ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

知性改善論

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

頭がいいとか

頭が悪いとか

私たちは普通に使ってますけど

何を持っていいと言うのか悪いと言うのか

結構、主観的なものであって

同じ人でも

見る人が違えば

いいとも悪いとも言われてしまいますよね。

 

だから何?とも言えますし

それ自体もいい悪い両方あるでしょうし、

そんなの別にどうでも良くね?とも言えるでしょうか。

 

自分の目利きが良くて

自分の人生の判断を見誤ることがなければ

そんなふうに軽く考えるのもいいでしょうけど、

嫌な人をいい人と勘違いして近づけた結果

とんでもなく傷つけられたりとか、

直接的な損害を与えられたりなど

見極めを失敗することは決して少なくないと思います。

 

騙すほうだって

必死になって騙そうとしているのですから

普通に見ていては気づけないものかもしれません。

 

頭がいいから騙されないとか

頭が悪いから騙されるというものでもないですし、

そりゃ頭は良くないよりも良いほうがいいのでしょうけど

頭が良いことが災いすることもありますし、

意外と頭の良い人ほど

騙されやすいという側面もあったりします。

 

人間って本当に難しいなと思いますし、

複雑怪奇と言わざるを得ませんよね。

 

人生はいろいろなことが起こるものですけど

哲学的なアプローチができるようになると

少しはマシになるでしょうか?

いやそれとこれは別物でしょうか?

 

まあ私ごときに答えなどなく

いろんなことを考えながら

今よりも未来が少しでも良くなるように

多角的に学んでいくしかないなと考えております

 

今回ご紹介する書籍は、

【 知性改善論 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 知性改善論 』

バールーフ・デ・スピノザ 

(訳)秋保 亘 を読みました。

 

本書の存在を知った時に、

なぜか「おお、スピノザ!」

これは読まなきゃな…と思ってしまったのです。

 

そして楽天ブックスで探して

思わずポチっとしてしまったんです。

 

でもふと冷静に考えると

私はスピノザのことなんて

ほとんど知りませんし、

今まで読んできた本の中で

どこかで出てきたかな?というレベルです。

 

知性改善論というタイトルに反応したのか

スピノザに深層心理的に何かあるのか

本の雰囲気が良かったのか

まあその辺りはよくわかりませんけど

これもせっかくのご縁です。

 

別に哲学的な素養がある私ではありませんけど

なぜか哲学には少しだけ関心があって

今までもそれなりの哲学本を読んできています。

 

ka162701.hatenablog.com

 

本書はとても薄い本なのですが

哲学本は薄いほうが中身が濃いという経験値もあり

これはいつもの如くではありますが、

オレ、スピノザ読めるの?

ちゃんと理解できるの?と

大きな不安を持ちながらも

何とかなるっしょと自分を信じて

こわごわと読み始めたのでした。

 

目次

読者に告ぐ

知性の改善について、

ならびに知性が最上の仕方で諸々のものについての

真の認識へと導かれる途についての論考

〔導 入〕

〔方法の規定〕

〔方法の第一部〕

〔方法の第二部〕

 

訳 注

文献一覧

訳者解説

 

感想

知性って何だ?

さらに良くするにはどうしたらいいんだ?

 

本書の命題はその辺りでしょうか。

 

まずは国語辞典的な定義から考えましょう。

goo辞書によりますと…

 

  1.  物事を知り、考え、判断する能力。

  2.   人間の、知的作用を営む能力。

  3.   「—にあふれる話」「—豊かな人物

  4.  
  5.  比較抽象・概念化・判断推理などの機能によって、

  6.   感覚的所与を認識にまでつくりあげる精神的能力。

 

このようになっています。

わかったような、わからないような…。

 

あくまでの私の個人的な見解ですが

「生活や人生を

今よりも少し良くするための生存戦略

ベースとなる判断能力」としてみます。

 

スピノザは知性とは何だ?というところから始めて

どう改善するかを考察していくわけですが、

まあ哲学書にありがちですけど

いろんなことを述べていますが

私のような凡人にはなかなか理解ができません。

 

まあそれでいいのです。

私にとって哲学とは

世の中にはわからないことが

まだまだたくさんあるんだよ…という

確認の学問だというように考えていますので

わからないという出発点を確認できただけで充分です。

 

もっと賢く生きたいとか

効率的に生きたい人は多いと思いますけど

そんなに簡単ではないと思うんですよ。

 

でも簡単ではないという

このことを骨身に染みて理解しないと

その先はないんじゃないですかね。

 

昨今では安易に答えを求めるというか

手っ取り早く正解に辿り着くことが

あたかも正しいかのような風潮がありますが

絶対にそんなことはないと思います。

 

難しいものは難しいですし

わからないものはわからないですし

それは素直に保留しておき

理解できる時まで誠実に学びをするのが

やはり自分自身の生存戦略としても有効と考えます。

 

わかった気になるのは危険ですし

結局わかっていなければ

どこかで痛い目に合いかねませんからね。

 

正直、本書を読み終えても

わかった感はあまりないのですけど

そういう現実を実直に受け入れねばと思ってます。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所についてご紹介いたします。

 

この生において

ごく普通に見い出されるもので、

人々がー彼らの言動からこう察してよいとすればー

最高の善と評定しているものは、

つまるところ次の三つのものに帰着するからである。

すなわち、富、名誉ならびに快楽である。

(P.12)

 

富、名誉、快楽が善か。

う~ん、これはいかがなものでしょうか?

