ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

なんのための仕事?

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

哲学って好きですか?

実は私は結構好きなのです。

 

ただ学問としての哲学は

とても難解なものですので

私なんぞでは全く付いていけません。

 

今までもそこそこ哲学本は読んできましたけど

わからないことを知るために読む…みたいな

大変、お寒い状態になっています。

 

でも、それでいいと思っていて

別に難しい哲学をマスターする必要などなくて

むしろ哲学との向き合い方とか

どう哲学的なアプローチをすればいいかと知るという

そこが大事なのではないかと思っています。

 

そういう意味では

難しい哲学本をたまに読んでおくと

哲学との向き合い方に触れる本とか

哲学的アプローチを語る本などは

わりとスラスラ読めてしまうのですね。

 

生きているうちにしか

頭を使うことはできませんし、

現代社会はなかなか生きにくいところもありますので

哲学っぽい領域に足を踏み込んでみるのも

意外と自分のためになるのではないか?

そう考えています。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 なんのための仕事? 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 なんのための仕事? 』

西村 佳哲 (働き方研究家) 河出書房新社 を読みました。

 

冒頭、哲学についての私の考えを述べましたが

「なんのための仕事?」というのも

哲学的とは言えないでしょうか。

 

著者の西村佳哲氏については

下記の3冊を今まで読んできて

わりと好感を持っています。

 

もともと著者はデザイナーということもあり、

デザイナーから見る仕事論とか

労働観とか、キャリア論とか、人生観とか

そういう観点がとてもユニークです。

 

私自身はキャリアの専門家として

そこそこの経験を積んできていますけど

デザイナー視点というのは当然持ち合わせていないわけで

逆にそういう視点も自分に加えようと

西村氏の著書から学んでいます。

 

ka162701.hatenablog.com]

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

本書のタイトルは

西村さんらしい切り口が多そうですし、

仕事をどう考えるのかは

それこそ人生を大きく左右すると思われますので

学ぶ気満々で読み始めたのでした。

 

目次

第1章 自分は

    ここまで出来たと

    無数の小舟が海を渡る時代

    出来ることを形に

    デザインを何に使う?

    どんな大人の姿を?

    自分で考えたことをやる

    機能はただの力

 

第2章 なんのために働くのか

    教育ーどんな人間を?

    “自分たち”の仕事をつくる

    全体性の回復

    それぞれの責任

 

第3章 出会いを形に

    生きてゆくためには

    “関係”は自分のものではない

    共に生きてゆくために

    「出会う」ということ

 

感想

西村テイスト満載の1冊ですね。

淡々と、ナチュラルに語っていくさまが

私には何となく心地よいです。

 

確かにキャリアとか人生は

燃えるような情熱があればよいものではなく

むしろ毎日は単調で地道なものですからね。

 

目の前に現れることに

一喜一憂するのではなく、

ただありのままに受けとめながら

粛々と日々を重ねていく。

 

人生なんてものは

そんなものとも言えるのかもしれません。

 

ただ、それだけではつまらない。

心からのガッツポーズをする時も欲しいし、

うれし涙を流してみたり

悔しさに唇を震わせることもあるでしょうし、

ショックに呆然とすることもあるでしょうか。

 

それも人生なのですよね。

 

普通の人なら

1日のなかで睡眠時間と同じくらいに

働いているわけですから

仕事について

いかに向き合うか?というのは重要です。

 

どんなふうに日々働くかによって

人生の豊かさが決まるとも言えるでしょうか。

 

デザインを通して…とはなりますが

西村さんの著書には独特なニュアンスと

じっくり考えさせられるきっかけを与えてくれます。

 

本書も実に味わい深い考察がなされており

仕事って何だろう?と熟慮させられました。

 

まだ自分らしく仕事を受け止めることができない方には

必読の書と言えるかもしれませんね。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介いたします。

 

「仕事っていうのは

 興味があることに取り組めて、

 一緒に働いてみたい人と経験を共有出来て、

 上手くいけばお金ももらえる。

 自分のためのプレゼントのようなものだと思う」と

友人に話したのを憶えているのだけれど、

なに甘っちょろい話をしているんだか、とは思わない。

概ねその通りだといまも思うし、

そんなふうに働けるのは

限られた人であるとも思っていない。

かと言って、そのように働くべきだという考えもない。

(P.21)

 

こういう感じ…良くないですか?

いや、私も誰もがこうあるべきだなんて思いませんし、

いろんな働き方があっていいと思うのです。

 

あくまでも自分が何を望むのか?の問題であり、

人によって合う合わないがありますから

自分の望む働き方の追求なのでしょうね。

 

人間の大仕事の一つは世界を感じること。

そしてその中で生きている自分に気づくことにある。

「生きていること」を感じるために

生きているといったら言い過ぎだろうか。

(P.42~43)

 

生きるとは何か?

