ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60冊以上の本を通じて、人生や社会の構造を読み解いています。 読書感想にとどまらず、キャリアや人生に彩りを与える言葉を綴っています。読書好きな方と繫がりたい!

老いのレッスン

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

人間、誰もがいつかは老います。

そして確実に死にます。

 

生物として当たり前のことが

現代社会では

無意識になっているように見えます。

 

これだけ高齢者が溢れているのに

思いやりの心を持っている人も

何となく少なくなっているようにも感じます。

自省も込めてですが…。

 

私もまだまだ若いと思ってますけど

いつの間にかもう56歳になりまして、

老いのすぐ手前まで年を重ねてきています。

 

この先の10年、20年をどう生きるか?

いつまで仕事はできるのか?

心身に不調はこないのか?

 

何だか、いろいろ思うところはありますし、

高齢化社会のわりには危機感というか、

現実を直視している人は少ないのかもしれません。

 

もう経済も持たないでしょう。

そんな未来へ備えが必要です。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 老いのレッスン 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 老いのレッスン 』

内田 樹 大和書房 を読みました。

 

内田樹さんの新著です。

発見して、すぐにポチッと購入しました。

 

前述したように

私もそれなりの年齢になってきていますので

内田さんの語る「老い」ならば

是非読んでおきたいと思った次第です。

 

内田さんは1950年生まれ。

もう75歳です。

 

私なんぞよりも

いよいよ切実であるでしょうし、

内田さんの知性が

「老い」や「死」に対して

どんな考えを導き出すのか。

 

大変に興味を持ちながら

楽しみに読み始めたのでした。

 

目次

1「老い」を忌み嫌う時代に

 Q.老いることは悪いことなのでしょうか……?

 

2 長持ちする身体のつかい方

 Q.老いると体はどう変化するのでしょうか……?

 

3 親の老いとの向き合い方

 Q.老いる祖母に対して、後ろめたさがあります……

 

4 死について考えることは生を豊かにする

 Q.「供養」とは何なのか、よく分かりません……

 

5 人生は思い通りにいかないけれど

 Q.人生に行き詰まった時、どうしたらよいのでしょうか……

 

6 人を育てる、たった一つの大切なこと

 Q.年下への接し方が分かりません……

 

7 「ほんとうの友だち」とはなにか

 Q.友だちと疎遠になり、さみしいです……

 

8 いい人間関係のつくり方

 Q.どうすれば、長く続く人間関係を築けるのでしょうか……?

 

9 「天職」の見つけ方

 Q.いまの仕事を続けていてよいかわかりません……

 

10 いまの時代に「結婚」は必要か

 Q.「結婚」に意味を見出せません……

 

11 子育て困難な時代で、子を持つこと

 Q.子を持つことが不安です……

 

12 「死」という難問

 Q.いずれ死ぬという現実にむなしくなります……

 

あとがき

 

感想

少子高齢化が進む一方の日本社会。

 

いつの世も

ジェネレーションギャップはあったものの

現代ほどかけ離れしてしまったことは

過去なかったように感じます。

 

誰もが老いるけれど

老いた人が権力を独り占めにして、

いつまでも手放さずに

若者を絶望させているのは

実に嘆かわしいことです。

 

こんな世の中だから

老害」なんていう言葉が頻繁に使われて、

でも、張本人たちは「老害」だと思わないどころか、

世のため人のためになっているとすら考えています。

 

経済成長が止まり、

これだけ活力を失った社会の責任は

いったい誰にあると思ってるのでしょうか。

 

もちろん高齢者のすべてを批判するつもりはなく、

なかには人格者や人徳のある方もいらっしゃいます。

 

しかしこういう人たちは

きちんと一線から退けるので、

もう社会の中枢にはいないでしょう。

 

70歳とか、80歳になって、

今だに現役とか、迷惑極まりないです。

 

こういう奴らに平身低頭している人間は

社会悪と断定せざるを得ません。

 

とまあ、ちょっと過激なことを申し上げましたが、

そこはさすが内田樹さん。

 

私のような考えを持つ人間も

圧倒的な「知性」と「経験」で

優しく包んでくれました。

 

こういう老人には素直に頭が下がりますし、

心からの敬意を表します。

 

とにかく「謙虚」であり、

「自然体」であり、

この国の未来のために「反対給付」をしてくれます。

 

その前提には「知性」や「知恵」があり、

「知識」というベースがあることを痛感します。

 

こういう高齢者ばかりだったらいいのにと思いながら

現実的には「オレを敬え」「オレはカネを持っている」

「オレ様に席を譲れ」「オレの言う通りにしろ」という

欲望だらけのクソジジイ(失礼)が多い現実に

正直、辟易としますね。

 

問題は、自分が段々と年を取ってきたときに

内田さんのようになれるのか、

それともクソジジイになってしまうのかでしょう。

 

本書を読んでおけば

ナチュラルな「老い」ができそうです。

 

現実を素直に受け入れて、

社会に感謝しつつ

小さなお返しをしながら亡くなっていく。

 

こういう人生は最高と思いますし、

自分はそういう道を歩みたいと思いました。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。

 

柳生宗矩の書いた「兵法家伝書」には

「機を見る 座を見る」ことの大切さが説かれています。

そこには、人がトラブルに巻き込まれるのは、

「いなくてもいい時」に

「いなくてもいい場所」にいて、

「しなくてもいいこと」をするからだと書かれています。

場違いなところにいて、

場違いなことを言って、

それが祟って命を落としたやつがいくらもいる。

だから、武道の要諦は

「そういうところにいない」ことなんです。

それに尽きる。

(P.17~18)

