ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

マーケティングの未来と日本 時代に先回りする戦略をどう創るか

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

マーケティング

 

ビジネスパーソンとして

必須の知識であると思ってます。

 

昨今ではビジネスの現場だけではなく

医療機関自治体や非営利法人ですら

マーケティング的な発想は必要とされています。

 

今までもそれなりに勉強をしてきたつもりですが、

フィリップ・コトラー の本を見つけたので

これは読まなきゃアカンでしょと思ったのです。 

 

今回ご紹介する書籍は、

【 マーケティングの未来と日本 

 時代に先回りする戦略をどう創るか 】 です。

 

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本書をピックアップした理由

マーケティングの未来と日本

 時代に先回りする戦略をどう創るか 』 

フィリップ・コトラー KADOKAWA を読みました。

 

コトラーと言えば「STP」です。

私はこれが基本中の基本と考えています。

 

・セグメンテーション

・ターゲティング

・ポジショニング

 

これらの3つの頭文字をとって「STP」ですね。

 

クリニックの開業支援において

集患マーケティングを考える際にも

必ずと言っていいくらいに活用します。

 

分類し、絞りこみ、行動する。

まずは「STP」からスタートです。

 

お次は「4P」です。

マーケティングミックスと呼ばれますね。

 

・プロダクト:生産する商品やサービス、ブランディングなど

・プライス:商品やサービスの価格、支払い方法など

・プレイス:流通させるルートや販売場所など

・プロモーション:広告宣伝、販売促進など

 

これも重要ですね。

私などは「STP」と「4P」さえ

しっかり検討できていたら

マーケティングの致命的なミスは防げると思ってます。

 

ということで、

この「STP」と「4P」の生みの親である

フィリップ・コトラーさんに対しては

とてもリスペクトの思いを持っています。

 

本書はマーケティングの未来と日本ですからね。

そりゃ読むでしょと即決で

手に取った次第です。 

 

目次

はじめに なぜ日本向けの書籍をつくったか

 

第1章 経済学と経営学のあいだ

    ーマーケティングの本質とは

第2章 マーケティング1.0から3.0へ

    ー人間中心主義への挑戦

第3章 マーケティング4.0とは何か

    ーデジタル革命時代のアプローチ

第4章 ドラッカーコトラー

    ー私たちは同じ景色を見ていた

第5章 新しい富はどこにある?

    ー逆転する国家と都市のパワー

第6章 万人に役立つ資本主義を求めて

    ーアメリカをモデルに思考する

第7章 日本だけがもつ価値を自覚せよ

    ー再び「世界最強のマーケター」となれ

終章 不透明な時代の人生戦略

    ーあなたはいま何をするべきか

 

おわりに 平和とマーケティング

    ー広島で考えたこと

 

解説 桁違いなコトラーの「知」の容量 鳥山正博 

 

感想

正直申し上げて

思っていた内容とは全然違いました。

 

もっとマーケティングを理論立てて

バリバリ語っているかと思いきや

意外や意外、そういう内容ではありません。

 

ただ期待外れという感じではなく、

これはこれで良しなんです。

そこがコトラーさんのさすがなところ。

 

本書はそれこそコトラーさんの自己紹介や経歴、 

なぜマーケティングに注目したのか?

そういった点が多いんです。

 

コトラーさんの人となりや

考えの根幹が理解できてよかったです。

 

またコトラーさんの考える

マーケティングの未来に関しては

若干飛躍し過ぎのところもありますけど、

マーケティング的な発想を究極まで持ち出すと

当然そういう方向に向かうよね…という

非常に興味をそそられる内容でした。

 

「日本」について書かれた箇所は

少し物足りない感じでしたけど

その点を割り引いても

さすがの面白さでした。

 

特に資本主義に関する考察は

実に興味深かったです。

 

率直に言って勉強になりました。

またマーケティングをしっかり学びたくなりました。

 

経営者や営業パーソンにとっては

必読書ではないかと感じました。

 

逆にマーケティング担当の方などは

物足りなく感じるかもしれません。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。

 

私たちは

「企業の目的は、顧客の創造である」という

ピーター・ドラッカーの主張から始めなければならない。

ビジネスとは顧客を惹きつけて離さず、

購買を成長させる行為でなければならないのだ。

(P.44)

 

そもそもマーケティングとは、

たんなる製品中心の考え方ではない。

現代では、

テクノロジーがアナログからデジタルへと大きな変化を遂げ、

生産者と消費者の両者に対して強い影響を与えつつあるが、

わかりやすくいえば、

マーケティングのコンセプトは、

マクロ経済の状況に対応している、ということができる。

その状況が変われば、

消費者の行動にも変化が生じる。

その変化が、マーケティング事態を変えていくのだ。

(P.48)

 

