ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

人生は長い。

 

つい先日私は55才になりましたが

本当にいろいろなことがありました。

 

自分で何とかできることもありますけど

自分にはどうしようもできないことも多かったです。

 

この地球上で

人類が生き延びているのは

やはり理由があるはずです。

 

事実、絶滅してしまった種も少なくないわけですから

私たちはなぜ人類は生き延びることができているのか?を

もっともっと深く追求すべきではないでしょうか?

 

おそらく過去、何度か、

大きな判断ミスをしたら

人類にも滅亡の危機はあったと思うんです。

 

全体として賢明な判断をしてきたこと、

そして少しの運があったからこそ

何とか生き続けてこれたのでしょう。

 

今まで何度かあった危機のなかでは

ウイルスとの戦いは大きなもののひとつです。

 

たくさんの方が亡くなり

危機的な状況は何度もありました。

 

だからこそ我々は学び続けねばならないと思います。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 1100日間の葛藤 新型コロナ・パンデミック、専門家たちの記録 』

尾身 茂 日経BP社 を読みました。

 

本書の存在を知ったとき、

すぐに検索を掛けて

即、購入をいたしました。

 

私にとっては必読の書と感じたのです。

 

自宅に届いたあと

少し間が開いてしまいましたけど

必ず読むと決めていたので

ようやく順番が来た感じです。

 

本当にキツイ時期でしたけど

まだ完全に終わったわけではありませんけど

これから新たなウイルスが出てくるかもしれませんけど

コロナとの戦いについて

自分の中でも取りあえずの総括をしておきたいと考え

かなり気合いを入れて読み始めたのでした。

 

目次

第1部 パンデミックと専門家

 第1章 葛藤の始まり

 (1―1)武漢の第一報、そのとき何を考えたか?

 (1―2)ルビコン川を渡る

 第2章 専門家とは?

 (2―1)正解のない中での勉強会

 (2―2)私を含むメンバー同士の衝突

 (2―3)私の風変わりな経歴と与えられた役割

 (2―4)役割の異なる専門家組織

 (2―5)専門家集団が直面した壁

 第3章 専門家の最も重要な役割

 (3―1)なぜ100を超える提言を出すことになったのか

 (3―2)政府の諮問にどのような心構えで臨んだか

 (3―3)“エビデンス”を得る困難さの中で


第2部 提言の裏にあった葛藤

 第1章 試行錯誤

 第2章 長期戦の覚悟

 第3章 緊急事態宣言の発出を避けたい。しかし……

 第4章 史上初の無観客五輪を提言

 第5章 八方ふさがり

 第6章 これまでと全く異なるオミクロン株の出現

 第7章 日常に戻す議論

 第8章 異なる景色

 第9章 日本はエンデミック化に向かうか


第3部 新型コロナが投げかけた問い

 第1章 未知の感染症ゆえの苦労

 (1-1)したたかな感染症

 (1-2)なぜクラスター対策?

 (1-3)専門家は検査を抑制しようとしたのか

 (1-4)なぜ医療の逼迫が頻繁に起こったか

 第2章 政府との関係における難しさ

 (2-1)政府とどんな交渉をしたのか

      囲み 諸外国の専門家組織について

 (2-2)提言に対する政府の6つの対応パターン

 (2-3)各政権期における提言の採否

 第3章 誰が市民に伝えるのか

 (3-1)専門家が「前のめり」に見えた理由

 (3-2)新型コロナ対策におけるリスコミの難しさ

 (3-3)専門家が「前のめり」になったために起きた問題

 第4章 葛藤の果てに

 (4-1)皆が大変な思いをした

      囲み 諸外国との累積死亡者数の比較

 (4-2)社会は許容できる死亡者数を決められるか

 (4-3)パンデミックが引き起こした「分断」

 (4-4)葛藤のもう一つの意味

 (4-5)感染症危機に強い社会へ

付表1:専門家助言組織や勉強会に参加した専門家リスト

付表2:新型コロナ対策分科会やアドバイザリーボードなどに出した

    主な提言、および、基本的対処方針分科会などにおける

    様々な意見の概要提言に根拠はあったのか

グラフ:日本の新型コロナ感染者数、死亡者数の推移

 

感想

とても素晴らしい内容でした。

大変に読みやすかったですし、わかりやすい。

 

嘘偽りのないルポタージュでもあり、

誠意と誠実さの塊のような

強い信念を感じました。

 

心から尾身先生に対して

お疲れ様でしたと労いの言葉を伝えたいですし、

日本国民のために奮闘していただき有難うございましたと

素直に感謝とお礼を申し上げたいです。

 

もちろん尾身先生だけでなく

共に働いてくれた専門家の方々に対しても

同じような思いでおります。

 

時には心無い人たちから

殺害予告までされるような

大変な思いもされたようですが、

おそらく日本国民の多くは

政府や行政よりも

尾身先生をはじめとした専門家の皆さんに対して

大変に心強く感じていたのではないでしょうか。

 

