ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

がん外科医の本音 患者の前で言わない本当のこと

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私は医療業界の端っこで仕事をする人間ですから

医療について学ぶのは当然だと思っていますし、

そうでないと仕事の質も上がってきません。

 

ただ医療を学べば学ぶほどに思うのは、

もっと広く知られたほうがいいのに…とか、

多くの人に知って欲しいとか

知らないと判断を見誤ることになるのでは…とか、

一般の方にも浸透して欲しいなと思うことはしばしばです。

 

医学という難しい学問として捉えるのではなく、

医療という幅広い範囲での知識でも充分だと思うのですね。

 

ある意味では生活の知恵とも言えるでしょうか。

 

医師が書いた本のなかには

とても難解で医学知識がないと読めないものもありますが、

なかにはとてもわかりやすく

素人でも普通に理解できてしまうものもあります。

 

そして私のような非医療者にできるのは

私でもわかった、私でも理解できたというように

わかりやすい本を一般の方に広めることじゃないかと思い

こうして医療本の書評を書いています

 

今回ご紹介する書籍は、

【 がん外科医の本音 患者の前で言わない本当のこと 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 がん外科医の本音 患者の前で言わない本当のこと 』

中山 祐次郎 SB新書 を読みました。

 

今まで中山先生の著書は

下記を読んだことがあります。

 

ka162701.hatenablog.com

 

この作品も続編が出ているようで

実は結構楽しみにしているのですが、

なかなか出番が回ってきません。

 

ka162701.hatenablog.com

 

今回の本はこちらの続編的な位置づけでしょうか。

今後も「本音」シリーズとして売り出していくのかな?

それはそれで楽しみですけど。

 

私の積ん読本棚には

まだ他にも中山先生の著書は何冊かあるのですが、

今回は「外科医」というところにフォーカスし、

本書をセレクトしました。

 

たまたま仕事で「外科医」の先生方と

やり取りすることが増えていたものですから

ちょうど良いタイミングかなと感じた次第なんです。

 

きっと良い勉強になるだろうと

期待を込めて手に取ったのでした。

 

目次

第1章 医者から見る「がん」とはどんな病気なのか

第2章 がん治療と薬の本音

第3章 主治医と病院の本音

第4章 がん予防の本音

第5章 がん検診の本音

第6章 患者生活の本音

終章 がんにかかるということ

 

感想

さすがのわかりやすさです。

 

中山先生ご自身で

私の得意分野は、

「医療の難しい話をわかりやすくお伝えすること」です

述べているくらいですから、

一般人にも理解できるように

かみ砕いて丁寧に説明してくれていますし、

安易に誤った判断を下さぬように

両論併記をしてくれたり、

敢えて反対意見も取り上げてくれたり、

個人的見解を述べてくれたり、など

私たちの理解度を上げるために

苦心して下さっているのがよくわかります。

 

本書のテーマは「がん」です。

 

今や日本国民の2人に1人が罹ると言われますし、

身近なところにがん患者がいても

全然おかしくないんですよね。

 

でも、医療従事者やがん患者、その家族以外は

日常的に「がん」を意識するなんて

そうそうないと思いますし、

私自身も両親は今のところ健康で健在ですし、

自分は超が付くほどの健康優良児なものですから

本書はもう随分前に購入していたのですが

なかなか手が出なかったというのが本当のところです。

 

2019年6月に発行されていますので

まだそれほど古くはないですけど

医療の世界も日進月歩ですし、

「がん」に関しては

新しい治療法や薬が出てきますから

あんまり先延ばしにしないほうがいいと思い

今回読み始めたのですが、

本書は素直におススメできます。

 

とにかく中山先生の気遣いがスゴイのです。

 

医学的に誤った情報を出さないように

その道の専門家である知人ドクターのチェックを受けたり、

こうすべきだ!というような導くようなことはせずに

必ず他の選択肢についても提示してくれて、

その上で自分ならばこうするという

個人的な見解まで披露してくれるのですね。

 

がん治療に関しては

放置して良いとか、

〇〇を食べればがんが消えるとか、

医学的なエビデンスのない

ちょっと極端な情報も多いですから

こういった偏った情報に翻弄されないように

実に丁寧な解説をしてくれます。

 

ひと昔前の認識ですと

「がん」になったら死が待つだけ…でしたけど

今は手術も、放射線治療も、

抗がん剤を使った化学療法も年々進化していますし、

昨今では免疫療法もオプシーボのおかげで

かなり認知度は上がりましたね。

 

三大治療法が四大治療法と言われるようになり

治療の幅も広がっています。

 

少なくともひと頃と比較して

がん=死という構図は薄れてきていて

特に早期発見できれば

回復の可能性はだいぶ高くなっています。

 

ところが、「がん」であることを知ると

どうしても私たちは必要以上の心配と不安を抱えてしまい、

まだ医学的に認められていない治療法に

多額の資金を掛けてしまったりするのですね。

 

おそらくがん治療に長年携わってきた著者は

それに地団駄を踏んできたのでしょう。

 

だからこそ正確で、

わかりやすく、

判断を見誤らないような

実に丁重なアドバイスを書かれています。

 

正直、物凄く好感が持てる姿勢です。

 

タイトルにもあるように

がん外科医の「本音」が連発していて

もし自分ががんになったら…

家族や知人ががんになったら…

そっと本書を渡すことが

とても喜ばれるのではないかと感じました。

 

有害と思える内容の本が少なくないだけに

本書の率直さと真摯さには頭が下がる思いです。

 

一家に1冊置いておくべき

バイブル的な本と言っても過言ではありません。

 

一般人にも理解ができるように

心を砕いてわかりやすく書いてくれていますので

もし「がん」が身近なところに迫ってきたら

本書を手に取ることをおススメします。

 

標準治療の話しや

がん検診の話しなども非常に参考になりました。

 

まあそういう意味では別に「がん」が近づいてこなくとも

本書を読むことがすでに予防と言えるかもしれません。

 

絶賛、おススメさせていただきます。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

利害関係のない

ここまでスッキリした医師の本は

なかなかないんじゃないかと思いました。

 

そして「おわりに」では

これまた衝撃的な、かつ誠実な内容が書かれています。

 

がん外科医の著者のお父さんの言葉です。

 

なるべく検査はしたくない。

気づいたら手遅れというのがいい。

 

当然、著者自身は

かなりの衝撃を受けたと思いますが、

なんと再三の説得をしたものの

最終的には諦めたそうです。

 

そして、がんに対する考え方はひとつではない。

そう達観をしたのです。

 

本書は一貫してこの姿勢を貫いています。

だから、仮にどんな考え方を持っている人でも

著者はきっと肯定し、認めた上で

その上で治療計画を立てることでしょう。

 

もしかしたら治療自体を拒否するかもしれません。

でも著者は寄り添って最後まで付き合ってくれそうです。

 

個々それぞれの人生です。

 

「がん」は必ずしも

死を待つばかりの病気ではなくなっていますけど、

それでも受け止め方は人それぞれ。

 

どう生きるかも大事ですけど

どう死ぬかも大事です。

 

むしろどう死ぬかにこそ

その人の人生が凝縮されるのかもしれません。

 

その点では本書は単なる「がん」だけに留まらずに、

「生き方」や「考え方」を教えてくれるとも言えそうです。

 

最後に道を間違えないためにも

本書は有効な情報を与えてくれます。

 

それでは、また…。

 

 

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