ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

走れ外科医 泣くな研修医3

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

突然ですが

我が国は「現場」の強さが

特徴的だったのではないかと思います。

 

だいたいダメな組織って

上から腐っていくものであって

「現場」はバカな上がいても

圧倒的な強さを誇っていたのではないでしょうか。

 

旧日本軍もそうでしたし

現在の政治状況もそうなのかな?

 

医療においても

何だかんだ言っても

結局は「現場」がすこぶる強いのですよね。

 

もっともっと「現場」が力を発揮できるように

現場力を活かすような体制が必要不可欠ですよね。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 走れ外科医 泣くな研修医3 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 走れ外科医 泣くな研修医3 』

中山 祐次郎 幻冬舎文庫 を読みました。

 

ついに中山先生の泣くな研修医シリーズも

3冊めとなりました。

 

ちなみに1、2は下記のような書評を書いています。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

これら研修医シリーズ以外にも

中山先生の著書は下記を読んでおります。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

いずれも私の評価はすこぶる高く

これからも長く読み続けたい作家さんの1人です。

 

でもこの作家さん、

現役の医師であるというのも魅力的ですね。

 

ああ、そう言えば…。

6月22日(土)17時 新宿にて

下記のイベントを行います。

 

なんと本書の著者である中山先生にご登壇をいただきます。

医療関係者限定の会にはなりますが

ご関心ある方はリンク先で詳細をご確認下さい。

 

gnet-doctor.com

 

というわけで…

この研修医シリーズはすでに全て購入済みですので

徐々に読んでまいります。

 

目次

プロローグ

Part1 向日葵 二十一歳

Part2 議員さん

Part3 アメリ

Part4 レントゲン

Part5 兄と父

Part6 夜明け

エピローグ

 

感想

う~ん、優しい。

何なのでしょうね~。

中山先生の文章はとても優しさを感じます。

 

またストーリー展開も

センセーショナルなものを狙うのではなく

淡々としてはいるものの

とても心に訴えかけてくるのですね。

 

他にはない特徴ですし、

例えるならば…

ヨーロッパ系の映画と

ハリウッド映画の違いみたいな。

 

実に丁寧に医療現場を現わしていると思いますし、

おそらくモデルとなるのはご自身とか

周囲にいた医療従事者なのでしょうけど

それぞれが大変に魅力的で、

でも特別な人ではなく

ごく普通の医師であり、患者であり、

コメディカルスタッフであるところに好感が持てます。

 

このシリーズはまだまだ続きますので

早くも次回作(すでに購入済み)も楽しみなのですが

本作で私がちょっと嬉しかったのは

佐藤先生にプライベートが触れていたことです。

 

主人公である雨野先生のオーベン的な存在ですが、

仕事のできるクールな女性医師という設定でしたが

そんな先生の人間味溢れるお悩みなどが書かれていて

何だか親近感が湧いちゃいました。

 

個人的にクールで仕事のできる女性が好きなので(笑)。

 

ネタバレになるのは良くないので

あまり内容には触れないようにしますが、

やはり向日さんについては泣けてきます。

 

病気と向き合うというのは

医療従事者にとっては日常ですけど

一般人にとっても非日常です。

 

それも先天性の病気なら

ある種の慣れもあるのでしょうけど

ほとんどの場合は

いきなり非日常が日常に変わるというか

リアルに追い込まれてしまうのですね。

 

本作においては

それが向日さんという登場人物なのですが

彼女はそれでも明るく前向きで

雨野先生と凛子先生は巻き込まれていくのですが

まさか富士山に一緒に登るとは思わなかったです。

 

医師と患者は

どのような距離感で

どんな人間関係を作るべきかには

きっと賛否両論、喧々諤々の議論があるでしょうけど

これは小説ですから

このようなストーリーもありでしょうか。

 

ともに病と闘う同志と考えれば

こういうのもありかと思いました。

 

現実的には忙しい医師が

1人の患者のために時間を作るなんて

非現実的とは思いますけど

それだけに今回のストーリーは

ある種のアンチテーゼとして

中山先生は繰り出したのではないかと

勝手に深読みしてしまいました。

 

重ねて申し上げますが

中山先生の文章は優しいのです。

 

だから感情移入できますし、

読んでいて素直に受け入れることができます。

 

次作も大変に楽しみます。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

私たちはいつ病気やケガで

医療のお世話になるかわかりません。

 

私は医療はセーフティーネットであるどころか

経済活動や生活の根幹であると考えています。

 

コロナで味わいましたけど

健康はすべての活動の源ですからね。

 

それを支える医療現場や医療従事者に対して

社会はもっと支えるべきだし、

その前にもっと知るべきであると考えます。

 

難しい医学知識なんて必要ありません。

この研修医シリーズを読めば

きっと医療に対して優しい気持ちになれると思います。

 

それでは、また…。

 

 

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