 

内田さんの著書を読んでいると

何度となく出てくるフレーズです。

 

しかし、それだけ大事なことでありますし、

「老い」という観点で考えれば

若い頃と比較すれば

小さな失敗も痛手となりますし、

心身の消耗も大きくなるばかりでしょう。

 

年を取れば取るほどに、

「いるべきところ」を大切にしたいですね。

 

でも、この「医学の進歩のおかげで、

私はほんとうなら死んでいるはずなのが、

まだ生きている」というのは、

自己認識のあり方としては大切だと僕は思います。

大切というか、貴重だと思います。

だって、そんな特殊な自己認識を持つ機会は、

医学が未発達だった時代にはなかったんですから。

もしかすると、医学の進歩が

人類にもたらしてくれた最大の贈り物は

「長生きできるようになった」ということではなくて、

「死んでいるはずなのにまだ生きている」という

それまではまず経験することのできなかった心的状態を、

多くの人が日常的に経験できるようになったことではないか、

そんな気がします。

(中略)

生きているのは自分の手柄じゃない。

「みなさんのおかげ」だという認識を持つことは

とても大切なことじゃないかと思います。

「死んだはずがまだ生きている」というのは、

今はもう「余生」だという意味です。

天から贈られた「ボーナス」だということです。

そういうふうに自分の今を認識することができたら、

ものの見方はずいぶん変わるんじゃないでしょうか。

少なくとも僕は変わりました。

今生きているのは「贈り物」なのだとすると、

贈与論のルールに従うならば、

僕には「反対給付義務」が発生する。

「お返し」をしないといけないということです。

(P.38~39)

 

少し長いですが、

年を取るということの本質と

その時にどうすべきかという大事な点が書かれており、

私自身も頭に叩き込んでおきたいなと思いました。

 

高齢者のハラスメントとか

いい年をして強欲で、カネカネ言っている人は

本当に恥ずかしい人間だと思います。

 

今まで生かしてくれて有難うと感謝して

後世に何か小さなものを残してあげる。

そんな年寄りになりたいものです。

 

もう僕には「寄り添う」老親はおりませんけれども、

それでも機会があると親たちのこと、兄のことを語ります。

それは彼らは「こういう人だった」という

客観的事実の報告であるというより

彼らは「こういう人だと思われたかった」という

主観的願望の記述にいささか傾いた懐旧談です。

でも、供養というのは

そういうものだと僕は思います。

(P.56~57)

 

なるほど、実に深い考察です。

 

私なんぞはどうしても

「こういう人だった」で語りがちですが、

それでは供養にならず

時には批判的になるやもしれません。

 

それよりは「こういう人だと思われたかった」のほうが

その人の生き方を現わしていて、

供養につながるように感じました。

 

「老い」は「回復」しないんです。

できるのは、その進行のスピードを遅らせることだけです。

遅らせることで時間を稼いで、

その時間を使って「老い」と折り合って行く

手立てを考案する。

できるのはそれだけです。

老いとは「折り合う」ことしかできません。

老いを「治療」の対象だと考えてはいけません。

「老い」を「病」と同カテゴリーのものと考えると、

エンドレスの苦役を引き受けることになります。

(P.83)

 

ものすごい達観であり、

そして真理だとも思いました。

 

事実、我が国の医療現場では

「老い」を「回復」させようとして

問題を複雑化してしまっていますよね。

 

この達観は全国民が知るべきですし、

そうでないと国が持たないとも思いました。

 

お互いに頼んだことは断らない。

約束したことは守る。

僕は友情が持続するためには

それで十分だと思うんです。

(P.117)

 

内田さんの友情論ですけど、

これは友人だけではなく、

結婚相手とか恋人も

会社の上司や同僚、部下でも、

あらゆる人間関係の根幹ですね。

 

別によい関係性を築きたくない相手ならば

気遣いも、心配りも不要ですが、

よい関係を築きたいならば

これが出発点のように感じました。

 

シンプルでよいですね。

 

いつかはこの楽しみも終わると思うから

楽しいんです。

始まったものは必ず終わる。

だから、終わりの接近をカウントダウンで

感じながら経験する。

それが「味わい」をより深く、

奥行きのあるものにしてくれる。

そういうものなんです。

(P.186)

 

とても大事な達観だと思います。

始まったものは必ず終わる。

 

今を生きる私たちは

「死」を認識することで

今を充実したものにできる。

 

いつまでも今が続くと思ったら大間違い。

 

いつか終わりが来るのだから

今に対しても一生懸命になれるのですよね。

そうしみじみ思いました。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

途中、「老い」から離れてしまって、

人間関係や結婚、仕事など

えー、そっちに脱線してしまうの?と…。

 

質問者はそっちに導くのではなく、

もっと「老い」に対して追求してくれよと

思うところもありましたが、

おそらく質問者はお若いかた…。

(31歳だそうです)

 

まあ、これは致し方ないですし、

取り上げたテーマはすべて人生なんだから

「老い」のプロセスとしてはありかと思ったり。

 

ただ、今を生きる私たちも

みな、すべからく「老いる」わけですから

「老い」とはなんだ?と考えること自体が

そのまま「老い」への備えとなりそうです。

 

56歳の私にとっては

とてもよい準備となりました。

 

それでは、また…。

 

 

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