ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

自分をいかして生きる

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

自分なりのキャリア論を持たないと

仕事が面白くないと思うのです。

 

自分なりの人生論を持たないと

生きることが面白くないと思うのです。

 

もちろん面白く生きたいと思わなければ

それはそれでその人の自由ではあるけれども、

ストレスを貯めて辛い思いをしているならば

キャリアや人生をもっと本気で考えてみませんか?

 

今回ご紹介する書籍は、

【 自分をいかして生きる 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 自分をいかして生きる 』

西村 佳哲 ちくま文庫 を読みました。

 

2011年に書かれた本ですから

若干の古さは感じるのですが、

著者である西村さんの本は以前に読んで

大変に感銘を受けましたので

本書を見つけた時には即購入いたしました。

 

ka162701.hatenablog.com

 

うちの会社は医師の転職エージェントですけど

社内でこれだけ「哲学」が語られる会社は

他にないんじゃないかと思います。

 

それだけキャリアや人生を奥深く追求しているのです。

 

自分の頭だけでなく

他者の頭も活用して

もっと、もっとと深く深く切り込んでいます。

 

だから良い仕事ができるのです。

そう信じています。

 

著者の本は哲学本と言って遜色ありません。

キャリアや人生を哲学するために

久しぶりに手に取りました。

 

目次

1 いる・いない

2 自分の仕事

3 自分とか誇りとか

 

感想

やっぱり…

メチャクチャ面白かったですし

ワクワクしましたし

「超」勉強になりました。

 

キャリア論としても

仕事論としても

人生論としても

大変に有益な考え方を手に入れることができました。

 

キャリアの仕事を20年以上している私ですら

かなり参考になりましたので

きっと多くの方にとって得るものは

大きいのではないかと思います。

 

ここで恒例の私がグッと来た箇所をご紹介しますが

こちらをじっくりお読みになるだけでも

何かのきっかけになるのではないでしょうか。

 

<仕事>は<人生>と、

<働き方>は<生き方>と背中合わせで、

ほかの誰も肩代わりすることができない

一人ひとりの生に直結している。

つまりそれは極めて個別的なものだ。

普遍的な言葉で語り切れるものじゃない。

こうすればいいとか、

こんな風に働くべきだとか、

生きるべきといった話を

他人が示すことはできない。

誰も自分にはならないし、

自分も誰にもならないから。

自分は自分にしかなれないし、

その意味において、

誰もがその人なりの道筋を

すでに歩いていると思っている。

(P.7)

 

これ、本書のまえがきの冒頭部分なんです。

もう最初からガツンと来ました。

 

そうなんですよ、

キャリア論や人生を突き詰めると

ここに辿り着くと思うのです。

 

やはり哲学的な発想こそが

キャリアや人生を救うのですね。

 

この社会を抜本的につくり直す時代が始まるとか、

どうつくり直すのかといった話はともかく、

まずは身近な物事の一つひとつを、

あらためて確かめ直してみるところから

話が始まるんじゃないか。

仕事や働き方はそのひとつだ。

これらの積み重ねが社会をつくってゆくのなら、

なおのことだと思う。

(P.14~15)

 

自分の半径5メートルをコントロールできない人が

半径10kmとか、100kmを動かすことはできません。

 

まずは半径5メートルに専念すること。

それが10メートルに広がり、

いずれ100メートルに広がっていくのだと思う。

 

いいプロジェクトというのは、

自分の存在を後世に残そうという

野心から生まれるものではありません。

あなた達がデザインしたものを使うことになる、

誰も知らない見ず知らずの小さな人々と、

ある交換をしようと思う。

その気持ちから、

いいプロジェクトは生まれるのです。

(P.28)

 

イタリアのアキッレ・カスティオーリという

デザイナーさんの言葉らしいです。

 

現代を生きるビジネスパーソン

こういう本質を見失っていないでしょうか?

