ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

武士道

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

心の拠り所。

価値観や判断基準の原点。

 

現代社会ほど

こういったものが問われている時代は

あんまりないのかもしれません。

 

今だけカネだけ自分だけ。

こんな表層的な原点では

この先は生きにくくなるばかりでしょう。

 

後悔しても遅いですから

自分自身の生き方、考え方、

それこそ哲学を問う必要があるのではないかと

個人的には思ってます。

 

私たち日本人は

ここから再考するのがいいかもしれませんね。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 武士道 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 武士道 』

新渡戸 稲造(著)奈良本辰也(訳・解説)

三笠書房 を読みました。

 

もともと歴史好きな私ですから

武士道は随分昔に読みました。

 

私が20代半ば頃でしたので

もう30年も前になります。

 

武士道について書かれた本は

たくさんあるでしょうし、

私が読んだ本はかなりわかりにくかったという

印象が残っています。

 

たまたま見つけた本書ですが、

パラパラと捲ってみると

何だかわかりやすそうに書かれていました。

 

久しぶりに武士の心を思い出すか!と考えて

即購入、即読み始めました。

 

目次

第1章 武士道とは何か

第2章 武士道の源をさぐる

第3章 「義」-武士道の光り輝く最高の支柱

第4章 「勇」-いかにして肚を錬磨するか

第5章 「仁」-人の上に立つ条件とは何か

第6章 「礼」-人とともに喜び、人とともに泣けるか

第7章 「誠」-なぜ「武士に二言はない」のか?

第8章 「名誉」-苦痛と試練に耐えるために

第9章 「忠義」-人は何のために死ねるか

第10章 武士は何を学び、どう己を磨いたか

第11章 人に勝ち、己に克つために

第12章 「切腹」-生きる勇気、死ぬ勇気

第13章 「刀」ーなぜ武士の魂なのか

第14章 武士道が求めた女性の理想像

第15章 「大和魂」ーいかにして日本人の心となったか

第16章 武士道は甦るか

第17章 武士道の遺産から何を学ぶか

 

感想

本書のサブタイルは、

「いま人は、何を考え、どう生きればいいのか」です。

 

それはね…と

簡単に言えるものではありませんけど

確かに「武士道」には

私たち日本人の「心の原点」のようなものが

含まれているとは思います。

 

事実、本書は訳者の力量でしょうか

実にわかりやすくて読みやすいです。

 

ご存知の方も多いと思いますが

「武士道」は新渡戸稲造アメリカで刊行しており、

それを逆輸入のような形で

国内で翻訳されたのですね。

 

ですから翻訳によっては

かなり難解に受け止めてしまうこともあるでしょう。

私が若かりし頃に読んだものは

相当に難しかったという思い出があります。

 

もし「武士道」に興味をお持ちの方がいらしたら

本書をおススメします。

 

そもそもの内容が広く、深いので

読み手の知性や教養が問われますが、

私レベルでもスラスラと読めました。

 

そして「武士道」とは?という問いに

読み手それぞれの受け止め方はあるにせよ

自分らしい見解を述べることができるようになるでしょう。

 

時代が異なりますから

現代社会で通用するのは

ごく一部かもしれませんけど、

その原則とか原理を知っておくことで

人間を見る目が養われるように思います。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

禅は

「沈思黙考により、

 言語表現の範囲を超えた

 思考の領域へ到達しようとする

 人間の探求心を意味する」のだ。

その方法は黙想であり、

私が理解している限りにおいて、

そのめざすところは

森羅万象の背後に横たわっている原理であり、

できうれば「絶対」そのものを悟り、

そしてこの「絶対」と、

己自身を調和させることである。

(P.22~23)

 

言葉の軽さ。

思考の浅さ。

絶対への悟り。

いずれも現代社会には欠けているかもしれません。

 

「勇は義の相手にて裁断の事也。

 道理に任せて決定して猶予せざる心をいう也。

 死すべき場にて死し、

 討つべき場にて討つ事也」

(P.32)

 

最近しみじみ思うのが

いるべき時に

いるべき場所で

なすべくことをなすということが

人生において相当に大事だな…と。

 

逆を言えば

いるべく時にいない

いるべき場所にいない

なすべくことをなさないでは

相当に痛い状態ではないかと。

 

これも武士道かな。

 

勇気の精神的側面は落ち着きである。

つまり、勇気は心の穏やかな平静さによって表される。

平静さとは、静止の状態における勇気である。

果敢な行為が勇気の動的表現であることに対して、

これはその静的表現である。

まことに勇気ある人は、

常に落ち着いていて、

けっして驚かされたりせず、

何事によっても心の平静さをかき乱されることはない。

彼らは戦場の昂揚の中でも冷静である。

破滅的な事態のさなかでも心の平静さを保っている。

地震にもあわてることなく、

嵐に立ち向かって笑う。

私たちは危険や死を眼前にするとき、

なお平静さを保つ人、

たとえば、迫りくる危難を前にして詩歌をつくったり、

死に直面して詩を吟ずる人こそ

立派な人として尊敬する。

文づかいや声音に何の乱れもみせない

このような心のひろさ

ー私たちはそれを「余裕」と呼んでいるーは

その人の大きさの何よりも証拠である。

それは圧しつぶされず、混乱せず、

いつもより多くの者を受け入れる余地を保っている。

(P.42)

 

ふと思ったんですけど

最近、勇気という言葉を使ってますか?

