ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

自民党 失敗の本質

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

権力は人を腐らせますね。

 

時に長年持ち続けたり、

組織がリスクを被って

個人は安泰だったりすると

人間としての根っこの部分から腐りますね。

 

政治家などはその最も足るもので

歴史を振り返れば自明なように

戦国から江戸時代の一揆であったり

市民革命であったりと

権力者を亡き者にするというのは

何度も何度も起きているわけですね。

 

それでも次から次へと勘違いした

権力者が生まれてきて

それを排除する動きが出る。

 

人類というのは

進化できないものですね。

 

今回ご紹介する書籍は、

自民党 失敗の本質 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

自民党 失敗の本質 』

石破 茂 村上 誠一郎 内田 樹 御厨 貴

前川 喜平 古賀 茂明 望月 衣塑子 小沢 一郎

宝島社新書 を読みました。

 

きっかけは「内田樹」という名前があったので

お!っと思ったというところなのですけど

他のメンバーを見て

おそらく多くの方が内容を想像できると思います。

 

私自身もそれを重々承知の上で、

それでも自民党の裏金問題の各議員の対応を見て

不誠実極まりないですし

驕りを感じますし、

強い憤りを持っていて、

伝統が悪化している感を受けていますので

その要因を探ってみようかなと思い

手に取ってみた次第です。

 

目次

第1章 時計の針を止めてしまった安倍・菅の9年間

    御厨貴政治学者・東京大学先端科学技術研究センターフェロー)

第2章 「選挙=市場の信任」だと錯覚した“株式会社”自民党

    内田樹(思想家・神戸女学院大学名誉教授)

第3章 「言論空間」の機能不全が自民党を脆弱化させた

    石破茂自民党衆議院議員))

第4章 自由闊達な議論がなくなれば民主主義は容易にファシズム化する

    村上誠一郎自民党衆議院議員

第5章 権力に酔った「官邸の暴走」が招いた茶番政治

    前川喜平(元・文部科学事務次官/現代教育行政研究会代表)

第6章 派手な印象だけの9年、過ぎてみれば「焼け野原」状態に

    古賀茂明(元・経済産業省官僚/経済政治アナリスト)

第7章 アメとムチの支配に踊らされたメディアの責任

    望月衣塑子(東京新聞記者)

第8章 信念を語る政治家はなぜ自民党から消えたのか

    小沢一郎立憲民主党衆議院議員

 

感想

まあ内容は案の定です。

想像通りで、それ以上でもなくそれ以下でもありません。

 

それはいいとして

企画としてはなかなかのものだと思いますし

集めたメンバーもそれなりですよね。

 

よく石破さんと村上さんを出したと思いますし

そこに小沢一郎を対峙させて

前川、古賀という官僚上がりの論客を揃え

さらに我らが内田樹さんを出し

良くも悪くもの望月さんですからね。

 

嫌いな人は嫌いでしょうし、

このメンツを見て読む気すら起きない人も

わりといらっしゃるのかなという気はしますけど

ノンポリの私としては別に違和感なく、

これはこれでくらいで面白おかしく読めちゃいました。

 

もちろん内田樹さんのパートは

相当の集中力で読みましたけどね。

 

当初の想定通りの内容でしたので

特にこれという感想はないのですけど、

今の自民党の混乱は

安部さん、菅さんの総理時代にきっかけがあり

(本書の発行は2021年10月です)

悪しき伝統として続いてしまったのだなということが

よ~くわかりました。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。

 

語らない自民党と語り過ぎた民主党

(P.22)

 

何だかこの言葉には

「ふむ…」と思い知らされました。

 

もっと言えば

強弁する自民党

空論ばかりの民主党とも言えるでしょうか。

 

二大政党制が全て良いとは思いませんが

その可能性が亡くなってしまったのは

かなり残念だなと思います。

 

自民党が自己改革を目指すならば、

これまでのように2世、3世議員が

当然のように後援会を引き継いで

選挙にすぐ勝つようなやり方を改めるべきです。

公募で候補を探すのも一つの手でしょう。

公募ではろくな人材は集まらないという

意見もありますが、

そうした新しいことでもやらない限り

現状は改善しない。

公募制でとにかく候補を募ってみれば、

時間はかかっても

今までの世襲議員とは違う人たちが

必ず入ってきます。

(P.40~41)

 

