ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

マルクスの心を聴く旅 若者よ、マルクスを読もう番外編

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

資本主義社会は

このままでいいのでしょうか?

 

なんてことを考えること自体が

現代では変わりものなのかもしれませんけど

でも大事なことだと思うんですよね。

 

私たちの生活に関わることですし、

10年、20年レベルのタームではなくて

50年、100年先のために

現代を生きる

我々は考えるべきじゃないかと…。

 

後世のためにという発想も

実に重要ではないかと考えます。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 マルクスの心を聴く旅 若者よ、マルクスを読もう番外編 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

マルクスの心を聴く旅 若者よ、マルクスを読もう番外編 』

内田 樹 石川 康弘 かもがわ出版 を読みました。

 

このシリーズも4冊めとなります。

あんまり深く考えずに読み始めたのですが、

下記の3冊と、番外編である本書と

最終巻がもう1冊となっているようです。

 

本書を読み終えたことにより

私は最終巻を残すのみとなりました。

 

嬉しいやら寂しいやら。

 

このシリーズは「若者よ」と銘打っていますが

私は50代半ばとなり

決して「若者」ではありませんが

超絶、勉強になっていますし

自分の視野が広がった感があります。

 

別に左寄りの思想に染まったわけではなく、

むしろマルクスを知ることにより

バランスの良い思想を手に入れることが

できたようにも感じています。

 

「若者」はやっぱり読んだほうがいいですけど

老若男女、読むといいんじゃないかと思いますね。

 

特に頭が固くなった中高年男性は

1度ここからやり直すのも良さそうですよ。

 

私自身もこの範疇に入りますけど

心からこのシリーズと出会って良かったと思ってます。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

目次

第1部 ドイツ編 歴史のなかでマルクスを読むこと

第2部 グリム編 ドイツ三月革命とフランクフルト憲法

第3部 イギリス編 『資本論』誕生の地で資本主義を語る

 

感想

う~ん、実に面白い。

普通、シリーズものの番外編というのは

外すことが多いと思うんです(私見)。

 

私自身、早くこの番外編を読み終えて

最後の最終巻に早く行きたいとすら考えていました。

 

最初、読み始めた時は

旅行記みたいな感じのスタートで

まあそんなもんだよね…くらいに思ってましたが

やはり内田さんと石川先生の言葉には

学ぶところがとても多くて

いつの間にか思わず熟慮していました。

 

しかも番外編という位置づけが

冷静さとか客観性を与えていて

また時々登場する池田香代子さんが

これまたいい味を出しているんです。

 

グリム童話って

そういうことだったのかという

新たな気づきも与えてくれました。

 

やはり「若マル」は読む価値がありますね。

若者だけじゃなく

すべからく万人が読んだほうがいいですよ。

 

そうしないと経団連を始めとした財界や

そこから献金と票をもらう政治家、

それにぶら下がる官僚たちのロジックが見えてきません。

 

嘘とゴマカシだらけの政官財をぶった斬りにしないと

もうこの国は持ちませんからね。

 

十九世紀のマルクスを学んで

一大ムーブメントを作りたいですね。

子どもたちに今より良い社会を残すためにも。

 

それでは恒例の私がグッと来た箇所をご紹介します。

 

そういうことでいうと、

自由な立場からマルクスについて研究したり、

それについて発言したり、

自分の解釈を述べたりっていうことができる国って、

東アジアには日本しかないということですよね。

大事なことは、

そういう状態を、

「あ、そういう特権的なポジションにいるって幸せだな」

と思うのではなくて、

これはひとつのミッションというふうに

考えることだと思うんです。

(P.79)

 

この文章だけではわかりにくいですが

我が国のマルクスの受け入れ方は

世界的に見てもかなり特殊であるのは間違いありません。

 

マルクスを左翼とか、共産党とか、

そういう側面だけから見るのではなくて

資本主義に対するアンチテーゼと考えれば

現代を生きる我々は新しい発想や思想を

見い出すことも不可能ではないような気がします。

 

ある意味では日本人だからこそできる

可能性なのかもしれないと思ったりしますね。

 

いまのお話を引きとらせていただくと、

「十九世紀のマルクス」が「二十世紀のマルクス」に、

なぜこうまで大きく中身を違えるものになってしまったのか。

また、それが世界に広く普及され、

浸透していたのはなぜなのか。

マルクスマルクス主義の名前で

大量虐殺さえ行われたわけですが、

それは一体どうして可能だったのか。

そういう問いが立つわけです。

それを究明する上での最大の焦点は、

スターリンだと思います。

(P.82)

 

スターリンがロクでもない人だというのは

多くの人が理解しているんじゃないかと思いますけど

ここで私がお!っと思ったのは

「十九世紀のマルクス」が「二十世紀のマルクス」です。

 

私たちは「二十世紀のマルクス」ばかり追求していて

「十九世紀のマルクス」をあまりにも知らない、

知ろうとすらしない。

 

そういう側面もあるんじゃないかという点で

真のマルクスの思想に到達できていないのかもしれません。

 

マルクスは『資本論』で、

産業革命がもたらしたことを次のように書いています。

「十八世紀の最後の三分の一期に大工業が誕生して以来、

 なだれのように強力で無制限な突進が生じた。

 風習と自然、年齢と性、

 昼と夜とのあらゆる制限が粉砕された。

 古い法令では農民流に簡単だった昼と夜の概念でさえも

 きわめてあいまいになった」。

そうなんです。

子どもは七歳になると工場で働くのが普通になり、

ある工場では労働者の三七%は

十八歳以下だったという統計もあります。

昼夜二交代で、一日十四時間から十七時間働き、

ベッドさえも二交代で使うのです。

「年齢と性、昼と夜とのあらゆる制限が粉砕された」って、

ちょっと想像できません。

(P.151)

