おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
先行き不透明な時代だとは思います。
ただ冷静に考えると、
先行きがよく見えていた時代は
あまりなかったのかもしれません。
高度経済成長の頃などは、
去年より今年は良くなり、
今年よりは来年が良くなるという
希望が持てたのでしょうけど、
残念ながら今はそうではありません。
時代が良かろうと悪かろうと、
今を生きる私たちは
何とか生き残っていかねばなりませんので、
そのための戦略や戦術は
いくつか持っておきたいですね。
今回ご紹介する書籍は、
【 沈む日本とカオス化する世界 】 です。

本書をピックアップした理由
『 沈む日本とカオス化する世界 』
内田 樹 SB新書 を読みました。
私の敬愛する内田樹さんの最新刊です。
Amazonで予約購入して
自宅に届き次第、すぐに読み始めました。
積ん読本棚に何冊の本があろうと、
内田さんの最新刊は最優先に読みます。
最新刊ではない著書も
相当に眠っているのですけど、
厳しい時代を生き抜くためにも
内田さんの知見は知るべきだと考えています。
本書のタイトル、
「沈む日本とカオス化する世界」いいですよね。
内田流の現代社会のサバイバル戦略が
きっとあちらこちらに散りばめられているだろうと
学ぶ気満々で読み始めた次第です。
目次
まえがき
第1章 沈みゆく日本の教育と「市民的成熟」の崩壊
第2章 統治と成長の罠──中産階級の没落と日本の貧困化…
第3章 改革と加速主義、単純主義──壊れていく政治と社会
第4章 カオス化する世界秩序と日本の選択
第5章 自由と家父長制──カオスの時代に「居場所」をつくる
感想
本書は内田さんに多い
コンピュレーション本ですが、
読みながら「来た~」と
内田節の連発に感激しながら読み進めました。
最新刊だからなのか、
話題がホットなことも多く、
それだけビビッドに私の胸に刺さったかもしれません。
なかには、
あれ?これどこかで読んだかも…というものもありますが、
内田さんの文章は何度読んでもいいのです。
私の脳内で保留してあった事象に対して、
見事に言語化を果たしてくれ、
しかもその先を見通すような展開も
さすがとしか言いようがありませんでした。
この世知辛い社会を、
どう生き延びればいいのだ?と
疑問や不安がある方には、
ぜひ、本書をお読みになることをお勧めいたします。
それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。
だから、「市民的に成熟する」というのは、
別に字面ほどに抽象的なことではないのである。
ただ、想像力を少し働かせればいい。
「自分みたいな人間」ばかりで
構成された社会に住みたいかどうか、
それを自問すればよい。
(P.18~19)
ガツンときました。
そして私は図々しいですけど、
自分みたいな人間ばかりで
構成された社会に住みたいと思いました。
犯罪者は許せません。
社会常識を守れない人とは近づきたくないです。
私利私欲ばかり考える人は好きになれません。
愛は必ずしも伝わらないが、
敬意は必ず伝わる。
愛は時に愛されている対象を傷つけることがあるが、
敬意は決して相手を傷つけない。
(P.22)
なるほどなと思いました。
愛されたいと思うより、
敬意を持ってもらえる自分になる。
大事なのはここでしょうか。
そして愛せる人より
敬意を持てる人に近づくのがいいですね。
きっといいことがあるでしょう。
オーバーアチーバーたちは
別にそれほど過大な要求はしない。
彼らが求めるのは
「好きにやらせてくれ」ということだけである。
「管理しないでくれ。
査定しないでくれ。
がたがた文句を言わないでくれ」ということだけである。
管理と創造は食い合わせが悪い。
だから、組織を創造的なものにしたいと思ったら
管理コストをかけてはいけない。
管理すれば、組織は秩序立つけれども、
生産性は下がる。
当たり前である。
(P.24~25)
ストンと腑に落ちる言語化です。
私はオーバーアチーバーを目指していますし、
オーバーアチーバーを評価する自分でありたい。
だから「自由」を何よりも守ります。
そういう組織作りがあっても良いと自信になりました。
私が経験的に言えることは、
この世の中を住みやすいものにする上で
最も大きな貢献を果たすのは、
「イノセントな大人」たちだということである。
長じても、子どものような柔らかさ、無垢を失わず、
笑顔で周囲の人たちをなごませ、
人の言葉に耳を傾け、決して敵を作らない人たち、
そのような大人たちが集団が生き延び、
「よきもの」を生み出すためには
絶対に必要であると私は思う。
(P.45)
私もそう思いますし、
イノセントであり続けたいと思います。
間違っても、人を蹴落として、
私利私欲にまみれ、ハラスメントをするような
そんな輩にはなりたくない。
卓越した知性と凡庸な思考の決定的な差は
知的能力の量的な違いではありません。
「跳ぶ」勇気があるかどうか、
大胆であることができるかどうか、
それだけなのです。
(P.54)
わかるような気がします。
とても頭が良くて、性格も良くて、
人当たりも良くて、気遣いもできるのに、
なぜか不遇な人っていますもんね。
こういう人は勇気がなくて、
面白いことをしないように感じます。
自分がいつも同じ自分であることを
耐えがたく感じる。
それが生命体としての自然だと僕は思います。
変化し、進化し、成長することは
生命体の自然です。
