ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

本当の仕事の作法 価値観再生道場

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを研究し続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

仕事の悩み…。

誰にでもあると思います。

 

正直、つまらないハウツー本を読もうが、

同僚と愚痴ろうが、

上司や先輩からアドバイスを受けようが

まず解決しませんよね。

 

なぜなら答えは自分の中にあり、

答えに導くヒントも

自分の中にしかないからです。

 

自分の内側にあるものに気づき、

表面に浮上させる。

 

その為に役立つのではないかと思える

本と出合いました。

 

本日のブログのタイトルは、

【 本当の仕事の作法 価値観再生道場 】

といたしました。 

 

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本書をピックアップした理由

『 本当の仕事の作法 価値観再生道場 』

内田 樹 名越 康文 橋口 いくよ

ダ・ヴィンチブックス を読みました。 

 

ま、いつもの如く敬愛する内田樹さんという事で

手に取ったのが最大の理由です。

 

ただ本書においては

もうひとつの目的がありました。

 

仕事の作法。

 

う~ん、作法ねえ。

世に仕事論の文章は多いですが

ずっと転職支援を仕事にしてきて、

大変多くの方々と仕事について語り合ってきました。

 

つまり現場で仕事論を学んできている訳です。

 

そんな私には仕事論を書いた本で

非常に参考になったという本は正直少ないです。

 

なかには害にしかならない本や

内容の薄さに愕然とするような本もありました。

 

ま・まさか敬愛する内田さんが

そんな浅い事は言わないよね?

大丈夫かな…なんて事を考えながら

若干の不安を持ちつつ本書を読み始めました。 

 

目次

第1章 仕事は修行か?

第2章 職場に自由裁量権を!

第3章 後ろ姿は大丈夫?

第4章 未来に追いつく方法

第5章 夢の実現法

第6章 不得手なことをやろう!

第7章 宝くじが当たったら、仕事辞めますか?

第8章 本物の女子力は日本を救う?

第9章 失業不安を乗り切るには

第10章 仕事を生み続けるには

第11章 一億三千万人分の雇用

第12章 人の嫉妬をどうかわす?

第13章 通勤環境問題

第14章 職場環境問題

第15章 どこまでがブラック企業

第16章 いい会社ってどんな会社

第17章 好きなことを仕事にできる?

第18章 ハウツー本に書かれない真実  

 

感想

内田さんに仕事論を語らせたら

相当に難解な表現になる事でしょう。

 

しかし本書は名越康文先生(精神科医)と

橋口いくよさん(作家)との対談です。

 

良く言えばお2人が良いアクセントとなっており、

読みやすさを作り上げてくれています。

 

悪く言えば若干軽くなってしまっている感はありますが、

まあ一般論としては充分に良い内容です。

 

仕事論として合格ですね。

多角的に、時には深く、時には広く、

仕事と上手に向き合うコツが本書にはあります。

 

20代や30代の方には特におススメできます。

自分なりの仕事のポジショニングが

少し見えてくるのではないでしょうか。

 

例えば…というところは

恒例の私がグッときた箇所のご紹介にて

変えさせていただきます。

 

「自分を含む風景を俯瞰する能力」って、

汎用性の高い能力なんじゃない?

(P.20 内田氏)

 

この世で一番大切な仕事って、

この世界に秩序をもたらすことでしょう。

この世界は意味があって、

ちゃんと物事の条理が通っている。

それを下支えする仕事が 一番貴重な仕事なんだと思うよ。

(P.23 内田氏)

 

人の心を動かすホスピタリティって、

ほんのわずかの気遣いなんだよね。

(P.27 内田氏)

 

松下幸之助が経営者に必要なものは

三つあるって言ったことがある。

まず「愛嬌」。

二つめは、「運が良さそうに見えること」。

三つめが、「後ろ姿」。

すごいな。数値化できないものばっかり。

(P.38 内田氏、名越氏)

 

人間って、

この人は信頼できるって決めたら

変えにくいものなんですよ。

それを変更する時に自分自身の人間性

信頼できなくなってしまうでしょう。

だから1度信頼しちゃったら、

それを変更するのは本当に難しい。

その人にしてみれば、

ものすごい持ち出しなんですよ。

(P.43 名越氏)

 

知能指数が高すぎる人って、

時々そうなるんですよね。

ある倫理観が飛ぶんですよ。

そういう人は無駄に先が見えすぎて、

それっきゃないって感じになってしまう。

じわじわ空気をはらんで

物事を完成させるということを

知らないうちに決め込んでしまうんです。

頭の良さゆえ、その時々の勝負には強いんですが、

自他のあわいで生きる得にふれることがないから、

自然と考えが小さくなることが多い。

倫理とは、

広く見るという意味が基本にないと、

責める、いさめる力になってしまう。

倫理の前提は視野の広さにあると僕は思うんです。

(P.81 名越氏)

 

