ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60冊以上の本を通じて、人生や社会の構造を読み解いています。 読書感想にとどまらず、キャリアや人生に彩りを与える言葉を綴っています。読書好きな方と繫がりたい!

新版 キャリアの心理学 キャリア支援の発達的アプローチ

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

先日、Xで下記の投稿をしました。

 

バブル経済が崩壊し、我が国の経済は

悪化の一途を辿ることになったわけですが、

そのぶん個々人にとっての働く意味や

価値が問われ出して

「キャリア」という概念が広がったようにも感じます。

 

護送船団方式から

自己決定、自己選択、自律性、主体性、主導権などが

必要となったのです。

 

確かに右肩上がりの経済成長のころは

別にキャリアなんて考えずとも

社会全体が昨年より今年、今年より来年と

年々、暮らしぶりもよくなりましたから、

基本的には会社に所属さえしていれば

大きな問題にはなりませんでしたね。

 

良くも悪くもですが、

終身雇用制は機能していましたし、

年功序列でも何ら問題はありませんでした。

 

しかしバブルが崩壊して以降、

失われた30年と言われるほどに

我が国の経済は右肩下がりとなり、

寄らば大樹も通用しなくなって

私たちは自分の身は

自分で守らねばならなくなりました。

 

キャリアを考えたほうがよいのは、

こういった社会的な変化が根底にあります。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 新版 キャリアの心理学 

  キャリア支援の発達的アプローチ 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 新版 キャリアの心理学 

  キャリア支援の発達的アプローチ』

渡辺 三枝子 編著

大庭さよ・岡田昌毅・黒川雅之・中村恵

藤原美智子・堀越弘・道谷里英

ナカニシヤ出版を読みました。

 

私が人材紹介という仕事に従事するようになって

早くも21年が経ち、22年目に突入しています。

 

思えば遠くへ来たもんだという感じですが、

あっという間といえば確かにそんな感じです。

 

イチ営業マンからスタートして、

マネジメントや経営者まで

実にさまざまなポジションで

経験を積むことができました。

 

ですが、キャリアの世界というのは

まさに日進月歩で進化します。

 

そりゃそうですよね。

時代も、社会も変わるのですから

それに合わせて進化しなければなりません。

 

とはいえキャリア本というのは

私から見ると稚拙なものも少なくないのですが、

本書の存在を知ったときには

何となく勘が働いて

これは読んでおかねばならんと思ったのです。

 

学ぶ気満々で読み始めた次第です。

 

目次

序章 キャリアの心理学に不可欠の基本

第1章 ドナルド・スーパー

   :自己概念を中心としたキャリア発達

第2章 ジョン・ホランド

   :環境との相互作用によるキャリア行動の発達

第3章 ジョン・クランボルツ

   :学習理論からのアプローチ

第4章 ハリィ・ジェラット

   :キャリア発達における意思決定

第5章 エドガー・シャイン

   :組織内キャリア発達

第6章 ナンシィ・シュロスバーグ

   :人生上の転機(トランジション)とその対処

第7章 ダグラス・ホール

   :関係性アプローチ

第8章 サニイ・ハンセン

   :統合的キャリア発達

第9章 マーク・サビカス

   :キャリア構築理論

第10章 新しい潮流

   :カオス理論の応用

結び:外国で育った理論の理解の困難さの再認識

 

感想

上記の目次をご覧になればおわかりの通り、

キャリアの世界では名の通った方々を

客観的に分析してくれています。

 

やや学術的に過ぎるところはありますが、

私のようにキャリアの世界で生きている人間にとっては

参考になるところが多いです。

 

ただ、これを自分なりに解釈して

実地で活用するのは難しそうです。

 

おそらくキャリアコンサルタントなどの有資格者でも

教科書的に学ぶことはできても、

真の意味での有効活用は難易度が高いでしょう。

 

一般の方にとっては

なかなかハードルが高いと思われますが、

いわゆるキャリアの専門書という枠組みなので

これはいたしかたのないところです。

 

是非下記など参考になさってください。

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。

 

キャリアは焦点の当て方によって異なる側面を見せるので、

時代によって、理論家によって

キャリアは異なるという印象を与えるのではないであろうか。

キャリアが多面性をもつものであるとしたら、

時代背景や提唱者の背景を統制して、

キャリアの概念を

正確に把握することは重要なのではないだろうか。

(中略)

具体的には表現されていないが、

「キャリア」以外の言葉でしか

表現できない意味が含まれているのである。

別の言い方をすれば、

あえて表現しなくても、

キャリアという言葉を用いることによって

意味される概念があるということである。

(P.12)

 

やはり、キャリアとは何ぞや?という問いに対して

自分なりの答えらしきものが欲しいですね。

 

ただ、それは厳密である必要はなく、

そもそもキャリアという言葉自体が

多義的であるのだから、

ある程度ふわっとした感じでも良さそうです。

 

私はキャリアとは「スキル」と「経験」であると定義し、

キャリアプラン3箇条として

・中長期的な視点を持つこと

・自分らしいオリジナリティを持つこと

・ライフプランをベースにすること

という3つの概念をブログに書き続けています。

 

悪くないなと思いました(笑)。

 

ライフスペース(ライフ・キャリア・レインボーの役割軸)は、

仕事に関するものだけではなく

個人の人生における役割全体を描写している。

スーパーは、キャリアを単なる職業だけでなく、

個人が経験する多様な役割と、

その取り組み方によって構成されるという立場に立つ。

(P.38)

 

キャリアを表層的だったり、

一義的に捉えてしまうと

つまらない人生になってしまうと思います。

 

