ある読書好き医療コンサルタントの「書評」ブログ!

年間60~70冊ほど読んでます。原則毎週日曜日に更新しますが、稀にプラスαもあります。本好きの方集まれ!

マクロ経済政策入門 黄金の拘束医を着た首相

 

おはようございます。

 

医師のキャリアプランを軸にして

転職、開業、経営シーンでサポートし続ける

ジーネット株式会社の小野勝広です。

 

日本経済の事を日々考えている人は

そう多くはないと思いますが、

私たちの生活に直結するものですし、

時々はしっかり学ばないといけないと思ってます。

 

本日のブログのタイトルは、

【 マクロ経済政策入門 黄金の拘束医を着た首相

 なぜ安倍政権は緊縮財政・構造改革を推進するのか 】

といたしました。

 

医師転職ブログ

 

本書をピックアップした理由

『 マクロ経済政策入門 黄金の拘束医を着た首相

 なぜ安倍政権は緊縮財政・構造改革を推進するのか 』

三橋 貴明 飛鳥新書 を読みました。

 

当ブログでは何度かご紹介した三橋貴明氏。

 

書物を読む限りは非常に勉強になり、

そこらの経済学者よりも余程実態をわかっていると

個人的に私は評価してきました。

 

しかし元妻への暴行事件で逮捕されるなど、

マ・マジか…と若干不信感が芽生えたのも確かです。

よってしばらく私も遠ざかっておりました。

 

ところが自民党総裁選で安部首相が再選され、

あと3年間はおそらく安倍政権が続く訳ですね。

 

安部さんの高評価は経済政策と外交でしょうか。

 

特に経済政策については、

自身でアピールするほど

上手くは行っていないのでは?と

疑問が私の中にはありまして…。

 

そこで随分前に購入しておいた本書を思い出しました。

 

一旦、ここは三橋氏の事件には目を瞑って、

安部政権の経済運営について学びたく、

本書を手に取ったのでした。

 

目次

1 黄金の拘束衣を着た男

2 政府を誤らせる「経済学のドグマ」

3 安倍政権の根本的な誤解

4 株価に縛られた政治家

5 今すぐできる「国民を豊かにする」政策転換

6 黄金の拘束衣の「黄金律」をこえて

おわりに 実質賃金を下げる政策を「やらない」ために

 

感想

うん、さすがでした。

実に勉強になりましたし、

日本経済はこうあるべきという三橋氏の主張には

充分な根拠と理論がある事がよくわかりました。

 

三橋氏は元々自民党寄りなイメージがあったし、

安部政権には近い方かと思ってましたが、

いえいえ言うべき事はしっかり言う。

 

本書はアベノミクス称賛ではなく、

根本的な思想から覆すような批判的なスタンスです。

 

いわゆるグローバリズムであったり、

新自由主義に関して徹底批判しており、

私にはむしろ正統派、

実に真っ当な主張に感じました。

 

今回の自民党総裁選でも

論点のひとつになってましたが、

アベノミクスとして行われた

金融政策、財政政策、成長戦略の中で

一部では良い効果があったものの

むしろ弊害となってしまったものもあり、

その最も足るものは

デフレを脱却できていないという事かなと…。

 

国民の実質賃金の上昇を軽視し、

円安誘導、グローバル資本のための政策を実行し、

結果的には我が国の資産を多国籍企業に売り渡し、

輸出企業に集約させてしまいました。

 

そしてトリクルダウンなんてのは完全に幻想で終始し、

大企業の内部留保として収まってる。

 

穿った見方をすれば、

国民の財産を外国に、輸出企業に無理に移転し、

益々我が国の経済を停滞させてしまったとも言えます。

 

三橋氏の主張する需給ギャップの本質は理解しやすい一方で、

政府の考える経済的な課題や政策の方向性はどうなんだ?

無理して財政均衡するような政策はどうなんだ?

アベノミクスは果たしてこのままでいいのか?と

様々な疑問が湧いてきます。

 

それに対して国民の実質賃金の上昇を目指すべきだ、

需給ギャップの解消こそが最優先事項だ、

緊縮財政・構造改革よりも公共投資を増やすべきだ、

という三橋氏の主張の方が理があるように感じます。

 

あくまでも結果論とも言えますが、

消費税を10%にして

さらに国民の富を吸い上げようとしたり、

逆に法人税減税を進めて

内部留保をさらに貯め込むような方向に導いたり、

現状ではさらに需給ギャップ

拡大する政策を進めようとしており、

このままではさらにデフレは進み、

国民生活は窮乏し、

日本経済は益々弱体化するのではないかと不安になります。

 

本書のタイトルになっている黄金の拘束衣とは、

国民の所得のためではなく、

グローバル資本のための政策を実施させるために

各国の政策担当者に着せられた呪いの事を言うそうです。

 

私たちは単にアベノミクスを批判するだけでなく、

効果的であった点は素直に認めて、

改善すべき点を洗い出し、

今までのようにグローバル資本の為に

国民生活を犠牲にする政策で良いのか?

トリクルダウンのような幻想にいつまでも取りつかれて

一部の人の利益だけに終始する政策で良いのか?

しっかり検証し、特に政治家や官僚、財界は私利私欲を捨て、

国家のために新たな方向への1歩を踏み出すべきと思います。

 

本書はその道筋を明確に述べています。

アベノミクス批判とも取れますが、

私には三橋氏の主張はそんな小さなものではなく、

我が国の経済発展に必要な処方箋に思えます。

 

そして長引くデフレの原因は、

安部政権の問題ではなく

ここ10年、20年を掛けての政策ミスであり、

安部首相1人に責任を被せるのは明らかに無理があります。

 

そりゃ確かにアベノミクスの弊害はあるものの、

根本的な問題は、

バルブ崩壊の頃から続く失政です。

 

その意味では現政権というより歴代政権、

歴代の財務大臣経済産業大臣や官僚たちにこそ

責任は大きいように思います。

 

とは言え過去は変えられません。

でも未来は変える事ができるのですから、

今こそ方針転換して

国民の実質賃金の上昇を経済政策の中心に置き、

日本経済復活へと進んで頂きたいものです。

(となると石破さんだったのかなあ 笑)

 

評価

おススメ度は ★★★★☆ といたします。

 

マクロ経済政策の入門書としては

まさに良書と言えると思います。

 

そして経済の本質とは、

「経世在民」

国民を豊かにするための政治を執り行うであり、

やはり手段と目的を見誤ってはいけないのだと

強く感じます。

 

ここ10年~20年の経済政策は目的を見失っていた。

プライマリーバランス均衡や、

消費税増税法人税減税、公共投資削減、

労働規制の緩和なども含めて、

手段が目的化してしまっていたようにも思います。

 

何の為に行われるのか?

当然、外国や輸出企業に富を移転させる為ではない訳で、

ここはやはり基本に戻って

国民の為の経済政策を打ち出すべきなのでしょうね。

 

本書にはその為の具体的実行策が

相当に書かれています。

やはり安部さんは経済政策のブレーンを総入れ替えして、

新たな政策を打ち出すべきか?

そうしないと安倍さんに責任が行ってしまう。

 

学者や官僚は責任を取らないでしょうから、

断固たる思いで今のブレーンを切るべきと思います。

まあしないでしょうし、できないでしょうけど…。

 

それでは、また…。

 

 

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