 

官僚や政治家は耳をかっぽじって聞いて欲しい。

私利私欲は後世に害悪としか記憶されない。

 

社会は、わたしたち一人ひとりの仕事の累積でできている。

まわりを見回せば、

目に入るものはすべて誰かが手掛けた仕事だ。

部屋の床や壁、聞こえてくる音楽や指先のペン、

いま着ている服、

腰を下ろしている駅のベンチも、

誰かがある日そのあり様を思い描いて、

実際に形にした。

つまりこの社会で生きることは、

24時間・365日、

なんらかの形で人の仕事に触れ続けることだと思う。

それら一つひとつを通じて私たちは日々、

無数の存在感ないし不在感と接している。

「いる」とか「いない」とか。

(P.33)

 

職業に貴賤なし。

それどころか私たちは毎日感謝の心を持って

何をするにしても頭を下げるべきなのだと思う。

 

しかし人の職業をケチョンケチョンに批判して

非難して、否定して、溜飲を下げている人の

なんと多いことか。

 

ブーメランで返ってくるのに。

 

人間は基本的に、

「いい仕事」をしたい生き物だと思う。

給料や条件とかステイタスの話ではなく、

他の人々に対して

「いい影響を持ちたい」、という欲求があると思う。

「いい影響」とは、

その仕事に接した人間が

「よりハッキリ存在するようになる」ことを

指すんじゃないか。

「より生きている感じになる」と言い換えてもいい。

(P.41)

 

そうですね。

私も「いい仕事」をしたいし、

人に「いい影響」を与えたいです。

 

それに給料が付いてくればいいけど

でも大抵は人の役に立ってれば

普通は付いてくるものです。

 

給料に不満のある人は

世のため人のためへの貢献が足りないのか、

業界全体がこの国では軽視されているか、

いずれかじゃないかな。

 

働くことを通じて

「これが私です」と示せるような、

そんな媒体になる仕事を求めているんじゃないか。

なにがしたいということより、

それを通じてどんな自分でいたいとか、

どう在りたいかといったことの方が、

本人の願いの中心に近いんじゃないかと思う。

(P.53)

 

働いて給料を得る。

それ以上の価値観を持てていない昨今、

もっと哲学的に

自分に問い掛けるべきだと思うんですよね。

 

仕事の本質に気づかないまま年を経るというのは

非常に恥ずかしく、情けなく、やり切れないと思うし…。

 

悩みは、「こうありたい自分」と

「そうではない現実」のギャップから生まれる。

意識化されていない場合も含み、

「こうありたい」というイメージがなにかしらない限り、

悩みは生じようがない。

(P.75~76)

 

キャリアや人生は

ギャップと向き合わないと

より良い方向に向かわないと思う。

 

だってなりたい自分と出会えなくなるから。

 

外部の要求にばかり対応していると

自分を見失いがちです…。

目指すべきは
「一致した人間」なのかもしれないなぁ。

 

それがギャップと向き合うということ。

 

その時その時に自分が正しいと思ってやってきたことが、

何かこういう結果につながっているとしか言えない。

つまり目標よりプロセス(過程)を重要視して、

歩きながら行く先を決めていくようなスタイルね。

(中略)

だいたい何か決めてから始めたところで、

思ったようになんてならない。

いろいろ予想外のことが起こってしまうものなのよ。

それを自分でコントロールできるわけではないし。

 

キャリアや人生には常に偶然性が付いて回ります。

だからこそ面白いとも言えるし、

それが厄介とも言えるでしょう。

 

でもそういうものであり

変わるものでもないのだから、

ある程度の計算を持ちつつ

上手く付き合っていくしかないと思う。

 

「はじめればはじまる」ということ。

逆にいうと

「はじめないかぎり、何もはじまらない」というものだった。

同じように、考えてもわからないことは、

いくら考えたところでわからない。

さらに言えば、考えて・わかったところで、

力が出ないことははじめられないし、

つづかないんじゃないかということを思う。

(P.90~91)

 

シンプルな思考って力強いですね。

やれば何かがわかる。

やらなければ何もわからない。

 

わからなくても

わからないなりに

しておくべきことはある。

 

