ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

医師免許取得後の自分を輝かせる働き方(キャリア)

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

人生100年時代。

本当に100年も生きることができるのか

まあすでに実際に

100才以上まで生きている方もいますので

可能性はゼロではないんですよね。

 

ただ寿命だけでなく

健康寿命を考えねばなりませんし、

マネープランだって大切です。

 

寝たきりで長生きするのもどうかと思いますし、

年金だけでひもじく暮らすのも避けたいです。

 

もし100才まで長生きすることを想像したら

実は私たちは今から

様々な備えを打っておくべきなのですね。

 

私はキャリアの専門家です。

 

今は医師がほとんどですが、

時々看護師や薬剤師、

その他、医療職の方々のキャリア支援をしています。

 

世間的には医師と言えば高給というイメージですし、

事実、高給なほうだとは思いますが、

その裏にある激務や理不尽、

そして国の政策によって翻弄されがちで

実は医師のキャリアってすごく難しいです。

 

個人的には本書は読まねばならんと思いましたし、

同業のエージェントにお勤めの方は

必読の書と言えると思います。

 

一般の方だって

少しでも医療に関心のある方ならば

とてもわかりやすい内容ですので

医師ってこうなんだという気づきが手に入ります。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 医師免許取得後の自分を輝かせる働き方(キャリア)】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 医師免許取得後の自分を輝かせる働き方(キャリア)』

園田 唯 羊土社 を読みました。

 

何で見たのかは忘れましたが

たぶんSNSだったんじゃないかなと思います。

 

本書の存在を知って

2分後にはAmazonでポチっと購入しました。

 

私の仕事的には絶対読むべきと思ったのですが、

キャリア本って著者の偏りがあったり、

内容が浅かったりして

当たり!となるケースはそれほど多くないんですね。

 

どんなもんかなあと思いながらも

かなり楽しみにして読み始めたのでした。

 

目次

<キャリアストーリー編 15人15色のキャリア>

はじめに:自分なりのキャリアの見つけ方

Dr.吉川のキャリアストーリー

 悩み多きアウトロー医師人生

Dr.宮部のキャリアストーリー

 一つの市中病院にとどまる循環器内科医のキャリア

Dr.岸野のキャリアストーリー

 仕事・結婚・出産、優先順位はどんどん変わる

Dr.清水のキャリアストーリー

 紆余曲折を経て診療所の開業をめざす理由

Dr.伊東のキャリアストーリー

 方向性なんてどんどん変えればいい

Dr.佐々木秀悟のキャリアストーリー

 「海外留学」「時短勤務」経験から考える医師のキャリア

Dr.佐々木貴紀のキャリアストーリー

 大学に入局して研究するのはもう古い?

Dr.佐藤のキャリアストーリー

 臨床医がアカデミアで働くということ

Dr.上山のキャリアストーリー

 ロールモデルを見つけ、自助努力を惜しまず、そして. .

Dr.具のキャリアストーリー

 出会いを大切に機嫌よく過ごそう

Dr.倉井のキャリアストーリー

 好きなこと得意なことをつぶやき続ける

Dr.志水のキャリアストーリー

 後輩指導で自分が大切にしていること

Dr.本田のキャリアストーリー

 グローバルに活躍できるドクターになり、日本を盛り上げたい

Dr.齋木のキャリアストーリー

 やりたいことをやってきた紆余曲折のキャリアを振り返る

Dr.園田のキャリアストーリー

 専門分野はなかなか決まらない:やりたいことの考え方

<総論編>

1章 なぜいま医師にキャリアプランが重要か

2章 どのような選択肢があるか:臨床と研究、教育、第4の道

3章 自分なりのキャリアとは:判断軸となるもの

4章 医師として最初に直面するキャリア選択:研修先を決めるポイント

5章 これからのキャリア戦略:臨床、研究、教育、第4の道

6章 女性医師のキャリアの考え方

 

感想

いや~当たりました。

素晴らしい内容です。

 

本書は医学生、研修医、若手医師を

ターゲットにしていますが、

キャリアに悩む先生方には

すべからくおススメいたします。

 

私など本書でyoutubeが1本撮れると思って

すでに構想を練っています(笑)。

 

ただ欠点も申し上げておきます。

本書には外科系ドクターのキャリアについては

ほとんど書かれておりません。

 

心臓血管外科や脳神経外科のドクターは

ハードな勤務が多いために

わりとセカンドキャリアを模索する先生も多いので

外科系ドクターのキャリアは欲しかったなと思いました。

 

それとどうしても

著者の年代に近い先生方のキャリアばかりで

もう少しベテランのドクターのキャリアについても

触れられているともっと良いと思いました。

 

あとは本書では第4のキャリアとして

臨床、研究、教育以外の道、

医系技官や企業での勤務の可能性に

何度となく触れていますが、

著者自身が企業でお勤めですし、

最近は若手医師を中心に企業等での勤務を

模索する先生も増えていますから

その点に触れざるを得ないというのはあるのでしょうけど

私が知る限り「失敗事例」も少なくありません。

 

やっぱり医師が企業で働くのは難しいね…

自分はもういいや…という

お声を何名かの医師から伺ってます。

 

せっかくの医師免許を使わずに

ビジネスパーソンと同じ土俵に立つことには

少なくないリスクや想定外のこともあり得るのだということは

ここでお伝えしておきます。

 

…と少しマイナス点に触れましたが、

それ以外は「超」が付くほどに

有用な情報があると感じました。

 

まだ専門の診療科目が決まっていない

医学生や初期研修医にとっても

目から鱗が落ちるような箇所もあると思います。

 

また専門科目で日々診療しているものの

これでいいのか?

