おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
私が転職エージェントとして仕事をするようになり
早くも20年が経ちます。
断言しますけど
この仕事は長くやればいいものではなく
センスと思想が大事です。
経験値はないよりは
あったほうがいいという程度です。
10何年やってても
全く底の浅い誰にでもできるような
レベルで留まっている人は多いですし、
逆に3年や5年の経験しかなくても
本質をズバッと掴み
着実に人様のキャリアアップに貢献できる人もいます。
私はキャリアの専門家として、
特に医師という専門職を支えるコンサルタントとして
キャリアの勉強は欠かしませんし、
何より大事なのはその奥底にある
人生の深みを学ぶことだと考えています。
ですからキャリアを表層的に扱い、
軽々しく語る人間が大嫌いなのですね。
こういう輩に限って
人のキャリアをグチャグチャに壊しても責任を感じず
自分だけは正しいと思っている。
実に恥ずかしいです。
キャリアに正解はありません。
ただある人にとって望ましいかどうか、
ここを追求するしかないのです。
まえがきが長くなりましたが、
今回はキャリアの勉強をしました。
ご紹介する書籍は、
【 転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール 】 です。
本書をピックアップした理由
『 転職2.0 日本人のキャリアの新・ルール 』
村上 臣 SBクリエイティブ社 を読みました。
私はSNSでの情報発信に積極的です。
一応、Instagramなども少しやっているという感じでした。
ところが最近はyoutubeもガッチリ始めて
これはこれでなかなか楽しい。
まあ私の場合は
すべてビジネスとしてやっていますので
パーソナルブランディングを上げることが目的です。
おかげさまで大変多くの方と繋がり、
日々たくさんの反応をいただいており
なかなかの充実ぶりです。
すべて実名でやってますので
ご関心ある方は小野勝広で検索すると出てきます。
それともうひとつ。
<Linkdin>です。
ずいぶん前からアカウントは持っており
細々と活動は続けていました。
なぜか最近ちょっと力を入れるようになりまして
すでに6000名以上の方と繋がっていただいています。
ビジネス系SNSとでも言うのでしょうか?
自分も発信をしていますし、
他の方の発信を読む機会が増えてきました。
そんな中、Linkdinの日本代表である村上臣さんが
転職についての本を出版したことを知り、
ほう、それはちょっと興味深いな。
転職支援の専門家として
読んでおくべきと考えて本書を手に取ったのでした。
目次
第1章 望み通りのキャリアを手にする「転職2.0」とは?
第2章 自己を知る
ー「情報収集」から「タグ付けと発信」へ1
第3章 自己を高める
ー「情報収集」から「タグ付けと発信」へ2
第4章 業界を見極める
ー「スキル思考」から「ポジション思考」へ
第5章 会社を見極める
ー仕事は「会社」でなく「シナジー」で選ぶ
第6章 広くゆるいつながりをつくる
ー「人脈づくり」から「ネットワークづくり」へ
第7章 転職を考えることは人生を考えること
感想
私自身、転職支援の専門家、
いやそれよりもキャリアの専門家として自負がありますので
この手の本には厳しいところがあります。
ですが、本書に関しては
率直に「いい転職本」ですよ…とおススメいたします。
正直、キャリア本としては
もう少し深みが欲しいというか
一部の業界、一部の方々にしか受けないと思います。
転職本としても同様で、
万人受けはできない内容ですが
それでもよいポイントを抑えているように感じました。
ひとつ面白い考え方だなと思ったのは
「タグ」という発想です。
自分自身の経験や特性を
「タグ」化していく。
この「タグ」を増やしたり、広げたり、
他者との接点にして
キャリアアップしていく。
これは有効だと思いましたね。
キャリアシーンでは
スラッシュキャリアという考え方で
前々から言われてきましたが
これを「タグ」としたほうが
SNSなどを通して人的ネットワークを広げることにもなり
最近の若い方には親近感が持てそうです。
この点の考え方は新鮮でした。
ちなみにスラッシュキャリアに関しては
下記、コーポレートブログに書いています。
逆に残念だったのは
本書ではキャリアコンサルタントに相談しようと勧めており、
著者はキャリアコンサルタントに対して期待というか、
キャリア設計の際に役立つと考えているようですが、
キャリアコンサルタントである私自身が
あまりおススメできません。
だってひどいキャリアコンサルタントは多いですよ。
自分の数字しか考えていない輩とか
キャリアに関して不勉強だったり、
情報が少なかったり、
人格的に問題があったり、
まあ様々です。
第一、当人のキャリアがボロボロだったり、
転職を繰り返しながらキャリアダウンしている人も
はっきり言うとかなり存在します。
あんまりキャリアコンサルタントを信用しないほうがよいです。
ただなかには少なからず
まともな人もいますので、
キャリアコンサルタントだから相談ではなく、
まともな人だから相談と考えたほうが良いと思います。
もうひとつ。
著者はジョブ型雇用が今後当然進むと考えているようですが
私は無理だと思ってます。
ごく一部の人、ごく一部の組織では
多少なりとも進むでしょうが、
こういう雇用形態は日本の強さを薄めると考えます。
むしろ欧米型を追随し失敗する歴史を
また繰り返すのか?と私はかなり懐疑的ですね。
グローバリズムと同じです。
あとは下記に恒例の私がグッときたところを書き出しましたので
それをご紹介しつつコメントいたします。
やりがい、年収、人間関係、
ワークライフバランス、会社の将来性、働く環境…。
何かを得ると何かを失う。
転職とは ”トレードオフ” なもの。
だから、何かしら会社に ”不満” があっても、
我慢して働くのが仕事というもの…。
(P.001)
転職はトレードオフ。
これはまぎれもない事実です。
ただ何を得るか?が明確な人は
必要なものを得るために
優先度の低いものを捨ててもいいでしょう。
これが成功する転職の考え方です。
そんな新時代には、
「正しい転職の価値観」と
「正しい転職の方法論」を知れば、
これまでの経歴に関係なく誰もが、
我慢の必要のない
”望み通り” のキャリアを手にすることができる。
(P.002)
キャリアはそんなに甘くありません。
単なる価値観と方法論だけでは不足です。
もっと大事なのは人生観であり、労働観であり、
その根本となる「哲学」なのです。
仕事は大事だけど、
それだけで幸せになることはできない。
家族や友人などのステークホルダーが存在する中で、
バランスを取りながらトータルとして幸せになることが
大切だというわけです。
(P.029)
トータルバランス、賛成です。
幸福とは何か?
