ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60冊以上の本を通じて、人生や社会の構造を読み解いています。 読書感想にとどまらず、キャリアや人生に彩りを与える言葉を綴っています。読書好きな方と繫がりたい!

社長のためのマキアヴェリ入門

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

古典から学べるものは、

やはりすこぶる大きいと思います。

 

ただ、古典はすべからく読みにくい。

 

読んだほうがいいとは思うけど、

なかなか手が出ない。

 

こういう人はわりと多いのではないでしょうか。

はい、私もその一人です。

 

それなりの年齢になってからは、

ある程度読めるようになりましたけど、

もう少し読み方を学びたいところです。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 社長のためのマキアヴェリ入門 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 社長のためのマキアヴェリ入門 』

鹿島 茂 中公文庫 を読みました。

 

マキャヴェリの「君主論」は、

名作中の名作だと思います。

そして実用書でもあります。

 

若い頃に何度か読みましたが、

今でも時々読み返したくなります。

 

ちなみに先日アップしたyoutube動画でも、

「君主論」を取り上げました。

 

youtu.be

 

実は、本書は「君主論」ではなく、

鹿島茂さんの著書を読もうと思い探していたのです。

 

他の著書も購入したのですが、

最も楽しみだったのが本書です。

 

早く読みたくて、

前の本が読み終わった段階で

すぐに本書を手に取りました。

 

目次

第一章

 第一講 会社の存亡がかかっているとき、

     リストラの手段は目的によって正当化される

 第二講 大リストラは、一回だけ、一瞬にしてやり遂げよ

第二章

 第三講 合併は社風の相違を第一に

 第四講 合併するならワンマン経営の会社を狙え

第三章

 第五講 傭兵軍(間接金融)について

 第六講 外国支援軍(第三者割当増資あるいは株式譲渡)について

 第七講 自国軍(ストック・オプション)について

第四章

 第八講 みずからの力量によって君主(社長)となったケース

 第九講 他人の武力や運によって君主となったケース

第五章

 第十講 悪辣な行為によって君主となったケース〔ほか〕

 第十一講 一市民が仲間の市民の後押しで君主となったケース

第六章

 第十二講 鷹揚さと吝嗇

 第十三講 鷹揚さは有害であるが、

      そう見られることは必要である。

第七章

 第十四講 愛される社長と恐れられる社長と、

      どちらが「良い社長か」

 第十五講 冷酷さと憐れみぶかさと、

      どちらが良いか

 第十六講 恐れられることと恨みを買わないこととは

      立派に両立しうる

第八章

 第十七講 善玉社長という見てくれは大切だ

 第十八講 善玉社長であり続けようとすることは、

      むしろ有害だ

 第十九講 社長は半人半獣でなければならない

第九章

 第二十講  社長は社員から軽蔑されるのだけは避けるべきだ

 第二十一講 社内で一番勢力の強い部局の憎しみを買うなかれ

 第二十二講 結局、民衆憎悪を買わないのが一番だ

 第二十三講 社内の反乱や陰謀は身内から起きやすい

第十章

 第二十四講 新社長は敵対的な社員こそ、

       味方につけるべきだ

 第二十五講 自己愛がある限り、追従には必ず負ける

 第二十六講 追従者をどうやって避けるべきか?

第十一章

 第二十七講 領民の武装とは、

       社員への権力の委譲と見なすべし

 第二十八講 社員への権限の委譲こそが

       会社を強くする道である

 第二十九講 権限委譲は、城塞(人事部)の解体から

第十二章

 第三十講  旗幟鮮明な態度こそが会社を救う

 第三十一講 部下に対しても旗幟鮮明は必要だ

 第三十二講 有能な秘書官を選ぶことは

       リストラに臨む社長にとって最も重要だ

第十三章

 第三十三講 凡庸な社長が二代続いたら、

       その会社はおしまいだ

 第三十四講 先代のやり方を踏襲していても、

       時代の流れを読み取ることができなければ、

       いずれ会社は潰れる

 第三十五講 幸運を実力と取り違える弱い社長に救いはない

第十四章

 第三十六講 社長の気質は変えがたい。

       ゆえに、気質ではなく

       社長のほうを替えるべきである

 第三十七講 運命はまだ抵抗力がついていないところで

       猛威をふるう

 第三十八講 運命は、打ちのめし、

       突きとばす必要がある

あとがき

文庫本あとがき

解説

 

感想

私がマキャヴェリの「君主論」を読んだのは、

もう20年以上も前のことです。

 

執行役員とか、取締役になり、

経営を学ばねばという思いから

君主論にたどり着きました。

 

そして後頭部をハンマーで叩かれるような

大きな衝撃を受けました。

 

とても参考になりましたし、

私の経営にも参考にはしましたけど、

やはり時代が違いますので、

頭の中だけに留めておいた部分もあります。

 

その後も君主論に近いものは

下記を読みました。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

今回は鹿島茂さんの君主論。

これは超絶おすすめいたします。

 

本家よりもわかりやすかったですし、

原則はマキャヴェリの思想を踏襲していますので、

君主論を深く理解する手助けにもなります。

 

本書は2006年9月に発行されていますので、

事例として取り上げている内容には

多少の古さを感じますが、

それがむしろ過去の出来事だけに

身に染みて感じることができて、

逆に良かったです。

 

全国の経営者の皆さんや、

これから経営者を目指す方には、

心からおすすめできる一冊でした。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。

 

もはや、政府の不況対策に頼るのは

やめにしたほうがいい。

日本国を実質的に支えている

無数の「君主国」の君主たる社長たちが猛然と奮起し、

自分のことは自分で解決するほかない

状況となっているのである。

そのためには、現代の「君主」たる社長を支える

「君主論」がなんとしても必要である。

(P.13)

