ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

徳川がつくった先進国日本

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

賢者は歴史に学ぶ。

愚者は自らの経験に学ぶ。

 

私自身も自分にこう課しているのですが、

とても有益な格言であると思ってます。

 

別に自分が賢者だという話しではなくて、

少しでも賢者に近づきたいということ、

そして少しでも愚者から離れたいということです。

 

事実、歴史から学ぶことは多いですし、

重大な判断をする際には

歴史上の人物や出来事を思い浮かべると

冷静かつ客観的に考えることができますし、

道を誤ることもないような気がします。

 

年を取れば取るほどに

謙虚さを失いがちなのが人間です。

 

でも歴史を学んでいれば

常に謙虚であり続けられるのではないかと思います。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 徳川がつくった先進国日本 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 徳川がつくった先進国日本 』

磯田 道史 文春文庫 を読みました。

 

歴史家の磯田道史さんは

私にとって注目の人物の1人です。

 

出演しているテレビ番組もよく見ますし、

当ブログでも度々登場しています。

 

ka162701.hatenablog.com

 

磯田さんの素晴らしいところは

著名な人物だけではなく

市井の人びとにフォーカスする点です。

 

歴史は有名人だけが動かしているのではなく

街の人々が動かす側面もあるんですよね。

 

磯田さんが徳川に、江戸時代にフォーカスする。

 

本書を見つけた際には

すぐにポチっとしたのですが

届いてびっくりです。

 

うすっ…。

とても薄っぺらい本なのです。

大丈夫かな?とは思うものの

好奇心が買ってすぐに読み始めたのでした。

 

目次

第1章 「鎖国」が守った繁栄 1806年(文化3年)


「徳川の平和」の岐点

文化爛熟期に起きたウェスタン・インパク

ラクスマン、レザノフと日本との出会い

ロシア船襲撃事件

開国論と鎖国

武力衝突の回避へ

「民命」の重さ

 

第2章 飢饉が生んだ大改革 1783年(天明3年)

 

幕府中興の祖、吉宗の行った改革

田沼政治の功罪

前近代の政治は「財政あって福祉なし」

浅間山の噴火から天明の飢饉へ

飢饉が明らかにした政治の矛盾と限界

名代官の時代

幕藩体制の転換

 

第3章 宝永地震 成熟社会への転換 1707年(宝永4年)

 

新田開発へと雪崩を打つ

上道郡沖新田の干拓事業

地震津波の甚大な被害

環境破壊と自然のしっぺ返し

豊かな農村社会へ

 

第4章 島原の乱「戦国」の終焉 1637年(寛永14年)

 

徳川時代の幕開け

生瀬の乱の凄惨な事実

「徳川の平和」への助走期間

島原の乱とは何か

武士が払ったコスト

愛民思想の芽生えと「武断」から「仁政」へ

武家政治の大転換

「平和の到来」をもたらした「生命の尊重」

 

感想

いや~、とても面白かったです。

大変に勉強になりました。

 

第1章はいわゆる露寇事件を取り上げていますが、

この事件以降に「鎖国」が意識され出したというのは

全く知りませんでした。

 

日本史の教科書では

1639年に鎖国が始まったとされていますが、

その後は特に異国船が来ることもなかったので

幕府も庶民もあまり意識をしていなかった…と。

 

それがロシア船の来航によって

急に危機意識を持つことになって

鎖国していることに気づいたというのが面白い。

 

また結果的には

何となく収まったものの

これがペリー来航の準備になっていたというのも

実に興味深いですね。

 

その割には大混乱しましたけど

露寇事件がなかったら

とんでもない事態に陥っていたかもしれません。

 

第2章は浅間山の噴火から

天明の飢饉までの大混乱期。

 

田沼意次から松平定信に権力は移り、

望む望まないは関係なく

政治も変わらざるを得なかったというところ。

 

そしてこの時に大活躍したのは

幕府のお偉いさんではなく

現場の官僚たちであったという点。

 

