ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

かかわり方のまなび方 ワークショップとファシリテーションの現場から

 

おはようございます。

 

読書がライフワークになっている

医療業界のコンサルタント

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

何かを知ると

知らない何かがあることに気づき、

新たな何かを知りたくなる。

 

長年、読書を続けていると

身に染みて感じる真理と言えるかもしれませんね。

 

ふと振り返れば

もう40年近く読書をしています。

 

そこそこの知識は身に付けたはずなのに

自分は無知だと本当に思いますし、

まだまだ知りたいことがたくさんあります。

 

きっとこれでいいのでしょう。

学び続ける一生を過ごしたいと

強く思いますから。

 

今回ご紹介する書籍は、

【 かかわり方のまなび方 

  ワークショップとファシリテーションの現場から 】 です。

 

 

本書をピックアップした理由

『 かかわり方のまなび方

  ワークショップとファシリテーションの現場から 』

西村 佳哲 ちくま文庫 を読みました。

 

西村さんの著書は

下記の2冊を読んでいます。

 

ka162701.hatenablog.com

 

ka162701.hatenablog.com

 

いずれも非常に勉強になりましたし、

キャリア形成や人生設計という点でも

参考になるところが実に多かったです。

 

デザイナーでありながら

「働く」をテーマにして

模索し続ける姿勢は素晴らしいですし、

キャリア、キャリアしておらずに

むしろ「人生」を見据えている点に好感が持てました。

 

その続編ということで

すごく楽しみにしながら読み始めたのです。

 

目次

西原由記子さんに自殺防止活動の話をきく

 ―人は応答する存在として生きている

1 ファシリテーターは何をしているのか?

(難波克己さんにアドベンチャー教育の話をきく

 ―お互いの価値観や存在を、最大限に尊重する

 ;青木将幸さんに良い会議の話をきく

 ―その場に集まった人たち次第で決まる ほか)

2 ワークショップとは何か?

 (「ファクトリーではない」ということ

 ;創造的である・生産的である ほか)

3 人の見え方(「i」メッセージ;わたしはあなたではない ほか)

補稿 西原由記子さんの言葉―いま本当に感じていることを

 

感想

前述したように

「自分をいかして生きる」

「自分の仕事を作る」

この2冊は本当におススメです。

 

生きる、働くということに対して

何かヒントが手に入ると思います。

 

本書はこの続きの3冊目だと思っていましたら

何と4冊目でした。

 

悔しくて3冊目は

すぐに楽天ブックスで注文しました(笑)。

 

まあそれはいいとして

本書の主題は「人との関わり」です。

 

ワークショップやファシリテーターに焦点を当て

そこから学びとか、生きるとか

これまた人生について考察をしていくのですが

私自身も仕事でファシリテーターをすることがありますので

非常に参考になりました。

 

上辺だけのファシリテーターではなく、

面白いだけで数日後にはすっかり忘れてしまう

ワークショップではなく、

その歴史から本来あるべき姿まで

網羅的に理解することができて良かったです。

 

それでは恒例の私がグッときた箇所をご紹介します。

 

人が人にかかわる、ということ。

他の人がかかわることで、

本人だけでは果たせないことが可能になったり、

先に進めたり。

あの人といると伸びるとか、

人の力を引き出すのが上手いと言われる人たちがいるけど、

彼らはいったい何をしているんだろう?

(P.11)

 

これは本書の冒頭部分からの抜粋です。

人間とは人の間と書きますし、

私たちは毎日多くの人と接していますね。

 

誰かに何らかの影響を与え、

誰かから何らかの影響を与えられる。

 

どのように人にかかわるか。

かなり興味深くなって

気合いを入れて読む気にさせてくれました。

 

”ワークショップの手法”と

ファシリテーターとしての姿勢”。

自分の中でこの二つが出来てきて、

何にでも対応できるようになってきたんだと思います。

お医者さんと同じです。

助けたいと思っても、

医療のスキルがなければ始まらないし、

逆にいくらスキルがあっても

気持ちがなければ動けませんよね。

技術だけ手に入れて

人を弄ぶような真似をしてはいけないし。

”手法”と”態度”の二つは、

かけ算のようなものだと思います。

0×2は0です。

でも2×2なら4になる。

(P.63~64)

