ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

医療の選択

 

おはようございます。

 

医師専門の転職コンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

「医療の選択」

桐野 高明 岩波新書 を読みました。

 

 

まずは目次からご紹介します。

 

第1章 二つの選択肢

第2章 危うい国民皆保険制度

第3章 超高齢社会に立ち向かう

第4章 新しい治療法を目指して

終章  医療の選択

 

と、このようになっています。

 

医療を取り巻く諸問題について、

非常にわかりやすく解説し、

著者自身の意見に誘導するのではなく、

材料を提供し、

さあ皆さんはどちらを選びますか?という

スタンス貫いていて、

好感の持てる良書でした。

 

また提示する選択肢が絶妙というか、

確かにこれは検討しなきゃいけないよね…と

いうものばかりで、

私はう~んと唸りながら

読み終えたのでした。

 

高齢化社会を迎え、

人口減少社会となった我が日本においては、

増え続ける医療費など

社会保障費をどう負担するのか?

これは将来にわたって考えねばならないでしょうし、

突き詰めれば私たち国民が、

どんな医療サービスを望むのか?になる訳で、

医療の質や制度設計は

それを前提にしなければならないのでしょうね。

 

本書では日本の医療制度について

その歴史的な経緯や

海外の制度とも比較しながら

分かり易く解説していますが、

問題点ばかりを強調するのではなく、

日本の医療の優れた点、

潜在的なポテンシャルに関しても、

きちんと述べている点には好感が持てました。

 

すごく難しいテーマを取り上げているものの、

随所に挿話が散りばめられており、

我々一般人にも興味が持てる

工夫がなされている点も

非常に良かったです。

 

日本に合うのは米国の制度化、英国の制度か?

社会保障は経済成長を妨げるか否か?

小さな政府化?大きな政府か?

医療費は無料か?一部自己負担か?全額自己負担か?

医療費は市場が決めるべきか?政府が決めるべきか?

混合診療は拡大するべきか?制限するべきか?

介護の主体は家族か?社会か?

医療・介護は、病院か?施設か?自宅か?

開発推進は、米国にならうべきか?独自に行うべきか?

 

実に難しい選択だと思います。

 

そしてどっちが正解とか、

そういう問題でもないように思うんです。

 

私たち自身がどれを選択するのか?

選び、そしてそれに沿う形で設計し、実行する。

 

その為には、

死って何だろう?

どういう死を迎えるのが幸せなんだろう?

健康って何だろう?

病気や怪我って人生においてどういう意味があるんだろう?

医療って何だろう?

 

このような事を考えていかねば

選択はできませんよね。

 

う~ん、難しいですが、

少なくとも自分なりの

結論は出しておきたいなと思います。

 

おススメ度は ★★★★☆ と致します。

 

それでは、また…。

 

 

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