やはりより良い人生のためのキャリアですよね。

 

キャリア発達のアプローチに立つ人々が

キャリア成熟の概念を用いて言おうとしていることは、

自分の類型論で説明できるという仮説を提示している。

つまり、キャリア成熟の概念は、

ある年齢において期待される

職業行動を取れる状態になっているかどうか、ということ。

もう少し具体的に言えば、

職業・進路を選択しなければならない状況にあるときに、

みずから選べる準備態勢ができているかどうか、

という課題に関係する概念である。

(P.58)

 

当然のことながら

キャリアは年齢と深く関わります。

 

年齢というか、年代のほうが

私はしっくりくると考えていますし、

個々で早い遅いがあっても何ら問題ではありません。

 

ただ私が個人的に思うのは、

20代のキャリアは誤差の範疇であり、

30代が準備と種まきとして最適であり、

40代から花を開かせ

50代で頂点に立ち、

60代からは手放すフェーズに入っていく。

 

ざっくりですけど

こんな感じで考えています。

 

孔子の30にして立つ、40にして惑わず、

50にして天命を知るというのも

ちょうど合致するでしょうか。

 

環境的状況や環境的出来事とは、

個人のコントロールを超えている出来事であり、

社会的力、政治的力、経済的力といったものである。

(P.80)

 

キャリア人生は長いです。

不測の事態も起こるでしょうし、

自分ではどうしようもできないことも

かなり多いと思うんですね。

 

でも、これは良い面も悪い面もあるわけですから、

ある種の達観をしながら前に進むしかありません。

 

キャリアを捉えるときには

「外的キャリア」と「内的キャリア」の

2つの軸から捉えることができる。

(P.115)

 

とてもシンプルな構図ですが、

これはキャリアを考えるにあたって

非常に重要です。

 

昨今では、「外的キャリア」ばかりが優先されて、

「内的キャリア」が軽視されていることが多いです。

 

だからモチベーションが下がってしまうんです。

個人の生き方の問題でもありますけど。

 

「成人の行動を理解したり見定めたりするためには、

 それぞれの人が自分の役割、人間関係、日常生活、

 考え方を変えてしまうような

 転機それ自体に注目することが重要である。

 そして、どんな転機でも、それを見定め、点検し、

 受け止めるプロセスを通じて乗り越えていくことができ、

 また、この転機を乗り越えるための資質は、

 4つのS、すなわちSituation(状況)、

 Self(自己)、Support(周囲の援助)、

 Strategies(戦略)に集約される」ということである。

(P134~135)

 

私の初の著書は、

「医師人生の分岐点で判断を誤らないキャリア戦略」

というテーマにしました。

 

gnet-doctor.com

 

常日頃からキャリアを考えるのは

そういう職業の人だけで十分です。

 

一般の方は、「分岐点」で考えればいいのですが、

ただし、分岐点で判断を誤らない

戦略や戦術は身に付けておいたほうが無難です。

 

「キャリア」とは何を意味するのだろうか。

(中略)

独自のキャリアの定義を提唱している。

・キャリアとは成功や失敗を意味するのではなく、

 「早い」昇進や「遅い」昇進を意味するものでもない。

・キャリアにおける成功や失敗は

 キャリアを歩んでいる本人によって評価されるのであって、

 研究者・雇用主・配偶者・友人といった

 他者によって評価されるわけではない。

・キャリアは行動と態度から構成されており、

 キャリアを捉える際には、

 主観的なキャリアと客観的なキャリア双方を

 考慮する必要がある。

・キャリアはプロセスであり、

 仕事に関する経験の連続である。

(P.146~147)

 

多義的なキャリアを

自分らしく「解釈」していくという

このプロセスが大事であると思います。

 

本来は、ざっくばらんな会話のなかで

いろんな方とキャリアについて語れるのがベストです。

 

日本にはキャリアの専門家が少ないですし、

ビジネスに結び付けようとする人が多いので要注意です。

 

キャリア・カウンセラーの仕事は、

人生を見通すことであり、

1つの人生テーマを将来へと展開することだと主張している。

(中略)

キャリアは、親、社会、環境、性別、年齢、

政治経済、興味、能力、地域など、

種々の出来事の影響を受ける。

このような要因は、予測不可能であり変化する。

キャリア・カウンセラーはこの複雑さを考慮し、

クライアントが人生に与えられた

さまざまな影響に目を向けるよう促さなければならない。

(中略)

キャリア・カウンセラーは、

クライアントがチャンスを探し、

それを活かすことができるように促すことが望ましい。

(P.203、205)

 

我が国ではキャリアコンサルタントが国家資格となり、

一時期は多くの方が受験し、資格を取りました。

 

しかし本当の意味でキャリアカウンセラーとして

クライアントのために機能しているかは疑問です。

 

みなプライドだけは高いですが、

本人のキャリアが不安な人が多い印象です。

 

キャリアと人生は切っても切り離せないので、

資格や知識の問題というよりは、

本人の人間力、総合力の問題ではないでしょうか?

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

もともとキャリアカウンセラー向けに書かれた本であり、

理論や理屈が中心の書籍です。

 

私の場合は実務が先行しており、

現場でのさまざまな経験が言語化できたという点、

また私自身の感覚がキャリアの世界で

大変に著名な先駆者たちと

意外と近いものであったということで、

少し自信を持つことができました。

 

一般の方が読むのには

ちょっと難儀なところがあるかもしれませんが、

キャリアの勉強としては有用な1冊です。

 

逆に言うとキャリアの世界、

特に転職支援に携わる人にとっては

必読の書なのだろうなと思います。

 

それでは、また…。

 

 

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