 

なるほど、共感します。

どうせ政治は大企業のための策しか打たないし、

我が国は圧倒的に中小企業のほうが多いのですから、

各社の社長が真っ当な経営をすれば、

この国のさまざまな問題は解決するかもしれない。

 

まあ、本書に興味を示さずに、

私利私欲だけで経営をしている、

ブラック企業の社長などは

徹底的に排除しなければなりませんが。

 

「美徳」から「悪徳」への転換、

つまり大リストラは、

極秘裏に準備を進めておいてから、

クー・デターを敢行するように、

一瞬にしてやり遂げよ。

さもないとさまざまな噂が先行し、

なにもやらないうちから、

反発と非難が社内に充満し、

それがさらにマスコミによって増幅された結果、

以前の支持者は離反し、

新しい支持者も生まれてこないばかりか、

外野からの野次がかまびすしく、

ついにはなにもしないうちから

破綻が始まってしまうのである。

(P.19~20)

 

会社の存続のために、

しなければならないことは、

断固として実行する。

 

水面下で進めて、

一気にやり遂げる。

 

何度もしない。

一気にすべてを行う。

 

経営者として、

大事な心構えだと思いました。

 

部下を怒鳴らなくてはならないときには、

思い切って大きな声で激しく怒鳴ること。

ただし、そのときは一回だけにとどめて、

ぜったいに「蒸し返さない」ようにつとめる。

部下にとって、

いちばんうんざりすることは、

同じ過ちを何度も蒸し返されて、

ネチネチと責め立てられることである。

「怒り上手」という言葉があるが、

それはこの

「一気呵成におこない、日々それを蒸し返さない」

ということを意味する。

(P.64)

 

これも納得です。

昨今では怒鳴ること自体が

許されなくなっていますけど、

本当に部下の成長を願い、

未来を切り拓いてもらうためには、

必要な時もありますよね。

 

ただ、これは逆も然り…ではありません。

 

褒める時は、

一度に思い切り褒めるのではなく、

小出しにして何度も褒める。

 

だからこそごく稀にある怒鳴るが

効果を発揮すると言えるでしょうか。

 

気前のよさを売り物にしているうちに、

いつしかあなたは自由に使える財力をなくしてしまう。

で、貧乏になって、人にさげすまれるか、

貧困から逃れようとして強欲になって、

人の恨みを買うのが落ちである。

とりわけ、君主が厳に戒めなければならないのは、

人にさげすまれることと、

恨みを買うことだ。

そして、気前のよさは、

このどちらかにあなたを追いやる。

となれば、鷹揚だとの評判を得ようとして、

必然的に強欲者の名前をもらい、

悪評どころか恨みを買うぐらいなら、

悪評だけもらって恨みを買わない、

けちに徹したほうが、はるかに賢明であろう。

(P.84)

 

そうなのですけど、

私なら常に売上を上げて、

潤沢な資金を用意して、

気前のよさを売り物にします。

 

マーケティングと営業、

そして実績が紹介を生み、

不要なコストを掛けなければ、

十分に実現可能ではないでしょうか。

 

民衆が愛するのは、

彼らがかってにそうするのである。

だが、恐れられるというのは、

君主がわざと、そうさせたのである。

(P.97)

 

これは含蓄のある言葉ですね。

本当にその通りだと思います。

 

好かれようとしてはいけません。

でも嫌われるのはもっといけません。

 

ようするに、自己愛というのは

どんな偉大な人物でも絶対に克服できないものであり、

追従者がそばにいれば、

それをくすぐられていい気持ちになることは明らかなので、

その時点で必敗を運命づけられているのである。

(P.132)

 

確かにそんなもんですよね。

 

偉大な人ほど自己愛は強いし、

目立ちたがり、出たがります。

 

追従者をそばに置かないこと。

実力で評価すること。

 

君主はつねに人の意見を聴かなくてはいけないが、

これは他人が言いたいときにそうするのでなく、

自分が望むときに聴くべきである。

いや、君主が訊ねるとき以外は、

誰にも君主に助言しようなどの気持を

もたせないようにすべきである。

(P.137)

 

これなどは誤解を生みやすいですが、

統治というのはそういうものです。

 

会社を潰したくなければ、

そうせざるを得ないようにも思います。

 

あくまでも能力のある社長に限りますが。

 

問題は、旗幟を鮮明にすべきときには、

決定を先延ばしにしたりせず、

断固として決断しなくてはならないが、

そうでないときには、

安易に強きに与する必要はないということである。

ただし、いざ、決断を迫られたら、

絶対に、決断を遅らせてはならない。

選ぶことよりも、

選ばないことのほうが

危険が大きいことはいくらでもあるのだ。

いや、極端にいえば、

たとえ誤った決断をしてしまったとしても、

決断をしなかったよりもましというケースさえある。

(P.158)

 

トップの最大の仕事は決断すること。

決めて、方向性を定めること。

 

非常に重いですが、

これができなければトップには立てません。

 

評価

おすすめ度は ★★★★☆ といたします。

 

本書は、経営者向けの実用書として読むだけでなく、

人間社会における

権力、決断、組織、責任を学ぶ本としても

大きな価値があります。

 

マキャヴェリの「君主論」は、

単なる冷酷な権謀術数の書ではなく、

組織を守るためにリーダーが

何を見て、何を捨て、

どこで決断すべきかを問う古典です。

 

だからこそ、経営者だけでなく、

管理職、リーダー、

そして組織のなかで働くすべての人に学びがあります。

 

経営を学ぶことは、

会社を経営するためだけではありません。

 

自分の人生をどう律し、どう人と関わり、

どう責任を引き受けるかを考えるためにも、

大いに意味があるのだと思います。

 

それでは、また…。

 

 

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