おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
組織のトップに立つ人は、
優秀なナンバー2が欲しいと
切に願っていることでしょう。
でも、自分はナンバー2タイプだと言う人は
ほとんどナンバー2にはなれないし、
なっても実力に欠けていたりするものです。
たまたまトップに立ったに過ぎない人に
そんな有能なナンバー2は手に入りません。
これは「時の運」ではないかと思うのですが、
どう思われますか?
今回ご紹介する書籍は、
【 名参謀 片倉小十郎 伊達政宗を支えた父子鷹 】 です。

本書をピックアップした理由
『 名参謀 片倉小十郎 伊達政宗を支えた父子鷹 』
飯田 勝彦 新人物文庫 を読みました。
大好きな人物文庫シリーズは
だいぶ読み込んできましたので、
次は新人物文庫シリーズに手を出しています。
片倉小十郎という人物は
伊達政宗が好きな人であれば、
間違いなく頭に入っているでしょうけど、
そうでない人は
あまり知られていないかもしれません。
私は伊達政宗が好きですし、
何度か仙台に旅行に行った際には
さまざまな歴史上の名所を訪ねたものです。
たまたま見つけた本書ですが、
いつか絶対に読むと思っていまして、
ついにその時が来たように感じたのです。
ナンバー2の神髄を知るためにも、
学ぶ気満々で読み始めました。
目次
・独眼竜のコンプレックス
・伊達軍団の守り神ー鬼庭父子
・闇の執行人ー屋代勘解由
・伊達軍団の親子鷹ー二人の片倉小十郎
・戦陣に咲くロマンスー”鬼の小十郎”と幸村の娘「阿梅姫」
感想
よく調べないと読み始めた私が悪いのですが、
上の目次を見ればわかる通り、
もっとも読みたかった片倉小十郎については
本書の後半に出てくるだけです。
がっつり片倉小十郎を学びたかった私としては
まずその点が残念でした。
こういう構成にするならば
違うタイトルにすべきじゃないかなと
愚痴から始めましたけど、
実は満足度はすこぶる高いです。
伊達政宗については
それなりの知識を持っているつもりですが、
本書で取り上げている
鬼庭左月入道良直、鬼庭左衛門網元の親子、
伊達家の闇の仕事をこなした屋代勘解由など
今まで知らなかった
影の立役者を知ることができたのは
とてもよかったです。
もちろん本来の目的であった
片倉小十郎景綱、重綱の親子に関しては
期待を裏切らない素晴らしい内容でした。
文句を言いながらも
内容に関しては拍手を送るという矛盾ですが、
まあ、これも読書の醍醐味かということで
読後は実に心地よいです。
私が本書を読んで改めて感じたのは、
歴史書の面白さは、
過去の人物を知ることそのものよりも、
今を生きる自分の立場に引き寄せて
考えられるところにあるということです。
伊達政宗のような
天才的なリーダーに目が向くのは当然ですが、
実際に組織を支え、成果を形にし、
危機を乗り越えさせていくのは、
その周囲にいる人物たちです。
しかも、ただ忠義に厚いとか
勇猛であるだけでは足りない。
状況を見極める知性、
表に出過ぎない節度、
時に非情さを引き受ける覚悟、
そして主君や家の未来を見据える視野の広さまで求められる。
そう考えると、ナンバー2とは
決して補佐役などという軽い言葉では片づけられない、
極めて高度な役割なのだと思いました。
本書は、そうした「支える者」の価値を
立体的に教えてくれる一冊でもありました。
ではここからはそれぞれの章立てについて
簡単に感想を述べてまいります。
<独眼竜のコンプレックス>
伊達政宗という人物は、
やはり只者ではありません。
幼少期に右目を失ったことが、
その後の人生や気質に
どれほど大きな影響を与えたのか。
本章を読むと、
その「欠落」が単なる不幸ではなく、
強烈な向上心や猜疑心、
さらには覇気へと転化していったことが
見えてきます。
人は何かしらのコンプレックスを
抱えながら生きていますが、
それに押しつぶされる人もいれば、
逆に異様なまでのエネルギーに変えてしまう人もいる。
政宗はまさに後者だったのでしょう。
独眼竜という異名は、
単なる見た目の特徴ではなく、
己の不遇すら武器に変えた
「生き様」そのものを象徴しているように感じました。
トップに立つ人間の凄みと危うさ、
その両方を考えさせられる導入でした。
<伊達軍団の守り神ー鬼庭父子>
鬼庭父子は、
まさに伊達家の屋台骨を支えた存在だったのだなと
実感しました。
華々しい功名を前面に出すというよりも、
主君を守り、家中を支え、
危急の際には命を賭して前に出る。