これは人それぞれですから
自分にとっての幸福バランスを
見つけねばなりませんね。
場当たり的に行動している人ほど、
何の根拠もないのに
「これだけ行動しているのだから、
必ず報われるはず」などと思い込みがちです。
これは「努力すれば報われる」という価値観を教えている
日本の教育のせいでもあります。
しかし、本来は
「正しい努力をすれば報われる」が正解です。
努力の仕方を間違うと、
物事は徒労に終わってしまうことを知っておきましょう。
(P.053)
いえ、正しい努力をしても報われないケースは多いです。
むしろ「報い」云々ではなく
成功した人はみな努力をしている。
この1点に絞るべきでしょう。
努力=報いと考えるのではなく
努力は報いとは別にすべきもの。
ただし自分が楽しくなきゃ続かないね…でいいと思う。
個人がキャリアで成功するにあたって、
キーパーソンとつながることができるかどうかは
重要なポイントです。
(P.062)
おっしゃる通り。
ただキーパーソンを見極める目が必要ですね。
ええ、あの人?みたいな人をリスペクトしてちゃ
やっぱり失敗しますね。
「やりたいこと」を無理矢理見つけ出すのではなく、
今やっている仕事の中で、
ワクワクすること、
楽しさを感じられることは何かという
棚卸しから始めることです。
(P.076)
キャリアアンカーです。
自分ならではの価値観。
これを見つけるためにキャリアドリフトするのです。
少し前から現在に至るまで、
多くの企業が求めている人材として
「ABC人材」という言葉もキーワードとなっています。
精通している人材を指します。
(P.114~115)
周知された時には遅いのですね。
次のトレンドを見つけなきゃ。
とにかく転職を勧める人は、
転職させたことによるインセンティブだけに執着しています。
「こんな条件はめったにないので、
今すぐ行動しないと損ですよ」
などとあおって決断を促します。
押しの強さに違和感を持ったら、
拙速に受け入れないのが得策です。
(P.127)
当然です。
こんなキャリアコンサルタントは下の下。
3流、4流どころか、最悪に近いレベルです。
付き合うのを止めましょう。
そもそも人は仕事とプライベートを
明確に分けられるものではありません。
(P.137)
今後さらにこの傾向は強くなります。
ON/OFFを1秒で切り替えるくらいの割り切りが
必要になっていくでしょう。
合う・合わないというのは
良い・悪いの問題とはまったく無関係です。
(P.182)
キャリアは個別具体的なものです。
みんな一緒はあり得ません。
昭和の時代を引きずらないように。
会社が出すオフィシャルな情報には、
基本的に「よく見せよう」という
バイアスがかかっています。
(P.239)
いかんともしがたいところですね。
バイアスの裏を読む力。
そしてリアルな情報を持っている人が
ネットワークに必要でしょう。
会社からキャリアを与えてもらうのを待つのではなく、
主体的にキャリアをつくっていくためにも、
今からネットワークづくりを意識して行動していきましょう。
(P.247)
とても重要な観点です。
会社にキャリアパスを求めたり、期待するようでは
これからの時代は生きにくくなります。
そもそも天職というのは、ただの幻想です。
もしくは、その時々で変化する可能性がある、
流動的なものです。
私たちができるのは、
限られた人生の中で、
より納得できる仕事を選び、
取り組むということだけ。
(P.291)
自分探しの旅に出て、
いつまでも彷徨っている方もいますね。
天職探しをするのではなく、
自分で天職を作るべきです。
評価
おススメ度は ★★★★☆ といたします。
転職本、キャリア本には厳しい私のわりには
なかなかの高評価だと思います。
ただひとつだけ申し上げておきたいのは、
キャリアのベースには人生や生活、
つまりライフプランがあるべきです。
ここから出発しないと
キャリアアップが人生を不幸にしたり、
キャリアと家族をトレードオフにしたり、
つまり昭和の猛烈な仕事ぶりのようになってしまいます。
24時間働けますか?って
そんな時代に逆戻りしてはいけません。
ライフがあってこそのキャリア。
ライフのためのキャリア。
そういう観点は
原則論として持っておくべきではないでしょうか?
つまりキャリアを突き詰めると
「哲学」に行きつくのです。
おそらく優秀なキャリアコンサルタントは
みな「哲学」を学んでいると思います。
裏を返せば「哲学」を学ばない
キャリアコンサルタントは無用という事です。
それでは、また…。
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