ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

空飛ぶドクター ママさんフリーランス医師の僻地医療奮闘記

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

事件は現場で起こってるんだ!

 

踊る大捜査線でしたっけ?

織田裕二さんの名言と言ってもいいでしょうか。

 

でもですね、

本当に共感いたします。

 

どんな職業でも

どんな仕事でも

いや仕事じゃなくたって

いつも「現場」で何かが起こっているんですよね。

 

お偉くなると

現場から離れてしまい、

何が起きているのか見えなくなるようですけど

こんな輩は人の上に立つ資格はないと思います。

 

いつも現場を気に掛けて

現場で奮闘する人たちに対して

心からのエールと感謝を送るべきではないでしょうか。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 空飛ぶドクター 

  ママさんフリーランス医師の僻地医療奮闘記 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 空飛ぶドクター

  ママさんフリーランス医師の僻地医療奮闘記 』

渡辺 由紀子 かざひの文庫 を読みました。

 

実は著者とは面識がございまして

だいぶ前のことですが

1度数名でのプチ交流会的な飲み会を企画した際に

お目に掛かることができました。

 

気さくで明るい先生で

facebookでも長く繋がっていることもあり、

本書の存在を知った時には

これは是非読まねば…と思ったのですね。

 

ただ空飛ぶドクターというタイトルには

ん?どういう意味だ?と疑問に思いました。

 

考えてみれば

1度お会いはさせていただきましたが

普段、どんなお仕事をどのようにされているのか?

そういった話しを伺うことはなかったので

むしろ興味関心が高まりました。

 

いったいどんな内容なのか?

非常に楽しみにしながら読み始めたのでした。

 

目次

1 わたしがドクターになるまで

2 フリーママドクター誕生!全国を飛び回る!

3 フリードクターの楽しみと葛藤

4 これからの僻地医療に思うこと

 

感想

うん、実に面白かった。

そして勉強になりました。

 

空飛ぶドクターとは

ドクターヘリなどのフライトドクターなのかと

勝手に想像していたのですが、

離島や僻地に行きまくるために

飛行機に乗りまくるという意味だったのですね。

 

最近流行りのフリーランスドクターとも言えそうですが

ちょっと意味合いが違いそうです。

 

明らかに僻地医療の専門家のようになっており

これはある病院に常勤医師として勤めるのに似て、

僻地という日本全国の市町村に

常勤医師として勤めているような感じです。

 

本書を読んで

フリーランスっていいよね?なんて

安易に考えてはいけないと思います。

 

私はその理由として

著者のキャリアをしみじみと感じました。

 

防衛医大の出身というのもあるでしょう。

 

専門は消化器内科ではあるものの

おそらく内科も外科も

当たり前のように診察してきた経験がありそうです。

 

だから総合診療的なスキルが高く、

僻地医療のような

ドクター数が少ない

最新の医療機器がない

コメディカルのスタッフが少ない

こういう状況の中でも

的確な診察ができて

適切な治療をすることができるのは

そう簡単にはできないことではないでしょうか。

 

また自衛隊員の健康管理という点で

健診などの経験値が高くて

予防医療への関心があるのも

僻地医療では有利なのかもしれません。

 

できることが限られた

地方都市の医療機関だからこそ

できるだけ病気にならないための取り組みには

重要性が高いですよね。

 

それは著者自身の医師を目指した理由であったり、

子供の頃からの生い立ちや性格、

医師国家試験に合格した後の研修医生活や

医局人事で様々な現場に配属されたことなど

長年積み重ねてきたキャリアがあってこその「今」であり、

またご結婚、ご出産、そして育児を通して

人としての厚みを得てきたからでもあるのでしょう。

 

文章からにじみ出る優しさや温かみが感じられて

それは様々な職場に行って

現場の方々とも丁寧にコミュニケーションを取り、

しっかりした人間関係を作られていることが

すんなり理解できます。

 

とまあ、そんなことを感じたわけですが、

もし本書を読んだ医師が

よし自分も空飛ぶドクターになろうというのは

ちょっと安易だろうなとも思いました。

 

この働き方は著者だからこそ実現できるわけで

おそらくご家族の後押しも大きいと思います。

 

またフリーランス医師は

昨今、大変に増えていますし、

特に若手医師のなかでは

すでに第1歩を踏み出していたり

積極的な検討をされていらっしゃる先生も多いようですが

そのために必要なスキルや考え方、人格や環境など

実は様々な要素が成功の前提にあるように思います。

 

その点は本書からはヒシヒシと感じられますし、

継続的に仕事をもらうためにも必須条件と言えるでしょう。

 

逆にデメリットに関しても本書では触れられており

そこも看過してはいけない大事なポイントと思いました。

 

ただ医師もそうですし

医師に限らずでもありますが、

現代社会は価値観が多様化する一方ですし

働き方も千差万別です。

 

それぞれの価値感に合わせた

自分らしい働き方を模索すべきとも言えると思います。

 

この観点で考えると

本書のような働き方

もっと言えば医師人生を送るのは

選択肢のひとつとしては有効そうです。

 

もちろん著者自身が旅行が好きであったり、

地域医療に対しての並々ならぬ意欲を持っていることが

大前提とはなりますけれど

ずっと大学医局に在籍し続けねばならないとか

総合病院しか考えられないとか

いずれは自分のクリニックを持たざるを得ないだろうとか

そういった硬直化したキャリアプランに対して

こんな働き方もあるよね?

こういう医師人生もいいんじゃない?という

ある種のアンチテーゼにもなるかもしれないと考えました。

 

本書は物語として読むならば

少し風変わりな医師が

家族や様々な方との出会いを大切にしながら

自分らしい働き方を見つけたという

とても素敵なストーリーですし、

その中にも我が国の地域医療体制の課題や

女性医師として働く苦悩などにも触れられており

大変に参考になる1冊であります。

 

ただ私のような職業の人間が読みますと

医師人生であったり

医師のキャリアであったり

女性医師の生き様であったりと

変に深読みしてしまうところがありますが

そんな私に対しても

いくつかの知見をいただくこととなりました。

 

医師や医療従事者はもちろんのこと

一般の方でも充分に楽しく読める内容ですし

そのなかにも考えさせられるところも散りばめられており

是非とも多くの方に手に取っていただきたいなと思いました。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

読みやすい文章、

優しさ溢れる文体、

暖かな仕事ぶり。

 

何だか読み進めていくなかで

とても心地よく感じました。

 

これも著者のお人柄であり、

医師としての職業観なども現れているように思います。

 

冒頭に書きましたように

著者とは1度お会いしているにも関わらず

あんまり深い話しはできていませんでした。

 

しかし本書を読んだことにより

次回お会いした際には

本書の感想などをお伝えするとともに

僻地医療についてなど聞きたいことが

山ほどできました。

 

実に良いきっかけとなりそうですし、

お目に掛かれることを楽しみにしています。

 

それでは、また…。

 

 

*ジーネットTV 毎週新着動画をアップしています!

医師キャリア相談

*ZOOMキャリア相談を無料で行っています。

 

ジーネットが発信する情報提供サイトはこちらです!>
ジーネット株式会社 公式ホームページ
医療ビジネス健全化協議会<IBIKEN>ドクター向け情報提供サイト
ジーネット株式会社 <社長のtwitter>
ジーネット株式会社 <社長のfacebookページ>

よろしければ下記もポチっとお願いします!
      にほんブログ村 転職キャリアブログへ