こうした人物がいるからこそ、
伊達政宗のような傑物も
その力を存分に発揮できたのでしょう。
特に鬼庭左月入道良直の存在感には
凄みがあります。
古武士的な風格と胆力、
そして家を守ることへの徹底した覚悟。
さらにその志を受け継ぐ網元の姿まで含めて読むと、
優れた家臣というのは単発の才能ではなく、
親子にわたって培われる精神性でもあるのだと感じます。
こういう人物たちは、
派手さはなくとも、
まさに組織の「守り神」です。
今の時代で言えば、
会社の根幹を静かに支えているような人でしょうか。
トップばかりが注目される時代だからこそ、
こうした存在を知る価値は大きいと思いました。
伸びる組織には
アンサングヒーローが必ず存在しますね。
<闇の執行人ー屋代勘解由>
この章は、かなり印象に残りました。
表に立つ英雄や忠臣とは違い、
屋代勘解由はまさに「闇」の仕事を担った人物です。
しかし組織というものは、
理想や建前だけでは成り立ちません。
誰かが汚れ役を引き受け、
見えないところで手を打ち、
危うい均衡を保っている。
そういう現実を突きつけられる章でもありました。
もちろん、その役割を
単純に肯定する気にはなれませんし、
むしろ権力の怖さも感じます。
ただ、戦国という時代の苛烈さの中では、
こうした人間が必要とされたのも事実なのでしょう。
歴史を学ぶ醍醐味のひとつは、
善悪だけでは割り切れない
人間の複雑さを知ることにあります。
屋代勘解由という人物を通して、
組織の裏面、権力の影、
そして生き延びるための非情さを考えさせられました。
綺麗事だけでは済まぬ現実を知るうえでも、
非常に読み応えのある章でした。
<伊達軍団の親子鷹ー二人の片倉小十郎>
本書のなかで、
やはり私が最も引き込まれたのはこの章です。
片倉小十郎景綱、そして重綱。
まさに「父子鷹」という言葉がぴったりの二人でした。
景綱は、伊達政宗という
強烈な個性を持つ主君に仕えながら、
ただ従うのではなく、時に諫め、時に支え、
その力量を最大限に引き出していた。
ナンバー2とは何か。
その答えの一端が、ここにはあるように思いました。
しかも重綱もまた父に劣らぬ才覚と胆力を持ち、
家の名を高めていく。
単なる家柄の継承ではなく、
気概や責任感まで継いでいるのが素晴らしいです。
主君のために尽くしながらも、
自分の役割を見失わない。
前に出過ぎず、
しかし必要な場面では誰よりも強い。
こういう人物を名参謀と呼ぶのでしょう。
片倉小十郎を学びたかった私にとって、
この章は期待を十分に満たしてくれるものでした。
<戦陣に咲くロマンスー”鬼の小十郎”と幸村の娘「阿梅姫」>
この章は、前章までの
緊張感ある展開とはまた違った趣があり、
読後に柔らかな余韻を残してくれました。
戦国の世を生きた武人たちの物語というと、
どうしても戦、策謀、主従関係といった
硬質な側面に意識が向きがちですが、
その中にも人間らしい情や
縁があるのだと改めて感じます。
しかも相手が
真田幸村の娘である阿梅姫となれば、
そこには単なる恋愛感情以上の
歴史的な意味合いも帯びてきます。
敵味方に分かれ、
時代に翻弄されながらも、
人は人として生き、
惹かれ合い、家庭を築いていく。
そこに歴史の奥行きを感じました。
”鬼の小十郎”という異名を持つ重綱の、
武辺一辺倒ではない一面が垣間見えるのも興味深いです。
戦乱のただ中にあっても、
人の心までは殺し尽くせない。
そんな当たり前でいて大事なことを、
静かに教えてくれる章だったと思います。
評価
おすすめ度は ★★★★☆ といたします。
星がひとつ欠けたのは
タイトルの問題だけで
内容はとても良かったです。
特に片倉小十郎については、
人となりや生き方も把握できて、
本来の目的は十分に果たせました。
伊達政宗という天才を支えた人物たち。
片倉小十郎親子だけではなく、
本書では少ししか登場していなかったけど、
伊達成実のような人物、
また鬼庭左月入道良直、鬼庭左衛門網元の親子、
屋代勘解由という
多才な人を知ることができてよかったです。
ナンバー2というのは甘くない。
むしろナンバー1よりも価値は高いのかもしれない。
いやナンバー1の陰には
必ずナンバー2の存在があるわけで、
他の多くの家臣も含めて、
名を遺した人たちは総合力が高かったのだな。
そんなことを思いながらも
自分自身のあり方を見つめ直すことができました。
それでは、また…。
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