今の官僚たちは机上の空論ばかりで

現場を軽視して

打つ手、打つ策を間違え続けていますが、

やはり現場に出ないと

こうなるのだろうなとつくづく感じました。

 

危機になってから現場を見ても遅いのだから

平時にこそ準備をしておかねばなりませんね。

 

第3章は宝永地震から復興、

そして江戸文化が花開く素地となったところ。

 

今でいう南海トラフ巨大地震と言えるのでしょうけど

当時の脆弱な設備では

被害はとてつもなく大きかったことでしょう。

 

津波の被害も凄かったらしいですし。

 

地震大国である我が国としては

まさに歴史に学ぶべき対象と言えそうです。

 

東北の大震災の時もそうでしたが

過去からの言い伝えをしっかり守り、

いざという時の行動に繋げられるように

歴史を知っておきたいですね。

 

天災の事例は数多いですが、

それを学び機会はそれほどないのが問題です。

 

こういったノウハウこそ

多くの国民に伝えるべきでしょうね。

 

最後の第4章は島原の乱です。

 

教科書的にはキリシタンの弾圧に反発した

信者たちの反乱という側面が強調されていましたが、

現在では浪人や農民など

実に多種多様な人たちが参加していたこと、

そして島原藩の武士たちが

あまりにも弱かったことが歴然としたという部分で

大きなトピックであったでしょうか。

 

面白いのはこの事件を機に

武士の世から商人の世に変わっていくことです。

 

戦いがない中で

武士は弱体化して

存在価値を失ってしまう。

 

一方で商人が金銭を得て

多様な社会の元になっていく。

 

何とか幕末まで生き残りはしましたけど

弱体化には歯止めが掛からなかったと言えそうです。

 

あくまでも結果論ではあるのですが

原因があっての結果ですし、

その時代背景を知れば知るほどに

この偶然性は必然だったのかもしれないなと思いました。

 

まさに歴史の面白さでもありますが、

この薄っぺらい本の中でも

学びとなるところは大変に多くて、

現代社会を生きる我々は

もっと江戸時代から学ぶべきじゃないか!?なんて

思っちゃいましたね。

 

世界的にも類を見ない

平和な時代が続いたと言われる徳川幕府、江戸時代。

 

でも260年もあったのですから

当然その中には様々な事件や事故があり、

大きなピンチやギリギリの危機もあったわけですね。

 

知恵と工夫で乗り越えた!とも言えますが

何となく乗り越えちゃった的なところもあり、

乗り越えたどころか

ただ時が過ぎただけ…という面もあるように思います。

 

しかし日本人のスゴイところは、

ただでは転ばなかったところでしょうか。

 

ピンチをチャンスにした…は言い過ぎかもしれませんが、

必ず立ち直っているところが秀逸です。

 

地震国だからとか

自然災害が多い国だからとか、

いろいろエクスキューズはあると思うのですが

もしかしたら私たち1人1人に

自然と沁みついている生存戦略なのかもしれません。

 

復興魂というか

立ち直りの術というか。

 

戦後の復興なども

その証明と言えるでしょうか。

 

ただ国が発展し、

特に大都市圏に生きる人々は

多少なりとも魂が弱くなっているかもしれません。

 

便利な社会になり過ぎた…かと。

 

いつ何が起こるかわからないのですから

常にこの「魂」は磨き続けておきたいですね。

 

賢者は歴史に学ぶ。

やはりここなんだなと思います。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

満点にしてもいいのですが、

再三申し上げますように

ちょっと薄い本なんですよ。

 

企画の問題かもしれませんけど

もっと読みたい、もっと知りたい、

心からそう思いました。

 

せっかく磯田さんに書いてもらっているのですから

ネタはいくらでもあると思うんです。

 

内容には大満足なのですが

ボリュームはすこぶる不満です。

 

絶対にもっといい本にできたはずなのに。

とてもいい内容であるだけに

非常に残念に思いました。

 

あと100ページは欲しかったぞ。

 

それでは、また…。

 

 

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