことに気づかなかった。
普通に物事が回る会社、
普通にサービスや商品を提供し続けられる会社というのが、
いかに普通でない努力をしているか。
(P.93)
私もコンサルタントの1人として
とても強く共感しますし、
私も経営者の1人として
さらに深く共感できます。
偉そうなコンサルタントがダメな理由のひとつです。
机上の空論のような仕組みやシステムで
すべては解決しません。
もっと現場を見ないと
大事なものを見失いかねませんね。
ダメなコンサルタントなら
スパッと斬ったほうがよいと思います。
体制が整う過程の途上にあるベンチャーには、
絶対にやらなければならないが
誰もやる人がいないという仕事が
次々に湧いてくる。
できる人がいない、
皆忙しすぎる、
想定外で担当が決められていない、
狭間に落ちる……、
そんなことがとにかく多いのだ。
複雑なプロジェクトの管理など
極めて高度な仕事のこともあれば、
作業的で地味な仕事の場合もある。
川田はそれを全部拾った。
(P.129)
よくわかります。
この川田さんという方は
南場さんにとって
本当にありがたい存在だったのでしょうね。
昨今では、何だかんだとやらない理由ばかりを
述べる人が増えていますけど、
それも本人の選択であるとは思いますけど
重宝される人ってそういう人ではないのですよね。
この意思決定については、
緊急でない事案も含め、
「継続審議」にしないということが
極めて重要だ。
コンサルタントから経営者になり、
一番苦労した点でもあった。
継続審議はとても甘くてらくちんな逃げ場である。
決定には勇気がいり、
迷うことも多い。
もっと情報を集めて決めよう、と
やってしまいたくなる。
けれども仮に1週間後に情報が集まっても、
結局また迷うのである。
そして、待ち構えていた現場がまた動けなくなり、
ほかのさまざまな作業に影響を及ぼしてしまう。
(P.198)
本当に共感できます。
私はクリニックの開業支援も行っていますから
時々、自分は経営者に向いていますか?と
ご質問をいただきます。
ぶっちゃけて言いますと、
経営者なんて誰にでもできます。
やりたいならやればいいと思いますし、
医師になれるような能力があるならば
必ず立派な経営者になれます。
ただ、ひとつだけ、お伝えしたいのは
決断できない人はやらないほうがいいです。
経営者の最重要な仕事は
「決断」することなのですから。
もし将来起業することを知っていたら、
コンサルティング会社ではなく、
事業会社で修行したかった、というのが
私の偽らざる本音である。
ところが巷では、
将来事業リーダーになりたいので、
まずコンサルタントとして勉強する、という
考え方が幅を利かせているらしい。
コンサルタントは言う人、手伝う人であり、
事業リーダーはやる人だから、
立場も求められる資質も
極端に異なることは
理解に難くないにもかかわらず、
誤解がはびこっていることは嘆かわしい。
(P.201)
事業リーダーを管理職とするなら
経営コンサルタントの経験は活きると思いますけど
経営者とするなら
南場さんが言う通り
真逆であると思います。
意識を改革しないと
コンサル出身の経営者は
もだえ苦しむことになるのではないでしょうか。
南場さんについていきます、と言われたら
全力で断る。
自分を誰かに従属させたり、
誰かひとりに惚れ込んで
進路を決めたりするのはやめたほうがよい。
ついていきたいなどと思ったリーダーも
よくよく知るとたいした人でないことが多いし、
何より、人は人についていかないのだ。
(中略)
DeNAでは、
「誰が言ったかではなく何を言ったか」
という表現を用いて、
「人」ではなく
「コト」に意識を集中するように
声を掛け合っている。
(中略)
「経営課題の前に階層なし」である。
(P.221~222)
そうあるべきなのだろうなと思います。
そしてキャリアや人生においては
主導権を持つことが最重要なのだとも思います。
自分の人生を
誰かに委ねるなんて情けない話です。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
本書は華やかな成功譚ではなく、
泥臭い実装と決断の連続を
〈不格好〉と呼び切る経営の記録です。
人に惚れず、コトに向き合い、
継続審議を捨て、凡人の力を束ねる。
正解より前進、理屈より現場。
私たちも自社の文脈で、
選んだ道を良くするための一歩を
今日すぐに決めたい。
ベンチャーも医療も、
求められるのは“言う人”ではなく“やる人”。
失敗を燃料に、
意思決定と実行で価値を届ける。
『不格好』で良い。
誠実に、速く。
それが組織を強くし、社会を前に進める。
経営書として学ぶところは多く、
そして何より「人」を大事にしている社風が
とても素敵だなと思いました。
それでは、また…。
<ジーネットが発信する情報提供サイトはこちらです!>
・ジーネット株式会社 公式ホームページ
・医療ビジネス健全化協議会<IBIKEN>ドクター向け情報提供サイト
・ジーネット株式会社 <社長のtwitter>
・ジーネット株式会社 <社長のfacebookページ>