僕の実感としては、

そうやってオーバーワークになって、

仕事のクオリティが下がって疲れてきた頃に

仕事依頼のピークが来る。

その状態で、

最初のクオリティを維持しようと思ったら、

身体を壊しても働くか、

仕事を断るしかないんだよね。

(P.97 内田氏)

 

組織って弱い人を含んでいるほうが、

絶対高機能になるの。

(P.110 内田氏)

 

日本の経済力って最終的には、

接客のインターフェイスの質だと思うんだ。

これってかなり長期にわたる

文化的な蓄積がないと作り出せないものでしょう。

だって、すぐにお金になって還元されるわけじゃないんだから。

せこく考えると、接客時間って、

とりあえず売る側からすれば、

「持ち出し」なわけでしょう。

(P.112 内田氏)

 

必要な仕事は常に生まれ続けているのに、

今、職がないと言われているのは、

それを繋げる装置がないだけなの。

社会システムがどんどん変わっていくにつれて、

そこには隙間がいっぱい出てくる。

だから、その隙間を埋めるための仕事が必ず生まれてくる。

それなのに、そのための手順が整っていない。

仕事の需要はあって、

仕事をしたい人もいるのに、

それをマッチさせる装置が実質的には存在しないんだよ。

(P.116 内田氏)

 

天職とか適職のことを英語で

コーリング」って言うんだけどもさ、

コーリングって「呼ばれること」なんだよ。

 「こっちに来てくださーい」って、

向こうが呼んでる。

才能って、

その呼び声が小さな声であっても

ちゃんと聞き取れる能力のことじゃないかな。

(P.119 内田氏)

 

オープンマインドでいることが、

仕事と出会うためには

一番大切なことなんじゃないかな。

(P.122 内田氏)

 

人がやってないことをやってると

嫉妬されないの。

(P.127 内田氏)

 

職場って、

自分自身が植物だとして、

その植物が枝もつけて花もつけていくような

生命のためにある職場と

「え、僕が肥料ですか?」みたいな職場と、

ほんと二分化されるんですよ。

しかもはっきりと分かれる。

その中間ってないんですよね。

(P.151 名越氏)

 

あのね、むりやり会社を大きくしようとするのと、

自然に大きくなるのって、

まるで別のことなんだよ。

(P.153 内田氏)

 

だって即戦力が欲しいというのは

「育成するコストを負担したくないから、

もう完成した既製品持ってこい」ってことなんだから。

自分のところでは人を育てる気がないし、

自分のところでは人は育たないということがわかっているから、

「即戦力を求めて」いるんだよ。

人間を消耗品だと思っている。

なるべくスペックの高い資材を

安い値段で買いたいと言ってるだけ。

(P.158 内田氏)

 

僕たちが「これは問題だ」というものって、

ほとんどが「答え」なんだよ。

それまでの自分の生き方や

積み重ねてきた選択の結果が目の前にある。

次から次へ問題が出てきて、

そのつど最適の決断を迫られて

あたふたしているというのは、

その人がこれまで長い見通しをもった判断をしてこなかったし、

今もしていないということの「答え」なんだと思うよ。

今の日本人は、みんなそんな感じになったね。

(P.175 内田氏)

 

成功か成功じゃないかって、

自分で決められることじゃないでしょ。

今橋口さんが言ったように

「人に認められる」ということであって、

自分では成功したつもりでも、

周りが誰も経緯を示さない、

フォロワーもいない成功者ってあり得ないもの。

(P.190~191 内田氏)

 

ハウツー本て、

要するに知的負荷を劇的に軽減してくれるからね。

一度「そうか~」って納得したら、

あとはあらゆるケースに

それを機械的に適用していけばいいんだから。

(P.197 内田氏)

 

ある意味では、

ずっと迷走し続けないとダメなんですよね。

むしろ迷走が近道というか。

(P.202 橋口氏)

 

今回はかなり多めでしたが、

それだけ思うところが、

感じるところがたくさんあったという事です。

 

なぜか内田氏の発言ばかりを取り上げてしまってますが、

まあこれは私の趣味趣向なのでしょうね。

 

でも話しの流れを追えると

さらにグッと心に響くと思いますよ。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

仕事で悩んでいる方には

そっと本書を渡したいです。

 

いや別に本書には答えは載っていません。

考え方や説き方のヒントが載っているのです。

 

ハウツー本ではありませんから、

こうして、こうして、こうするといいよなんて

浅はかなものではないのです。

 

自分の頭で、自分なりに考えていく際に

前提として持っておいた方が良い知見が

本書にはあると思います。

 

働くことは日本国憲法で 

権利であり、義務であるとされています。

多くの人が40年~50年は働く時代でもあります。 

 

自分の中で確立した仕事論を持っておかないと

かなりキツくなる事も多いでしょう。

 

本書を読めば何かを手にする事は間違いなく、

そこからブラッシュアップすれば

結構良いものになっていくと思われます。

 

それでは、また…。

 

 

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