自分を成長させるための根本的思想ですね。

 

僕の中で「生きる」ということは

「自分を表現する」ことです。

どれだけ自分を正直に表現できているかということが、

人と向かい合った時にまず大事なことなんです。

(P.111)

 

自分を表現する。

出来ていない人が多い気がしますね。

 

それって結果的に自分を苦しめるんじゃないでしょうか。

自分を解き放ち、自分を、自分らしく表現する。

それは相手への最大限のリスペクトでもあると思う。

 

ある企業の社長が、

「人が成長する仕事は、

やりたい・できる・やるべきという

三つの動機(モチベーション)を兼ね備えている」

と語っていた。

基本的には同意できる話だ。

ある社会起業家

「天職とは、好きなこと×得意なこと×大事だと思うこと」

と説いているが、

語られているのはほぼ同じことだと思う。

好きだとかやりたいといった一本足でなく、

この三本足で自分の仕事を考え、

立たせてみようということ。

(P.157)

 

なぜ仕事をするんですか?

仕事って何ですか?

 

こういう問いに自分なりの答えが

用意されていないのは辛いことだと思う。

 

仕事論、職業観、人生論、キャリア観。

後世へパスするためにも

まずは自分なりに確立しなきゃいけないでしょうね。

 

彼女は、確かに痛みはあるけれども、

この痛みは自分にとって必要な痛みなのだと言う。

つまり痛みがあるから

今自分が受けている試練を自覚することができ、

自分の存在の意味が確認できると言うのだ。

(P.168)

 

これはホスピス医である山崎章郎先生の著書で

紹介されていた女性患者さんの言葉とのことですが、

単なる疼痛コントロールの話しだけではなく

キャリアや人生を考えるコツのひとつとも受け取れます。

 

誰だって順風満帆な日々を送れているわけではなく

逆境や困難、痛みと戦っているのですよね。

 

それをポジティブに転換できるか、

ネガティブに受け入れるしかないのか、

人生の大きな分岐点とも言えそうです。

 

勤めや務めとして働く只中では、

一時的に気持ちや感情を抑えたりころさなければ、

社会的な機能をまっとうできない場面が

当然のように混ざる。

この時に試される胆力の有無は、

人の成熟をあらわすものでもあるだろう。

しかし、「自分をころして生きる」と

「自分をいかして生きる」という

二つのあり方が並んでいたら、

僕は後者でありたい。

(P.177)

 

多くの人が「自分をいかして生きる」ことを

普通は選びたいのだと思うんです。

でも現実的には「自分をころして生きる」ほうを

選択せざるを得ないのが現代社会であるでしょうか。

 

キャリアや人生とは

「主導権」をどの程度、握れるかどうかで

満足度や充実度は大きく変わるように思います。

 

どうすれば「主導権」を握れるか?

今を生きる私たちの大きなテーマのひとつですね。

 

仕事は収入を得ること、

つまりお金を手に入れることと

ほぼ同義になってしまって、

生気を失いがちだ。

しかし、そもそも主にお金を手に入れるために、

かつ言われたことを言われたとおりやることは

仕事なんだろうか。

僕の感覚では、

それは仕事というより、

労働というニュアンスに近い。

(P.189)

 

大企業のサラリーマンや官僚、公務員は

身につまされる思いでしょうか?

 

いやそうでないと困ります。

昭和の頃とは時代が違うんだから

これじゃダメだと思う人が増えないと

日本経済は没落する一方でしょう。

 

洗脳から解き放たれないと

本当の意味での仕事とは出会えませんね。

 

評価

おススメ度は ★★★★★ と満点といたします。

 

キャリア、仕事、人生に悩んでいる方は

本書を読むべきと強くおススメします。

 

一生を歯車でいいなら…

コマとして働くなら…

読む必要はありません。

 

しかし主導権を握って

仕事から働き甲斐を得たり

人生を謳歌したいならば

絶対に本書は読んだほうがいいです。

 

絶賛おススメいたします。

 

それでは、また…。

 

 

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