 

現代社会で働く私たちは

どう考えてもこの頃よりまともな働き方を

実現していると思います。

 

改革の発端はマルクスだった。

それだけとは言いませんけど

間違いなく要因のひとつだったと言えないでしょうか。

 

だからこそ私たちも後世のために

ブラック企業を撲滅させねばならないと思うのです。

 

こうして千八三三年、繊維産業を対象として、

初めて労働時間を規制する工場法が成立します。

九歳未満の労働禁止、

十三歳未満も週四八時間まで、

十八歳未満は週六九時間に制限するというものです。

運転中の機械を子どもに掃除させることも禁止されました。

そういう事故が多かったということです。

大事なことは、工場監督官を政府が任命し、

工場法の実施を調査・監督するようにしたことです。

それまでも工場法があったそうですが、

それを守らせるための体制がなかったのです。

(P.152)

 

13歳未満で週48時間労働です。

今の大人よりも働いている。

 

18歳未満は週69時間ですからね。

現代で言えば約30時間の時間外労働付きです。

 

それでもよくぞこんな働き方を変えてくれたものだと

心からお礼を申し上げたくなりますね。

 

「持たざる者=労働者」は

どのように暮らしているか。

労働力を切り売りすることによってです。

朝何時から夜何時まで、

一か月に何日働いていくらもらうと。

そういう契約にもとづいて

受け取るお金が「賃金」です。

(中略)

労働力を切り売りする相手は、

労働力をのぞく生産手段の所有者である資本家です。

就職活動というのは、

労働力の販売先を探すための活動なのでした。

こうして資本家と労働者が結びつき、

生産手段と労働力が結びつくことで

主な経済活動が行われる社会、

これをマルクスは資本主義社会の土台を成す

資本主義経済の特徴と捉えました。

(P.183)

 

資本家と労働者は

何も対立するばかりではないと思います。

 

事実、私は労働者から資本家に移っていますが

まだ半分は労働者ですし、

その思いは見失ってはいけないと思います。

 

資本主義との戦い。

私は資本家と労働者が同じ目的を持って

共に歩むシステムこそが最善ではないかと思い、

うちの会社はそういう方針で活動しています。

 

もうひとつ、別の角度から

マルクスが資本主義経済の重要な特徴としたのは、

経済活動の原動力が個々の資本家による

利潤追求になっているということです。

経済活動の目的が、

社会を豊かにすることではなく、

「わが社」を豊かにすることになっている。

これだけ社会に貧困が広がっているのだから、

儲けの一部だけでも社会のために使えないのか。

そう思う人も多いでしょうが、

それができない仕組みがある。

それが資本家同士の競争です。

競争に負けると「わが社」はつぶれてしまう。

あるいは買収されてしまうかもしれない。

だから、競争に負けないために、

儲けを最大限に追求せずにおれなくなる。

それが資本主義の大きな特徴であり、

そういう経済関係の実態が、

政治や法律、社会的な意識にも

あらわれてくるというのです。

(P.184)

 

資本家こそが

資本主義の最大の犠牲者とも言えるのかもしれない。

ある意味ではラットレースですもの。

 

その不満や不安のはけ口が

労働者への過度な統制か?

ふざけんなと思う。

 

だから、結局いつの時代でも、

システムは暴走するということです。

システムは必ず暴走する。

自己増殖し、自己模倣を始めていく。

それを制御していくのは

(中略)

経済システムであっても政治システムでもあっても、

あるいは文化の仕組みであっても

宗教であってもイデオロギーであっても、

システムを制御するものは

最終的に生身の身体ですよ。

「それはちょっと人として無理なんじゃないの」という。

この「人としていかがなものか」という抑制が

これまでつねにシステムの暴走を抑えてきたんだと、

ぼくは思います。

(P.198~199)

 

そう、そこ。

人を人として扱わなくなったらお終い。

 

ビッグモーターのバカ息子とか

結局、自分が人として扱われなくなった。

因果応報。

 

経済活動というのは、

発生的には人間のさまざまな欲求を充たすために

始まったはずではないのか。

それが人間の欲求を抑圧しなければ

維持できないシステムになり果てたというのは、

話の筋目が違うのじゃないか。

そういう反省が世界中で出てきていると思うんです。

その抵抗の動きを担っているのが、

やっぱり人間の生身じゃないかなという気がするんで。

人間の身体が復権を求めていると。

(P.208~209)

 

マルクスはここに気づいていたのでしょうね。

そしてマルクスを勉強しない人は

ここに気づけないのでしょう。

 

ご立派な会社のご立派なお役職の方々が

人を人として尊重できないシステムを構築し、

カネ儲けのみに邁進しているのを見ると

この人は何のために生きているんだろう?

カネ以外に働く動機はないのだろうか?と

実に情けなくなります。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

えっと、私は経営者です。

ちっぽけな会社ですけど

資本家側の人間です。

 

でもマルクスを学ぶことによって

資本主義社会のなかでも

もっと良い会社が作れるんじゃないかと

ヒシヒシと感じるのです。

 

それが新しい資本主義に繋がるかな?

 

いや政府の言うお題目ではなくて

リアルな身体性を持った

みんなが楽しい働き方への挑戦です。

ネオ資本主義。

 

それでは、また…。

 

 

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