ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

日本人の矜持 九人との対話

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

矜持…。

 

自分の能力をすぐれたものとして、

他に誇ること。

 

尊大、荘重な態度をとること。

自負。誇り。プライド。

 

日本人の矜持って

やはりどこかで失われてしまったのでしょうか?

 

敗戦によって

私たちは日本人らしさを

捨てざるを得なくなってしまったのでしょうか?

 

戦後の教育は

日本人の矜持を忘れるような

教育がずっと行われてきたのでしょうか?

 

その答えというか、

少なくともヒントは本書にありそうだなと

ピンと来ました。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 日本人の矜持 九人との対話 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

『 日本人の矜持 九人との対話 』

藤原 正彦 新潮文庫 を読みました。

 

藤原正彦さんは

以前に下記を読んでから

私の中では注目すべき存在となっています。

 

ka162701.hatenablog.com

 

国家の品格」で有名になった方なのに

なぜかそこには行かないという…(笑)。

 

どうも私には人の裏を行く傾向があり、

逆張り戦略好きなところがあります。

 

藤原正彦さんの著書も

ややズラしぎみなところから読んでおりますが、

おそらく氏の主張には共感するところが多く

どの著書を読んでも理解度は

それなりに高いんじゃないかと思うのです。

 

ということで今回もそこじゃないみたいな感じで

本書を選びました。

 

全員とは言いませんけど

表紙の対談相手もかなり魅力的に感じましたので

ちょっと楽しみにして読み始めた次第です。

 

目次

齋藤孝(教育学者・明治大学教授)

 「日本人らしさ」をつくる日本語教育

 

中西輝政国際政治学者・京都大学教授)

 論理を盲信しないイギリスに学べること

 

曽野綾子(作家)

 真実を述べる勇気を持つ日本人に

 

山田太一(脚本家・作家)

 人間の弱さを感じること傷つくことで得る豊かさ

 

佐藤優(起訴休職外務事務官・作家)

 アンテナが壊れシグナルが読み取れない日本

 

五木寛之(作家)

 昔の流行歌には「歌謡の品格」があった

 

ビートたけし(映画監督・タレント)

 人生すべてイッツ・ソー・イージー

 

佐藤愛子(作家)

 心があるから態度に出る誇りが育む祖国愛

 

阿川弘之(作家)

 「たかが経済」といえる文化立国

 

感想

うん、ひと言、良書です。

読む価値のある本です。

 

難しい話しは特になく、

普通の対談のなかで

生きるために必要な本質をサラリと

語ってくれています。

 

物事の本質を見極めたい方、

今、思い悩んでいる方、

将来の不安が大きい方、

こういう方には最適の書と言えるでしょう。

 

藤原先生は誰と対談しても

同じ話しをしてしまうのは玉に瑕ですけど(笑)、

逆に言えば主張に一貫性があるとも言えます。

 

大切なことを

何度も、何度も教えてくれますので

頭に叩き込まれて良いかもしれません。

 

たぶん生きる道標のようなものが

手に入るのではないでしょうか。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所を

ご紹介します。

 

英語ができないと経済が発展しないというのは、

大嘘です。

よくぞ経済界の偉い人たちが、

そのような嘘をつくものだと思いますね。

たとえば二十世紀の百年間を通じて、

もっとも英語が上手いはずのイギリスが、

経済的にはずーっと斜陽でした。

もっとも英語が下手な日本が、

一番経済成長したのです。

あるいはTOEFLのテストで、

日本はアジア二十八カ国中、見事にビリですが、

上位5カ国のシンガポール、インド、

フィリピン、パキスタンスリランカ

いずれも英米の旧植民地で、

経済的にもほとんどは発展途上段階です。

英語ができることと、

収入の相関関係があるかどうかも眉唾です。

むしろ数学の方が関係しているのではないか。

(P.12)

 

私も英語は経済と無関係だと思います。

ましてこの頃よりも現在はテクノロジーが発展し、

通訳、翻訳のアプリの精度も

かなり上がってきてますからね。

 

英語はツールだと思うんです。

国語、数学のほうが

人が生きていく上での

本質が含まれているように感じます。

 

日本は日本語によって、

ひとつのうまい鎖国状態を作れていると思うんです。

トヨタをはじめとして、

経済でも文化でも、

日本語で緊密なコミュニケーションをとりながら

独自のスタイルを作り上げ、

しかもそれが海外に流出しにくい。

現実に鎖国はできませんが、

日本語という防護壁があることによって、

世界に類を見ない特異な文化が生まれてきたし、

今世界から評価されているのも、

そうした日本独自のものなのではないでしょうか。

英語の土俵にあがってしまって、

すべての思考を英語で行うことで、

向こうの得意なところで

こちらが拡散してしまう恐れは

具体的に感じますね。

なるほど面白い。

日本語は日本文化を守る防波堤ということですね。

言語はコミュニケーションの道具というだけではなく、

思考自体、あるいは情緒もすべて言語を土台にしていますからね。

(P.15)

 

経済界や財界が教育にモノを申すなんて

図々しいにも程があると思うんです。

 

第一トヨタ以外は世界で戦えていないですよね?

それを教育の責任にして

企業の責任を放棄するなんて

見苦しいにも程がありませんか?

 

高度経済成長の頃なんて

英語力がなくとも通用したわけですし、

英語を社内公用語にするなんて

世界的な潮流から見れば

むしろズレているんじゃないかとも思うんですよね。

 

そこまで自国の言語や文化をないがしろにして

果たしてよいものでしょうか?