何とも言えませんね。

 

適正バランスがあるのかもしれませんけど

知性として考えると少し疑問に思ってしまいました。

私が意図を掴み切れていないだけかもしれませんが。

 

さらに省察を続けることで、

私は次に、事情がかくのごとくであるのなら、

この覚悟を深めて決断を下すことができさえすれば、

確実な悪を確実な善のために手放すことになるのだ、

ということを見定めるに至った。

(P.15)

 

このあたりの善悪については

西田幾太郎さんの「善の研究」を思い出しましたが

善悪ってそんなに単純なものではありませんよね。

 

表裏一体と言いますか

何かあれば

すぐに入れ替わってしまうものでもありますね。

 

ka162701.hatenablog.com

 

あらゆるものに先立って、

私たちのうちには

真の観念が生来そなわった道具として

実在するはずであり、

まさにこの真の観念が知解されれば、

それと同時に、

そのような智得と

その他すべての智得のあいだにある差異も

また知解されるだろうからである。

まさにこの点に方法の一部が存する。

そして、精神が自然についてより多く知解すればするほど、

それだけいっそう自らをよりよく知解するということは

それ自体で明らかなので、

ここから確立されるのは、

方法のこの部分は、

精神がより多く知解すればするほど

より完全なものになるだろうということ、

ならびに、精神が

もっとも完全な存在者の認識へと注意を向けるとき、

言うならばそれを反照するときに、

もっとも完全なものになるだろうということである。

(P.35~36)

 

私としては

この箇所が最も知性について

スピノザが語っているように感じたのですが

果たしていかがでしょうか?

 

疑いとはあることがらにかんする

肯定または否定をめぐって

心が宙づりになっている状態にほかならないが、

その肯定または否定は、

それを知らなければそのことがらについての認識が

不完全なものにならざるをえない

何かが見出されなかったとしたら、

なされていただろうから。

ここから、疑いはつねにものどもが順序を踏まえずに

探求されることに起因する、と結論づけられる。

(P.70)

 

物事を疑うというのは

知性的であろうとすれば

必要不可欠なのだなということは

何となくわかります。

 

私たちは多くのものを肯定し、否定するが、

それはことばの本性が

それを肯定することも否定することも

許すがゆえなのであって、

ものどもの本性ゆえではない。

そして、それゆえ、ものどもの本性を知らなければ、

私たちは容易に偽なる或るものを

真なるものとみなしてしまうだろう。

(P.76)

 

私たちが日常的に肯定、否定しているものを

なぜ肯定、否定しているのか、

この点を問い続けなければ

いつの間にか騙されてしまうというところでしょうか。

 

物事の本質を掴むというのは

そんなに簡単なことではありませんが、

本質から離れてしまっては

判断を見誤ることが多くなるのは理解できますね。

 

しかるに、最上の結論はといえば、

それは或る肯定的特殊的本質から、

言うならば真でかつ

正当な定義から引き出されるべきであろう。

というのも、

普遍的な公理のみから出発することによっては、

知性は個別的なものに

深く立ち入ることができないからである。

実際、公理は無限に多くのものにかかわり、

また知性をして或る個別的なものよりも

むしろ別の個別的なものを観想すべく

規定することがないのだから、

そういうわけで、

〔何ごとかを〕発見するための正しい途は、

或る定義を与えることから出発して、

諸々の思考を形成することである。

これは、私たちが或るものをよりよく定義すれば、

それだけより効果的に、

かつより容易に進捗することになろう。

(P.78~79)

 

あ、これ、わかると思いました。

頭のいい人が判断ミスをするのは

ここで言う公理に捉われてしまうからですよね。

 

こういう時は「定義」に立ち戻り、

定義から問題を再考し

課題を発見して答えを導き出すのが

最善と言えるのかもしれません。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

私はもともと頭のいいほうではないだけに

哲学への関心が高いです。

 

大したことのない頭で

最大限に能力を発揮するためには

どうすれば良いのか?

そのヒントが隠されていると思うからです。

 

これも私なりの生存戦略なのでしょう。

 

それでは、また…。

 

 

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