このままでいいのか?とお悩みの先生にも

きっと本書は参考になる点が多いですよ。

 

ご自身のキャリアを紹介してくれている先生方も

まさに右往左往、その時その時で悩み、

考えに考え抜いた上でえいや!と

ご決断をされているのですね。

 

私がいつも申し上げているキャリアの4ステップの

「キャリアドリフト」です。

 

これがやりたい!という熱い思いを持って

突き進んでみたけれど…とか、

心から尊敬できる先輩医師に導かれて

チャレンジしてみたけれど…など

個々それぞれの判断基準で決断はしたけれど

何年か経つとこれは違うかも?という考えが思い浮かび、

その都度、悩みながら他の道を検討する。

 

本書で紹介されている15名の医師は

それぞれの独自の基準でキャリアチェンジをしていますが

おそらく他者の思考の組み立て方などは

とても参考になるでしょう。

 

ではここからは私が本書のなかで

グッときた箇所をご紹介しながらコメントします。

 

自分はウサギにはなれない。

他人とはちょっと違う道を通る、

少し速足のカメなんだろう。

しかも、みんながめざす頂とは別の目標をめざしている。

肩書やポジションには興味がない。

世間からしたらアウトローだが、

自分からしたら唯一の正当だ。

(P.20)

 

自己分析。

そしてキャリアアンカー

過去の常識よりもこれからの自分。

とても大切な考え方ですね。

 

医療は数知れぬ有名無名の医師たちが

長年に渡って築いてきた石垣です。

(P.25)

 

伝統のある職業である医師だからこそ

言えることだとは思います。

私たちは歴史の1ページです。

そういう謙虚さが石垣になりますね。

 

研究をして論文を書くことでよりよい治療法が広まる。

すると自分が直接は治療することのできない

世界中の患者さんを助けることができる。

(P.91)

 

研究医の先生とは

お会いすることが少ないので

想像力を豊かにして考えたくなりました。

 

あなたの働きぶりはいつも誰かがみています。

仕事の報酬は仕事です。

よい仕事をしれいれば、

その働きぶりを認めてくれる人が必ずいます。

(P.99)

 

仕事の報酬がお金だと思っていたら

いつか稼げなくなります。

仕事の報酬は次の仕事。

こういう人にはお金は付いてきます。

 

君たちに求めたいことは一つ、

”優しいお医者さんになってほしい”という、

ただこれだけなんだ。

(P.123)

 

とても大事ですね。

医師に限らず

最近は”優しい”人が少なくなっているだけに

これからは優しい人の価値が高まるでしょう。

 

この1年間は目の前の人を、

より幸せにすることだけに集中していたと思います。

(P.130)

 

こう言える1年間を過ごしたいですね。

多くの人がそこまでは言えないでしょうから。

 

チャンスはいつも転がっているわけではありません。

ここぞと感じたら、

ありったけの時間を

やりたい仕事に費やしてもいいのではないでしょうか。

(P.143)

 

チャンスを見逃す人は多いです。

それどころかチャンスが来たことに

気づけない人もいますね。

やった人にしかわからないことですけど。

 

「夢に向かって一つの道を突き進んだ人」と

「途中で進む道を切り替えた人」。

そのどちらであっても、

自分にとって正解と思われる道を進んだはずです。

大事なのは初志貫徹できるかどうかではありません。

その道の途中で積み重ねてきた選択肢と

どう向き合ったのかで正解に近づきます。

そして、やりがいをもって過ごせているかどうかによって

自己満足度が左右されます。

(P.153~154)

 

キャリアも人生も柔軟性がないと辛くなります。

一生懸命にやれるなら

いくらでも変えていいんです。

 

ものごとにはたくさんの判断軸がありますが、

ついつい一つの判断軸に固執してしまいがちです。

しかし、軸を変えてみると

新たな発見があるものです。

(P.175)

 

頑なな人、

自己中心的な人には

見えないものがたくさんありますね。

 

一度目は手技を見せてあげる、

二度目は指導しながら一緒にやってあげる。

そして最後は手技を後ろから見守ってあげる。

だから君は三度で習得しなさい。

なるほどそのくらい集中しないといけない世界なんだな。

(P.195)

 

厳しい指導を受けた人にしか

手に入らないものって確実にありますね。

自分を甘やかせると

いつまでも成長できません。

 

結局のところ100点の職場なんぞ存在しないのです。

「どのポイントを重要視するか」や

「どのポイントを受け入れることができないのか」によって

考えるしかありません。

(P.201)

