おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
民主主義にしても、
資本主義にしても、
ちょっと限界が近づいているのかなと
勝手ながら考えることがあります。
共産主義やら
社会主義は言うに及ばず、
そもそも制度というのは
「人のため」にあるものですし、
社会も「人のため」に存在すべきです。
きっとヒントはあちこちに
散りばめられているのでしょうね。
今回ご紹介する書籍は、
【 人間主義的経営 】 です。

本書をピックアップした理由
『 人間主義的経営 』
ブルネロ・クチネリ 翻訳:岩崎 春夫
クロスメディア・パブリッシング を読みました。
ん?経営本なのか?
ちょっと微妙だなとは思いました。
しかし経営に正解なんてありませんし、
視野を広げるためには
できるだけ多くの角度から
経営を学ぶ必要があるとも思います。
何となく私には相性が良さそうな気がして、
おっかなびっくり読み始めました。
目次
・ソロメオ、精神の宿る村
・幼年時代
・私の心の大学
・カシミヤの彩り
・世界へ
・親愛なる匠たち
・輝く未来
・創造物との対話
・心の中の揺るぎないもの
・日々の印象
感想
経営本であって経営本ではない。
経営について書かれていないのに
十分に経営の勉強になる。
心が洗われる経営書。
経営の常識や基本を思い切り覆してくれる
ものすごい内容です。
ファッションに疎い私は、
ブルネロ・クチネリという人を知りませんでしたし、
その会社も存じ上げませんでした。
たまたま楽天ブックスで見つけて、
何となく直感が働いて即購入したのですが、
本書と出会えたことは
私の経営者人生のなかで
大きなトピックとなりそうです。
タイトル買いみたいなものでしたけど、
やっぱり直感って当たるものですね。
こんなに価値観が合う経営者が
存在することに嬉しくなりました。
本書の何がこれほどまでに
私の心を打ったのかと言えば、
そこにあるのが単なる「理想論」ではなく、
実際に経営として成立している「現実」だからです。
人間を大切にする。
地域を大切にする。
自然を大切にする。
言葉にするだけなら誰でもできます。
しかし、それを事業の仕組みの中に組み込み、
利益と両立させ、
しかも世界的なブランドとして成長させているところに、
ブルネロ・クチネリの凄みがあります。
経営とは数字を整える技術ではなく、
何を信じ、何を守り、何を未来に残すかという
「思想」の表現でもあるのだと、
本書は静かに、しかし力強く教えてくれます。
だから読後感がさわやかで、
しかも深く考えさせられるのです。
私はこの本を、経営者だけでなく、
働く意味や生き方に迷う
すべての人に読んでほしいと思いました。
それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。
労働でえたものを
時間がたった後で楽しむ、
享受することで、
労働の成果の価値は一層高まります。
現代の慌ただしい生活は
ゆっくり時間をかけて少しずつ楽しむという行為から
生まれる価値を減じてしまっています。
少し前に、樫の苗木を植えていた庭師が、
将来その木が大きく育って
涼しい木陰を提供してくれる時には
自分たちはこの世におらず
その涼しさを味わうことはできない、
という話をしていました。
しかしその木を植えるのは
未来の人々の生活を豊かにするためであり、
将来への投資であることに価値があるのです。
(P.56~57)
こういう考えを持つ経営者が
我が国や、欧米諸国にどの程度いるでしょうか?
グローバリズムに洗脳されて、
「決算」の奴隷になっている人が多いように感じます。
将来への投資、
未来の人々の生活を豊かにする。
人類の原点とも言える
ここから再考する必要があるように思いました。
エピキュロスによれば
人生は三つの要素から成っていて、
ひとつは宿命、
ひとつは自分で獲得したもの、
もうひとつは両親から授かったものだそうです。
(P.62)
なるほど、言い得て妙だなと思いました。
自分でコントロールできるもの、
コントロールできないもの、
その見極めをしながらも
今より少しより良い未来を手に入れるために
自分の人生を大事にしたいものですね。
私に強い影響を与えたカントのもう一つの言葉は、
「あなた自身もあなた以外のすべての人も
人間であることを決して忘れず、
その思いを手段でなく
高貴なる目的として常に行動せよ」です。
(P.82)
人間であることを忘れて、
他者から強奪している人はいないでしょうか?