 

グローバリズムの波に飲み込まれるというのは

こういうことなんじゃないかな?と思ってしまいます。

 

たしかにイギリスに行くと、

アメリカが論理だけの国であることを感じます。

イギリスではフランス人の批評に対しても、

「あいつらは論理をくねくねと哲学的にいうだけだ」と

軽蔑しています。

ドイツに対しては

「あいつらは原理原則をいうばかりで、

 どうしようもなく頭の固いやつらだ」と見ている。

イギリス人は、もっと現実や史実に即して行動する。

論理というのは

「AならばB、BならばC」と発展させていくものです。

Zを結論とすると、Aが出発点になる。

ところが出発点Aは常に仮設ですから、

これをどうするかで結論はいくらでも変わるのです。

イギリス人はこのことを本能的に知っていて、

だから「論理的な正しさなんて、どうでもいい。

それよりも現実を直視しよう」と考えるのだと思います。

(P.56)

 

私は外国人の友達はいませんし、

イギリスもフランスもドイツも行ったことがないので

正直この文章の信憑性はわかりませんが、

でも、何となく、そうなんだろうなという直感が働きます。

 

本書では日本はイギリスとは理解し合えるので

第2次日英同盟も結ぼう的なことも書かれていますが、

これも何となく理解できます。

 

お互いに小さな島国であり、

長い歴史と伝統を持ち、

そしてロイヤルファミリーが尊敬されている。

何となく相性が良さそうです。

 

向こうさんがどう思っているかは別ですが…。

 

私は文化には、

能動態の文化と受動態の文化があると思うんです。

いま、隆盛を極めているのは

テレビやゲームなど、どれも受動態の文化ですね。

これは、とにかく楽なんです。

しかし、やはり受け身の文化からは何も生まれてきません。

読書は、自分で本を選び、

一行一行目で追って、

その意味を自分なりに考えなくてはならない。

自分から能動的に本とかかわっていないと、

楽しめない文化なんです。

(P.75)

 

読書さえしていればバカにはならない。

 

私が52年間生きてきて

これだけは間違いのない結論だと思ってまして

うちの娘にもこれだけは厳守させています。

 

この文章はその理由のひとつかもしれません。

電車内でもスマホをイジる人が多いですが、

皆さんもっと読書しましょう…と言いたいです。

 

いま、病気をしたり、

貧しい人たちを「負け組」と呼びますね。

これも、教育から傷つくことや

不快なことを排除した結果でしょう。

私たちは

「病気も神の与え給うたひとつの試練であって、

 ひとつの人生である。

 私たちは自分たちが得ていないものを数えないで、

 あるものを数えよ」と学校で教わりましたから。

(P.80)

 

結局価値観が「お金」が最優先になっていて

「お金」のあるなしが勝ち組、負け組を決めるのですよね。

 

そりゃ経済的な側面だって

生きていく上で絶対に必要なのですから

とても重要ではあるのですが、

それ「だけ」になってはいけないと思いますし

その優先度が高「すぎ」るのもいかがなものでしょうか?

 

人として生きる上では

「共生」こそが全ての大前提のように考えます。

 

読書さえしていれば、

いろんな感受性は自然に発達してきますから。

そうすると、よい芸術と悪い芸術、

よい映画と悪い映画、

よい漫画と悪い漫画、

いろんなものを見分けるセンスが身につきます。

大局観や人間観も培われる。

もちろん実体験も重要ですが、

本当に意味のある実体験というのは

人間の一生でどれほどあるのか。

本当に深い意志の疎通ができる相手は、

一生の間に居ても数人でしょう。

その点読書なら、

時間も空間も年齢も性別も超えて、

いろいろな人と意志の疎通がはかれるわけですから。

(P.116)

 

これこそが藤原先生の読書論ですね。

私は激しく共感します。

 

読書さえしておけば…だと思います。

 

成功したときは、

「自分の力ではなく、

 ”他力の風”が自分を成功へ運んでくれた」と謙虚になろう。

逆に失敗したときは

「努力したけど”他力の風”が吹かなかったんだ」とあっさり諦める。

こう考えれば難儀な人生にも活路を見い出せるんじゃないか。

(P.164~165)

 

ホントおっしゃる通りと思います。

人生論としてとても重要な考え方ですよね。

 

考え方を間違うと

精神の安定化装置を失います。

その結果、自分が苦しむことになってしまいます。

 

自分のためにも、他者のためにも、

そして社会のためにも

正しい人生論を持っておくことは重要ですね。

 

美の存在と、

何かにひざまずく心と、

それから役に立たないものを尊ぶ精神。

この三つが天才の誕生には必要です。

役に立つものばかりを追うような国からは

天才は出てこない。

何の役にも立たないような文学とか芸術とか学問、

そういうものを尊ぶ国からしか天才は出ないんです。

日本は数学の天才を輩出している国です。

(P.198)

 

天才云々は別にして

美の存在、ひざまずく心、役に立たないものを尊ぶ精神、

この3つが大切であることには納得です。

 

美しいものに心が動かず、

恐れを抱く対象がなく、

理解できないものを尊ぶ精神を失ってしまったら

それこそロボットに近いですよね。

 

それ何の意味があるんですか?と問う人がいますけど

意味のあるなしよりも大事なものがあることに

早く気づいて欲しいですね。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

矜持。

私たちは本当にここに立ち戻るべきかもしれません。

 

まあ日本人ととしてとか、

日本社会とか、

そんな大きな枠組みだけではなく、

自分の人生のために…が正解かもしれません。

 

生きるのが辛いとか、

先が見えなくて苦しいとか、

そういう方が現状打破するための

ノウハウが本書にはあるかもしれません。

 

それでは、また…。

 

 

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