 

そうそう、100点満点の職場なんてありません。

ただ自分で100点に近づけることはできます。

そのためにキャリアプランが必要です。

 

医師になることよりも、

まっとうな医師であり続けることのほうが

はるかに大変なのです。

(P.211)

 

それこそがプロの証ですよね。

医師に限らず

どんな職業でも言えることです。

 

医学に終わりがないように、

完成された医師の最終形なんてありません。

(P.213)

 

答えを見つけるよりも

問い続けるほうが大事。

常に途上の人であるべきですね。

 

決して完成することのない医学を、

過去から未来へリレーしていくのですね。

全員中継ぎなんです。

どの医師にも、

その人にしかない知恵があるものです。

その医師を絶やしてはいけないのです。

(P.215)

 

次世代へのパス。

自分も前世から受け継いでいます。

自分の代で止めてはいけません。

 

舞台の上のあなたよりも、

観客席からのほうが、

冷静に全体像を見渡せるものです。

相談、大事です。

(P.222)

 

そのために業界外にも

人脈を作っておくのがいいですね。

自分のことは自分では見えにくいですから。

 

あなたが善意と志をもって仕事に取り組めば、

その心意気を感じ取ってくれる人は必ずいます。

出会いは、知らず知らず、

あなたが生み出すものなのです。

(P.224)

 

幸運を引き寄せるのは自分次第。

続けることがポイントです。

 

進路変更は途中でも可能です。

勇気と決断があれば

どんな道でも進むことができるはずです。

ただし、一般論として、

雇用者側からみたら

教育コストの高い人と

成長の見込みが乏しい人は

採用しにくいという事実は忘れないでくださいね。

(P.270)

 

採用される自分とは、

存在価値があるかどうかです。

価値あるキャリアを身に付けておくべきですね。

 

人は長所で尊敬されて、

短所で愛されるものです。

(P.300)

 

これ、名言ですね。

その通りと思います。

人と人、支え合いが大事ですね。

 

知恵を絞っても決められないことは

どちらを選んでも正解です。

選んだほうを正解にするように生き、

違ったと思ったら戻ればよいのです。

そうやって歩み、

振り返ったときに肯定できるような、

納得感のあるライフキャリアを

歩んでいける人が増えたら嬉しいです。

(P.302)

 

共感します。

キャリアに正解なんてありません。

あり得るのは少しでも良いキャリアにすべく

努力をし続けていたら

結構、成功しちゃった。

結果的にキャリはこうして作られるのですね。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点とします。

 

本当に素晴らしい内容と思いました。

ここには人生論、キャリア論、医師論など

とても充実した道標があると思います。

 

後半部分では

女性医師のキャリアについても書かれており、

仕事と結婚、出産、育児に悩む先生方へも

経験者より具体的なアドバイスがあります。

 

この点も若手の女性医師や医学生の皆さんには

かなり参考になるのではないでしょうか。

 

また本書を読んで

私自身は自信を深めました。

 

なぜなら私が当ブログやyoutube動画で

いっつも述べている

・キャリアの4ステップ

キャリアプラン3箇条

これが相当にいい線を行っているんだという

確信を持てたからです。

 

本書に書かれていることは

この2つを知っていれば

なるほど、こういうことね、と

ストンと腑に落ちることばかりなんですね。

 

キャリアの4ステップとして

キャリアドリフトして経験値を高め

自分の視野を広げていくことから始まり、

キャリアアンカーを見つけて

自分らしい判断基準や価値観を明確化して、

キャリアプランを描き

自分の着地点を設定し、

キャリアパスとして

着地点に向かうルートを選択する。

 

15名のドクターたちは

皆さん「キャリアの4ステップ」を歩んでいます。

 

その事例集のようなものなんですね。

そしてこの「キャリアの4ステップ」は

何度も「繰り返し」ていいんです。

 

新たなキャリアドリフトをすれば

新たなキャリアアンカーが見つかり、

新たなキャリアプランが手に入るでしょう。

 

ここで「キャリアプラン3箇条」なのです。

 

・ライフプランをベースにしたキャリアプラン

・中長期的な視点を含んだキャリアプラン

・自分らしいオリジナリティ溢れるキャリアプラン

 

本書を読めば

このキャリアの4ステップと

キャリアプラン3箇条がいかに有効かが

よくおわかりになると思います。

自画自賛ですけど(笑)。

 

きっと本書にキャリアを書いた15名の医師も

納得してくれるんじゃないかと思います。

 

また本書でも医師の転職エージェントについて

2ページだけ触れられていましたが、

情報が薄すぎます(苦笑)。

 

別に文句が言いたいわけではなく、

本書の続編を期待してるんです。

 

今度は外科系ドクターや

ベテランドクターからもキャリアを集めて、

それこそ美容クリニックに進んだドクターや

開業医、雇われ院長など

様々なシーンで活躍するドクターの声を拾い、

ついでに私のようなキャリアの専門家の見解も

入れて欲しいなあ。

 

著者の在籍している企業さんには

いろいろ貢献してますので(笑)。

 

それでは、また…。

 

 

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