私はあんまり使ってないかも。

 

勇気を出さなくても

そこそこ生きていける社会なのかもしれませんが、

ここぞという時には

絶対に勇気を出すべきですよね。

 

その勇気って

意外と静かなものなんだな。

 

武士道の道徳を事業の運営に適用しようとして、

どれほど多くの資産が消滅したかを認めるには、

なお時間を要するだろう。

だが、洞察力の鋭い人には、

富の道が名誉の道ではないことが

まもなく明らかになった。

では、この二つの道はどの点が異なっているのだろうか。

レッキーは誠がはたらく三つの要因をあげている。

すなわち産業、政治、哲学の三つである。

第一の産業の局面においては

武士道は存在しえない。

第二の政治に関しては、

封建制度下の政治社会においては

多くの発展をみることができなかった。

そして正直さが徳目の中で

高い地位を得たのはまさに哲学的な、

そしてレッキーのいうように

その最高の表現においてであった。

(P.79)

 

確かに武士道は産業とは相性が悪そうです。

経済とか、ビジネスと言ってもいいでしょうか。

サラリーマンに武士道は要らないのかな。

だから先進国からすべり落ちそうになってる。

 

政治には武士道が必要そうですね。

今は喪失したから

政治家が私利私欲に走っている。

もう政治は8割AIでいいかもしれない。

 

武士道は哲学か。

 

人を相手にせず、天を相手にせよ。

天を相手にして己れを尽て人を咎めず、

我が誠の足らざるを尋ぬべし。

(P.88)

 

これは西郷隆盛の言葉ですけど

やはり最後の武士と言われるだけあって

本質的なところまでよくわかっているように感じます。

 

どんな仕事に対しても

その報酬を支払う現代のやり方は、

武士道の信奉者の間ではひろまらなかった。

武士道は無償、無報酬で行われる

実践のみを信じた。

精神的な価値にかかわる仕事は、

僧侶、神官であろうと、教師であろうと、

その報酬は金銀で支払われるべきものではない。

それは無価値であるからではなく、

価値がはかれないほど貴いものであるからだ。

(P.110)

 

価値がはかれないほど貴い。

素直にスゴイなと思いました。

 

プライスレスな価値観が

損得だけで判断されて、

カネ、カネ、カネという時代ですけど

こんな言葉は流行らないでしょうし

無償、無報酬の実践に

意味を感じる人なんていないのでしょうけど

それでも私の心にはグッと来ました。

 

資本主義社会の中であっても

少しはあってもいいんじゃないかな。

 

女性が夫、家、そして家族のために、

わが生命を引き渡すことは、

男が主君と国のために身を棄てることと同様に、

みずからの意志にもとづくものであって、

かつ名誉あることとされた。

自己否定ーこれなくしては

女性の人生の謎を解く鍵は見当たらない。

それは、男性の忠義同様に

女性が家を治めることの基調で会った。

女性が男性の奴隷でなかったことは、

その夫たちが封建君主の奴隷でなかったことと

同じである。

妻たちが果たした役目は

「内助」の功として認められた。

妻女たちは奉公の上り会談に立っている。

彼女は夫のために自己を棄て、

夫はそれによって主君のために自己を棄て、

最後に主君は天に従うことが

できるというわけである。

(P.156~157)

 

これもですね

現代社会では通用しませんし、

フェミニストの人がこれを読んだら

物凄く激怒しそうですけど、

昔はこうだったのだし、

今でもこのような価値観を持つ人はいるし、

存在価値としては

とても高かったのは間違いありませんね。

 

女性はスゴイのだ。

 

これらの霊魂、

私たちの勇敢な祖先は死に絶えたのではない。

見る目を持つ人たちには

それらがはっきりと見えるのだ。

もっとも進んだ思想を持つ

日本人の表皮をはいでみよ。

そこに人はサムライを見るだろう。

(P.198)

 

武士道。

サムライ魂。

 

別に戦いの場だけではなく

生き方、考え方、倫理観として

もう1度見直してもいいのではないでしょうか。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

今の時代に武士道なんて

思想的には流行らないのだろうなと思います。

 

でも知っておいたほうが

現代社会でも自分を成長させられるように思いますし、

実はサバイバル戦略としても有効な気がします。

 

こんな時代からこそ

武士道を学んでみませんか?

私はとても勉強になりました。

 

それでは、また…。

 

 

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