ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

リスクを生きる

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

人の百の欠点に気づくよりも

たったひとつの自分の欠点に気づいたほうが

よほど有用である。

 

何かで知った言葉ですが、

ホントその通りだよな…と思いました。

 

生きることが

なかなか難しくなっている現代社会だからこそ

どう生きるか?を我々は深く追求すべきですし、

いかに他者と共生するか?についても

じっくり考えたほうがいいかもしれません。

 

それがリスクマネジメントに繋がるでしょうか。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 リスクを生きる 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 リスクを生きる 』

内田 樹 岩田 健太郎 朝日新書 を読みました。

 

少し前に下記の本を読みました。

同じ内田さんと岩田先生の対談本です。

 

ka162701.hatenablog.com

 

本書はその続編的な位置づけでしょうか。

私にとっては内田さんの言葉が聞けるだけで

すでに買いなのですが、

岩田先生の著書も下記を読んでおります。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

いずれも大変勉強になりましたので

内田さん、岩田先生が絡むとなると

私にとっては即買いです。

 

「コロナと生きる」と来て、

「リスクを生きる」ですからね。

 

これはもうサバイバル戦略として

絶対に知っておくべきだろうと考えて

楽しみにしながら読み始めたのでした。

 

目次

第1章 感染症が衝く社会の急所

第2章 査定といじめの相似構造

第3章 不条理を生きる

 

感想

さすが…

このお2人は外しませんね。

 

前作に続きコロナは中心テーマではありますが、

そこから派生して、

社会や生き方に切り込んでくれます。

 

まあ相変わらず内田さんが良くも悪くも

話題をガーンと広げてくれて、

医学以外も学びたい

岩田先生の良い刺激になっているようです。

 

お2人の対談はとても楽しそうで

それが伝わってくるだけでも、

こちらもワクワクしちゃうのですけど

とにかく内容が濃い。

 

ここにあるのはまさに人生戦略であり、

持つべき人生哲学でもあります。

是非多くの方にお読みいただきたい1冊です。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

「わからない」と言っている限り、

感染が拡大するリスクはそれなりに抑制できる。

逆に「わかった。これが原因だ」と断定してしまうと、

それ以外のリスクに対しての警戒が解除されてしまう。

どうして感染が広がったり、

収まったりするのかは「わからない」けれども、

どうすれば感染が抑制できるかは

「わかる」というのでいいと思うんです。

(P.31~32)

 

わからないを認める。

とても大事なことですよね。

 

でも高い知性を持つ方でも

どこかで見失ってしまったりしますね。

 

わかった気になるって危険です。

これこそ大きなリスクを抱えることになりますね。

 

「もしかすると、今の若い人たちは、

 具体的な幸福や充実感よりも、

 精密なランキングを求めているんじゃないか」

(中略)

ええ、自分の専門領域で、

「果たして、自分は日本全体で何位ぐらいなのか?」

を正確に知りたいということです。

自分の「人生の偏差値」を誰かに算出してもらって、

それを教えてほしいんです。

きちんと「格付け」してもらえれば、

自分は将来的にどの程度の社会的地位をめざせばいいのか、

どの程度の野心や夢を持つことが許されるのか、

どのレベルの配偶者を期待していいのか…

それがわかると思っている。

(P.42~43)

 

自分の居場所を確認することで

ほっと安心したいという感じでしょうか。

 

確かに自分の立ち位置がわかると

ようやくその先に何をすべきかが

見えてくるというのもありますけど、

やっぱり大事なのは立ち位置じゃなくて

「立ち方」だと思うんです。

 

どこに立っても動ける人。

 

新自由主義が日本社会に持ち込んだ悪いものは

いろいろありますけれど、

その一つが「なんでもアウトソーシング」です。

行政も、教育も、医療も、公的な活動を

とにかく民営化・外部化する。

そして、ある時期から、

日本の未来の世代を育てる教育事業まで

「外注」するようになった。

それを「グローバル化」と称している。

(P.51)

 

インフラはアウトソーシングしてはダメですよね。

歴代自民党政権

この国を切り売りすることで

政権を維持してきた。

 

そんな側面もあるかもしれませんが、

そろそろ売れるものはなくなってきましたね。

 

で、国力は衰退する一方です。

方針転換が必要ですね。

 

結局、舞い上がっちゃうのは、

周りが見えていないからなんですよ。

周囲をよく観察するようになって、

自分の卑小さに遅ればせながら気づくようになってから、

俄然いい感じで仕事ができるようになりました。

(P.61)

 

増長する。

いい気になる。

慢心する。

 

ま、それだけ自分を知らない、

周りが見えていないことの証明ですからね。

 

よく観察しろってことか。

 

権限をトップに集中するということを

この四半世紀ほど

日本のあらゆる組織で進めてきたわけですけれども、

その結果、組織の上から下までイエスマンで埋め尽くされ、

定期的に大量のブルシット・ジョブが発生するようになった。

それが日本衰退の実相だと僕は思います。

(P.74)

 

おっしゃる通りと思いますし、

複雑な気分になりますね。

 

逃げ切り世代はいいですが、

これからを担う若者が絶望的な気分になるのも

気持ちとしてはわかります。

 

でも改革できるのは若者です。

思い切りぶち壊して下さい。

 

