おはようございます。
読書がライフワークになっている
医療業界のコンサルタント
ジーネット株式会社の小野勝広です。
働くとは
傍を楽にすることだと言われます。
それなのに昨今では
働きたくね~
仕事したくね~
出勤したくね~とか
平気で言っちゃう人も少なくありませんが
あなたの住んでいる家!
あなたの食べている食べ物!
あなたの着ている洋服!
あなたの移動手段である車や電車!
あなたの持ち物のすべて!
み~んな誰かの仕事のおかげであり
世の中は回り回って持ちつ持たれつなのですよね。
こういう当たり前の社会の仕組みを知っていれば
やってらんね~とか言ってはいかんでしょう。
社会の構図、構造をよく見て
自分もその一員である
責任を果たすのが仕事じゃないでしょうか?
今回ご紹介する書籍は、
【 申し訳ない、御社を潰したのは私です。
コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする 】 です。
本書をピックアップした理由
『 申し訳ない、御社を潰したのは私です。
コンサルタントはこうして組織をぐちゃぐちゃにする 』
カレン・フェラン 神崎 朗子(訳)
大和書房 を読みました。
一応、私の仕事は
・転職コンサルタント
・開業コンサルタント
・経営コンサルタント と言えまして
そのすべてが医師、そして医療業界に関わっていますので
医療コンサルタントと言われたりもします。
正直、私はコンサルタントという響きが嫌いなので
あんまりコンサルと言いたくないんです。
弊社の社員の名刺には
コンサルタントとは入れずに
キャリアパートナーとしているくらいです。
ただ私どものコンサルテフィングこそが
本物のコンサルタントであるという自負は持っており
その意味ではコンサルタント自体からは
もっと学んでいかねばならないと考えています。
本書はむしろ反コンサルタントのようですから
私とは気が合うんじゃないかと思い
学ぶ気満々で読み始めたのでした。
目次
Introduction 大手ファームは無意味なことばかりさせている
第1章 「戦略計画」は何の役にも立たない
―「画期的な戦略」でガタガタになる
第2章 「最適化プロセス」は机上の空論
―データより「ふせん」のほうが役に立つ
第3章 「数値目標」が組織を振り回す
―コストも売上もただの「数え方」の問題
第4章 「業績管理システム」で士気はガタ落ち
―終わりのない書類作成は何のため?
第5章 「マネジメントモデル」なんていらない
―マニュアルを捨てればマネージャーになれる
第6章 「人材開発プログラム」には絶対に参加するな
―こうして会社はコンサルにつぶされる
第7章 「リーダーシップ開発」で食べている人たち
―リーダーシップを持てる「チェックリスト」なんてない
第8章 「ベストプラクティス」は“奇跡”のダイエット食品
―「コンサル頼み」から抜け出す方法
感想
コンサルタントを批判するという
ユニークな内容なのですが、
コンサルタントである私自身も
大変に共感するところが多かったですし、
むしろこのようにコンサルタントは
自らのキャリアを否定することでしか
より良いコンサルティングは
できないのかもしれないなと考えました。
本書はコンサルタント自身は
絶対に読まねばなりませんし、
ロクでもないコンサルタントに
騙されてしまった経営者や
せっかく高いフィーを支払って
コンサルタントに依頼したにも関わらず
大した結果に結びつかなかった企業などにとっても
読むべき価値のある本です。
世の中には
ロクでもないコンサルタントが多く、
それなのに当人が気づいておらず
むしろ自信満々でコンサルしている輩も多いです。
そんなコンサル業界に
ドロップキックするようなスカッとした内容ですし
実はそこにこそ経営や
ビジネスや哲学の大事なものが隠されているので
別にコンサル業界に関心がない方でも
ビジネス書として読んでも学ぶところは多いと思います。
この仕事の進め方はどうなんだろう?
こんな疑問はよくあることですが、
その回答が本書にあるかもしれません。
とても刺激的で、勉強になりました。
私自身、さらに本物のコンサルタントを追求します。
弊社では職人コンサルタントと呼んでいますが。
それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。
「コンサルタント」という言葉は
じつに大ざっぱに使われている。
企業の相談に乗るなら誰でもコンサルタント、
デザインコンサルタントなど、やたら種類が多い。
私が「経営コンサルタント」と言う場合は、
企業の経営幹部に協力し、
アドバイスを行う人間のことを指す。
もっと厳密に言えば、
私の怒りはMBAを取得したばかりの新卒を
大量に採用するコンサルティングファームに向けられている。
新人コンサルタントたちは、
エクセルのスプレッドシートや、
見かけ倒しの方法論や、
人を煙に巻く専門用語や、
鼻持ちならない傲慢さで武装する。
そういう連中が数々の経営神話をでっちあげ、
世間に広めた責任は大きい。
(P.24)
心から共感します。
世の中のコンサルタントの8割が偽物とすら
私は考えていますし、
それどころか害にしかならない人間も少なくありません。
まずはコンサルタントをしっかり「定義」して
実利を提供しなければならないでしょうね。
「戦闘準備において、
作戦そのものは役に立たないことを
つねに思い知らされたが、
作戦を立てる行為こそが重要だ」という言葉だ。
戦闘が作戦どおりにいくことはめったにない。
それは人生も同じだ。
言うまでもなく、
ビジネスもめったに計画どおりには行かない。
(P.59)
ドワイド・D・アイゼンハワーの言葉ですが、
空理空論なんて意味がない。
意味があるのは考えに考え抜いた
そのプロセスであるのは間違いありません。
私はプロジェクトの目的を達成するための手段として
方法論やツールを使ってきたが、
方法論やツールを使用すること自体が
目的だったことなど一度もなかった。
方法論は新しい洞察を得るためや、
型にはまった考え方から抜け出すために
利用するものだと考えていた。
同僚のコンサルタントたちも私も、
方法論どおりに実行すれば
必ずプロジェクトが成功するなんて思ってもいなかった。
(P.91)
裏を返せば、最近のコンサルタントたちは
方法論やツールを使うことが目的化しており
方法論どおりにやれば上手く行くと考えているんですね。
バカでしょうか?
