ある読書好き医療コンサルタントの書評ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

待場の戦争論

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを軸にして

転職やクリニック開業で独自のサービスを展開する

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

知らない事を知るって大事ですよね。

私にとっては内田樹さんの著書を読む事は

まさに知らない事を知る最高の教科書です。

 

知識はもちろんの事、

何より考え方や視野の広さ、思考の深さ、

物凄く勉強になります。

 

本日のブログのタイトルは、

【 待場の戦争論 といたしました。

 

医師転職ブログ

 

本書をピックアップした理由

『 待場の戦争論

内田 樹 ミシマ社 を読みました。

 

夏場は戦争について考えます。

 

別に戦争に興味がある訳ではなく、

戦争が好きな訳でもなく、

大人の嗜みとして

日本人なら学びべきだと考えています。

それが日本人としての責任ではないでしょうか?

 

小林よしのり氏の戦争論などは

毎年この時期に読んでいます。

何度も何度も…(笑)

 

そんな中、敬愛する内田樹さんが

戦争について書いている書籍の存在を知って

これは読まなあかんと思い、

速攻でポチッとして

手に入り次第に読み始めました。

 

目次

第1章 過去についての想像力

第2章 ほんとうの日本人

第3章 株式会社化する日本政治

第4章 働くこと、学ぶこと

第5章 インテリジェンスとは

 

感想

スゴイです。

相変わらずスンゴイです。

 

どうしたらこれだけの広い視野が持てるのか?

なぜこれだけの深みのある思考ができるのか?

同じ人間のはずなのに…(苦笑)

 

日本がもっと早く降伏していたら…

ミッドウェー海戦の後に日本が講和を求めていたら…

そんな発想を普通します??

 

でも確かにここで負けを認めていたら

その後の悲惨な負け戦はなく、

沖縄戦もなく、

原爆投下もなく、

ソ連の参戦もなかった訳ですね。

 

同じ敗戦でも、

アメリカなど戦勝国への態度も

今とは全く違うものになったでしょう。

 

何でもペコペコ頭を下げて、

ここまで言いなりになるような事はなかったかもしれない。

 

歴史にもしもはないんですけど、

この辺りの下りは非常に読み応えがありました。

 

そして臥薪嘗胆、捲土重来を期し、

普通の敗戦国として存在できたはずだという考えには

私自身、我々が失ったのはこれだと思いました。

 

普通の敗戦国ではなく、

異常な敗戦国になってしまったのは、

あまりにもひどい「負けすぎ」をしたからだ…と。

 

そして戦争末期には

死なせてはいけない人たちの多くを死なせてしまった。

だからアメリカの言いなりになるしかなく、

主権国家から従属国家に成り下がってしまった。

 

う~ん、考えさせられますね…。

負け過ぎた。

ほどほどの負けで終わらせるべきだった。

終わらせられなかった結果が

今のアメリカの属国のような存在だ…。

 

別に正解がある話しではありませんから

どんな事を考えたっていいと思うのですが、

敗戦を冷静かつ客観的に分析すると

負け過ぎたゆえの現代である事を鑑みると

勝てる見込みがないのに

勝とうとした事が大きな失敗だった…。

 

そしてこういうシーンは

現代社会を生きる我々にも遭遇する事があり、

サバイバル戦略として

学んでおくべきだ…そう思いました。

 

それでは恒例の私がグッときた所を

ご紹介します。

 

日本は戦争に負けることで多くのものを失いました。

それはどのようなものか。

「そんな話しはもう止めよう」と言って

済まされるものではありません。

僕たちの国は敗戦であまりに多くのものを失った。

それを回復しなければ、

この国は蘇生しない。

そして僕たちが敗戦で失った最大のものは

「私たちは何を失ったのか?」を

正面から問うだけの知力です。

あまりにひどい負け方をしてしまったので、

そのような問いを立てる気力さえ敗戦国民にはなかった。

その気力の欠如が戦後七十年続いた結果、

この国の知性は土台から腐食してきている。

(P.27)

 

下関戦争の賠償金の支払いを

明治政府が幕府から引き継いだのは

「負債の残り」を前任者から引き継いだものだけが

正当な後継者として認知されるという

国際法的な常識をわきまえていたからです。

この「負債の引き継ぎ」という発想が

現代の政治家たちにほとんど構造的に抜け落ちていることに

もっと驚いてよいのではないでしょうか。

それが「日本が負けすぎた」せいで

保持することができなかった

戦前・戦後の政体の一貫性の喪失のもっともわかりやすい、

そしてもっともみずぼらしい兆候なのだと僕は思います。

(P.79)

 

戦後レジームからの脱却」というのは、

本来の意味は「従属国からの脱却」ということです。

美しい国へ」というのは、

主権国家へ」ということです。

その目的は正しいと僕も思います。

でも、その目的を実現するために採用されたのが

アメリカへの徹底的な従属を通じてのアメリカからの自立」

という伝統的戦略の繰り返しであるなら、

何の意味もない。

「従属を通じての自立」という発想そのものが

従属国マインドのもっとも兆候的な形だということに

なぜ彼らは気づかないのか。

(P.99~100)

 

ロールモデルになれる人間とは、

集団の自分以外の全員が

「自分のような人間」であるほうが

そうでない場合よりも

多くの利益を得られるという生き方をしている人間のことです。

それを僕は「倫理的な人間」と呼んでいます。

簡単に「大人」と呼んでもいい。

そして、今われわれの国には「大人」がもういない。

(P113~114)

 

学び始める前に、

「私はこれから学ぶ知識や技術や情報に

どのような価値や有用性があるかを

すでに熟知している」と宣言してはならない。

決してしてはいけない。

というのは、学ぶというのは、

「自分がその価値や有用性を考量するものさしを持っていない」

という事実を学ぶところからしか始まらないからです。

(P.176)

 

生きる力の強い人は、

知る人のいない外国に行っても、

自分を支援してくれる人に偶然出会う。

自分が知りたいと思っていた

当の知識を持っている人に出会う。

自分が行きたいと思っていた場所に

同道しようという人に出会う。

そういうものなのです。

(P.189)

 

物語の中にわざわざ政治家や大金持ちや有名人を

登場人物として出してくるのは

システムが順調に機能しているときに

偉そうにしている人間は

だいたい非常時には使いものにならないということを

人々に教えるためです。

システム内部的な強者は、

システムが機能停止したときには

何の役にも立たない。

むしろ、集団の機能を妨害する。

(P.270)

 

これまでの価値の度量衡では考量できないような

価値の創出のことを「イノベーション」と言うわけですから、

費用対効果というような「せこい」話しの枠に収まるはずがない。

(P.273)

 

戦争論と言いながら

戦争以外の事も大いに学べる1冊です。

 

そして普通の大人が忘れた事を

思い出させてくれる良書です。

 

評価

おススメ度は文句なく ★★★★★ と満点です。

 

内田節が連発ですが、

私たち戦後に生まれた日本人が

戦争や国際政治を考えるには

とても参考になる書だと思います。

 

情報が簡単に手に入る時代ですが、

本物の良質な思想は意外と身近にないものです。

 

本書を読むと、

ああ、自分はこういう事を知っておきたかったんだ…と

思うのではないでしょうか。

 

それでは、また…。

 

 

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