ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

マルクス・アウレーリウス 自省録

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私はキャリア支援の仕事を長くしておりますので

その延長上でどうしても人生とか

哲学とか、倫理とか、そういうことに関心が高いです。

 

逆に言うと

そこをベースに物事を考えないと

人様のキャリアに対してアドバイスなんて

できっこないと思うんですよ。

 

キャリアは、

キャリアだけで独立しているのでなく、

その根底にはその人の人生があり、

毎日の生活があるわけじゃないですか。

 

つまりキャリアのアドバイス

人生や生活のアドバイスにも繋がりますので

こちらの人間力が真に試されるのだろうなと

しみじみと感じているのです。

 

どこにでもいる

ごく普通の私ですから、

できることに限りはありますが、

限りがあるからこそ

その枠を少しでも広げて

世のため人のためになれるよう

日々研鑽していかねばならないと考えています。

 

今回ご紹介する書籍は、

マルクス・アウレーリウス 自省録 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

マルクス・アウレーリウス 自省録

神谷 美恵子 訳 岩波文庫 を読みました。

 

何かの本だったか、

どなたかだったか、

本書をおススメしていて

おお!と興味を持ちました。

 

恥ずかしながら

マルクス・アウレーリウスという人物を

良く知りませんし、本書の存在も初めて知りました。

 

ですが、なぜか、ビビッと来たんですね。

まるで神の啓示のようなものです。

 

お前は本書を読みなさい。

今のタイミングで読みなさい。

 

そんな言葉が天から降ってきた感じです。

 

思わずそれに素直に従い

Amazonでポチっと購入、

届き次第にすぐに読み始めたのでした。

 

目次

訳 者 序

第一巻

第二巻

第三巻

第四巻

第五巻

第六巻

第七巻

第八巻

第九巻

第一〇巻

第一一巻

第一二巻

訳者解説

補訂付記(兼利琢也)

 

感想

この本、スゴイです。

「実践的」な哲学とでも言うのでしょうか。

 

マルクス・アウレーリウス自身が

自分に必要と思った言葉を書き溜めてきたのですから

まさに活き活きとした思想がここにはあります。

 

読後、この書評を書いているわけですが、

本書は何度となく読まねばならないと感じていますし、

それこそトイレに置いておき(笑)

毎日1ページずつでも振り返るべきと思いました。

 

私の周囲の人には

もれなくおススメをいたしますし、

当ブログをお読みの方にも

まだ未読でしたら是非!とおススメいたします。

 

おそらくこういう本って

翻訳がとても重要であって、

その出来によっては台無しにしてしまいかねませんが

本書の神谷美恵子さんは

かなり良い訳をしているように感じました。

 

ただ1点だけ。

「指導理性」という言葉だけは

ちょっとわかりにくかったです。

 

もっと他に良い言葉がありそうですが、

「指導理性」は本書で何度も出てきただけに

もうひと捻りして欲しかったです。

 

それ以外は素晴しい訳でした。

 

ではここから恒例の私がグッと来た箇所を

かなりのボリュームでご紹介をいたしますが、

これはあくまでも「私が」でありまして

間違いなく皆さんが本書を読めば

私とは違う箇所でグッと来ることでしょう。

 

あくまでもご参考までにどうぞ。

 

あけがたから自分にこういいきかせておくがよい。

うるさがたや、恩知らずや、横柄な奴や、

裏切者や、やきもち屋や、

人づきあいの悪い者に私は出くわすことだろう。

この連中にこういう欠点があるのは、

すべて彼らが善とはなんであり、

悪とはなんであるかを知らないところから来るのだ。

しかし私は善というものの本性は美しく、

悪というものの本性は醜いことを悟り、

悪いことをする者自身も天性私と同胞であることー

それはなにも同じ血や種をわけているというわけではなく、

叡智と一片の神聖を共有しているということを悟ったのだから、

彼らのうち誰一人私を損ないうる者はない。

というのは誰一人私を恥ずべきことにまき込む力はないのである。

(P.24)

 

生き方、自分の立ち位置、

そういうものを考える時の指標と言えるかもしれません。

 

他者に翻弄されないためには、

やはり確固とした自分になるしかありませんよね。

 

お前は老人だ。

これ以上理性を奴隷の状態におくな。

利己的な衝動にあやつられるがままにしておくな。

また現在与えられているものにたいして不満を持ち、

未来に来るべきものにたいして

不安をいだくことを許すな。

(P.25)

 

これも指標ですね。

人生100年時代と言われるようになりましたが

それでもたかが100年ですからね。

 

マルクス・アウレーリウスが生きていた時代から考えると

人類は数千年の歴史を持つわけです。

自分なんてちっちゃな存在ですね。

 

たとえ君が三千年生きるとしても、

いや三万年生きるとしても、

記憶すべきはなんぴととも現在生きている

生涯以外の何ものをも失うことはないということ、

またなんぴとも今失おうとしている

生涯以外の何ものをも生きることはない、ということである。

したがって、もっとも長い一生も

もっとも短い一生と同じことになる。

なぜなら現在は万人にとって同じものであり、

(したがって我々の失うものも同じである。)

ゆえに失われる時は瞬時にすぎぬように見える。

なんぴととも過去や未来を失うことはできない。

自分の持っていないものを、

どうして奪われることがありえようか。

であるから次の二つのことをおぼえていなくてはいけない。

第一に、万物は永遠の昔から同じ形をなし、

同じ周期を反復している。

したがってこれを百年見ていようと、

二百年見ていようと、

無限にわたって見ていようと、

なんのちがいもないということ。

第二に、もっとも長命の者も、

もっとも早死にする者も、

失うものは同じであるということ。

なぜならば人が失いうるものは現在だけなのである。

というのは彼が持っているのはこれのみであり、

なんぴとも自分の持っていないものを

失うことはできないからである。

(P.31~32)