世襲議員の問題は

ずいぶんと前から言われていますけど

一向に解決の方向に向かわないのは痛いです。

 

やはり憲法というものは

権力者を縛るものなのだなと痛感します。

 

政治家に厳しい立法が待たれますね。

 

分断的な政治家のあとには

融和的な政治家が登場して、

国内の対立を鎮める。

そういう「二人羽織」のような巧妙な術を使うことで、

自民党の長期政権は維持された。

(中略)

たしかに目くじら立てて「排除する」より

「抱き込む」ほうが政治的な費用対効果はいい。

こういう技を駆使する

「食えないオヤジ」たちが

かつての自民党にはたくさんいました。

(P.56)

 

55年体制の頃は

まさに自民党内の多様性が機能したのでしょう。

 

しかし今ではどこを切っても金太郎飴。

これでは無理が掛かります。

 

次の選挙で勝てば、

それは政策が

「マーケット」の信任を得たということであり、

政策が「正しかった」ということを意味する。

政治かもメディアも、

みんなそう言い立てています。

「次の選挙」で多数の議席を取れば、

それはこれまで行った政策は

すべて「正しかった」という

民意の信任を得たことであるという話になる。

どれほど失政を重ねても、

すべてうまくいっているようなふりをして、

メディアがそのように宣伝して、

有権者がそれを信じて投票行動をとれば、

すべての政策は「正しかった」ことになる。

喩えて言えば、

マーケットの反応ではなく、

社内の人気投票で

経営判断の当否が決まる会社のようなものです。

いくら売り上げが下がっても株価が下がっても、

従業員たちが「経営は大成功している」という

プロバガンダを信じていれば、

経営者の地位は安泰です。

だから、今の政治家たちは

実際に政策を成功させることよりも、

「成功しているように見せる」ことのほうを

優先させるようになった。

(P.64)

 

これは内田樹さんの発言なのですが

どこかですでに読んだことがあるのですけど

そう、そうなんだよな…とつくづく思います。

 

企業の論理が何にでも通用するわけじゃありませんし、

むしろ企業以外では通用しないものも多いです。

 

政治だけの問題ではなく、

教育、エネルギー、行政などは

マーケットとは別の次元ですからね。

 

官僚制の打破といって

内閣人事局で官僚人事を支配したわけですが、

人事を直接政治家がいじるのは、

あまりいいことではありません。

もちろん、すべて官僚に任せるというのは

政治主導のあるべき姿ではありませんから、

官僚の仕事を厳正にチェックして、

おかしな部分を是正することは重要です。

しかし、あとは当たり前の人事を

当たり前にやっておけばいい話なんです。

ところが、あいつは俺に盾突くようなことを言ったとか、

あいつの発言は気に入らないといった感覚で

官僚の人事に手を突っ込んだものだから、

秩序も規律も完全に乱れてしまいました。

(P.221)

 

これは小沢一郎さんの発言ですが、

私たちが子供の頃に習った

三権分立」ではないでしょうか?

 

政治家が率先して

法律を破るようでは困りますし、

厳罰に処すべきと思います。

 

あ、今起きているのもこれと同じか。

自民党諸君よ、次の選挙を楽しみにしてろよ。

 

自民党支持者の方には申し訳ないですけど

さすがにお灸をすえなきゃならんでしょう。

 

なんて、そうならないのが

この国の不思議なところですし、

それが国力低下に結び付いているのでしょう。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

本書に登場する人たちは

やはり「一家言」を持つ人たちですので

賛否両論でしょうけれども

ある種、1本筋が通っています。

 

その意味では主張はわかりやすいですし、

そういう意見もあるのだなと参考にはなりました。

 

これからの自民党がどうなるか?

悪しき伝統を打ち破れるのか?

今後も注目してまいりたいと思います。

 

それでは、また…。

 

 

*ジーネットTV 毎週新着動画をアップしています!

医師キャリア相談

*ZOOMキャリア相談を無料で行っています。

 

ジーネットが発信する情報提供サイトはこちらです!>
ジーネット株式会社 公式ホームページ
医療ビジネス健全化協議会<IBIKEN>ドクター向け情報提供サイト
ジーネット株式会社 <社長のtwitter>
ジーネット株式会社 <社長のfacebookページ>

よろしければ下記もポチっとお願いします!
      にほんブログ村 転職キャリアブログへ

診療圏調査バナー