ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

戦略がすべて

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

私は人におススメされた本は

よほどのことがない限りは読むスタンスです。

 

今までもそれで自分の視野をグッと広げてくれる

素晴らしい出会いが何度もありました。

 

最近ですと

SNSなどで紹介しているケースも多く、

ふと目に留まった時には

すぐさまポチッと購入することが多いです。

 

放っておくと

どうしても自分の関心の高い分野や

好きな作家さんなどに片寄ってしまうので

あえて知らない領域には

積極的に進出するように意識しています。

 

そのおかげか

最近はバカさ加減も許容範囲になっていると思われ(笑)

この姿勢は堅持してまいります。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 戦略がすべて 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 戦略がすべて 』

瀧本 哲史 新潮新書 を読みました。

 

著者のことは

どこかで聞いたことがあるな?という

その程度の事前知識でした。

 

他に読みたい本がたくさんある私としては

たぶん普段ならなかなか手を出さない本だと思います。

 

しかし前述したように

あるSNSで本書を絶賛していた方がいらっしゃって

その方のおっしゃることが

かなり私の心に響いたのですね。

 

一応、経営者の端くれである私としては

「戦略論」は好きな分野ですし、

帯にある「バカは市場で勝ち残れない」は

これからの時代益々そうなるだろうとも思われます。

 

こりゃ読まねばならんなと考えまして

勉強する気が満々で読み始めたのでした。

 

目次

1 ヒットコンテンツには「仕掛け」がある

2 労働市場でバカは「評価」されない

3 「革新」なきプロジェクトは報われない

4 情報に潜む「企み」を見抜け

5 人間の「価値」は教育で決まる

6 政治は社会を動かす「ゲーム」だ

7 「戦略」を持てない日本人のために

 

感想

下記にもあるように

若干、否定的な視点で

考えてしまったところはありますが、

裏を返せば論じるに値するという内容でもあります。

 

著者は東京大学法学部を卒業し、

マッキンゼー&カンパニーに入社後に独立、

本書執筆時点では

京都大学産官学連携本部

イノベーションマネジメントサイエンス研究部門で

客員准教授をされており、

エンジェル投資家でもあるそうです。

 

そんな方の書く内容に

私ごときがあーだこーだ言うのもおかしな話しですが、

社会の中にある問題を取り上げて解説するという部分は

大変に勉強にはなるのですが、

それが必ずしも全て納得できるものではなく

何となくエリートならではの論調であり

こうすべきだ、こう考えるべきだと主張しているように思えて

多少なりとも反論をしたくなりました。

 

別に常識外れのことをおっしゃっているのではなく

ロジックもしっかり構築されていますし、

何も考えずに読んでしまえば

ふむふむ、そうだな、という感じではあるのですけど

これからを生きる我々の生存戦略として考えると

それもそうだけど、

それだけじゃないよねというところもあるかなと。

 

いえいえ文句が言いたいわけではなく

私にとっても考えるきっかけにはなりましたし、

素晴らしい着眼点をお持ちとも思いますので

読んだ方がいい1冊であるとは言えそうです。

 

真剣に読めば読むほどに学べる点は多いですし、

逆に疑問を感じることもあるかもしれません。

 

でもこういう視座に立てる書籍は

最近ではそう多くないように感じますし、

そういう意味ではハイレベルであり

参考になるところは大変に多かったですね。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介いたします。

 

コンテンツをたばねる

「プラットフォーム」を作ることは、

様々なリスクを軽減して、

ビジネスに永続性を持たせることに

有効な手法だと言える。

(P.19)

 

その通りだとは思うんです。

そして各社がプラットフォームを持とうとして

顧客を囲い込みに走っていますよね。

 

そこに疑問を感じるのです。

結果的にごくわずかな成功者がいるにはいますが

多くが失敗に陥っている

中途半端なプラットフォームになっていないでしょうか?

 

顧客を囲い込まない魅力的なコンテンツ作り。

そこを見失ってはいけないように思います。

 

プレゼンテーションにおいては、

「勝利の条件」が何かを見誤ると失敗する。

それは、プレゼンテーションしているものの

「本質を見抜く」ということでもある。

(P.38)

 

これも本当にその通りとは思うのです。

しかし大企業の論理のように感じてしまい

中小企業、弱者の戦略ではないように感じます。

 

別に勝利だけが求める結果ではないでしょう。

サステナビリティが叫ばれる時代ですし、

価値観は多様化が進むばかりです。

 

本質とは何か?

各社、各自が問うべき課題でしょうか。

 

より高い報酬を望むのであれば、

取るべきはみずからが

「資本=儲ける仕組み」の形成に関わり、

リスク・リターンをシェアすることで、

大きな分け前を得られるようにする方法である。

(P.54)

 

これも「高い報酬を望むのであれば」という

前提条件に疑問を感じてしまいました。

 

お金だけですかね?