 

なんか後頭部をハンマーで叩かれた気分です。

こういう発想は今までなかった…。

でも言われてみるとその通り。

 

こういう出発点が持てると

人生を変えられそうですね。

 

何かするときいやいやながらするな、

利己的な気持からするな、

無意識にするな、

心にさからってするな、

君の考えを美辞麗句で飾り立てるな。

余計な言葉やおこないをつつしめ。

(中略)

曇りなき心を持ち、

外からの助けを必要とせず、

また他人の与える平安を必要とせぬように心がけよ。

(人に)まっすぐ立たせられるのではなく、

(自ら)まっすぐ立っているのでなくてはならない。

(P.40)

 

私たちは人の目を気にして、

常識に縛られて、

自分で自分を生きにくくしてしまっていますね。

 

自分を変えることのできるのは

やはり自分自身なんですよね。

 

あたかも一万年も生きるかのように行動するな。

不可避のものが君の上にかかっている。

生きているうちに、

許されている間に、

善き人たれ。

(P.55)

 

いつやるの?今でしょ!みたいな。

でも結局これができるかどうかなんですよね…。

 

普遍的物質を記憶せよ。

そのごく小さな一部分が君なのだ。

また普遍的な時を記憶せよ。

そのごく短い、

ほんの一瞬間が君に割り当てられているのだ。

さらに運命を記憶せよ。

そのどんな小さな部分が君であることか。

(P.86)

 

天や神に割り当てられた人生。

そう考えたら私利私欲が恥ずかしくなりますね。

与えられた命はそんなことのために使うべきじゃない…。

 

単純な、善良な、純粋な、品位のある、飾り気のない人間。

正義の友であり、神を敬い、好意にみち、愛情に富み、

自己の義務を雄々しくおこなう人間。

そういう人間に自己を保て。

哲学が君をつくりあげようとした

その通りの人間であり続けるように努力せよ。

神々を畏れ、人を助けよ。

人生は短い。

地上生活の唯一の収穫は、

敬虔な態度と社会を益する行動である。

(P.104)

 

自己を保て。

このフレーズ気に入りました。

結局は自分次第なんですよね。

すべてが…。

 

遠からず君はあらゆるものを忘れ、

遠からずあらゆるものは君を忘れてしまうであろう。

(P.123)

 

う~む、これもいい。

人間なんてそんなもんです。

 

人間の喜びは人間固有の仕事をなすにある。

人間固有の仕事とは同胞にたいする親切、

感覚の動きにたいする軽蔑、

信ずべく見える思想の真偽の鑑別、

宇宙の自然および

これに従って生成する事柄の観照等にある。

(P.150)

 

命をどう使うか?

つまらなく使ったらもったいないです。

 

君がなにか外的の理由で苦しむとすれば、

君を悩ますのは

そのこと自体ではなくて、

それに関する君の判断なのだ。

ところがその判断は君の考え一つで

たちまち抹殺してしまうことができる。

また君を苦しめるものが

なにか君自身の心の持ちようの中にあるものならば、

自分の考え方を正すのを誰が妨げよう。

同様に、もし君が

自分に健全だと思われる行動を取らないために

苦しんでいるとすれば、

そんなに苦しむ代りに

なぜいっそその行動を取らないのだ。

(中略)

それならば人生から去っていけ。

自分のしたいことをやりとげて

死ぬ者のように善意にみちた心をもって、

また同時に障碍物にたいしても

おだやかな気持をいだいて去って行け。

(P.158~159)

 

自分の考え。

それ次第でどうにでもなるんだな…。

 

あることをなしたために

不正である場合のみならず、

あることをなさないために

不正である場合も少なくない。

(P.170)

 

戦うべき時は戦うべきということか。

 

君に関して、

誠実でないとか、

善い人間でないとか、

真実にもとらずにいえる権利を

なんぴとにも与えてはならない。

君についてそんな考えを持つ者は、

誰でも嘘つきにしてやるがいい。

君の考え一つでどうにでもなることだ。

実際誰が君の誠実であり、

善であるのを妨げるか。

そういう人間にならないくらいなら

もう生きるのはやめる、と君が決心さえすればよいのだ。

なぜなら君がこのような人間にならないなら、

理性もまた君に生きよとは要求しないのである。

(P.203)

 

嘘つきにしてやるがいい。

そうしてやります。

 

哲学するには、

君の現在あるがままの生活状態ほど

適しているものはほかにないのだ。

このことがなんとはっきり思い知られることか。

(P.213)

 

過ぎたるは猶及ばざるが如し。

ないものねだりをして時間を空費してはいけませんね。

 

第一に、何事もでたらめに、

目的なしにやってはならない。

第二に、公益以外の何ものをも

行動の目的としてはならない。

(P.237)

 

公益。

本当の意味で考えているか。

空語になっていないか。

 

主観を外へ放り出せ。

そうすれば君は助かる。

誰が放り出すのを妨げるのだ。

(P.239)

 

自分の目が曇っていたら

やることなすこと間違えますもんね。

ホント自分次第ですね。

 

評価

おススメ度は文句なしで ★★★★★ 満点です。

 

本書を読んで思ったのは

全く「古くない」ということです。

現在社会でも充分に通用します。

 

やはり古びないのは

それだけ人間の本質に切り込んでいるからと

言っても良いでしょうか。

 

まさに哲学です。

しかも人を達観する実践的哲学です。

 

とは言っても学問としての哲学ではありませんので

そんなに難解ではありません。

 

本書を道徳の教科書とすれば

日本人も背中がピンとするかもしれません。

 

それでは、また…。

 

 

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