関係者全員で取り組みもせずに、
ビジネスの問題を解決できると約束するような
ツールや方法論やプログラムや取り組みは、
ことごとく失敗する。
ソフトウェアプログラムであれ、
変革活動であれ、
業務オペレーションを改善するには、
関係者全員を巻き込んで一緒に取り組むしかない。
それさえできれば、
どんなツールや方法論を用いるかは、
たいした問題ではない。
人間こそ問題の原因であり、
解決の手立てなのだ。
(P.101)
100%同意します。
実力のないコンサルタントほど
ツールや方法論でゴマカシます。
最近は医療業界のコンサルタントも増えてきて
特に病院コンサルタントなどは
目も当てられないくらいにヒドイ状況です。
コンサルタントに騙されないで欲しいと
声を大にして言いたいです。
グーグルによる「優れたマネージャーの8つの習慣」
①優れたコーチであること。
②ある程度はチームのメンバーに任せ、
細かく管理しないこと。
③部下の成功と幸せを気にかけていることを
態度で示すこと。
④生産的で成果志向であること。
⑤コミュニケーションをよく取り、
チームの意見に耳を傾けること。
⑥部下のキャリア開発を支援すること。
⑦チームのための明確なビジョンと
戦略を持っていること。
⑧チームにアドバイスできる
重要な技術的スキルを持っていること。
(P.178~179)
こんなマネージャーはどこにいるでしょうか?
目指すべき指標としてはいいかもしれませんが、
私には机上の空論に思えますが…。
マネジメントって
もっと人間くさいものじゃないでしょうか。
部下たちと付き合う最善の方法は、
実際に部下たちと触れ合うことであって、
「部下との付き合い方」の参考書を読んだり、
チェックリストを作成したり、
研究したりすることではない。
(P.201)
本当にその通りだと思います。
リアルに勝るものはありません。
もっと重要なのは、
社員のキャリア開発が
本人以外の者たちの手に委ねられることなく、
社員自身が責任を持って
自分のキャリアを形成していけることだ。
社員は異動を申請できる。
本人も会議に参加して自分の能力や興味について話し、
最も適性のある職務を
一緒に探すことができる。
上司は部下のキャリア開発に関して
責任を抱え込む必要はない。
そもそもそれは上司の責任の範囲外のことなのだ。
そのかわり、部下の業績を上げることに集中すればよい。
それこそ上司が責任をもって行うべきことだ。
(P.237)
会社や上司が部下のキャリアを決めるなんて
昭和の遺物と言っていいでしょう。
ただ難しいのは
本人の意向がキャリア的に
必ず正しいというものでもないということです。
だからこそ我が国は
キャリアコンサルタントを国家資格にしたのでしょうけど
残念ながらキャリアの専門家は育たず
キャリアに彷徨っている人が資格を取っていますね。
ビジネスの成功体験が少ない
キャリアコンサルタントでは用なしじゃないでしょうか。
もちろん立派な方もいるにはいるでしょうけどね。
「リーダーになった人たちは
最初からリーダーを目指していたわけではなく、
自分自身を、自由に、思う存分に表現したい、
と思っている人が多い。
つまり、リーダーは
自分の有能さを証明することには興味はなくて、
自分自身を表現することに
果てしない興味を覚えるのだ。
このちがいはとても重要である。
というのも、”動かされる”のと
”率いる”ことのちがいはそこにあり、
いまは”動かされる”人ばかりで、
”率いる”人はほとんどいない」
(P.244)
著者は控えめと言ってますが
日本人には合うような気がしました。
出世は人格者や実力者がすべきです。
私利私欲の欲望丸出しの人は
出世させてはいけないと思うんですよね。
こういう人はお金で報いればよい。
多くのコンサルタントは履きちがえていたようだが、
企業経営は科学ではない。
科学における物体には意思がないため、
自然の法則に従って動く。
物体には意識もなければ、
エゴも、感情も、ユーモアのセンスもない。
それとは対照的に、
私たち人間の属する動物界では、
ビックリするようなことが次々と起こる。
(P.277)
企業は人間が経営しており、
感情豊かな人間が働いていることを
見失うコンサルタントなんて5流ですね。
私の経験から言っても、
「どうしたらもっとよいサービスを提供できるか」
と言っていた企業が
「どうしたら最も儲かる業務契約を取ってこられるか」
と言い始めたり、
「どうしたら巨額の利益を出せる薬品を開発できるか」
などと言い始めたりしたら、
企業が衰退に向かっている警告のサインだ。
(P.286)
わかるような気がしますが
大企業なんてどこもこんなもんじゃないですかね?
中間管理職までは
志高く挑戦し続ける人も多いですけど
取締役になったら人が変わるように感じます。
中小企業のほうが
よっぽど世のため人のためにと
考えている気がする。
評価
おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。
ビジネス本で満点は
わりと珍しいかもしれません。
コンサルタント自身には必読の書ですし、
コンサルタントを使う企業にも
将来コンサルタントを目指す人も
マネージャー層も
実に多くの人に手に取っていただきたい1冊です。
実に面白かったですし、
そのなかにビジネスの本質であったり、
経営とは何ぞや?の答えも散りばめられています。
私は弊社の社員におススメします。
強制ではありませんが(笑)
それでは、また…。
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