おはようございます。
医師が本業に専念できるように、
転職や開業をオーダーメードでフルサポートする
ジーネット株式会社の小野勝広です。
「未病革命2030 予兆をつかめば社会とビジネスが変わる」
片山 さつき 日経BP社 を読みました。
たまたま本屋で見掛けて、
お!と思って買っておいた本です。
片山さつきさんが医療??とは思ったのですが、
対談相手が魅力的だったので
勉強のつもりで読んでみました。
まずは目次からご紹介します。
第1章 認知症/フレイル
国立長寿医療研究センター理事長 鳥羽研二氏
認知症の発症を5年遅らせられれば、
患者数は半分以下になる
第2章 健康・医療戦略
健康・医療は今、
日本で最大に関心を持つべき分野
第3章 データ活用
多様なデータを統合して分析することで
見えてくるものがある
第4章 ウエアラブル・デバイス
ジェイアイエヌ社長 田中仁氏
「自分を見る」機能で眼鏡の概念を変える
第5章 未病/産業創出
神奈川県知事 黒岩祐治氏
「未病」への取り組みが社会・経済を活性化する
第6章 在宅介護/情報共有
カナミックネットワーク会長 山本稔氏
多職種連携がデータ活用の新たな可能性を拓く
第7章 在宅医療/医療のアルゴリズム化
医療法人社団悠翔会理事長・診療部長 佐々木淳氏
治療がQOLの改善につながるとは限らない
このように医療を多角的に語っている
対談本な訳ですが、
医師は第1章の鳥羽先生と
第7章の佐々木先生の2人だけで
あとは官僚や企業経営者、政治家なんですね。
これが実に勉強になりました。
第4章のJINS MEMEという眼鏡の話しや
第5章の黒岩知事が取り組む
神奈川県の「未病を治すかながわ宣言」は
面白かったです。
元々旧大蔵省出身の片山さんならではの
増大する社会保障に対する危機感が発端のようで、
IOHH(Internet of Human Health)という
従来の概念とは違った
問題解決手法を提唱しています。
要はICTを医療現場にも有効に活用して、
超高齢国家である我が国の社会保障費を削減する為に
予防も含めて、
未病のうちに治療をする事で、
健康寿命を延ばしていこう。
そしてウエアラブルなどの機器を利用し
ビッグデータを取り、
統計的に効率化を図っていこう。
機器の小型化は
日本企業の得意分野でもある事から
産業の育成にも繋がるし、
世界で最も高齢化が進んでいる我が国が
その問題解決を図る事で
これから高齢化が進む世界に向けて
新たな仕組みを創出して模範となろう。
そのようなテーマについて
各界の専門家たちと対談をしているのです。
それはどうかな?というような疑問を持つ事もなく、
非常にバランスの良いスタンス、
そして幅広い知識、知見、教養を活かして
実にわかりやすく、
なるほど…と納得させられました。
どうしても新しい事を行うとなると、
総論賛成各論反対のように
細部を突いてぶち壊そうとする輩が出るものですが
正直かなりよく練られていて
突きどころがないように思えました。
さすが東京大学法学部を卒業して、
旧大蔵省に進むような超エリートは
頭のできが違う…と感嘆させられました(苦笑)。
また本書の対談相手も一流どころを揃えており、
それぞれの専門領域からの意見や現状分析も
非常にわかりやすく、
抱えている問題意識はわりと片山さんに近く、
議論が上手くかみ合っているようにも思えて
思わず未来に期待してしまいます。
医師会をはじめ、
既得権益者との調整も必要なのでしょうが、
すでに横倉会長も趣旨に賛同し
シンポジウムなどにも参加しているようですから
根回しの方も徐々に進んでもいるようです。
このまま行けば10年後、20年後には、
本書に書かれているような事が
実現するかもしれません。
非常に楽しみであります。
と同時にその時に医師の働き方は?と
私は職業柄考えてしまいます。
今から次の時代に備えて
医師の働き方の未来像についても
考えておこうと思います。
本書のおススメ度は ★★★★★ と
満点といたします。
私の中では片山さつきさんって
あんまりイメージが良くなかったのですが、
いやはや見直しました。
これからは応援しようと思います。
それでは、また…。
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