そりゃないよりあったほうがいいし、

なければならないものではありますよね。

 

だけどカネ、カネと拝金主義の現代社会で

さらにカネ、カネという風潮を推し進めるのは

ちょっと違うように思うのです。

 

資本主義社会で何を甘いことを言ってるんだ?と

そう思う方も少なくないかもしれませんが、

私、個人的にはカネを追わずにカネを得るという

資本主義との戦いをしていきたいんです。

 

ま、いつ潰れてもおかしくない

中小企業のオヤジの戯言ですけどね。

 

資本主義の基本である、

「分業」と「熟練」が暗黙に前提とされているのだ。

(P.59)

 

ここはRPGゲームから学ぶことがあるという

かなり興味深い物の見方を披露してくれているのですが

キャリア論としても、人生論としても

実に重要ではないかと思いました。

 

分業とはハイブリッドキャリアであり

パラレルキャリアやスラッシュキャリアに繫がるでしょうし、

熟練とはスキルと経験を積むことですよね。

 

資本主義社会を生きなければならない我々としては

いずれも欠けてはいけない重要な視点ではないでしょうか。

 

次世代のコンテンツビジネス業は

粗製乱造のネットメディアと、

少数精鋭のクオリティメディアに二分され、

住み分けができていくのではないだろうか。

それが、コンテンツ業界のみならず、

他産業で起きている対機械、

コンピューターの制服に抗う

ほぼ唯一の手段だと私は考えている。

(P.76)

 

すでに粗製乱造のネットメディアは

嫌になるほどあるわけですから

私たちが考えるべきは

いかにクオリティメディアを作るか?ですね。

 

私が考える重要なポイントは

・非囲い込み

・純粋かつ有用な情報提供

・緩やかで自由なプラットフォーム

 

このように考えます。

すでに先行している征服組に対抗するのではなく

ニッチなチャンスを掴むのがいいのかなぁと。

 

シニアの仕事は

若手をうまく泳がせることである。

若者が脚光を浴びるとき、

裏にはベテランのパトロンがいるというのが

歴史の真実である。

(P.92)

 

どっかの老害のようになるのではなく

心からこうありたいと思います。

 

しかし強欲ジジイが多いのが現実です。

ただでさえ人口は減少していき

少子高齢化が進んでいるのに

老い先短い老人が

カネ、カネとカネを集めている姿は

悲しさを感じますね。

 

長く生きてきた結果がこれか…と。

 

自分の意見を固定してしまうと、

自分は絶対間違っていないというバイアスが生まれ、

都合のいい情報のみを取り入れるようになってしまう。

(P.149)

 

戒めねばならない

本当に気を付けるべき点ですよね。

 

でも人間って自分が可愛いから

自分の考えが正しいと思いがちです。

 

それで失敗している人は多いのに

なかなか学べないものですね。

 

もしかしたら自分、間違ってる?という

常にこういう角度からの考えも持ち合わせたいものです。

 

同調する者が集まって互いを肯定しあい、

同時に反対意見を批難し排除することで、

こうした極端な考え方や一方的な見方は

ますます過激になっていく。

インターネットによる情報爆発は、

世界をつなげるという理想と裏腹に、

自分の狭い認識を

お互いに確認しあうという

真逆の社会を生むことにもなっている。

(P.163)

 

建設的な批判ならまだしも、

最初から硬直化した思想をもとに

何でも反対!という姿勢はいかがなものでしょうか。

 

付き合う人を選ばないと

自分も巻き込まれてしまいそうですね。

気を付けなきゃ。

 

いわゆるブラック企業で働いている人が、

転職を検討する余裕がないため、

劣悪な労働環境から脱出できないのと同様に、

負けている地域から

勝っている地域への移動のハードルが高いために、

負けている地域の復興という

先がない努力を強いられているのである。

先述した企業の淘汰のプロセスに照らしあわせても、

古くて効率の悪い企業が淘汰されることは

望ましいことである。

救済されるべきは企業ではなく、

あくまでも労働者なのだ。

これを自治体の淘汰に当てはめると、

国が救済すべきは「自治体」ではなく「住民」であり、

負け組の自治体から、

他の自治体に「転職」をするほうが

全体のパイは拡大すると考えられる。

つまり、移転費用の支援である。

(中略)

本来必要な地方創生は、

全ての自治体をむりやり生き残らせようとして

全体を沈ませるのではなく、

自治体同士の競争を促し、

住民の移動という「足による投票」によって、

強い自治体への統合を目指したほうが良い。

(P.218~219)

 

おっしゃることはよくわかります。

でも、これだといわゆる資本主義の権化ではないでしょうか。

果たしてそれでいいのか、全て解決するのか。

 

グローバリズムの弊害が大きくなり、

旧態依然とした資本主義社会では

もう限界が近づているように感じます。

 

健全な競争原理が働かないと

社会は発展しないとは思いますけど

何でもかんでも競争でいいのか。

 

もちろん行き過ぎた平等主義も問題ですし、

駆けっこですら

お手々繋いでみんなでゴールなんていうのは

問題を隠すだけとも思えます。

 

救うべきは労働者であり、住民である。

企業や自治体は潰して良い。

 

それはわかるんです。正論です。

でもそれだけじゃない気がしてしょうがありません。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

この書評ではあーだこーだ言ってますけど

素直に読んで良かったと思いますし、

勉強になる点も多かったですし

私の中でインスパイアされたところを多いです。

 

戦略論に正解があるとも思えず

個々それぞれが

それぞれの組織が

正解に近づくために

考えて、考えて、

実行するしかないのだろうなと思います。

 

熟慮というフェーズを軽視すると

痛い目に合いそうな気がします。

 

それでは、また…。

 

 

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