おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
未来予測というのは
誰にでもできることですし、
多少なりとも知識や経験があると
それなりのレベルの話ができますよね。
でも、一見正当性のありそうな話でも
だいたい間違っているのが現実ではないでしょうか?
そりゃたまたま当たることもあるとは思いますけど、
それはただの偶然であって
その人がすごいということにはならないと思います。
別に未来を当てたからといって、
すばらしい人生が待ち受けているものでもありませんし、
未来を外したからといって、
絶望の人生になるわけでもありません。
ただ、学び、未来を予測すること自体には
何らかの価値があると思いますので、
自分のつまらない考えではなく、
実績、信頼、安心のある有識者の未来予測を
知っておいたほうがいいのではないでしょうか?
今回ご紹介する書籍は、
【 何もない空間が価値を生む AI時代の哲学 】 です。

本書をピックアップした理由
『 何もない空間が価値を生む AI時代の哲学 』
オードリー・タン 語り アイリス・チュウ 著
文藝春秋 を読みました。
オードリー・タン氏の本は
下記を読んだことがあります。
そして落合陽一さんの著書でも対談をされており、
とても興味深く読みました。
ひと言で申し上げれば、
学ぶところが大きい人であり
オードリー・タンの発想や思考は
これからを生きる私たちにとって、
参考になるところが大であると考えています。
本書はたまたま出会ったのですが、
「何もない空間が価値を生む」というタイトルが
何だかいいなと思いまして。
久しぶりにオードリー・タンの考えに触れたくて
楽しみにしながら本書を手に取ったのでした。
目次
第1章 経験する
第2章 学ぶ
第3章 働く
第4章 ネット上を生きる
第5章 AI時代の哲学
感想
最初はオードリー・タン氏の
自叙伝のような展開です。
子どもの頃から
普通の子とはちょっと違う
変わったところがあったようです。
まあ、天才というのは
そういうものとも言えるでしょうか。
そして成長するとともに、
才能は徐々に発揮されていくわけですが、
根底にある「価値観」の問題が
とても大きいように感じました。
この方は天才でありながらも
とても性格の良い人のようです。
台湾の天才というよりも
世界を変える可能性のある天才と言えるでしょう。
結局、過去の踏襲を
当然だと思ってしまうようでは、
人と違うことはできないのですね。
結局、過去の踏襲を
「当たり前」と思っている限り、
オードリー・タンのような生き方や
仕事の仕方にはたどり着けないのでしょうね。
本書を読んでいて感じたのは、
彼女は決して「奇抜なこと」をしているのではなく、
前提条件を一度フラットにしてから
「本当にそうでなければならないのか?」と
丁寧に問い直しているように見えます。
日本社会はどうしても前例踏襲・慣習重視になりがちで、
医療や介護、行政の世界ではなおさらだと思います。
だからこそ、オードリー・タンのように、
一度立ち止まって「空白」をつくり、
そこに新しいルールや合意の形を描き込んでいく姿勢は、
これからの私たちにとって大きなヒントになります。
未来を「当てる」ことよりも、
未来を「どう設計するか」「どんな前提で合意をつくるか」。
その視点を強く突きつけられた一冊でした。
それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。
『道徳経』には、
「粘土をこねて器を作る。
そこに空洞があるから、
器としての役目を果たす」とあります。
陶土を焼いて器にしたときに、
中に空洞がないと物を入れられません。
つまり、価値を生み出すのは
中の空洞であるということです。
そこで老子は、
一見無駄に思える空間があってこそ、
有用なものが生まれると結論づけています。
(P.10)
オードリー・タンは5歳のときに、
老子を読み、悟りをひらいたらしいですよ。
なんたることか。
価値を生むのは空洞、空間。
余裕のない現代人は
身につまされるところがあるのではないでしょうか。
いわゆる「批判的思考」とは、
相手の主張の穴や
間違いを見つけて批判することではなく、
「それが正しいとしたら、
どのような条件で正しいのか」という
問いかけをすることです。
(P.40)
いち早く人の文句を言えば価値とか、
先にマウントを取れば有利だとか、
相手を屈服させるとか、
なんと「非」知性的で恥ずかしい行為なのか。
まさに子どもみたいな大人ですよね。
世のため人のために賢く生きましょう。
しかし、大きなプロジェクトが
頭の中で細分化されていないと、
どこから手をつけていいのかわからず、
無力感に苛まれてしまいます。
一旦大きな問題を
小さな問題に分解することができれば、
必ずしもすべての問題を自分で解決する必要はなく、
多くの人が並行して問題解決に取り組むことができます。
(P.85)
主語が大きいと
だいたい間違えますね。
物事の本質は
細分化されたミクロにあるのだと思います。
コンサルティングを生業とする私としては、
問題解決は、問題を最小化することから
始まるのだと常に自分に言い聞かせています。
「政府を開放する」、
「アナーキズムを啓蒙する」は
常に私の主張です。
私が入閣した当初の条件は、
①命令はしないし、されないこと、
②私が取り仕切った会議や会いに来た人については
その後、資料をインターネットで公開すること、
③どこで仕事をしても仕事とみなすこと、
の三つでした。
(P.104)
我が国では認められないでしょうね。
そして才能を潰すわけです。
昭和の価値観を引きずっている
古くさい人たちには早く退場して欲しいです。
このような核心的な問題から出発し、
相違点から共通点を探していくことで、
「たとえ満足はしていなくても、
受け入れられる」
コンセンサスを得ることができるのです。
このような「ざっくりとしたコンセンサス」がある限り、
現実に即した解決策を得られる可能性があります。
(P.132)
ポイントは「核心を突く」というところでしょう。
医療制度や介護の問題などを見ていても、
枝葉の議論が多すぎて、
注釈ばかりの法令となっています。
核心を突くの真逆なんですよね。
だから実行力も低く、効果も薄い。
エリートの考え方を
ブラッシュアップしないといけませんね。
創造と空間が共存していると、
私は自分が生きていると同時に、
媒体であることを実感します。
私が、「未来は私たちを介してやってくる」と言うのは、
自分が主体ではなく
媒体であると考えているからです。
(P.139)
これ、本当に重要だと思います。
資本主義社会の前提となる
搾取の対象が減りつつあるなかで、
もう今までのような構図は通用しないでしょう。
私たちが生き残るためには
みなが世のため人のためにと行動することであり、
自分よりも他者や社会、
損得よりも善悪を判断軸にすることが必要です。
我々は「Wi-Fi」でいいんですよ。
前世から受け取ったものを
ほんの少しだけ良くして後世に渡す。
台湾でインターネットを表わす言葉は
「網際網路」です。
(P.143)
別に深い意味はないのですけど、
なるほどな~と思った次第です。
ある意味では
インターネットの本質と言えるかもしれません。
私が見ている未来は、
AIによって人々が時間や空間の制約を打破し、
つながりを生み出し、
それまで共同創造できなかったものを
一緒に創造できる世界です。
AIが人と人をつなぐツールである限り、
AIが発展すればするほど
人と人とのつながりは強くなるので、
AIが人に取って代わるということはありません。
(P.177)
最近のChatGPTの使い方を見ると
個人ユースになっているように感じられ、
人と人をつなぐツールとか、
共同創造という観点は
若干薄くなっているように思いますので、
オードリー・タン氏のこの観点は
なかなか示唆に富んだ熟慮すべきものですね。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
それでは、また…。
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