肉食動物と一緒です。
それが目的化している悪魔のような人は
意外と多くなっているのが現代社会かもしれません。
行き過ぎた資本主義です。
哲人皇帝と呼ばれたマルクス・アウレリウスは、
人は倫理を通じて真の兄弟になると考えました。
人は他者のために生きることによって人となり、
学ぶことによって善き存在となる。
報われない時もがまんして、
常に人間同士の関係の中にあらねばならない。
(P.85)
「人は他者のために生きることによって人となる」。
人類はこうして生き延びてきたのだと思います。
数百年、数千年経ったときに、
そうしなくなったから絶滅したとならぬよう、
守銭奴のようなごく一部の悪どい人より
モラルを持った人にリーダーになって欲しいですね。
テクノロジーに頼り過ぎずに
革新的と言えるプロジェクトを考えることで
私たちの情熱は高まり、
未来を見通す目が育ちました。
人間の幸福のためにという考えは、
人にも自然にも害や苦痛を与えずに
豊かに生きることだと思えたからです。
(P.134~135)
人間の幸せのために…。
私たちはいつの間にか見失っているかもしれません。
手段と目的を見間違えて、
売上や利益や給与や賞与や
そういう金儲けが優先されているでしょうか。
目的を見失った社会は
確実に歪みを生み出してしまいます。
労働は人間の生活や心身のバランスを保つために
必要な休息を蝕むものであってはなりません。
適切な労働とは心に遊びのような刺激を与え、
身体に健全な疲労をもたらすものだと思います。
労働は量的にも質的にも
人間に相応しいものでなければならず、
周囲の環境や人間関係とも密接につながっています。
搾取に苦しんだ時代を除けば、
かつての労働は一定の自然のリズムの下で
歌や連帯や美しさや喜びとつながっていました。
権力や利益を求めて
静かな日常生活を犠牲にすることはなく、
家族、隣人、友人が確固たるコミュニティを形成し、
必要な時は互いに手伝いました。
共に働き、穀物を生産し、
それを分け合う喜びは、
労働を神聖な儀式にしていました。
古代の集落の人々は
自分たちの畑や庭園や牧草地や沼地で
何が起きているかを常に意識し把握していました。
皆で子どもたちを監視し、援助し、面倒を見、
育て、しつけしました。
労働は健康で平和な生活を送るためだけにありました。
そうした社会の人々は、
「足りていれば充分」と考えていたのです。
(P.211~212)
少し長いですけど、
本書のハイライトと思い
できるだけ長く引用しました。
働くとは何だ?労働とは?仕事とは?
私たちは本来的な意味の追求を
もう一度したほうがよいのかもしれません。
失敗に対する責任が平等でないところには
利益の平等はありません。
(P.212)
それが資本主義でもあり、
会社というところと言えそうです。
しかしそれでいいのか?
組織構築の原則を問われているように感じました。
哲学は人々の魂を形成し、
生き方を律し、行動を統治する。
哲学なきところに
平和はないと私は信じる。
(P.238)
私もそう思います。
戦争ばかり起こしている某国の大統領には
間違いなく哲学はない。
あそこにあるのは欲望と自己中心です。
世界を不幸にしています。
贈与を続けることによって収益を上げる。
それは、通常の経営学や経済理論では
説明できないパラドックスです。
機械化で標準化や効率化を図り
規模の利益を追うのではなく、
人間の手仕事の価値を磨き、
人間が暮らす土地や自然環境に投資することによって、
手仕事の価値を更に高めて行く。
ブルネロ・クチネリのブランドの強みは、
贈与が収益を産み、収益を贈与に振り当てる。
その循環が見事に成立している点にあります。
(P.263)
これは訳者のあとがきからの引用ですが、
まさに「ここ」です。
弱肉強食で、勝者総取りで、
誰かを踏み台にして自分だけ利益を取る。
こんな人類の存続を危機に陥れるような
非常に危険な思想を持つ人が多いです。
そしてさらに恐ろしいのは、
それに疑問すら持っていないこと。
当然だと思っていること。
さて、さて、これからの社会はどうなりますか。
分け合えば余る。
奪い合えば足りぬ。
ポスト資本主義の必要性が
高まるばかりのように思えて仕方ありません。
評価
おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。
ブルネロ・クチネリは、
「人間のための資本主義」を掲げています。
でも、正直、資本主義では無理かなと思います。
強欲な人間が総取りする社会では、
ブルネロ・クチネリの目指すところに到達できるのは
それこそ世界に数人しかいないのではないでしょうか。
だからこそブルネロ・クチネリが
これだけ注目をされているのだし、
遠く日本でも書籍が出されて、
多くの人が読んでいるのですよね。
むしろ本書のタイトルにもなっている
「人間主義的経営」が相応しいです。
世の中の金儲け至上主義のバカ経営者に
是非とも読んで欲しい一冊です。
本書を読む人が増えれば、
我々の社会も少しマシになるかもしれません。
それでは、また…。
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