「成長して」という時、
僕たちは別に子どもたちに
「できないこと」「やりたくないこと」を
強いているわけではありません。
子どもたちはそれがほんとうは
大好きなはずなんですから。
(P.68~69)
内田さんの教育論は
いつも本当に勉強になります。
失策だらけの文部科学省よりも
内田さんに文科省大臣をしていただきたい。
下手くそに管理しようとして、
管理し切れなくなっている現状を打破するには
管理よりもきっかけを与えることだと思います。
組織の管理コストを削減しようとしたら、
メンバーたちが自由気ままに行動することを
禁止しなければならない。
それは短期的に見れば、
組織的な「バグ」がなくなって、
コントロールしやすくなる。
でも、長期的にはその集団の生産力は
深く損なわれることになるのです。
(P.99~100)
だいたい人を管理するという発想が、
すでに図々しいにも程があるわけで、
所詮管理者の私利私欲なわけです。
我が国の衰退や、
行政の怠慢、大企業の崩壊などは
すべてここに要因があるのかもしれません。
私は武道の師から
「ものを壊すには、
同じものを創るために要する力の
百分の一しか要さない」と教わった。
だから、自分を大きく見せようとする人間は
必ず「悪」の衣装を身にまとう。
自分の力を百倍誇大に表示できるからだ。
だから、承認欲求が満たされない人たちは
必ず「破壊者」として登場し、
「創造者」として登場することは絶対にない。
これは絶対にと断言できる。
(P.188)
多くの人がトランプ大統領を想像すると思いますし、
歴代の独裁者たちはみな同じでしょうか。
あとはカネしか頭にない奴とか、
カネで何でも買えると思っている奴。
私たちは破壊する人よりも、
創造する人を高く評価しないと
いつか破壊者にやられてしまうかもしれません。
いいから黙って上の言うことを聞け。
命令の適否について判断する権利は下僚にはない。
現場で何が起きても
自己判断で何かしてはならない。
必ず上位者に報告して、
その指示を仰げ(それまではフリーズしていろ)。
これがある時期から、
すべての業界でのルールになった。
そうすれば組織は
きわめて効率的に機能するはずだと
「組織マネジメント原理主義者」は信じているが、
こんな信仰には実は何の現実的根拠もない。
(P.201)
結局、バカが権力を握ったということでしょう。
そうすれば当然組織は停滞し、
ひどいケースでは崩壊するだけの話です。
問題なのは、
「誤りを正す」ことができないのが
この国の特徴であるということかもしれません。
敗戦国になったのも、
経済が低迷しているのも、
それが最大の要因ではないでしょうか?
なぜ、社会的流動性が失われたのか。
私は「競争」のせいだと思う。
勝敗を争い、
優劣強弱を競うことによって
人間はその能力を最大化するというのは、
現代において支配的な人間観である。
たしかにここにはそれなりの経験的根拠はある。
でも、競争を通じてのみ
人は能力を高めるという命題は真ではない。
少なくとも私には妥当しない。
それは私が「競争する人」ではなく、
「修行する人」だからである。
武道修行では、「勝負を争わず」ということを
最初に教えられる。
そう言うと驚く人がいるが、考えればわかる。
負ければ負けに居着き、勝てば勝ちに居着く。
そして「居着き」こそは
修行上の最大の禁忌だからである。
修行というのは連続的な自己刷新のことだ。
だが「勝ちに居着いた人」は
もう成功体験を手離せなくなる。
「勝ちパターン」を繰り返し、
他人にも「成功するにはこうしろ」と
うるさく教えようとする。
そうやって「勝ちに居着いた人」は成長を止める。
私たちの社会が今息苦しく感じるのは
「成長することを止めた成功者たち」が
おのれの生き方を標準的なものとして
他人に押しつけようとするからである。
その発想の貧しさが私たちを窒息させるのである。
もう一度清涼な空気を社会に呼び戻したい。
(P.223)
少し長いですが、
これは現代社会において
とても重要と思い、
できるだけ長く引用しました。
まさにおっしゃる通りです。
だいたい最近の成功者は
「金を持った」か「権力を握った」であり、
ハッキリ言うと人格や人物とは
まったく異なる領域での成功なのですね。
だから浅いし、
金と権力をいかに得るかの話しかできない。
私は、現代の日本人でもっとも成功しているのは
「大谷翔平」だと思っています。
しかし彼からは金も権力も感じない。
いや、確かにお金は持っているだろうし、
権力だって握ろうと思えば握れるでしょうけど、
彼の価値観はそこにはない。
だから尊敬されるし、
成功に終わりがない。
ちょっと金を手に入れただけで、
偉そうにyoutubeで語るような人とは
段違いの器の大きさです。
人の上に立つのではなく、
共存共栄こそ
私たちが目指すべき社会のように思います。
評価
おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。
最新刊ということもあり、
取り上げるテーマがまさに「今」であり、
直近で悩ましいことの本質を
ズバリと突いてくれて大変勉強になりました。
内田樹さんらしい
鋭さと優しさが詰まった一冊でした。
混迷の時代をどう生きるかを考えるうえで、
多くの示唆と勇気を与えてくれる本です。
今の時代だからこそ
読む価値があると感じました。
それでは、また…。
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