 

手法と姿勢。

手法と態度。

 

どんな仕事でも

いずれもバランス良く持つべきですし、

その前提があってこその人との関わりであり

信用、信頼のベースなのでしょうね。

 

概念化は大事だと思いますよ。

複雑な体験を言語化して、

他の人と共有できる形にするのは

大事なことだと僕も思います。

でもねえ、なにかこう「学んだような気」にさせちゃうのは

どうかなあと思うんですよ。

「要するにこういうことです」という

落としどころを他人が用意しないところが、

体験学習の意義だと思うし。

(P.73~74)

 

学んだような気になる。

これは私たちの日常的な勉強でもそうですし、

あらゆる研修、セミナーなども同じですよね。

 

本質に斬り込まず

表面上だけなぞらえて

何となくわかったような気になる、させる。

でも2週間後にはほとんど覚えていない。

 

根本的に学びを考え直さないといけませんね。

 

輪の中心にファシリテーターの”あり方”を置き、

それを成り立たせる要素として

「技術」「理論」「気づき」「自己」の

4つがあると思う、と話してくれた。

「どれが欠けても成り立たない。

 これらが回りながら、

 軸にあたる”あり方”を成り立たせるのだと思うよ」と。

(P.79~80)

 

うん、わかる。

存在感とか、格とか、重力とか、

貫禄とか、威厳とか、風格とか、権威とか

いろんな言葉に置き換えることができるとは思うけど

圧倒的な”あり方”があってこその

技術、理論、気づき、自己なのですよね。

 

表向きではゴマかせない。

 

コミュニケーションというのは器なんです。

器が出来れば、

中味は自然に満たされてゆく。

コーチングにせよ、

カウンセリングにせよ、

プレゼンテーションでも、

メンタルヘルスでも、

リーダーシップでも、

どれも要は”コミュニケーション”です。

よく仲間と話すのは、

「丼飯のようなものだよね」って。

どんな丼もご飯の部分は同じで、

そこがコミュニケーションに該当する。

その上でに何を乗せるかで、

カウンセリング丼にもなれば

リーダーシップ丼にもなる。

僕が扱っているのは、

そのベースにあたる部分のセンスです。

(P.92)

 

この丼飯理論はわかりやすいですね(笑)。

 

白いご飯というベースとなるもの、

個性や目的によって変わるおかず。

 

相手が同じでも

仕事なのか、プライベートなのか、

真面目な話しなのか、フランクな話しなのか。

 

ベースがないと

どんな内容でも共有できないものがありそうです。

 

「共感」「無条件の信頼」「自己一致」の

三つが揃っている相手の前では、

人はその人自身の力でおのずと成長すると言ってます。

(P.171)

 

これこそがファシリテーター

本来的に持っておかねばならない素質なのでしょうね。

 

話しが上手いとか

軽快なリズム感とか

そんなものより

圧倒的な存在感と信頼感があれば

話しを聞く側も

自然と成長するような気もします。

 

イメージを持つことと、

ぶれないというのは別のことだと思います。

イメージを持つことより、

場やプロセスを信頼することのほうが

大事なんじゃないかな。

(P.197)

 

わかります。

だから「サクラ」を用意して

ヨイショしたりする馬鹿者が現れるのですよね。

 

容易に人を信用するのではなく

場とプロセスを重視することが大切ですね。

 

ファクトリー(工場)の特性は、

「何をつくるか?」があらかじめ決まっている点にある。

そしてそれを効率よく、

高精度に、間違いなく生産するためのラインが

設計され稼働する。

一方ワークショップ(工房)では、

「何をつくるか?」はあらかじめ決まっていない。

少なくとも設計図のたぐいはない。

そこには素材があり、道具があり、

「少しでもいいものをつくりたい」意欲を持つ職工が集って、

互いに影響を与えながら働く。

そしてつくり出すべき「なにか」が、

その場で模索されてゆく。

ファクトリーは量産するが、

ワークショップは量産のための空間ではない。

また前者において失敗はあってはならないもので

決して望まれないが、

後者(ワークショップ)では

失敗はむしろ重要な手がかりで、

いい失敗を積極的に得るべく試作が重ねられる。

ファクトリーは(工場)は、

システムを所有し管理する側が

大きな影響力と権限を持つ社会を象徴している。

その発展は、素人より専門家が、

生活者より消費財を供給する側が

よりパワフルな社会の深化でもあった。

一方ワークショップ(工房)では

一人ひとりの個人が中心で、

権限も分散している。

このように”ファクトリー”という対立概念を置くと、

”ワークショップ”という言葉に込められてきた

願いの内実が少し見えやすくなる。

(P.209~210)