コトラーマーケティング3.0」に記した

10原則を摘記しておこう。

1.顧客を愛し、競争相手を敬う

2.変化を敏感にとらえ、積極的な変化を

3.評判を守り、何者であるかを明確に

4.製品からもっとも便益を得られる顧客を狙う

5.手ごろなパッケージの製品を公正価格で提供する

6.自社製品をいつでも入手できるように

7.顧客を獲得し、つなぎとめ、成功させる

8.事業はすべて「サービス業」である

9.QCD(納期)のビジネス・プロセス改善を

10.情報を集め、知恵を絞って最終決定を

(P.72~73)

 

5Aとは、Awareness(気づき)、Appeal(魅了)、

Ask(尋ね・求め)、Act(行動=購買)、

Advocacy(推奨表明)という五つの要素から構成される。

(P.79)

 

たとえば自分があることを好きでやっている場合、

それを労働である、と認識するのは難しいだろう。

これこそが「自己実現」の感覚である。

私もハードワーカー(働き者)とよくいわれるが、

たんに仕事を楽しんでやっているだけで、

ハードワークをしている意識はまったくない。

(P.92~93)

 

漠然と製品を生み出し、

後づけのようにその製品を語ろうとする姿勢を、

ドラッカーは批判した。

(P.100)

 

彼が非営利組織向けに

「もっとも重要な五つの質問」という

手法を開発したことは、あまりにも有名だ。

「われわれのミッションは何か」

「われわれの顧客は誰か」

「顧客にとっての価値は何か」

「われわれにとっての成果は何か」

「われわれの計画は何か」

という五つがその質問である。

(P.104)

 

「企業家はイノベーションを行う」と規定し、

それを「供給に関わる概念よりも需要に関わる概念、

消費者が資源から得られる価値や満足を変えることと

定義することができる」と述べている。

(P.112)

 

優秀な経営者が正しい経営判断を行なうことで

危機がもたらされる、というジレンマだ。

(P.114)

 

日本では起業家精神を育てるため、

教育方法を「記憶を教える」ことから

「思考を教える」ことに変えねばならない、という

議論がある。

(P.120)

 

いまいる場所から始めなさい。

課題から始めてはいけません。

(P.121)

 

私は資本主義が抱える十四の欠点をあげた。

1.資本主義は、根強く残る貧困の解決策をまったく、

  またはほとんど示せない。

2.資本主義は、所得と資産の不平等を拡大させる。

3.資本主義は、何十億人もの労働者に

  生活賃金を支払うことができない。

4.資本主義は、自動化の進展に直面し、

  人間の仕事を確保できなさそうである。

5.資本主義は、企業活動による

  社会的費用の一部しか彼らに負担させない。

6.資本主義は、規制がなければ環境および天然資源を搾取する。

7.資本主義は、景気循環を生み出し、経済を不安定にする。

8.資本主義は、個人主義と利己心を重視するため、

  共同体と共有資源を犠牲にする。

9.資本主義は、消費者に多額の借金を促し、

  結果的に製造業主導型経済から金融主導型経済へとシフトさせる。

10.資本主義は、政治家と企業を一致団結させ、

  彼らの利益のために大多数の市民の経済的利益を犠牲にする。

11.資本主義は、長期的な投資計画よりも

  短期的な利益計画にくみする。

12.資本主義は、製品の品質や安全性、広告の真実性、

  反競争的な行為に対する規制を必要とする。

13.資本主義は、GDPの成長だけを重視しがちになる。

14.資本主義は、市場の方程式に

  社会的価値と幸福を持ち込む必要性がある。

(P.150~152)

 

かつての強みが現在の弱みとなる、ということに関する

真摯な認識が必要なのだ。

(P.194)

 

偉大なるマーケッターは

売り方を知っているだけではなく、

売るために何をつくるべきかを理解している。

(P.201)

 

生涯学習が注目される理由の一つとして、

これからは一つの職にとどまることが

ますます難しくなってくる、という時代背景がある。

(P.210)

 

そもそも、定年後にも

かなりの時間が残される長寿社会のなかで、

一つの会社に一生を捧げる生き方は、

どこまで人を幸せにできるのだろうか。

(P.217)

 

コトラーがいいたいのは、

利益だけを追い求めることが

利益を最大化することにはつながらない。

逆にすべてのステークホルダーとの信頼を最大化しようとすると、

結果的にその企業の収益も上がり、

ステークホルダー全体の満足も上がり、

長期的にも望ましいということだ。

(P.247~248) 

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

ふと思ったのですが、

本書はマーケティング本という範疇にありません。

 

むしろ社会学であり、哲学であるように感じました。

いやもっと言うと

そもそもマーケティングとは

マーケティング単体で成立するものではなく、

広く社会を知り、深く人間を理解しないと

辿り着けないものと言えるかもしれません。

 

マーケティングの大前提とか、

マーケティングの原点とか、

マーケティングの神髄とか、

そういうところに踏み込んでいるのが本書です。

 

得てしてマーケッターは

表層的にこねくり回す人も少なくないので

本書のように哲学的な内容は

実に価値があるように思いました。

 

それと本書内では

非常に多くの書籍を紹介しています。

 

これがまた実に興味深いのです。

何冊かは私の積ん読にありましたので

機を見て読もうと思います。

 

それでは、また…。

 

 

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