いろいろ批判を受けながらも

諸外国と比較して

圧倒的に少ない死亡者数で乗り切ったのは

尾身先生と専門家の皆さんのおかげであると

個人的には強く思ってます。

 

そして記者会見などを通しての

尾身先生の実直な人柄、

とにかく信頼に値すると

ずっと感じてきました。

 

政府や行政、また他の専門家の方々に対して、

そして思い通りの行動をしてくれない国民に対しても

文句のひとつも言いたいシーンは

きっと多かったと思うんですよ。

 

しかし尾身先生は決して人の悪口を言わない、

想定通りに行かないことに言い訳をしない。

 

こういった姿勢は

素直に人として尊敬できますね。

もし私なら記者会見は何度も炎上してしまったことでしょう。

 

世界的な危機、まさに人類の危機と言っても

決して過言ではないなかで

何万、何百万、何億という人の命を左右する

難しい局面の連続でしたから

そのプレッシャー足るや

とんでもないものだったと思われます。

 

感染症対策として

正しい提言をしたとしても

政府や国民は違う論理で動いてしまい

結果的に感染者を増やしてしまったことも

何度もあったことでしょうし、

心が折れそうになったことも

何度も何度もあったと思うのですね。

 

でも専門家としての矜持でしょうか。

 

卒業されるまで、

最後の最後まで勤めを果たしてくれたこと

歴史に残る偉大なる功績であり、

いずれ国民栄誉賞のようなものを

私は授けるべきであると考えます。

 

その一方で、

尾身先生はあまり悪くは言わないけれども

時の総理、政権、政府、厚生労働省などは

感染症対策とは全く違うロジックで動いており、

結局、政治は経済優先であり、

官僚は忖度と組織のことしか考えておらず

やはり危機の時ほど

本性が現れるものだなと痛感しますね。

 

菅元総理のワクチン確保の動きなどは

賞賛に値するものだったとは思いますけど

果たしてGO TOトラベルや

オリンピック・パラリンピックの強行開催などは

果たしてどうだったんだろうか?

 

正直、経済的な効果があったとも思えないし、

世界にどう映ったのか?

個人的には感染者を増やして

結果的には経済の再生も遅らせたのではないかと

疑問に感じています。

 

事実、尾身先生はじめ専門家のなかには

経済の専門家も在籍していて

経済的な提言もし続けており

感染症の専門家たちもその意見を尊重していることから

政府よりも信頼が厚いです。

 

結局、政治というのは

いつの時代になってもお代官様と越後屋の関係であり、

今ならさしづめ自民党と大企業なわけじゃないですか。

 

ここから脱しないと

真っ当な政治は期待できませんし、

官僚は安倍政権の頃から

国民よりも政権を重視するようになったけれども

こんなことをし続けるなら

存在価値を失うばかりじゃないですかね。

 

それが記録を残さない、

黒塗りばかりの報告書など

官僚の正義感を喪失することに繋がっているのでしょう。

 

恥を知れとひと言申し上げたい。

 

特に岸田政権になってからは

運よくコロナが収束しはじめたので

何とか逃げ切れたけれども

所詮、斡旋屋でしかないリーダーですから

ひとつ間違えたら

大変なことになっていたかもしれません。

 

そんな情けない状況の政府や官僚と比較したら

尾身先生はじめ専門家たちの成し遂げたことは

もう1段上というか、

数段上の大人の対応であったと言えそうです。

 

事実、政府や官僚の事情や思いも汲み取って

ギリギリの折衝を重ねてきたことからも

それはわかります。

 

もちろん未知のウイルスだったわけですし、

当初はわからないことだらけだったのですから

専門家たちにも誤りや反省すべきところはあるでしょう。

 

尾身先生も素直に過ちを認め、

反省をしているところがありました。

 

逆に言うとそこが政府との違いですね。

 

奴らは一切反省しないどころか、

常に自己を正当化し

逃げ切りを図り、

知らぬ顔を決め込む始末。

 

いずれ歴史に検証を迫られるのでしょうけど

子孫に顔向けできない恥ずかしい行動ではないでしょうか。

 

えっと話しがズレました。

 

本書を読めば

この国がどうコロナと対峙してきたかが

よくわかります。

 

人類はこの先もウイルスと戦わざるを得ないでしょうから

ひとつの知見として知っておくべきではないでしょうか。

 

またウイルスとの戦いは

何も政府や行政、専門家だけでなく

私たち1人1人の意識や心掛けも大事です。

 

そういう観点からも

本書は多くの人に読まれて欲しいです。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ といたします。

 

時系列に整理してくれたので

私自身も、ああそんなこともあったね…と

思い出しながらしみじみと読みました。

 

当初はわからないことのほうが多く、

正解が全く見えないなかでの戦いでしたが、

少しずつ、段々と、すべきことが見えてきて

政府や行政ともギリギリの折衝をしながらも

感染を拡大させない、

できるだけ死亡者を出さないという

大命題をブレずに持ち続けてくれたのが

最大の功績と言えるでしょうか。

 

重ね重ね、尾身先生と専門家の皆さんには

心からのお礼を申し上げたいです。

 

それでは、また…。

 

 

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