 

二次産業から三次産業への移行とか

私たち個々の価値観の多様化とか

時代の流れを感じますね。

 

どちらがいいとか短絡的に考えるのではなく、

両方をバランスよく活用することで

自分を健全に成長させていかねばと思います。

 

ものすごく大事なことや、

自分のことを否定している人が

他人にかかわるのは、

そもそもしんどいことやし、

無理があるし、

相手にとっても迷惑なことが多い。

自分の人となりについて

疑問を抱かず素直に動ける人が、

一致しているんです。

私がやりたいのは、

自分のことを好きなそんな人間が、

世の中に少しでも増える手助けをすることやね。

(P.266~267)

 

自分のことがわからない。

自分を好きになれない。

自分を信用できない。

 

こういう人が他者と関わるのは

自分のためにも相手のためにも

相当に難しい状況に追い込まれるでしょう。

 

だから我々は自分を成長させねばならないのですね。

 

大人が何か考えて与えなくても、

子どもは自分で遊ぶのでは?

むしろそういう時間のほうが大事なんじゃないか?

人間には他の人々とともに過ごす時間と、

一人だけで過ごす時間の両方が欠かせない。

それぞれの時間の中でしか

育まれないものがあると思う。

しかし昨今の少子化

子どもマーケットに対する世間の注目は、

彼らに対する過干渉的な状況を

さらに強めている。

(P.302)

 

少子化対策を間違えているということでしょうか。

ファクトリーは確実に少なくなるのですから

自分の頭で考える子供を増やさねばなりませんよね。

 

創造は生きていることの基本だと思います。

人間の根元的な力ですね。

それが歪んだところに、

病や戦争があるように僕は思う。

生きているということは、

自然界において創造性が全開している結果でしょう。

ヒトに限らず、

草木や動物にしてもね。

だから創造的に生きることは目的ではなくて、

生きていること自体が最初から創造的なんです。

(P.322)

 

人間とは何だ?

私たちはなぜ生きるんだ?

どうして働かねばならないんだ?

 

こういう問いに対して

自分なりの答えを持っておかないと

これからの時代は生きにくくなると思います。

 

誰かの陰に隠れて生きることができなくなり、

個人で戦うか、

個人と個人で結びついて戦うか、

戦うと言っても誰かを傷つけるのではなく、

生きる、人生を歩むという意味ですが、

そこに正義と正当性を持たせながら

生き抜いていくのが生存戦略上も

有効になっていくのでしょうね。

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

正直、期待が大きかったので

それに応えてくれたかと言えば否でしょうか。

 

キャリアや人生という枠組みから離れれば

とても参考になる内容なのですが

1冊目、2冊目の続編と考えていた私からは

少し残念に思ってしまいました。

 

ただ最初からワークショップとか

ファシリテーターとは何ぞや?を知りたくて

本書を読めば相当に勉強になると思います。

 

吸収すべき点が多いことでしょう。

ただそれを悪用はして欲しくないですが…。

 

それでは、また…。

 

 

*ジーネットTV 毎週新着動画をアップしています!

医師キャリア相談

*ZOOMキャリア相談を無料で行っています。

 

ジーネットが発信する情報提供サイトはこちらです!>
ジーネット株式会社 公式ホームページ
医療ビジネス健全化協議会<IBIKEN>ドクター向け情報提供サイト
ジーネット株式会社 <社長のtwitter>
ジーネット株式会社 <社長のfacebookページ>

よろしければ下記もポチっとお願いします!
      にほんブログ村 転職キャリアブログへ

診療圏調査バナー