そうやって社会的なネットワークが失われた結果、

社会内において

「自分はいったい何ものであるか」を知るための手立てが、

競争関係のなかでのランキングだけになった。

自分が属する専門領域において、

どれくらいのランクに格付けされるのか、

ということが最優先の関心事になった。

それがわからないと自分がほんとうは

何ものであるかがわからないから、

そうやって、いつの間にか、

絶えず横にいる人たちとの相対的な優劣や

強弱ばかりを意識するようになった。

そのせいで、人々は分断され、原子化し、

砂粒化したんだと思います。

つねに競争を意識して生きていれば、

そりゃ孤独にもなりますよ。

「自分は誰より上か、誰より下か」ということを

つねに意識していると、

当然ながら他人の「欠点」に

優先的に関心が向くようになる。

これは必ずそうなるんです。

競争的環境におかれたときに、

人々が互いの潜在的な才能に注目し、

その開花を支援するということは起きません。

これはもう絶対に起きない。

互いにそれぞれの欠点を探し出し、

それを意地悪くあげつらうことが最優先のことになる。

(P.87~88)

 

自分は何者だ?

自分の存在価値は何だ?

どうして自分は生きているのだ?

 

こういう人生哲学を問うことが

現代社会は必要なのでしょうね。

 

同時に個々の問題としても

絶対に問うべき根本的な思想でしょうか。

 

僕が「知性的」と見なす人というのは

「その人がいると

 集団全体の知的アウトカムが向上する人」のことなんです。

知性というのは集団的に発動するものだから、

いくら個人が知的に卓越していたとしても、

その人がいるせいで、場が暗くなったり、

コミュニケーションが円滑に行かなくなったり、

人が臆病になったりするような人って、

僕に言わせれば「知性的な人」ではない。

でも、今の日本のエスタブリッシュメントを見回してみると、

個人としてはそこそこ能力は高いが、

その人が周りを押しのけて目立とうとするせいで、

組織全体のパフォーマンスは

むしろ下がっているという人ばかりか

出世しているというように見えますね。

(P.93)

 

すぐに官僚を思い出してしまうのは

やはりそういうことでしょうか。

 

組織は時々刺激を入れないと

陳腐化してしまうものなんですよね。

 

査定というのは

「みんながしていることを、

 みんなよりどれだけ上手くできるか」の競争です。

「誰もしていないことをしている」というのは

格付け不能ですから、

ゼロ査定されるリスクがある。

だから、格付けが厳密になればなるほど

多様性は失われる。

それは当然のことなんです。

格付けと多様性は共存できない。

日本の学術的発信力がこの四半世紀で

先進国最低レベルまで下がったのは、

査定を推し進めたことが

最大の理由だと僕は思っています。

(P.97~98)

 

結局、管理の問題ですよね。

管理をしようと思えば思うほどに

管理しきれなくなっている。

 

ずっとその繰り返しです。

だからこそ…

 

要するに、

管理部が組織の上層部にあるのが良くないんです。

そもそも管理って手段に過ぎないのに、

日本の組織は管理が目的化してしまう。

まるで、”管理するために管理する”となって、

その下で働く人たちがやりづらくなっていく。

組織のパフォーマンス度が落ちてしまうのは当然です。

(P.116~117)

 

現場を軽視して

現場に負担を掛けて、

管理できていないのに

やった感を醸し出して

逃げ切ってきた為政者たちよ。

 

本来的な管理の姿を

完全に見誤っていますよね…。

 

専門家とは、

専門領域のフレームが見えている人。

要するに、

「ここまではわかっている、

 この先はまだわからない」という

境界線がちゃんと見えている人がプロなんです。

「わかる」のが専門家ではない。

むしろ「わからないのが専門家」。

ややこしい言い方になりますが、

わからない領域があるのを

わかっているのが専門家であり、

それを意識させ、

気づかせてくれるのが非専門家なんです。

(P.141)

 

偽物みたいな専門家が多いですし、

コロナ禍では売名行為のような人も多かったです。

 

専門家をきちんとリスペクトしないと

自分で自分の首を絞めることになりかねません。

 

特に私の本業、キャリアや

転職、開業の業界では

非専門家が専門家のフリをしていて

非常に恥ずかしく思います。

 

岩田先生はこの本の最後のほうで

「医者は往生際が悪いんです」と言われていましたけれど、

これもまたみごとに医療の本質を

言い当てた言葉だと思います。

「薬石効なく」という状態になっても、

最後の最後まで手元にある限りの医療資源を投じ続ける。

そういうときに

「どうせ死ぬんだから、無駄なことをするな」というのは

たしかに「正論」ですし、

場合によっては合理的です。

でも、人情としては受け入れ難い。

この「往生際の悪さ」こそが

実は医療者の真骨頂であり、

実はその「往生際の悪さ」が累積して、

それが医学の進化を

推し進めてきたのだと思います。

(P.172~173)

 

プロの矜持と言えるでしょうか。

 

本来であれば医師に限らず

あらゆる職業で「往生際の悪さ」を

持っておくべきとも言えるかもしれません。

 

経済効率やコスパが優先されて

人の命を軽く扱ったり、

顧客の期待を裏切ってはいけないと思うんですね。

 

最後の最後まで諦めないという

「往生際の悪さ」こそが

その職業をキラリと光らせるのだろうなと思いました。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

内容に不満があるわけではなく、

新書ということもあり

ボリュームが私には足りませんでした。

 

内田さんと岩田先生の対談ならば

あと200~300ページくらいあって良かったです。

 

またの機会があるのかはわかりませんが、

個人的にはまたお願いしたいお2人でした。

 

それでは、また…。

 

 

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