これも正解のあるようなものではありませんし、

もしあるとしても自分の心の中にしかないでしょう。

 

それでいいと思いますし、

自分が生きていることに充実感を得たり、

働き甲斐ややり甲斐を感じるということも

きっと同様なのだと思います。

 

最近は生きる活力を失っている人も少なくありませんが

そういう人は徹底的に他責にしますけど

誰がどう見ても本人の問題ですよ。

自責にしないと見えてこないものが大きいです。

 

仕事観というのは

本人の体験もさることながら、

どんな大人の姿を見てきたか?によって

形成されるところが大きいので、

若い人は、もしわけもなく惹かれる大人がいたら、

その人の仕事が自分のやりたいものであろうとなかろうと、

近づいて、なんとかして

そばで時間を過ごすといいと僕は思っている。

あり方に触れることが、

最もあり方に影響を及ぼすので、

それは何よりも得難いものだと思う。

(P.51~52)

 

大前提として

「惹かれる大人」がいるということですが、

たぶん見逃していることのほうが多いです。

 

20年とか、30年とか、

それ以上長期間働いてきている人たちですから

学ぶところは大のはずです。

 

もし「もしかしてこの人は…」と思う人がいるなら

ツーショットで話し合ってみることをおススメします。

 

最悪、反面教師になったとしても

それはそれで学びですからね。

 

クライアントから仕事の相談をうけて

プレゼンテーションをまとめてゆくようなときも、

「もっと取材させてください」とか、

「わからないところを教えてください」とか、

頼まれてもいない企画やコンセプトをつくって

「これつくってみたんですけど、

 間違っていますか?」と持っていったりするんですね。

それは素直に喜んでもらえるし、

やっぱり気持ちがいいんですよ。

与えられていない課題にも

僕らの知識や技術が活用されていく。

単純に楽しいなと思って。

(P.73)

 

私も仕事とはこういうものだと思います。

「期待通り」ではなく

「期待以上」を納品すべきですし、

そこまでやるんですか?という意見に対して

当然そこまでやるよ!が答えです。

 

appleとか、ディズニーランドとか、

そこまでやってるから人に評価されていますしね。

 

分業は人間の知恵の一部である。

協働が有機的に行われれば、

バラバラの個人の集まりでも

グループは一つの生き物のように機能する。

(P.102)

 

本当にそうだなと思いますけど

経営者やマネージャーが無能なために

バラバラのままのケースは少なくありませんよね。

 

点と点を線にして

線と線を面にするのが

上長の存在価値ではないでしょうか。

 

話がまとまらないから簡単にして、

「いろいろあっていいよね」というのではなくて、

「いろいろな本気があっていいよね!」と思う。

(P.160)

 

「本気」と書いて「マジ」と読む…なんて

昔、何かでありましたけど

「本気」の人や「マジ」な人って減っていませんか?

 

カッコ悪いと思ってるのでしょうか?

何に対しても無気力で

熱くなれるものが何にもなくて

夢も希望もないほうが

よほどカッコ悪いですよね。

 

これからの時代は

本気の二極化も相当に進みそうですね。

いやとっくにクッキリ分かれているか。

 

自分にとって大事な人をたくさんつくることで、

その人を裏切れなくなる。

(P.191)

 

これ、すごく共感します。

私も多くの医師と接する中で

絶対に裏切れなくなりました。

 

ビジネスパーソンとしては甘いのかもしれませんが

人を裏切り、足蹴にして、

それで事業で成功しても

あまり意味を感じないのですよね。

 

そう働かざるを得ない人も多いですけど

本当にいいのでしょうか?

 

いま本当に必要な仕事は、

人が「生きてゆく」ことを可能にする仕事だと思う。

「生きてゆくためにはお金が要る」と考える人たちがいる。

都市文明の中で生きてゆく限り確かにそうだろう。

(中略)

量的かつ期間的に限られているものをめぐる帰結として、

他人が持っているそれをどう合法的に手に入れるか?とか、

いかに他に先んじて商機を得るか?に注力する仕事が増える。

数の限られているものが「生きる」ことを可能にするとしたら、

人には、自然と競い合う方向に重力がかかる。

(P.204)

 

経済発展を効率的に果たそうと思えば

カネがカネを生み出す仕組みはいいかもしれませんが、

私たちの心は、精神は、それでいいのか?ですね。

 

資本主義社会には限界があると思いますし、

相当に近づいているんじゃないでしょうか?

 

「出来ていない」という思考は、

自分を否定している、

それだけならまだしも、

自分と一緒に働いている人たちの存在をも

身勝手な望ましさで評価していて、

ありのままのその人のことは

知ろうとしていない可能性がある。

(P.225)

 

できないを防ぐシステムか?

できないを自分に許さない思考の問題か?

 

「自分の仕事は絶対誰かに届くはずだ」と

信じて取りんだものは、

必ず届くと思います。

なんのため、誰のために、

自分の能力をどこに使うかをハッキリさせればいい。

(P.249)

 

仕事の神髄でしょうか。

サラリーマンにはできないこと。

これからの若者は

仕事論を徹底的に深掘りしていく必要がありそうです。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

過去読んだ西村さんの著書のなかでは

「自分の仕事を作る」と

「自分をいかして生きる」のほうが

出来が良いように感じました。

 

それでもところどころには

なるほどねと頷かされるところもありましたし、

これをきっかけに熟慮してみようというところもあり、

さすがに西村さんらしさが出ていて

とても面白かったです。

 

特に私がおススメしたいのは

166ページからの

「エフスタイルが大切にしていることは?」です。

 

うちの会社との類似点が多くて

思わず嬉しくなりました。

 

それでは、また…。

 

 

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