ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

レゾンデートル

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

小説。

フィクション。

 

たぶん私はノンフィクションのほうが

だいぶ好きであると自分で分析していますが、

それでもそこそこの小説を読んでいるのが面白いです。

 

本を購入する際や

読む本を選ぶ際には

きっとそんなに難しいことは考えていません。

 

ただ…何となく…手にしてしまう。

 

これも人間の面白さというか

自分の面白い部分だなと思ってます。

 

最近思うのは

企業出版の罪深さです。

 

自費出版をする気持ちはわかります。

商業出版はおめでたいことです。

 

しかし企業出版というのは

ただのマーケティングなのですよね。

 

お金を出して

自社の都合の悪いところは隠して

自社の良いところだけを切り取って

そこに出版マーケティングのプロが

あたかも価値ある内容のように見せ掛けて

売れないものを売るためだけに

本人は大した経験がなかったり、

知見や知識がなくても

何となく良さげに見せ掛けるわけですね。

 

これをマーケティングと言っていいものか?

むしろ虚偽じゃね?と個人的には思います。

 

これを社会的に価値ある書籍と言っていいものか?

正直、私が今まで数多くの本を読んできたなかで

心底軽蔑するような内容のものは

だいたいが自社をヨイショする

くだらない企業出版の本でした。

 

えっと、ちょっと熱くなりました(笑)。

そうそう、小説について書いていたのですね。

 

いつも小説の書評を書く時には

久しぶりに小説を読みましたと言うんですけど

実はそんなに久しぶりでもないんですね(笑)。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 レゾンデートル 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 レゾンデートル 』

知念 実希人 実業之日本社文庫 を読みました。

 

実は、最近この「レゾンデートル」という言葉が

自分の中で流行しています。

 

日本語では存在理由、存在価値と訳すのがいいでしょうか。

 

私はこの書評ブログ以外は

ほとんど仕事のために情報発信をしていまして、

キャリアや転職、クリニックの開業について

ほぼほぼ毎日書いています。

 

特にキャリアに関しては

その根底に「人生」を考えるべきと思ってますので

そうするとこの「レゾンデートル」についても

わりと触れることが多いのですね。

 

ブログやSNSで

ちょくちょく書いているうちに

何かこの「レゾンデートル」っていいよな。

 

もっと流行らせたいな。

キャリアシーンなどでは

もっと「レゾンデートル」を問うべきだよな。

 

そんなことを考えながら

使えば使うほどに

お気に入りになっていった「レゾンデートル」。

 

そこで発見したのが本書でした。

 

知念実希人さんは現役医師であり、

過去には下記の作品を読んでいます。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

本作が3冊めですから

まだまだ大して読めてはいないのですが、

この「レゾンデートル」というタイトルには

ピンと来ました。

 

どんな内容になるのか?

ちょっと楽しみにして読み始めたのですね。

 

目次

プロローグ

第一章 否認

第二章 怒り

第三章 取引

第四章 抑うつ

第五章 受容

エピローグ

 

感想

う~ん、う~ん、

これを何と表現したらいいのでしょう?

 

確かにレゾンデートルです。

レゾンデートルなんですけど

私が期待していた内容とは相当に乖離しています。

 

知念さんが書いたわけですから

やはり医療関係を期待してしまいます。

 

実際に主人公は医師です。

確かに人として相当に追い込まれていますから

なかなか正常な判断が下せない状況だったのは

よくわかります。

 

まあ、このあたりはネタバレになりますので

できるだけオブラートに包んで書きますけど、

でも、医師に殺人をさせてはいけないでしょう。

 

いやいやもちろんフィクションですから

何でもありと言えば確かにそうなんですけどね、

少なくとも私の知っている医師のなかで

人を殺める可能性がある人なんていません。

 

もちろん手術など

治療、診療の結果として

不幸な事故に繋がる可能性はゼロではないと思います。

 

でも人間性として

医師が殺人を犯すなんて

あってはいけないことですし、

そう滅多にあることではないでしょう。

 

日本に医師は30万人以上いるわけですから

その中にはえ?とか、は?という人がいるのは

致し方ないでしょうけど、

本書のストーリーのように

いくら事情があっても

自分の手で、医療機関以外で、

人を刃に掛けるなんてあり得ないでしょ…と

もうこの時点で懐疑的になってしまった私…。

 

た・ただですね、

知念さんのストーリーテラーぶりは

本書でも発揮されています。

 

様々な魅力を持った登場人物たちが

登場しては消えて、

さらにまた登場して…と

先が楽しみでページを捲るスピードも早まります。

 

特に後半部分は、

それで、それで、どうなるの?と

一気読みしてしまったのですが、

前述した事情があるだけに

どうも私のなかではスッキリしません。

 

フィクションなんだから

そんな設定を気にすることなく

素直に楽しんでしまえばいいんですけど

医師に関しては誠実に向き合いたいので

ちょっと個人的に気になっちゃいました。

 

それを除けば

ストーリーとしては面白かったです。

 

これはサスペンス系とでも言うのでしょうか?

 

考えようによっては

かなり怖いところもありますし、

社会の暗部に

フォーカスしているとも言えるかもしれません。

 

でもこれが著者の真骨頂なのかもしれず、

いや現役医師なんだから

単なるサスペンスでは終わらない

何かが隠れているはずだとか、

いろんなことを考えながら読み進めました。

 

点と点が各所に散りばめられていて、

それが段々と線になってきて

最後のクライマックスは

ああ、そう来たか…と。

 

大どんでん返しという感じではありませんけど

妙にスッキリ感があるのは

著者の筆力と言って良いかもしれません。

 

ところどころに医療に関する内容はあるのですけど

私としてはもうちょっと医療にフォーカスしてくれると

さらに良かったのですが…というところです。

 

なんて余計なことを考えることなく、

純粋に小説として楽しむならば

本書はドキドキ感が満載で

実に面白いと思います。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

小説としては面白かったのですが

どうしても私は医療本として

何か医療の勉強になるところを探してしまって

本書においては

その部分はあまりなかったのが残念でした。

 

まあ現役医師だからと言って

必ずしも医療に縛られる必要はないわけで、

あくまでも作家としての力量は

充分過ぎるほどの

ストーリーテラーぶりを発揮しているのですから

いいっちゃいいんですけど、

それでも、でも、という感じです。

 

知念さんの本は今回で3冊め。

まだまだ他の本も読んでいきたいです。

きっと大満足できる本があると思いますので。

 

それでは、また…。

 

 

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